スコーレNo.4 の商品レビュー
宮下奈都さんの作品は『羊と鋼の森』に続いて2作目。地の文の風景描写にやわらかい匂いが感じられて、大好きな作家さん。ひとりの女性の4つの転機をめぐる物語でしたが、穏やかだけど心の底にいつも熱く揺れる気持ちがあって、こんな大人になりたかったなと思う。 主人公が子ども時代に初めて好きな...
宮下奈都さんの作品は『羊と鋼の森』に続いて2作目。地の文の風景描写にやわらかい匂いが感じられて、大好きな作家さん。ひとりの女性の4つの転機をめぐる物語でしたが、穏やかだけど心の底にいつも熱く揺れる気持ちがあって、こんな大人になりたかったなと思う。 主人公が子ども時代に初めて好きな男の子を見つけるくだりを読んで、なぜか高校生のころの特別に誰かを想った記憶が急によみがえって、ちょっと恥ずかしく、そしてちょっと懐かしい気持ちになりました(笑) つぎはどの作品を読んでみようかな。
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麻子と茅野の章が好きだ。 暖かく優しさを纏った空気があり、これを契機に故郷の緩やかな幸せを再認識し、姉妹の絆に包まれる。 年末に読むのに適した小説でした。
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読みやすい。この人の本は感情の変化に色彩が付いているみたいだ。決して明るくない主人公が成長していく姿を描いた作品が多いのも特徴。
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- ネタバレ
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よかった、ものすごくよかった。 読み終わった後のさわやかな風が通り抜ける感じと、満足感と幸福感がすごい。 丁寧に人生を生きているな、と感じた。 わたしも出てくるような映画館や好きな店を見つけたいものです。 人との関わりがとても大切だよなぁ〜と改めて。 社会人になったばかりとか、転職したばかりで、ちょっと疲れちゃった人に読んでもらいたい一冊でした。 想像以上に自分好みの物語だった。 茅野さんのするっとした感じが好き!
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感受性は人一倍強いものの、ごく平凡な女の子、麻子。彼女の人生を4段階にして追っていく物語。誰にでもある人生の一コマ。大事件は決して起きないのだけれど、独特の繊細な文章で綴られているので、まるで万華鏡を覗いているかのように、ゆっくり、キラキラと麻子の人生が垣間見える。また、同じ女性...
感受性は人一倍強いものの、ごく平凡な女の子、麻子。彼女の人生を4段階にして追っていく物語。誰にでもある人生の一コマ。大事件は決して起きないのだけれど、独特の繊細な文章で綴られているので、まるで万華鏡を覗いているかのように、ゆっくり、キラキラと麻子の人生が垣間見える。また、同じ女性として、自分の人生と麻子の人生を伴走させているかのような錯覚にも陥る。やはり彼女が骨董品屋の長女ということが、人格形成や豊かな感性を持つところに多大な影響があるのだろう。普段自分が読む系統とは違いながら、余韻を残す一冊となった。
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宮下奈都 著「スコーレ№4」、2007.1刊行、2009.11文庫化。津川麻子という女性が成長していく姿を描いた作品だと思います。とても丁寧に書かれていて、さすが宮下奈都さんと思いましたが、内容的には地味な感じで、私には物足りなかったです。
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麻子が幸せになってよかった。自信の持てない彼女に共感する部分もあり、彼女をきちんと愛してくれる人に出会い、愛しているものに気づかせてくれたことは、よかったと思う。
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49:おとなしく控えめな姉の麻子、明るく朗らかで、激しい情熱を秘めた妹の七葉。古道具屋の家に生まれた姉妹と両親、祖母、時間の流れが穏やかになるような町。何でもない日常を丹念に描写しながら、「平凡」を重ね続けることで麻子の成長を綴る物語。 事件と呼べるような転換は起きず、物語はあく...
49:おとなしく控えめな姉の麻子、明るく朗らかで、激しい情熱を秘めた妹の七葉。古道具屋の家に生まれた姉妹と両親、祖母、時間の流れが穏やかになるような町。何でもない日常を丹念に描写しながら、「平凡」を重ね続けることで麻子の成長を綴る物語。 事件と呼べるような転換は起きず、物語はあくまで静かに流れるのですが、それゆえに何気ない描写や心の動きにはっとさせられたり、胸を突かれたり。麻子の性格に反感を持つ方も多いと思いますし、私も何度も読むのを止めようと思いましたが、読了時にはどうしてか泣けて仕方ありませんでした。 悩み、困惑、嫉妬、生きることが簡単ではないからこそ、ささやかな喜びに心が洗われる気がします。
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心の襞を上手く描かれていますね。性別に関係なく読める本だし、少しだけ昔のことも思い出します。やはり最後は、好きか嫌いか、というところで、それを見つけ、拘る。これからでもできればと思います。
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宮下奈都『スコーレNo.4』は主人公である女性の思春期から結婚に至るまでの考え方や心の変遷を4つの時期に整理した物語。宮下奈都独特の「普通」と思い込んでいる女性の、でもやっぱり特別な存在、という流れがきちんと受け継がれているストーリー展開である。 いろいろなことに気が回る長女そ...
宮下奈都『スコーレNo.4』は主人公である女性の思春期から結婚に至るまでの考え方や心の変遷を4つの時期に整理した物語。宮下奈都独特の「普通」と思い込んでいる女性の、でもやっぱり特別な存在、という流れがきちんと受け継がれているストーリー展開である。 いろいろなことに気が回る長女そのものといった感の麻子を中心として、しつけに厳しい祖母やのんびりとしているように見える父や母、そして奔放な妹達。その麻子が男性に対する気持ちや仕事とは何か?といった、たぶん「普通」の女性(あるいは男性も)が悩んだり、考えたりしている空気みたいなものを表現しているんだとおもう。 そういった意味ではたまたまかもしれないが、そんなにその手の女性に会ったことがないような気もしてなんというか物語は物語なのだが、それでもその展開は凄く痛みを感じたり、ふとしたきっかけで舞い上がっていくときの気持ちの変化やスピード感の変化に一緒に興奮したりしてしまうのはやはり小説の力なんだろう。また宮下奈都の力なんだろう。小説を読んでいても映画を観ているような、あるいは表現されている色彩感のようなものを感じるのだ。 結局は理想的な展開に終着するわけなので、人生とは異なるのかもしれないが、映画としてであればこれもよいかなとうなづいたりするのである。
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