極北クレイマー の商品レビュー
壊れゆく地方医療・行政がテーマ。バチスタシリーズ、螺鈿の迷宮、マドンナとも絡んでくる。姫宮大活躍。これらの伏線が最後どうなって繋がるのか楽しみー!この舞台って夕張市のことかな?
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〈内容〉財政破綻にあえぐ極北市。赤字5つ星の極北市民病院に、非常勤外科医の今中がやってきた。院長と事務長の対立、不衛生でカルテ管理もずさん、謎めいた医療事故、女性ジャーナリストの野心、病院閉鎖の危機…。はたして今中は桃色眼鏡の派遣女医・姫宮と手を組んで、医療崩壊の現場を再生できる...
〈内容〉財政破綻にあえぐ極北市。赤字5つ星の極北市民病院に、非常勤外科医の今中がやってきた。院長と事務長の対立、不衛生でカルテ管理もずさん、謎めいた医療事故、女性ジャーナリストの野心、病院閉鎖の危機…。はたして今中は桃色眼鏡の派遣女医・姫宮と手を組んで、医療崩壊の現場を再生できるのか。
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☆☆☆$$最高に面白かった。$$特にオチまで読んで、ジーンワルツの前フリと分かった時は、$$衝撃だった。$$この感じは森博嗣に通じると思う。良作。
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こんなこと、あるある、と情景を描きながら読みました。 ミステリー色はなかった。中央から離れた場所にも人が住み、疾病があるが、そんな街に赴任する医療人は拘束時間はほぼ全日、給与は生きていけるだけ、という処遇で奮闘することを余儀なくされる。現実にたくさんある話。医師が交代不可能な人数...
こんなこと、あるある、と情景を描きながら読みました。 ミステリー色はなかった。中央から離れた場所にも人が住み、疾病があるが、そんな街に赴任する医療人は拘束時間はほぼ全日、給与は生きていけるだけ、という処遇で奮闘することを余儀なくされる。現実にたくさんある話。医師が交代不可能な人数しかいない病院。 主人公の若い医師にとって救われるのは、自主的に手伝ってくれる看護師、好意的に見てくれる若い事務員の存在。 病院から歩いて3分の市役所にいる使えなさそうな課長、逃げの上手い病院事務長、歳を重ねると言い訳と責任転嫁で世渡りしていくのか。せいぜい財政ボロボロの市役所では先が知れているのであるが。 加えて、産科医師が起訴されるという現実に起こった事件をモチーフにしたエピソードが物語の一角を成している。逮捕後の医師仲間からマスコミ、社会へのアピール、事件に至った処置が医師法違反なら、お産を扱う医師はいなくなる、という医師の気持ちを強く伝えている。 人間の想像力は貧困なもので、同じ建物に働いていても医師の心情は、伝わってこないが、小説の形で主人公の心情を描く場面で、先生はこう思うのか、と思いを馳せました。 医師でも看護師でも薬剤師でも検査技師でも事務長でも事務員でも、組織が沈むのを容認していてはいけない。続編を読むのが楽しみです。
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医療問題の提議です 今中先生が赴任した病院は酷い有様だった その中で唯一患者の為に孤軍奮闘していた産婦人科医三枝先生 しかし、帝王切開中に患者が死亡 医療ミスではなかったのに逮捕されることに 余りにも理不尽 適当に医者をしている輩も大勢いるのに 産婦人科医。外科医。小児科医はどん...
医療問題の提議です 今中先生が赴任した病院は酷い有様だった その中で唯一患者の為に孤軍奮闘していた産婦人科医三枝先生 しかし、帝王切開中に患者が死亡 医療ミスではなかったのに逮捕されることに 余りにも理不尽 適当に医者をしている輩も大勢いるのに 産婦人科医。外科医。小児科医はどんどん減って頑張っているお医者さんがどんどん疲弊していく そして命にかかわらない眼科。歯科が増えていく 歯科なんてコンビニより多いらしい 一体このままじゃどうなっていくのか 知っているキャラが出てくると嬉しくなりますねぇ ラストこれで終わり??って感じで終わってビックリ 続編の極北ラプソディを読まなきゃ 日本医療業務機能評価機構って本当にある 天下り機関っていくつあるんだろう
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産婦人科って難しいんだよねー。病気じゃないのに危険が伴う。いろんな立場が自分のために動いて行って、でもこうやって小説とした客観視できるからわかることであって、どの立場でもどこもきちんと私だったら納得できないのだろうなぁ。しかし今中センセ、不憫(笑)でも今中センセがいたから、始まっ...
産婦人科って難しいんだよねー。病気じゃないのに危険が伴う。いろんな立場が自分のために動いて行って、でもこうやって小説とした客観視できるからわかることであって、どの立場でもどこもきちんと私だったら納得できないのだろうなぁ。しかし今中センセ、不憫(笑)でも今中センセがいたから、始まった物語だよね。
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破産した北の架空の自治体・極北市を舞台とする。いや、舞台というより、この破産した土地の医療現場である極北市立病院そのものが、この小説の主人公であるのかもしれない。 誰がどう読んでも、夕張という実在の破産自治体がモデルであることは自明である。市立病院があり、破綻した医療システ...
破産した北の架空の自治体・極北市を舞台とする。いや、舞台というより、この破産した土地の医療現場である極北市立病院そのものが、この小説の主人公であるのかもしれない。 誰がどう読んでも、夕張という実在の破産自治体がモデルであることは自明である。市立病院があり、破綻した医療システム、駅に隣接した豪奢なリゾート・ホテル、その裏の破綻したスキー場、破綻した遊園地。そのどれもが夕張以外の何者をも想起させない。 ぼくは、昔、医療関連の仕事をしていた頃、ここの市立病院に何度か入ったことがある。そこは、まぎれもなく老朽化した暗い建物だった。純白のリゾート・ホテルからいくらも歩かない場所に、病院は、古びて傾いていた。 病院前から延びる一本の通りは、昔栄えていたことをうかがわせる何かがある。今は人っ子一人歩いていないが、きっとかつては鉱山の仕事を終えた労働者たちが繰り出したであろう繁華街の幻だけが広がる。 一方では、夕張映画祭で、映画の街のイメージを作った夕張である。ふるさと創成金の一億円の有効な使い方として、当時は評価された。今でも古き映画の看板が、閉ざされたシャッターの並ぶ商店街に並んでおり、それらが、見る者とてない無人の通りにだらりと延びている情景こそが、異様に映ったものだ。 さらに先には大夕張という、かつて栄えたが、これからダムの底に沈んでゆこうとしている町がある。そこを車で走った折に、前をバスが走っていた。バスの向うに廃校となった小学校が見えてくる。道路を渡る歩道橋(こんなものにも最早何の意味もないのか、とぼくは胸が痛くなった)に、「想い出をありがとう」の横断幕が掲げられている。ぼくはまさしく震えた。 あの頃、何度も湖に沈む前に取り壊される大夕張の町を撮ろうとカメラを構え、廃屋を撮影して回ったのだった。 それは、もう10年以上も前のことだ。 そう言えばこんなこともあった。ある休日に、夫婦で、幼い息子をつれて、石炭の歴史村の野外ステージで何とかレンジャーというTVヒーローの出し物を、裏山から眺めたのだ。入場料がもったいなかったので。実際にキャラクターショーの観客よりも、キャラクターたちのほうが多い情景だった。裏山から覗き込む家族連れは、ぼくたち以外にも何組も見られた。拓銀が破綻した年のことであった。 その後北海道の金融はバブル破綻の代名詞みたいになり、石炭の歴史村も、夕張市も破綻していった。信じ難いスピードで。 この小説では、そんな町の、破綻してゆく市立病院を舞台に「ジーン・ワルツ」では噂だけの登場となった三枝医師の姿を見ることができる。さらに、移転した極北大医学部の救急部に、あの『ジェネラル・ルージュの凱旋』の速水医師の颯爽たる姿が見られる。さらにテレビ画面の向こうではチーム・バチスタの手術シーンが行われているようだ。ああ、海堂尊の世界は時間軸に沿ってではなく、ときには遡る。そして、こうして土地や人間は。複雑に絡み合っているのだ。 本書でも何人かの印象的な女性たちの姿が残る。姫宮、西園寺さやか、そしてとっても印象的なのが並木看護師である。 いつもながらいい世界だ。そして幻のように瞼の裏に甦る夕張が、ぼくの心にはずっと在り続けるだろう。
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≪内容覚書≫ 赤字の極北病院。 主人公は、非常勤外科医の今中。 厄介事を押し付けてくる病院長。 病院長と不仲の事務長。 不真面目な研修医。(実は市長の息子) 医療事故で訴えられてしまう、人望ある産婦人科部長。 従順ではない看護師たち。 そして、美人だが、「でかい」皮膚科医師としてやってきた姫宮。 財政難に苦しむ病院に未来はあるのか。 ≪感想≫ …メモし忘れていて、実は再読。 バチスタシリーズのスピンオフ…? 間を空けて読んでいるせいで、 登場人物が混乱する。 一度、まとめて読み直した方が楽しめるかも。 ストーリーとしては、 問題が何一つ解決しない序章のような結末なので、 スッキリはしない。 別作品につなげて、解決していくのか、 それとも現状を訴える作品として終わるのか。 今後の作品もチェックしていきたい。 しかし、病院経営の知識がないので、 なぜ財政難になるのかが正直なところわからない。 ちょっとした問診だけでも、結構な費用を取られるのに、 病院が赤字になる理由が不明。 もうちょっと知るべきか。 世の中のことを知らない自分に気づかせてもらえた。 また、医療事故に関しては、 マスコミの報道の仕方も悪いが、 こちらの意識も悪いと思う。 そもそも、100%安全な手術なんてあるわけがない。 機械の不具合や人為的ミスも起こりうる可能性もあって当然。 そういったことを、すべて飲み込んだうえで、 手術の同意書に署名するべきなのでは。 普通に考えて、体を切ったら死ぬのが生物。 いかに医療が進歩しようと、そこを忘れちゃいかんと、 個人的には思う。 とはいえ、実際に医療ミスで身内が死んだら、 同じことを言えるかどうかはわからない。 人間の感情ってのは、扱いが難しい。
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極北ラプソディを読むために再読。 北海道が舞台なので、親近感は湧くんだけど地理的な感覚がマヒする。 イメージとしては網走のほうなんだろうけど、札幌まで車で一時間と言われると小樽?とも思ってしまう。 仮想北海道と言ってしまえばそれだけなんだけど。 前回読んだときはそんなに印象深くなかったこの本。 今回、ブラックペアン、ブレイズメスと来て最後の世良先生が輝く。そしてひかりの剣の流れで清川先生も輝く。 再読したからこその面白みがあった。 小百合の今後の動向も気になるところ。
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「バチスタシリーズ」の海堂尊の、バチスタスピンアウト小説とでも言えばよいのでしょうか? もっとも、海堂尊の小説は、基本的に全て桜宮に繋がっているので、どれが本筋で、どれがスピンアウトかと言う明確な定義は難しいかもしれませんが(笑) で、時代設定は、『ジェネラル・ルージュ』事件の...
「バチスタシリーズ」の海堂尊の、バチスタスピンアウト小説とでも言えばよいのでしょうか? もっとも、海堂尊の小説は、基本的に全て桜宮に繋がっているので、どれが本筋で、どれがスピンアウトかと言う明確な定義は難しいかもしれませんが(笑) で、時代設定は、『ジェネラル・ルージュ』事件の直後頃。ジェネラル速水が、極北救命救急センターに赴任して間もない頃です。登場人物的には、姫宮は出てくるのですが、その他のバチスタシリーズの主要人物は、明示的には出てきません。 で、この本が小説の形を借りて本当に描きたかったのは、地方医療の崩壊と言う事なんではないでしょうか? 加えて、産婦人科医が巻き込まれている状況も描かれていますので、産婦人科医療の崩壊もテーマであると思います。極北市のモデルは恐らく夕張市と思われます。もっとも、夕張は人口10万も居ないですけどね(極北市は、人口10万程度と言う設定)。 一応小説ですので、現実の話ではないですが、身近な病院が崩壊すると言う現実が自分の身に降りかかったことを想像すると怖いですね。って言うか、東京ですら、産婦人科医療を維持していくのは困難なように見受けられます。このままでは、日本そのものが崩壊してしまうと言うのは言い過ぎでしょうか?
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