累犯障害者 の商品レビュー
現場からこんな熱い本が出るとは衝撃を受けた。山本さんの獄窓記も読んでいたので、続編として本当に期待して読んだ。 全く想像できない世界と、知らない文化、読む手が止まらなかった。特に『聾唖者』の話が目から鱗が落ちた。
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①宇都宮誤認逮捕事件 ②義父は障害者年金を、弁護士を脅迫して詐取 ③「知っている店に行こ」スナックで短時間に2万円のボッタクリ ④偽装結婚 ⑤多重人格。親族間 ⑥ろうあ者だから、法廷でも手話通訳者が「うそつうやく」していると疑った ⑦ろうあ者暴力団 ⑧伊勢崎 監禁餓死事件
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「ケーキの切れない非行少年たち」の中で山本譲司さんの著書が紹介されていたので読んでみた。(紹介されていたのは「獄窓記」だけど図書館になかった…) 知的障害者と売春についての章と、ろうあ者についての章が特に心に残った。 フィクションでも知的障害のある女性が売春に走る話はよく見かけるが、現実社会で実際に起こっていることを実感させられた。 婦人保護施設の存在は初めて知った。 彼女たちを巧みに拐かし売春させるような人間は決して許されないが、当の女性側に必ずしも被害者意識があるわけじゃないというのが複雑な問題だと感じた。 男性との性的な接触の中で存在意義を確認したり、承認欲求を満たそうとしたり、、健常者のように普通の恋愛をすることが難しい彼女らに対してそれらを一概に否定することはできないのかもしれない。 ろうあ者の章でも初めて知ることがいくつかあった。聴覚障害がある人とない人で使う手話に違いがあること、聾学校では手話を重要視されず口話の訓練に重きが置かれていること、など。 また自分はろうあ者は今まで耳が聞こえないだけで、読み書きは健常者と同様にできると思っていたがそうではないようだ。(もちろん全ての人がそうではないようだけど)ほとんどのろうあ者が手話で考え、手話で夢を見るらしい。言われてみればそうだけど素直に驚いた。 「彼らの精神世界は、われわれと異なるのではないか。言語世界の有りようが違うと、感受性や倫理観さえも違ってくるのではないか。」 著者の言葉が正にその通りだなと思った。 実際に刑務所でよ服役経験があり、その後福祉の現場でも活動されている著者だからこそ一つ一つの言葉に重みがあった。 身近に障害者がいる訳でもないし、福祉の仕事をしている訳でもないが、知っているのと知らないのでは違うと思うので、この本を読めてよかった。
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自身が服役中に出会った「累犯障害者」たちを巡る問題を追ったドキュメンタリー。 彼等はなぜ何度も刑務所に入ることになってしまうのか、刑務所は彼等の更生に寄与しているのか? 著者はその後、何度も罪を犯す障害者たちが本当に立ち直り、社会で生きていく場所を見つけられるように、様々な活動を行っている。
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動物社会と同じで、弱い個体は追いやられるか搾取されるかの存在になってしまう。 その人生に併走してくれる存在、すくい上げる仕組みがなければ、同じ事を何回でも繰り返すのだろうと思いました。
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社会のルールを犯す。それは犯罪として加害者は罪を償う。しかし加害者はなぜ犯罪を犯すのか。それは社会に冷遇された末路ならば、この社会は加害側ではないのか。この書籍に登場する犯罪者は何らかの障害を持つ弱者である。その弱者に救いの手を差しのべない社会は健全なのか、福祉の不備を看過する社...
社会のルールを犯す。それは犯罪として加害者は罪を償う。しかし加害者はなぜ犯罪を犯すのか。それは社会に冷遇された末路ならば、この社会は加害側ではないのか。この書籍に登場する犯罪者は何らかの障害を持つ弱者である。その弱者に救いの手を差しのべない社会は健全なのか、福祉の不備を看過する社会を声をあげて変えようとする運動に賛同する。他者を助けない人々は助けを求める側になっても周囲は振り向いてくれないだろう。都合のいいことばかり考えるようになっては都合が悪くなるのは全て周りのせいだと責める愚者となる。本当は自身が都合の悪い要因だと気付かずに。
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普通に生きていればまず関わらない刑務所に、個人的にとても興味がある。 再犯しまくったり、高齢だったり、障害があったりする、犯罪者の多面性を見ることのできる一冊。 そこにしか行けない人々が間違いなく存在することを学ぶことが大切。
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筆者が服役中に目の当たりとした、刑務所内の障碍者たち。福祉の網から零れ落ちている彼らは、出所後も身元引受人がなく、生活苦から軽微な犯罪を犯し、また舞い戻ってくる。触法障碍者たちはメディアや福祉関係者から無いもののように扱われてきた。本書は、実際の障碍者に関する事件を例にとり、筆者...
筆者が服役中に目の当たりとした、刑務所内の障碍者たち。福祉の網から零れ落ちている彼らは、出所後も身元引受人がなく、生活苦から軽微な犯罪を犯し、また舞い戻ってくる。触法障碍者たちはメディアや福祉関係者から無いもののように扱われてきた。本書は、実際の障碍者に関する事件を例にとり、筆者が取りまとめたルポタージュであり、触法障碍者の処遇について問題点を明らかにし、改善策を提起している。 _____________ 2020年の現状が、この本書の内容から少しでも改善されているとよいのだが。非常に悲惨な現実を詳らかにする、衝撃的な本だと思う。 人類の障碍者が一定の割合で出生してくるとするならば、そのような人々の存在を前提とした制度にしていくことは当然だ。ただ、福祉が、福祉がと言うだけでは無理がある。福祉も手一杯だろう。根本的な話を出すと、人手不足、財源不足というところに行きつくのかもしれない。では、いまをよりよい社会にするためには、どの部分から変えていけばいいのか。それを見据えてこれからの問題も考えられなければならない。つまり、政治を抜本的に変えろ、という話になると思う。では、そのために我々は何をするべきか。 浅草・女子短大生刺殺事件の犯人の妹が本当にかわいそうで涙ぐんでしまった。他にも不憫な話が数多くある。これからのかわいそうな話を読み、涙を流すことはこれらの人々を一つのエンターテイメントとして、娯楽として私は消費してしまっているような気持ちが半分、また、本当にこれらの人々に同情し、世界のかわいそうな人々を本当に救済したいという気持ちが半分あるように感じる。前者の気持ちはさておき、後者の気持ちについて見極めていきたい。 デフコミュニティの話が気になった。不思議な話である。ろうあ者と聴者とでは、精神的な世界もまるで違うかのような書きぶりだ。本当にそうなのだろうか。気になるが、単純に怖いという印象。
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刑務所に入ったら、知的障害の人にたくさん出会った。なぜ、犯罪を犯して刑務所に?という個人的な疑問から、社会問題を発見していく著者の誠実な探求と、ついには法制度までも動かし変えていった、地道な活動が素晴らしい。 国会議員まで務めて、行政の知識もあった著者ならではの活躍である。 貧し...
刑務所に入ったら、知的障害の人にたくさん出会った。なぜ、犯罪を犯して刑務所に?という個人的な疑問から、社会問題を発見していく著者の誠実な探求と、ついには法制度までも動かし変えていった、地道な活動が素晴らしい。 国会議員まで務めて、行政の知識もあった著者ならではの活躍である。 貧しかったり、恵まれない家庭に生まれた知的障害者(特に障害者と認定されづらい軽度やボーダーの人)は、社会からの援助も届かずに、いじめや虐待、搾取や犯罪に巻き込まれやすい。そういう人が刑務所のお世話になり、出所してもまた繰り返してしまう。ついには、刑務所が一番生きやすい場所、という人になってしまう。 著者の進言で、刑務所にソーシャルワーカーが配置されるようになったのは2000年も過ぎてから。裁く以前に養護や支援が必要なのではという、当たり前の言葉が実現されていない日本の社会に心が痛む。
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約10年前の本ですが、内容は今も鋭く社会へと疑問を投げかける内容となっています。 普段中々知ることのない堀の中での現実を書いた著書は、読んでよかったと思えます。 最初は知的障害のある方から、後半は主に聴覚障害のある方を中心に扱っていく内容となっています。 被害者にも人生はあり、...
約10年前の本ですが、内容は今も鋭く社会へと疑問を投げかける内容となっています。 普段中々知ることのない堀の中での現実を書いた著書は、読んでよかったと思えます。 最初は知的障害のある方から、後半は主に聴覚障害のある方を中心に扱っていく内容となっています。 被害者にも人生はあり、また加害者にも人生があって、結果として起こる悲劇は避けなければならないことです。 非常に読みやすい文章で、著者の別の本も読みたくなりました。
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