玻璃の天 の商品レビュー
令嬢と美貌のお抱え運転手が遭遇する不思議。 シリーズの2作目。3作目の「鷺と雪」が直木賞をとりましたなぁ。 花村家の令嬢である主人公視点で語られるので、昭和初期という時代の緊迫感がないといえばない。あくまで令嬢は優雅に、家の豊かさを享受している。が、ノブレスオブリージュ...
令嬢と美貌のお抱え運転手が遭遇する不思議。 シリーズの2作目。3作目の「鷺と雪」が直木賞をとりましたなぁ。 花村家の令嬢である主人公視点で語られるので、昭和初期という時代の緊迫感がないといえばない。あくまで令嬢は優雅に、家の豊かさを享受している。が、ノブレスオブリージュを体現している姿勢は、立派だ。 これは、矜持であり、品性の物語なのだと思う。 今に生きるものは、この先主人公やベッキーさんがたどるであろう運命を感じている。戦争は、きっと二人を容赦なく覆い尽くのだろう。 だから、彼女の生きているはかない世界が、美しく見える。 「玻璃の天」というタイトルは、それを象徴しているように感じた。 にしても、ベッキーさんは格好よすぎです。
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ベッキーさんシリーズ第二作。本名・別宮(べっく)。 昭和初期の上流階級のお嬢様・英子の専属女性運転手。 見た目は長身で凛凛しい女性が英子と日常に起こる事件の真相を 解き明かす。 昭和初期というレトロで新鮮な時代背景にさらに上流階級の日々の 出来事を描くという面白さにミステリを解く...
ベッキーさんシリーズ第二作。本名・別宮(べっく)。 昭和初期の上流階級のお嬢様・英子の専属女性運転手。 見た目は長身で凛凛しい女性が英子と日常に起こる事件の真相を 解き明かす。 昭和初期というレトロで新鮮な時代背景にさらに上流階級の日々の 出来事を描くという面白さにミステリを解くおもしろさ、そして 目にするに心地よい美しい日本語の表現が読んでいるだけで すらすらと心に沁み入ってきます。 3作あるうちではこの第二作の内容が一番良いと思う。
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昭和初期の帝都を舞台に、令嬢と女性運転手が不思議に挑むベッキーさんシリーズ第二弾。犬猿の仲の両家手打ちの場で起きた絵画消失の謎を解く「幻の橋」、手紙の暗号を手がかりに、失踪した友人を探す「想夫恋」、ステンドグラスの天窓から墜落した思想家の死の真相を探る「玻璃の天」の三篇を収録。 ...
昭和初期の帝都を舞台に、令嬢と女性運転手が不思議に挑むベッキーさんシリーズ第二弾。犬猿の仲の両家手打ちの場で起きた絵画消失の謎を解く「幻の橋」、手紙の暗号を手がかりに、失踪した友人を探す「想夫恋」、ステンドグラスの天窓から墜落した思想家の死の真相を探る「玻璃の天」の三篇を収録。 《ブックデータベース より》 《2010年5月27日 読了》
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昭和初めを舞台に令嬢と女性運転手が謎に対面するシリーズ。この時代の上流層ならではの上品さが北村薫の文章と相まって実に心地いい。さり気なく当時の流行や風物を取り込んでいるのも楽しい。しかしストーリー自体は社会がいびつな方向へと向かう直前、息苦しさが見え隠れします。個人と体制の問題な...
昭和初めを舞台に令嬢と女性運転手が謎に対面するシリーズ。この時代の上流層ならではの上品さが北村薫の文章と相まって実に心地いい。さり気なく当時の流行や風物を取り込んでいるのも楽しい。しかしストーリー自体は社会がいびつな方向へと向かう直前、息苦しさが見え隠れします。個人と体制の問題なども絡ませ、昭和の初めに生きた人たちの物語として心に響きます。またミステリとしてももちろん面白く、足跡トリックなどが飛び出してきてドキドキさせられます。
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1作目読んでないけど、面白かったです 読み始めた時に「もしかして前作があるのか?」とちらっと思ったくらいで、既に出来上がっていた設定にも軽く溶け込める書き口でした 別宮みたいな運転手、ほしい! 末黒野さんと乾原さんの関係が気になる… 特別な関係って、そういうことなのか? もしそ...
1作目読んでないけど、面白かったです 読み始めた時に「もしかして前作があるのか?」とちらっと思ったくらいで、既に出来上がっていた設定にも軽く溶け込める書き口でした 別宮みたいな運転手、ほしい! 末黒野さんと乾原さんの関係が気になる… 特別な関係って、そういうことなのか? もしそうだとしても、多分精神的なもんなんだろうな…
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ベッキーさんシリーズ、第2弾。 戦争に向かっていく時代背景とともに、謎に包まれていたベッキーさんについて少しずつ明らかになってくる、というのが本作品。 作内で、主人公が若い軍人とする会話で、本シリーズの時代設定が戦前とされた理由が少し明らかになった気がする。国家としての大き...
ベッキーさんシリーズ、第2弾。 戦争に向かっていく時代背景とともに、謎に包まれていたベッキーさんについて少しずつ明らかになってくる、というのが本作品。 作内で、主人公が若い軍人とする会話で、本シリーズの時代設定が戦前とされた理由が少し明らかになった気がする。国家としての大きな流れと、個人としての自由。お嬢様である主人公は、比較的、時代の影響を受けずに生活を送っていて、それ故に第3者的に時代を眺められるし、語り部としても適任なのかもしれない(作者の狙い?)。 最終巻は直木賞作品でもある。どのような結末を迎えるのか、読むのがとても楽しみだ。
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シリーズ物らしいのに途中から読んでしまいました。でも、途中からでも十分楽しめます。最後まで読むとタイトルの意味がわかったり……。奥深いですね。 次は別のやつも読みたいと思います。
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ベッキーさんシリーズ第二弾。 表題作の「玻璃の天」の心の機微に胸打たれる。 資料の氏のライターズメモに、後進の士へのエールが伺える。 なんて事どうでもいいと、また、頁をめくる。
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はやく続きが読みたい…けれど図書館の『鷺と雪』はただ今貸出中…。このシリーズは本格的に戦争が始まる前に終わるのだろうけれど、戦時中や戦後の英子とベッキーさんも読んでみたかったりする。彼女たちがあの戦争を経験した上で考えることを知りたい。
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ベッキーさんの正体(?)が見えて、ますます面白くなりました。 彼女がなぜ女性にもかかわらず「運転手」になったのか? 雇用者はそれを知っているはずで。 かつ、ベッキーさんは描写されているだけでも剣道も拳銃も使える。。。他にも何かものすごいことができるのかもしれないし、 だったらなぜ...
ベッキーさんの正体(?)が見えて、ますます面白くなりました。 彼女がなぜ女性にもかかわらず「運転手」になったのか? 雇用者はそれを知っているはずで。 かつ、ベッキーさんは描写されているだけでも剣道も拳銃も使える。。。他にも何かものすごいことができるのかもしれないし、 だったらなぜ今「運転手」?とグルグル想像してしまいました。 主人公のお嬢さんとベッキーさん、個人的には「おにいさま」気になる存在。 登場人物がまだまだ若いので、これからたくさんシリーズ出せますね~、と楽しみにしています。
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