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累犯障害者 の商品レビュー

4.3

106件のお客様レビュー

  1. 5つ

    38

  2. 4つ

    35

  3. 3つ

    12

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

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2014/08/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

刑務所に入った障害者について6つのケースで詳しく説明。 福祉行政と他官民との連携や、すき間で生きる術を学べない人たちをどう支援していくか、考えさせられることが多かった。 障害についてより理解を深めたいとも思った。

Posted byブクログ

2014/07/31

読み終わったのは7月の頭だが、正に今、佐世保の事件が起きた。しかしこれを読むと知的や身体的な障碍者が犯罪を重ねるのは当然としか思えない。所謂「健全者」が社会復帰する(その健全者すらついてけない旧態然としたシステムなんだが)状況では、そりゃ障害者達は「娑婆」に「戻らされて」も生きて...

読み終わったのは7月の頭だが、正に今、佐世保の事件が起きた。しかしこれを読むと知的や身体的な障碍者が犯罪を重ねるのは当然としか思えない。所謂「健全者」が社会復帰する(その健全者すらついてけない旧態然としたシステムなんだが)状況では、そりゃ障害者達は「娑婆」に「戻らされて」も生きて行けようも筈がない。だから犯罪を繰り返す、狭いコミュニティの方が行き易い。そして犯罪を繰り返すから「障碍者は閉じ込めとけ」みたいな極論まで出る。 日本は差別が少ないとか言われているけど、ただ臭いものに蓋をしてみて見ぬふりするのが上手いだけ。それを重ね続けてきた結果、最早腐臭は溢れ出ようとしている。 自分が手帳一歩手前の精神的な病を患っている為、この国に本当にセーフティネットは存在しているのかと時々思う。

Posted byブクログ

2014/06/24

「罪を犯した人はかわいそうな人なの。」 「優しく接することで、人間本来のつよさを取り戻すのよ。」 今回の課題図書「累犯障害者」を読んでいる最中ずっと頭を巡っていたセリフです。 子どものころのおぼろげな記憶ですが、それでもとても印象に残っているセリフ(本の通りではないし、結構端...

「罪を犯した人はかわいそうな人なの。」 「優しく接することで、人間本来のつよさを取り戻すのよ。」 今回の課題図書「累犯障害者」を読んでいる最中ずっと頭を巡っていたセリフです。 子どものころのおぼろげな記憶ですが、それでもとても印象に残っているセリフ(本の通りではないし、結構端折っています。)で、 オズの魔法使いシリーズの第7作目「オズのつぎはぎ娘」に出てきます。 主人公の少年がオズの国の法を犯し、刑務所に送られます。 しかし収監された場所のベッドはふかふか、部屋に鍵はなく、食べ物も頼むともってきてもらえて、至れり尽くせり。 なぜ、刑務所なのにこのような待遇を受けるのか。 それを聞いた時に現実世界でいう看守役の女性(作中ではご婦人)が答えたものです。 これを読んだのは小学生の時。正確なセリフを引用したかったのですが もう絶版のようで手元に本もなく難しいので、 海外のサイトから原文を引用しておきます。 "We consider a prisoner unfortunate. He is unfortunate in two ways--because he has done something wrong and because he is deprived of his liberty. Therefore we should treat him kindly, because of his misfortune, for otherwise he would become hard and bitter and would not be sorry he had done wrong. Ozma thinks that one who has committed a fault did so because he was not strong and brave; therefore she puts him in prison to make him strong and brave. When that is accomplished he is no longer a prisoner, but a good and loyal citizen and everyone is glad that he is now strong enough to resist doing wrong. You see, it is kindness that makes one strong and brave; and so we are kind to our prisoners." また100年以上前のお話なので、フリーで読めます。引用箇所のページを貼っておきます。 http://www.literature.org/authors/baum-l-frank/the-patchwork-girl-of-oz/chapter-15.html 当時、私はこのオズの刑務所の話を読んでちょっと疑問に思ったことがあります。 「こういう刑務所、いいなぁ。でも、刑務所を出たあと、また周囲から嫌な目で見られてしまったら、かえって快適な刑務所にまた行きたい人が出てきてしまうのじゃないかな。」 小さいころの疑問がこの歳になって炙り出されてくるとは思っていませんでした。 それだけ、この期間私が関心を抱いてこなかったという表れでもあるのですが。 前半の章はTVで見たことのある内容だったので、かえって入りやすかったです。 6章から後ろのろうあ者の話からは初めて知る内容も多く、読み応えがありました。 7章の最後の一文は余韻半端ないです。 大体こういう感想って、最後に「自分にできることは、じゃぁ、なんなのか」みたいなこと書くのお約束みたいになってて、 私それ今回正直に言うと書けないんですよね。知る、関心を持つ、だけで解決できない問題の部類だと思って。 ただ、仕事が接客業で時々ろうあ者のお客様もいらっしゃっいます。 しかし筆談できなかったり、手話ができる店員の手話が通じなかったりという場面に遭遇したことがあって。 なぜコミュニケーションをとることが難しいのかわかったのは、今後に生かせるかなと思います。 半分内容を知っていたので迷ったけれど、小さいころのフラッシュバックがあったので、星は4つ。 (ブクロ)

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2014/05/12

犯罪を重ねる障害者について詳述し,障害の特徴を踏まえた司法の改正を訴えたもの。 この問題には,「何が幸せなのか」という疑問が常に沸き起こる。 風俗店で働く知的障害のある女性は,「自分の存在を唯一認めてくれる」と,その仕事に喜びを見いだしている。 それの何が悪いのか。 悪いなら...

犯罪を重ねる障害者について詳述し,障害の特徴を踏まえた司法の改正を訴えたもの。 この問題には,「何が幸せなのか」という疑問が常に沸き起こる。 風俗店で働く知的障害のある女性は,「自分の存在を唯一認めてくれる」と,その仕事に喜びを見いだしている。 それの何が悪いのか。 悪いならば,どうしていけば良いのか。 それに対して,私は言葉を一切持てない。 何一つ自分の意見を持てない。 そして下関駅の放火事件。 刑務所にしか自分の居場所を見つけられない人は多い,と著者は言う。放火をすると刑務所に戻れる,という知識のみをもっておこなわれた放火。「盗みや食い逃げは悪いことだから,やったらいけないこと」だから,放火した。 この件に関して,通り一遍の裁判が本当に有益なものとなるのだろうか。 少年院同様,最近では刑務所も矯正施設としての役割を担うようになってきたらしい。 少しずつ,少しずつ,そうやってみんなが共に生きていける社会になっていければいいと思った。

Posted byブクログ

2014/03/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

暴力団やヤクザの認識が変わった。江戸時代の車善七や弾左衛門などの存在を思い出した。彼らが生きるには、そういう道も必要なのかと、やるせない。  障がい者は軽犯罪を重ねてしまう。それは反省していないのではない。彼らが健常者の世界では生きづらいから、結局犯罪行為に至ってしまう。  彼らにとって監獄の中よりも、監獄の外のほうがよっぽど自由を制限されてしまうという悲しさ。  著者は福祉の役割を叫ぶ。 しかし、その叫びも、空しく反響が次第に消え失せていくだけのように見える。  「障がい者の問題は難しい。」この逃げの口実を使って、結局みんな自分から遠ざける。アンタッチャブルなものにしてしまう。  江戸時代の身分差別。その闇の様相がここにも見え隠れするようである。

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2013/12/19

新聞やテレビが報道しないであろう事実を知ることができる良書でした。 タイトルにある「累犯障害者」とは罪の 意識が無かったり、社会に居場所が無かったりして、何度も犯罪を繰り返し刑務所を出たり入ったりしている障害者のことです。本書では冤罪で逮捕された知的障害者、暴力団にカモにされて売...

新聞やテレビが報道しないであろう事実を知ることができる良書でした。 タイトルにある「累犯障害者」とは罪の 意識が無かったり、社会に居場所が無かったりして、何度も犯罪を繰り返し刑務所を出たり入ったりしている障害者のことです。本書では冤罪で逮捕された知的障害者、暴力団にカモにされて売春に手を染める女性の障害者、不倫相手を殺したろうあ者、はたまたろうあ者だけの暴力団などの事例が紹介されています。 今ちょうど「光とともに」という自閉症を持つ家族を描いた漫画も並行して読んでいることもあって、考えさせられることがたくさんありました。善人だけで成り立っている訳ではない実社会で、いかに障害がある人がうまく生きていくかって本当に難しいことだと感じました。家族も必ずしも支えてくれるとも限らないし・・・。

Posted byブクログ

2013/11/21

知的・精神障害者に関する犯罪に関して、刑務所の中での生活及び刑事訴訟に関する問題点とマスコミの報道についての問題点を分かりやすく書かれていて、ずっと疑問に思っていた餓死事件に関する詳細が書かれてあり満足。 福祉のあり方、障害者に対する受け皿の無さ故に刑務所での暮らしが長くなる社会...

知的・精神障害者に関する犯罪に関して、刑務所の中での生活及び刑事訴訟に関する問題点とマスコミの報道についての問題点を分かりやすく書かれていて、ずっと疑問に思っていた餓死事件に関する詳細が書かれてあり満足。 福祉のあり方、障害者に対する受け皿の無さ故に刑務所での暮らしが長くなる社会は正義なのか?

Posted byブクログ

2013/10/28

衝撃的な本だった。 著者に心からの敬意を表す。 以下、メモ。 ・「刑務所とは、凶悪犯罪者から一般市民を護るものと思われがちだが、実は、厳しく冷たい現代の社会で生きていけない人を護るものである。」 ・受刑者のうち、2割が(3万2千人中、7200人)知的障害者(知能指数69以下) ...

衝撃的な本だった。 著者に心からの敬意を表す。 以下、メモ。 ・「刑務所とは、凶悪犯罪者から一般市民を護るものと思われがちだが、実は、厳しく冷たい現代の社会で生きていけない人を護るものである。」 ・受刑者のうち、2割が(3万2千人中、7200人)知的障害者(知能指数69以下) ・知的障害者に対する警察、検察の恣意的な取り調べによるえん罪も起こっている。だが、それ以上に問題なのは、そこまでに福祉の手が十分に差し伸べられていないこと。  例)レッサーパンダ事件:知的障害を持ったホームレス男性が、女子学生を刺殺。彼の実家は、父親も知的障害者、母親は死別、妹が中学生から働きながら家事全般を担う貧乏のどん底生活。その中、妹は21歳の若さで末期癌に罹患。生活は一層困窮。実は、障害者年金も生活保護も受けていない。そのような制度があることを家族の誰も知らなかった。そのような状況下、兄から事件の前に無心が来たが、それを断ったことを妹が心から悔やみ苦しむ。ここに至るまでに、福祉行政や病院などが彼ら家族に関わる機会はあったはずだが全くサポートがなされず、妹が「生きていて楽しいことなんて一つもなかった」というような数十年が放置されていた。 ・知的障害者の年金目当てに、養父となるやくざ者もいる ・売春婦の中で、知的障害者はかなりの割合でいる。投獄されても売春を繰りかえすある女性知的障害者はこういう。「あたしは馬鹿だけど、それでも人間なんだ。私みたいなのは、好きな人ができても馬鹿がばれてすぐに相手にされなくなる。でも私を抱いてくれた男はみんな優しかった。やっぱり私はずっとずっと男の人と一緒にいたい」。売春、ということは良くないことだが、彼女の「生きている意味」が見つけられる場所はこの社会のどこにあるのだろうか。 ・ろうあ者が用いる手話は、日本語とは別の言語。健常者が手話で使う日本語対応手話は、ろうあ者には理解できないこともある。ろうあ者にはろうあ者の世界があり、文化がある。 ・ろうあ者は、知的レベルが低いと思われるところがある。それは聾学校の責任によるところが多い。聾学校は、ろうあ者の文化を理解せず、聴者の文化になじめること、聴者の世界で生きられることを第一義に、口話の教育を熱心に行う。そこでは「1+1」が「2」であることを理解することではなく、「いちたすいちはに」と発話できることが重要となる。結果、「9歳の壁」と呼ばれるが、高校卒業時に9歳レベルの学力しか育たない。

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2013/08/29

障害者だって犯罪を起こす。 受刑者の割合を調べれば、それが決して少なくない数であることが分かる。 しかし、その事実は報道されない。 ワイドショーを賑わすような凶悪事件も、犯人が障害者と分かった途端、一切の報道がストップされる事がある。 「障害者の犯罪」をタブー視するマスコミ。真実...

障害者だって犯罪を起こす。 受刑者の割合を調べれば、それが決して少なくない数であることが分かる。 しかし、その事実は報道されない。 ワイドショーを賑わすような凶悪事件も、犯人が障害者と分かった途端、一切の報道がストップされる事がある。 「障害者の犯罪」をタブー視するマスコミ。真実は報道されず、黙殺される。社会の無理解はより深まる。 障害者だって犯罪を犯す。だが、それは決して障害のせいではない。 居場所がないから、刑務所に戻りたい累犯者。親子2代で売春していた母娘。福祉の援助を受けらず、身内にも捨てられた者。取り調べに頷くことしか出来ず、犯人に仕立てあげられる知的障害者… 彼らのような存在を生み出すのは、社会の無理解だということに、なぜ行政は気づかないのか? 「触らぬ神に祟りなし」…それが健常者の紛うこと無き本音だというのか。そんな「私たち」に失望する。

Posted byブクログ

2013/08/28

知らなければよかったと思いたくなるような話。自分がいかに見たいものだけ見て普段生活しているかを感じさせる。

Posted byブクログ