フリー の商品レビュー
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00年代のベスト書籍と評判の本。 確かにデジタル時代に台頭してきてる GoogleやFacebookが採用する<無料モデル>を 実によく解説している。 従来型企業が採用してきたマスコミ型広報ではなく、 新種のオンライン上のバイラル型広報(PR2.0)が 新規ビジネスモデルのメインになっており、 そこは無料の世界だと指摘する。 そして、無料からお金を儲ける新たな錬金術を授けている。 <要約> 「潤沢な情報は無料になりたがり、希少な情報は高価になりたがる」 フリーの戦略はデジタル時代のいまに始まったことではない。 いつの世でも潤沢な情報と希少な情報があり、それは取引されてきた。 いまなにが違うのか、それを明確にした点でこの本は重要なのだ。 オンライン上でデジタルになり、フリーのビジネスモデルが ビットの世界のあらゆるモノに拡大していることが新しいのだ。 ここまでビット世界のフリーモデルが拡散する理由は、 ビットの世界では、今までのアトム(原子)の世界と比べて、 限界費用が圧倒的に小さいことに起因する。 まず基本としてビットの世界では 商品のコピーを作っても、ほとんど費用がかからない。 そして製品以外の限界費用であるコストも比較にならないほど安い。 アトムの世界では、人件費や配送費、店舗コストなどが 限界費用を規定していたのだが、 ビットのロングテールの世界には 人件費も配送費も店舗コストも「無視できるくらいに安い」のだ。 デジタルテクノロジーの3つの限界費用は限りなくゼロに近づいている。その3つとは、情報処理能力と記憶容量、通信帯域幅である。 それはムーアの法則によって予言されていたが、 「競争市場において価格は限界費用にまで下落する」という ベルトランの競争原理がビット世界でのフリー化に拍車をかけている。 アトムの世界では限界費用はある程度に抑えられていたが、 ビットの世界では「無料」が可能なほどに「無視できる」のだ。 そして、「無料」の価値は、想像以上に大きい。 フリーの心理学で考えれば、「値段がつくことで、人々は選択を迫られる」。選択すれば、選ばなかった後悔と選んだ末の不満に苛まれる。 無料のものには期待がないので、後悔も不満も存在しない。 では、無料でいかにして設けるのか? この最大の疑問に答えているのがこの著作である。 (ネタバレになるので詳細は控える) ①フリーの戦略を4つに規定 ・従来アトム型 直接的内部相互補助 ・従来アトム型 三者間市場 ・ビット経済型 フリーミアム ・ビット経済型 非貨幣市場 ②フリーミアムのタイプを分類 ・時間/期間制限 ・機能制限 ・人数制限 ・顧客タイプ別による制限 ③適切な有料と無料の移行の割合を決め 無料からお金を引き出す新しい戦略を導くとある。 いわゆる「ガチャゲー(Gree,DeNA)」が取っているのも このフリーミアムの戦略である。 大量にいる多くの「無料」の顧客と それを支えるプレミアムの「有料」の顧客。 これらの事例をふんだんに紹介し、 巻末には50のビジネスモデルを掲載している。 このところ「PR2.0」→「キュレーション」→「フリー」と 読み継いできた。 次に「リーンスタートアップ」の予定だが、その意味では 「フリー」のなかにも以下の文面があった。 「失敗せよ!もっとはやく失敗せよ!」 たぶん、これがビットの世界の成功の法則なのだと思う。
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現在躍進している企業(Google、日本ではDeNAやGREE)の儲けの原理が分かる本で、本書終盤のまとめはビジネスモデルの構想に役立てることもできる。しかしあくまでも現在の方程式を説明した本であるので、次の時代に何が訪れるのか、想像する力が必要。
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いまさら読んだ。 図書館で借りてただで読んだ。 潤沢なものを売るのか、希少なものを売るのか。 潤沢なものは無駄に使え ということが一番記憶に残っている。 キャッチーな概念化や分類が得意な人なんだと思う。 厚い本だけどさっと読めて楽しい本
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なかなか読み切れなかったけど、やっと読み終えることができた。 本書は世の中のフリーなものを具体例を通して、わかりやすく説明されていた。 デジタルなものは遅かれ早かれフリーになる。 身近な例でいえばCD,航空料金など。 おおまかにCDをフリーにしてファンを増やしライブで収益を上げる...
なかなか読み切れなかったけど、やっと読み終えることができた。 本書は世の中のフリーなものを具体例を通して、わかりやすく説明されていた。 デジタルなものは遅かれ早かれフリーになる。 身近な例でいえばCD,航空料金など。 おおまかにCDをフリーにしてファンを増やしライブで収益を上げるなど、今までメインで売っていたものはフリーになり、フリーによって得た顧客から違った形で収益を得ていくというものだった。 確かにこの本を読んでいると、普段自分が使用しているものでも、フリーなものが多いことに気付いた。 フリーの流れは止まらないし、止めることはできないと思う。 そういったフリーの流れをもろにくらう業界は、今までの価値観では戦っていけなくなるのだろう。(まぁこの本出版されてもう2年半くらい経ってるけどw) 全然関係ないが、レディオヘッドやナイン・インチ・ネイルズなどのアーティスト名が出てきたのはびっくりした。さすがトレント様(笑)
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メインの商品を無料にして、別の所で収益を上げるビジネスモデル。今後はこれが標準になるのではと思えます。基本、無料が常識のインターネット上では、これしかないと思いました。世の中の常識がひっくり返される良本。
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FREEが当たり前の世代と、 そうでない世代、 理解できなかったことが、 とてもよく理解できました。
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厚いわりにはページ数が少ない。 でも最後まで読み切れなかった。 フリーで金儲けはできることはわかるがその先は自分で考えなければならない。
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・フリーの仕組み4種類 ・コモディティ化>安くなる>他への価値の転換 ・雑誌がフリーにしない理由>広告主への心理学 ・モノを獲得する時の影響、金銭的影響、社会的影響
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印象的だったのは「無料メディア自体は新しくない。そのモデルがオンライン上のあらゆるものへと拡大していることが新しいのだ」、「ウェブの教訓=毎年価格が半分になるものは、かならず無料になる」等の言葉。
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アトムの世界におけるムダを排除して原価を下げる活動と ビットの世界におけるムダを蔓延させて価値を生み出す活動。 アトムの世界が無くならない限り、前者のアプローチもなくならない。莫大な固定費がかかる世界では、自己否定とも言えるアプローチは合理的だし、日本人の性にも合うため(=もっ...
アトムの世界におけるムダを排除して原価を下げる活動と ビットの世界におけるムダを蔓延させて価値を生み出す活動。 アトムの世界が無くならない限り、前者のアプローチもなくならない。莫大な固定費がかかる世界では、自己否定とも言えるアプローチは合理的だし、日本人の性にも合うため(=もったいない)、未だに「モノづくり」が神聖視されるわけだが。 他方、後者は世の中をムダで溢れさせて、もっと魅力的なムダを生み出すために知恵を絞る。しかもそれを利用する何億人もの人の脳みそを借りて。それが利益を生み出す。 前者は衣食住に関わるインフラ産業と、後者はより快適な余暇を過ごすためのエンタメ産業と結びつきが強い。 連続的に捉えることが難しい両者の違いに稿を割いているところが良かった。 単なるフリービジネスの見本市に留まらず、一読の価値はある。
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