スコーレNo.4 の商品レビュー
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自然と感じてしまっている劣等感や学生時代の不完全燃焼に終わった恋に縛られながらも、大人になり仕事を通し大切なものを理解していく主人公の姿に胸を打たれました。 学生時代のもどかしさが少し読むスピードを遅くさせましたが、仕事で悩みながらも自分自身の強みに気づき、出会いもあり、それまでの凝り固まっていた感情が解れていく場面はぐっと引き込まれました。
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宮下さんの作品は、 どう言ったらいいか分からない気持ちや 言うまでもないなと思っていた気持ち を映し出していて共感する。 私も妹の方が優れていると思っている身で 何に対しても愛する力が弱いと思っていて 自分のことを言われているようだった。 どの本も共感し過ぎて、自己理解の...
宮下さんの作品は、 どう言ったらいいか分からない気持ちや 言うまでもないなと思っていた気持ち を映し出していて共感する。 私も妹の方が優れていると思っている身で 何に対しても愛する力が弱いと思っていて 自分のことを言われているようだった。 どの本も共感し過ぎて、自己理解のために宮下さんの作品を読んでいるのかもしれない…
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恐らく、ごく一般的で平均的な女性のストーリーであり、特別大きな事件が起きる訳でも、特殊能力が使えるわけでもない。 たった一人の女性のただの成長日記。 なのに宮下さんの小説はどうしてこうも美しいのだろうか。 ただただ温かく、ただただ美しく、そしてちょっと胸が痛む。 男の自分でも、読んでいるときは一人の女性になりました。
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1人の女の子の成長が描かれているお話。何かの好きを大事にかぁ、未だに見つかってないよね、、て途中悲しくなっていたけど、「深いところで繋がっている」という言葉に救われた。人生上手くいかないことばかりだけど、1つ1つとりあえず目の前のことを頑張ろう。最近もっと先の部分のことばかり考え...
1人の女の子の成長が描かれているお話。何かの好きを大事にかぁ、未だに見つかってないよね、、て途中悲しくなっていたけど、「深いところで繋がっている」という言葉に救われた。人生上手くいかないことばかりだけど、1つ1つとりあえず目の前のことを頑張ろう。最近もっと先の部分のことばかり考えていて、目の前のことを丁寧に頑張っていなかったなぁと反省。また明日から頑張ろう!と思わせてくれた素敵な本でした。頑張ってればきっと何か繋がっていくよね!!
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主人公の中学時代から結婚するまでの成長物語。 4つの章に分かれており、それぞれ家族、恋愛、仕事、結婚というテーマで描かれている。一つ一つの章は短編のように読むコマともできるが、完全に独立してわけではなく、関連しているのである。それはまさに、色んなことが、実は「深いところで繋がっている」という主人公自身が終盤で気付く言葉に集約されている。 4つの章の中でも「仕事」と「結婚」にあたる章が好きだ。しかし、それも他の章があってこそ引き立つのであり、全体を通してとても丁寧に描かれている印象を受けた。 可愛くて冴える妹と比較して、いつも引け目を感じている姉というのは、なんだか私自身に当てはまるようで、主人公に親近感が湧く。 何かを愛したいのに、愛しきれない中途半端さ。そこからくる寂しさ。誰かといても一人ぼっちな感じがする。まさに私自身がその壁にぶち当たっているのだと気付いた。しかし、本書を読了後、これで今はいいのだと感じることができ、焦燥感が軽減したように感じる。色んなことが「深いところで繋がっている」のだという言葉を読み、前向きな未来を信じたくなった。 何かを愛したり、好きになったりするということは、しようと思ってできることではない。自然とそうなるものなのだ。だから、好きな趣味も、仕事も、人も、無理に作るものではないのだ。自然に身を任せて、その先で出会った「好き」に気づき、素直になることが大事なのだと感じた。 主人公だけでなく、脇役もそれぞれのストーリーを感じさせられる人間味溢れる人たちばかりだった。中でも、最後に主人公と職場で出逢った未来の結婚相手を想起させる人物の人柄や言葉がとても温かく、ほっとさせられた。
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読み終わって、 心が満たされたと感じる作品でした。 懐かしくて涙が出そうになる場面が多々あるのは、私自身が大学を卒業し就職という次なるスコーレへと向かっていく真最中だからでしょうか。 物語を一貫するのは、「あらゆるもの・ことに対する好き」という感情だと思う。麻子が木月くんを好きになる、自分の家の骨董品の良さを味わう、靴屋で似合いの素敵な靴を売る、どの場面でもこういう感情・行動・こだわりってあるよなって共感してしまう。会った瞬間にその人のことしか考えられなくなること、その人のために可愛くなりたいと思うこと、そして誰かと自分を比べてしまうこと。スコーレNo.1やNo.2では、恋愛の甘酸っぱさや麻子の自分にはないものを持つ妹・七葉への劣等感を強く感じました。 スコーレNo.3の冒頭は、「たとえば、魚屋の店先に初鰹が並ぶときあるいは示し合わせたように一斉に曼珠沙華が開くときのように、就職活動を始めるときが誰にでもはっきりと示されればいいのに、と思う。気づいたときには出遅れていた。もっとも出遅れなくとも状況はそう変わらなかったかもしれない。」とあり、この例えの表現に感動したくらい共感してしまった自分がいるのはまず間違いないが、何より、なんとなくで始まった社会人や配属先の靴屋で感じる周囲との熱意や責任感の差を客観的に分析している麻子の状況に、自分の一年目が重なってひどく感情移入しました。そんな麻子が、人に似合いの、とっておきの靴を選ぶ楽しさや喜びを知ったとき、自分の働くことへの生きがいを見つけた瞬間だったはず。そして、生き生きと働く麻子が茅野さんと惹かれあって付き合うことになる。スコーレNo.4の最後、麻子が実家に訪れたときの七葉の言葉「どこにもいかないでふたりで家にいるだけでどきどきできたら、最高だと思うな」というのがとても素敵で印象的です。 著者が描く場面の、一瞬一瞬の感情が何かしらどこかしらで胸に響くああそうだなって共感するものが多々あって、宮下奈都さんの本が大好きになったきっかけの一冊です。
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姉妹は苦しい。 大好きで大嫌い。 気がつけば空っぽの26歳が出来上がった。 充実を取り繕って、切り取った写真に満足する。 自分の足元がどのくらいおぼつかないのか 怖くて照らすこともできない。 教えてほしい。 自分の値段は分からないから。
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非常に落ち着いた気分で読み切ることが出来ました。 それでいて、つまらないとは感じず、暖かい気持ちにさせてくれる作品でした。
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『もしも自分に絶対の自信があったら。そうしたら、思ったことをそのまま言える。自信。それは努力して身につけるものでなく、天恵みたいに与えられるものだ。可愛さとまったく同じように。』自分に自信を持って生きている人ってどのくらいいるのでしょうか。自分に自信があると言える人は、なぜそのよ...
『もしも自分に絶対の自信があったら。そうしたら、思ったことをそのまま言える。自信。それは努力して身につけるものでなく、天恵みたいに与えられるものだ。可愛さとまったく同じように。』自分に自信を持って生きている人ってどのくらいいるのでしょうか。自分に自信があると言える人は、なぜそのように思うことができるのでしょうか。自信とは本当に努力で身につくようなものではないのでしょうか。 タイトルと表紙に惹かれて手にしたこの作品。「スコーレ」とは『スクール』の語源となった古代ギリシャ語とのこと。この作品は、主人公・麻子が生きてきたこれまでの道のりを、中学校時代、高校時代、大学・靴屋での研修時代、皮革課勤務の時代の四章に分けて描いていきます。 骨董屋の三人姉妹の長女として育った麻子。No.1では、『真由も未知花ちゃんも首をかしげる。仲がよすぎて気味が悪いみたい、などと言う。今もいちばん親しい友達だ。でも親友と呼ぶほどではない。それは当然だろう。私には七葉がいる。』という位にとっても仲の良い妹・七葉との関係が描かれていきます。 自分には持っていないものに満ち溢れている妹・七葉。『七葉みたいに可愛かったら人生違ってた。そう口走った自分の言葉にいちばん驚いたのは私だ。』この世の誰よりも親しいと思っていた存在。でもそんな七葉に違和感を感じ、七葉と一緒にいたくないと感じ出す麻子。No.2の中で気付きの日が訪れます。 そして、『それぞれのやり方で私たちはお互いから遠ざかった。』スコーレを経るにつれ、やがてそんな妹とも疎遠になっていく日が訪れ、No.3へと舞台は展開していきます。 新しい場所は誰にでも不安なものです。進学して、就職して、全く新しい世界に飛び込んだ時の不安、心細さを感じたことは誰にでもあると思います。そんな時、『居場所をきれいに整えることは、居心地をよくしてその場所を味方につけるようなものだ。もしもまわりに味方がいないのだとしたら、なおさら場所の援護が必要だった。』知らない人ばかりの中での圧倒的な孤独感、周囲が全て敵にも見える絶望的な不安感。永遠に止まったように感じられる時の流れ。ここでの麻子の行動には、そんな時の一つの考え方のヒントをもらった気がしました。 輸入貿易会社に就職し、靴屋に研修に出た麻子。初めての仕事というものにどうやって向き合ったらよいのか、身体が、気持ちがついてゆかない時間。でも、少しづつ前へ、少しづつ上を向く。止まってばかりではいられないと一歩を踏み出す麻子。『自分の目を信じなさい。店長の言葉はじわじわと私の身体に染み込んできた。』初めに味方になってくれた『場所』が応援してくれる、きちんと前を、上を向く人を見てくれている人はきっといる。『違う場所からのぞく世界は、ちゃんとそれにふさわしい、今まで見たこともなかったような顔を向けてくる。靴をもっと、もっともっと知りたいと思った。』そしてNo.4ヘと、物語はまだ見ぬ世界のさらにその先へと歩みを進めていきます。 素晴らしいものを見るとなかなかそれを言葉にすることは出来なくなる。この作品を読み終えて頭に浮かんだのはその言葉でした。人生、回り道をする時だってある。今やっていることが何の意味があるのかと投げ出したくなる時もある。でも、そんな一見意味のない、何もないと思われた時間・時代も全て自分の人生だから。自分に自信を持って一歩づつ前へ。未来に全てが繋がって人生を作っていくんだということを信じて。 大きな事件も出来事も何も起こらない普通の人の普通の人生の四つのスコーレを切り取ったこの作品。でもそこに、読み終えた瞬間に、ありえないほどの圧倒的な爽やかさと、しあわせを感じました。 4月から新年度。新しく社会人となる方の中には残念ながら早々に退職を決意して去ってしまう方も出ると思います。そんな人たちに、その決断をする前にどうしても知ってもらいたい、是非手にとってもらいたい作品だと思いました。その一方で、社会に出て時間の経った自分が、この作品に出会ってまだ心が動いたこと、この作品からしあわせを感じられたこと、それがとても愛おしくもなりました。 今日は月曜日、さあ、今週も頑張ろう!そう思いました。 いい作品に出会えました。
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すごく好きだった。靴屋つながり、不器用な女の子つながり(ただし靴を売ることにかけでは不器用じゃない)で『靴を売るシンデレラ』を思い出したりもしたけど、文化の違いもあって当然読み味はちがう。 きれいな顔立ちをした妹への劣等感。物事に対しても妹ほど執着心や、はげしい情熱を持てないことに対するコンプレックス。でも、その激しい熱を持っていることもまた、その当人にとってはきっと大変なんだろうと思う。 麻子は骨董に対する父のじわじわとしみこむような愛を知らず知らずのうちに受けついでそだったんだろうな。それが靴の販売にも生かされて、ようやくそれが自分の持つ特技で長所なんだと気づいていくところがとてもよくて、満たされる思いがした。茅野さんとのつながりが、その気づきとシンクロナイズしているのもいいですね。
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