玻璃の天 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ベッキーさんシリーズ二冊目。 今回でベッキーさんの秘密も明かされてきます。 今回も主人公英子とベッキーさんの知的な雰囲気に包まれ、背筋がしゃんとするようです。 著者の表現が日本語の美しさとむずかしさが入り混じり、一段上の世界を歩くように読んでいます。 ベッキーさんの印象に残った言葉。 「水中の魚に、己を囲む水は見えないものだと思います」 こんなこと思いもよらなかった。私たちを包む空気というものが当たり前ではなかったのだなと今さら感じました。
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ベッキーさんシリーズ続けて二作目。英子も中期課程を終え、後期課程へと進み、年齢も丁度15.6。この巻では、そんな少し大人になった英子の周りの男女関係の騒動も描かれる。ベッキーさんの悲しい過去も。世の中には、白と黒だけではなくグレーのこともある。現代だとしたら白と黒に分けないといけ...
ベッキーさんシリーズ続けて二作目。英子も中期課程を終え、後期課程へと進み、年齢も丁度15.6。この巻では、そんな少し大人になった英子の周りの男女関係の騒動も描かれる。ベッキーさんの悲しい過去も。世の中には、白と黒だけではなくグレーのこともある。現代だとしたら白と黒に分けないといけないかもしれないが、昭和初期という時代がグレーにせざるをえないことも多々あり。この時代設定だからこその物語が多い。
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昭和初期を舞台とした、ベッキーさんシリーズの第2巻。「街の灯」の続編に相当します。 随分昔(調べてみたら3年も前だった!)に前作の感想を書いた際、「時代設定上どんどんつらい話になっていきそうでちょっと不安」と記したのですが、やはりどうしてもトーンは暗くなりがちですね。登場人物...
昭和初期を舞台とした、ベッキーさんシリーズの第2巻。「街の灯」の続編に相当します。 随分昔(調べてみたら3年も前だった!)に前作の感想を書いた際、「時代設定上どんどんつらい話になっていきそうでちょっと不安」と記したのですが、やはりどうしてもトーンは暗くなりがちですね。登場人物たちのきらびやかな暮らしが、あるいは栄華を誇る帝都が、今後どうなるか予測がつくだけに辛いものがあります。芽生えつつある恋のロマンスも、どうも先行き不安です。 北村薫氏の作品に接すると、何気ない一言にドキッとさせられる事が往々にしてあるのですが、今回はこの一言。 「貴女様の役回り」 凛としたベッキーさんの"闇"を垣間見たようで、背筋がぞくりと震えました。この"闇"は、終盤でよりはっきりと、そして思わぬ形でその輪郭をあらわにする訳ですが。 暗澹とした展開が続くものと予想されますが、それでも一筋の光明が灯る事を期待して、次巻を待ちたいと思います…ってもう出てますね(笑)。
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前作を読んだ時には優雅な気分になった気がしたけど、今作はそれよりも考えさせられることの方が多かったと思う。 文章は美しく、情景描写が多い、それでいて読みやすい。
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『街の灯』に続く、ベッキーさんシリーズ二作目となる連作短編。 昭和初期を舞台にしたこのシリーズですが、時代は徐々にきな臭くなってきました。作中では、大日本帝国を賛美する思想家が登場するなど、大戦へ向かおうとする日本の姿が現れつつあります。 そして、そうした思想に出会い、英...
『街の灯』に続く、ベッキーさんシリーズ二作目となる連作短編。 昭和初期を舞台にしたこのシリーズですが、時代は徐々にきな臭くなってきました。作中では、大日本帝国を賛美する思想家が登場するなど、大戦へ向かおうとする日本の姿が現れつつあります。 そして、そうした思想に出会い、英子は何を思うのか、他の登場人物たちは何を思うのか、そこも作品の読みどころの一つとなります。 特に表題作の「玻璃の天」なんかは、それが大きなキーワードになります。戦場に向かう弟を思った歌、与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」をめぐっての、英子とその兄の会話は、自由に言葉を挙げることの難しさを考えさせられます。 そして、事件の動機にも時代背景と、当時の人間に思想の強さが絡んできます。そこにベッキーさんの過去も明らかになり、事件の悲しさを浮き上がらせるのです。 どうしようもない過去に対し、二人は前を向いて歩けるのか。しかし、その前も戦争と大きな主義・思想が支配する時代が近づいてきている、と考えると、この二人の生末がどうなるか、心配でもあります。前作に引き続き、今作でも、本をめぐっての級友とのやりとりや、銀座のコロッケに舌鼓をうったりと、少女らしい純真さや、かわいらしさが残っている英子だからこそ、こうした事件や時代に当たり、どのように変わっていくのかも、また心配なところです。 ベッキーさんシリーズも次回で最終巻。この心配の感情がシリーズを読み終えたころ、どうなっているのか。少し怖くもあります。
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ベッキーさんシリーズ第二弾。 知らずに2巻から読んでしまったが、短編連作なので、2巻から読んでも楽しめる。 舞台は昭和初期の東京。 主人公の令嬢と女性運転士のベッキーさんが事件や謎を解いていく、日常ミステリ。 華族同士のつながりや、学校の友人たちの話など、昭和初期の知らない時代の...
ベッキーさんシリーズ第二弾。 知らずに2巻から読んでしまったが、短編連作なので、2巻から読んでも楽しめる。 舞台は昭和初期の東京。 主人公の令嬢と女性運転士のベッキーさんが事件や謎を解いていく、日常ミステリ。 華族同士のつながりや、学校の友人たちの話など、昭和初期の知らない時代の様子を読むのも面白い。 ベッキーさんの正体が明らかになるが、そこの章で出てくる会話が、読解力がなさすぎて、何度も何度も繰り返し読んで理解した。 理解すると、いろいろ繋がってきて納得する。
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ベッキーさんシリーズ二作目。不穏な時代を背景に懊悩する人物描写が前作より強調され、切なく深い余韻が残る。ある意味一番のミステリーであるベッキーさんの背景も明らかに。漢書を諳んじるシーンの静かな力強さは読んでて鳥肌が立った。
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20141124 ベッキーさんがあまり話しに参加していないと思いつつ最後まで読むと結局はベッキーさんの話しだったとわかる。最終シリーズを早く読みたい。
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【本の内容】 昭和初期の帝都を舞台に、令嬢と女性運転手が不思議に挑むベッキーさんシリーズ第二弾。 犬猿の仲の両家手打ちの場で起きた絵画消失の謎を解く「幻の橋」、手紙の暗号を手がかりに、失踪した友人を探す「想夫恋」、ステンドグラスの天窓から墜落した思想家の死の真相を探る「玻璃の天...
【本の内容】 昭和初期の帝都を舞台に、令嬢と女性運転手が不思議に挑むベッキーさんシリーズ第二弾。 犬猿の仲の両家手打ちの場で起きた絵画消失の謎を解く「幻の橋」、手紙の暗号を手がかりに、失踪した友人を探す「想夫恋」、ステンドグラスの天窓から墜落した思想家の死の真相を探る「玻璃の天」の三篇を収録。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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昭和初期を舞台とした、資産家の娘とそのお抱え運転手が主人公のシリーズ。 この時代、この時期であるということが、謎や事件の根幹となっている、と思う。 相変わらずのベッキーさんの有能なワトソンっぷりと、まっすぐな英子のキャラが魅力的。 そして、このシリーズの真の謎である「ベッキーさん...
昭和初期を舞台とした、資産家の娘とそのお抱え運転手が主人公のシリーズ。 この時代、この時期であるということが、謎や事件の根幹となっている、と思う。 相変わらずのベッキーさんの有能なワトソンっぷりと、まっすぐな英子のキャラが魅力的。 そして、このシリーズの真の謎である「ベッキーさん」の真実にも迫っていく。
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