累犯障害者 の商品レビュー
地獄の釜の底というか弱肉強食の極みというか読んでいて心が辛くなる。もちろん被害者の方々が1番悲惨ではあるし罪が赦される訳でもない。それでも役所の人間がキチンと対応していたら未然に防げた事件もあった訳で世間の「ババ抜き」でジョーカーを引かされる側になるのは怖い。 冤罪の話は割と現代...
地獄の釜の底というか弱肉強食の極みというか読んでいて心が辛くなる。もちろん被害者の方々が1番悲惨ではあるし罪が赦される訳でもない。それでも役所の人間がキチンと対応していたら未然に防げた事件もあった訳で世間の「ババ抜き」でジョーカーを引かされる側になるのは怖い。 冤罪の話は割と現代でも犯人に仕立てられしかも問題にならぬという事で過去の犯罪史でも多くの屍の中には無罪者がいたと思われる。
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誰が不幸と問われれば、それは被害者を措いてない。それだけは譲れない。が、獄中と一般社会(と私が考えてしまう健常者社会)とを比べて獄中のほうに暮らしやすさを感じてしまうパラドックス、行政・司法・民間それぞれで作るセーフティーネットの粗さに、改めて憤りを感じた。
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筆者が法に触れたことで政治の場から離れてしまったことが残念でならない。彼がやってることこそまさに草の根活動だ。自らの問題意識のもと市民や障がい者に直接聞き取りや調査を行い、問題を汲み取る。そして本書のようにして本を出版し国民に対して広く認知向上や問題提起に取り組む。素晴らしいの...
筆者が法に触れたことで政治の場から離れてしまったことが残念でならない。彼がやってることこそまさに草の根活動だ。自らの問題意識のもと市民や障がい者に直接聞き取りや調査を行い、問題を汲み取る。そして本書のようにして本を出版し国民に対して広く認知向上や問題提起に取り組む。素晴らしいの一言。金だけもらって提供元に有利な政策を展開する議員とは大きく違う。彼のような政治家がどこかにいてくれたら、日本の未来もまだ明るい。とにかく、筆者にはこの国を変える力がきっとあるのだから彼自身がここだと思うところで存分に活動してほしいと願っている。 さて、本書には私が知らなかった障がい者の現実が綴られていた。私の祖母は話すことのできない身体障害者であった。祖母の声は生まれてから一度も聞いたことがない。私は祖母がいたことで、現在に至るまで障がい者を取り上げた特集などをYouTubeなどでよくみていた。その多くは筆者のいうように、障がいを持っていながらも頑張っている人達の姿を写したものだった。私はその影響と祖母の天使のような優しさから、障がい者とは1人残らず温かい人たちでそれぞれ頑張っているのだというような思い込みをしていた。 しかし現実には福祉のネットワークにとらえられないことや、生育環境等によって事件を起こしてしまう人々もいる。確かにいま振り返れば、健常者にも良い人とされる人もいれば人を殺すような人もいのに、私はなぜそのようなことが障がい者には当てはまらないと思っていたのか。これが偏見というものだろう。 私たちが日々目にする殺人事件のニュースのなかにも障がい者が関わったものがいくつもあるのかも知れない。これまでは殺人事件と聞くとすぐ犯人はとんでもない人だと思っていたが、その事件の当事者がどういう人間で何がきっかけになったのかということをもっと深く知るまでは判断はできないものだと学んだ。 いつか、いや絶対、キャリアの中で障がい者の人に関わる仕事がしたいと心から思った。
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犯罪を繰り返す障害者 刑務所だけが安住の地。 実際に刑務所で障害者と関わった作者が 語るリアルな現実。 処遇も問題があるだろうけれど そもそも捜査がきちんと行われたのか そして満了後の受け皿の問題。 作者が議員だった頃の活動を知らないが 服役後のこの精力的な活動、著書 目を逸...
犯罪を繰り返す障害者 刑務所だけが安住の地。 実際に刑務所で障害者と関わった作者が 語るリアルな現実。 処遇も問題があるだろうけれど そもそも捜査がきちんと行われたのか そして満了後の受け皿の問題。 作者が議員だった頃の活動を知らないが 服役後のこの精力的な活動、著書 目を逸らしがちな事を教えてくれる
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想像を絶する地獄がある。 「刑務所の中に戻りたかった」 「生きていて楽しいことは何もなかった」 「どうせ普通じゃない」 そんな人間が世間には幾らでもいる。
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事件をとおして、障害者の生きる世界を学ぶことができた。 関わることの少ない世界だからこそ、理解が難しく、距離がより遠ざかる気がしてしまう。 軽度の知的障害者の場合、自分が障害者であること、手帳を持つことにより他の人と違うことを自分で認めてしまうことが受け入れられず支援を拒否して...
事件をとおして、障害者の生きる世界を学ぶことができた。 関わることの少ない世界だからこそ、理解が難しく、距離がより遠ざかる気がしてしまう。 軽度の知的障害者の場合、自分が障害者であること、手帳を持つことにより他の人と違うことを自分で認めてしまうことが受け入れられず支援を拒否してしまうこともある。 申請主義が基本になる日本の福祉制度の場合、周囲からは支援が必要と思われていても、本人の意志で支援が受けられないこともある。 だからこそなのか、犯罪を犯せば入れる刑務所の居心地が良くなってしまうのかもしれない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読むと気が重くなる本だ。しかし、こういう本はもっとみんな読んだ方がいい。公務員や警察官や裁判官や弁護士や医者や学校の先生になる人は義務にしてもいいと思う。 障害者が犯罪者にされる…というストーリーは、ダンサー・イン・ザ・ダークもそうだった。あれも見終わったら随分と気が重くなった。
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今でこそ入口支援や出口支援という言葉が各地方自治体のホームページに記載され、ソーシャルワーカーが刑務所に配置され出所後の生活をサポートするということは社会福祉士であればよく知る事実であり、国家試験にも「更生保護」の科目がある。罪を犯す人に福祉のサポートが必要であることは認識すべき...
今でこそ入口支援や出口支援という言葉が各地方自治体のホームページに記載され、ソーシャルワーカーが刑務所に配置され出所後の生活をサポートするということは社会福祉士であればよく知る事実であり、国家試験にも「更生保護」の科目がある。罪を犯す人に福祉のサポートが必要であることは認識すべきことと多くの専門職が理解している。 この本が出たのはまだその認識が今より遥かに薄い2006年。2008年度までの社会福祉士国家試験は旧試験科目となっており、山本さんの働きかけの力が大きかったこともよくわかる。たった15年前にこんな現実があったこと、変化までの道のりを理解する必要があると強く感じた。 罪を犯した人に関する本を読む度に「反省」の難しさを痛感する。服役だけでそれができる人は一部の人であると考える。必要な知的能力がなかったり、あまりにも受け入れ難い現実から目を背けることに必死であったり、背景は様々だがそれは難しい。矯正教育でどこまでそれを実現できるかが今後の課題となるのではないか。 また、聾者の文化についての話は非常に興味深かった。聾者の教育はもちろんこの本の出版時よりは進んでいることが予想されるが、耳が聞こえないと言うだけで知的能力に差が出てしまうとしたら明らかに教育が問題だろう。あまりにも聴者をスタンダードとした教育になっていて、自己を表現することやそれに対する周りからの意見を聞き価値観を成長させていく過程の提供ができていなかった。狭い世界でコミュニケーションをとる他なかった。今はどうだろう。筆談でなくてもスマホでコミュニケーションはずっと取りやすくなっているだろう。今後知りたいことが増えた。 知的障害者の売春に関しても心が痛くなった。被害の意識がなく、誰かが欲しがるものを与えた人が犯罪者になってしまう。また、彼女たちが人間として扱ってくれたと心から感じるのは、その相手だった。売春がどうしていけないことなのかという根本から改めて考えたい。
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会社の上司から障害者雇用担当を任されてもう10年。この本を読むたびに「行き場のなくなった障害者が唯一安心して暮らせる刑務所に戻るために何度も罪を重ねてしまうような社会」を、なんとか少しでも変えられないかと思う。 福祉の充実とは、福祉業界に押しつけ蓋をし、見て見ぬふりをするのではな...
会社の上司から障害者雇用担当を任されてもう10年。この本を読むたびに「行き場のなくなった障害者が唯一安心して暮らせる刑務所に戻るために何度も罪を重ねてしまうような社会」を、なんとか少しでも変えられないかと思う。 福祉の充実とは、福祉業界に押しつけ蓋をし、見て見ぬふりをするのではなく、一人ひとりの理解と思いやりが社会に広がっていくこと。 職場に障害者を採用しようとするとき、反対する人もいる。熱心に説いても拒絶されることもある。それでも、いつもこの本を思い出して「頑張らなくては」と思う。
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───知的障害のある受刑者の7割以上が刑務所への再入所者でありそのうち10回以上服役しているものが約2割を占める─── 出所後の受け皿がなく路頭に迷った末に再犯となるケースが多い、刑務所が福祉の一部を担わざるを得ない現状、後半のろうあ者達を取り巻く環境の救いの無さ…。次々と語られ...
───知的障害のある受刑者の7割以上が刑務所への再入所者でありそのうち10回以上服役しているものが約2割を占める─── 出所後の受け皿がなく路頭に迷った末に再犯となるケースが多い、刑務所が福祉の一部を担わざるを得ない現状、後半のろうあ者達を取り巻く環境の救いの無さ…。次々と語られる知らない世界にショックを受けつつ興味深い内容だった。 障害者の犯罪事件は大手マスコミが長い間タブー視していて報道されて来なかった=社会から無いものとされてきたという事実にハッとさせられる。 欧米で知的障害者は人口のの2〜3%存在すると言われているのに対し日本では0.4%程度。日本人の知的障害者が極端に少ないのではなく、国に認識されている数と実態にギャップがあると言うこと… 認識から漏れた人達は?福祉ってなんだろう?自分はなんと無知なのだということ…色々考えされられる。読んでよかった。
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