生きてるだけで、愛。 の商品レビュー
17/05/31 (40) 決まった時間に起きて、決まった電車に乗り、決まったお仕事をする。自分では当たり前で普通なことでも、それをすごいって思ったり、そういう普通なことができないひともいるんだよなあ。生き辛いだろうなあ。 本谷さんのエッセイを読んだことがあるから、“お前らの安い...
17/05/31 (40) 決まった時間に起きて、決まった電車に乗り、決まったお仕事をする。自分では当たり前で普通なことでも、それをすごいって思ったり、そういう普通なことができないひともいるんだよなあ。生き辛いだろうなあ。 本谷さんのエッセイを読んだことがあるから、“お前らの安い恋のトライアングルに勝手に巻き込むんじゃねえよ”ていう序盤のことばに、うわー本谷さん日常でそういうこと思ってそうて想像できておかしかった笑。 ・「あたしはもう一生、誰にも分かられなくったっていいから、あんたにこの光景の五千分の一秒を覚えてもらいたい」(P110)
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終始鬱の主人公だけど、一人称で語られるその姿や心情はわりと淡々とした文面。時にぷぷぷと笑える表現もあってとても好き。そのおかげか必要以上にこっちまで鬱々することもなく読めるところがよいですネ。 そして何より、「あたしのどこが好きだったか」の答えのくだり とても好き。泣けた。
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クビになるためにバイトするわけじゃないし、眠るために起きるわけじゃないし、別れるために恋愛するわけじゃないし、またあとで鬱になるために立ち直るわけじゃない。 p113
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ふつうに生きたくても生きられない、葛藤。 繰り返す躁と鬱の中でもがく「わたし」の激しい湧き上がってくる感情が、恐ろしく悲しかった。 『あの明け方の』で二人の生活が清々しく描かれていて、一冊読み終えたときの読み応えと爽快感が残ったので、とても良い一冊だったと思います。
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だいぶ前に読んだ本谷さんの小説の印象は、極端過ぎたりダメ過ぎたりするけど何だか愛おしくなるような主人公が出てくる、ということで、久々に読んだ本作も同じく、だった。 「生きてるだけで何でこんなに疲れるんだろう」。そう感じながら怠惰に暮らす25歳の寧子は、津奈木の家に転がり込むかた...
だいぶ前に読んだ本谷さんの小説の印象は、極端過ぎたりダメ過ぎたりするけど何だか愛おしくなるような主人公が出てくる、ということで、久々に読んだ本作も同じく、だった。 「生きてるだけで何でこんなに疲れるんだろう」。そう感じながら怠惰に暮らす25歳の寧子は、津奈木の家に転がり込むかたちで同棲を始めてから3年になる。 美人だけど過去の経験から性格が破綻していて、同性の妬みも相まって何をしても続かない寧子。 鬱からくる過眠症で引きこもり気味の生活に割り込んできたのは、津奈木の元恋人だった。 本当はただまっすぐに生きたいだけ。本当は普通の暮らしがしたいだけ。だけどその“普通”が上手く出来なくて、自分からは程遠い。 ダメなのは自覚しているけれど、そんな自分のことを誰かに解ってもらいたい。そして受け止めて欲しい。 そういう寧子の叫びが全開に溢れている。短い小説なのだけど、濃くて、とても痛々しい。そしてやはり、愛おしい。 生きるのが下手くそな寧子という人物の中に“自分”を投影してしまう人もいるかもしれない。そういう意味では、太宰の人間失格的な趣もあるのかも。 スルーされてるのかと思いきや本当は想われていたり(そうじゃなきゃ職なしの女を長く家に置くわけないし)きつく当たられることもある意味では愛情表現だったり。 本当は周りにけっこう構われていることを自覚できたら、もっと幸せなのかも。育ちによる傷があるから難しいのだろうけど。 表紙の絵にも深い意味あり。 ほんの一瞬の偶然を見つけてかたちに出来る、その奇跡。
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触れないでほしいところに触れられてしまったというか、気づきたくなかった自分の嫌なところを見せつけられたというか、なんだかすごくしんどくて、なんだろ、ざりざりした。こころが。 あたしと別れられて、いいなあ。がもうすごくキツい一言である。 こんなにエキセントリックではないけれど、いつ...
触れないでほしいところに触れられてしまったというか、気づきたくなかった自分の嫌なところを見せつけられたというか、なんだかすごくしんどくて、なんだろ、ざりざりした。こころが。 あたしと別れられて、いいなあ。がもうすごくキツい一言である。 こんなにエキセントリックではないけれど、いつのまにかスイッチが切り替わったり、ブレーカーが落ちるような瞬間が自分にも確かにあるから、寧子の気持ちがわかってしまって、でもわかりたくもなくて、しんどかったー。
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25歳の板垣寧子と、3年前から彼女と同棲している津奈木という男の生活を描いた中編小説「生きているだけで、愛。」と、その続編と思われる短編「あの明け方の」を収録しています。 津奈木の元カノ・安堂の逆恨みを買うことになった寧子は、引きこもり生活から強引にアルバイトをさせられます。彼...
25歳の板垣寧子と、3年前から彼女と同棲している津奈木という男の生活を描いた中編小説「生きているだけで、愛。」と、その続編と思われる短編「あの明け方の」を収録しています。 津奈木の元カノ・安堂の逆恨みを買うことになった寧子は、引きこもり生活から強引にアルバイトをさせられます。彼女が働くことになったのは、「ラティーナ」というイタリアン・レストランで、オーナー夫妻をはじめ、そこで働く人びとの優しさに触れて心のこわばりを解きほぐされていく……のかと思いきや、けっきょく寧子はそこにもなじめず、津奈木と2人の、どこにも行きつくことのない、けれども彼女の心にぴったりとはまるような生活に、戻っていくことになります。 「メンヘラ」の寧子と人に心を開こうとしない津奈木の2人の生活が、きしむ音を立てているように感じられます。
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生きにくさを抱えたメンヘラの女がもがき続ける様を、一人称で語った小説だ。 こんな風に生きにくさを抱えながら、自分と、世界と、いや、主に自分と闘っている人はこの現代にもたくさんいる。 いわゆるメンヘラという言葉でかたづけてしまえば簡単だけど、どうしてこんなにも生きにくい人をたく...
生きにくさを抱えたメンヘラの女がもがき続ける様を、一人称で語った小説だ。 こんな風に生きにくさを抱えながら、自分と、世界と、いや、主に自分と闘っている人はこの現代にもたくさんいる。 いわゆるメンヘラという言葉でかたづけてしまえば簡単だけど、どうしてこんなにも生きにくい人をたくさん生んでしまったのだろうと、思いをはせた。 社会的動物として生まれた人間が、その社会との距離感をうまく取れなくなるような仕組みを、我々は知らず知らずつくりだしてしまった。 あるいは、みんなにとって都合がよかったはずの距離感は幾人かの人にとっては、とてつもなく苦痛であり、万能ではなかった。 主人公寧子の、自分で自分を生きにくくおいやってしまう不器用さは読んでいてとても歯がゆい。でも、そんな様が、とほうもなく生々しく、現実に実在する女の心を覗き込んでいる気分にさせられる。 猛烈にもがくその無様なすがたから、人間らしい息ずかいが感じられて愛おしくなる。「生きてるだけで、愛。」と表題が語りかける。きっとそうなのだ。5千分の1秒を僕たちは日々、生きているのだ。 ラストシーンの美しさは目をみはる。それは一人の人間が、誰かの中に必死に自分の存在を刻もうと願った儚さと、けなげさがありありと想像できるからだ。こんな風景が、日本中に溢れているんだろうと思うと、うまく言葉にできないけれど、むずむずする。もどかしさが、愛おしい。 この作品は現代の日本の若者の、ひとつの感情と風景をありありと切り取った作品として、社会が変わった数十年先に、歴史的古典なりうるだろう。
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初本谷有希子。 分かってもらいたいんだけど、素直な自分を表現できない寧子。そして、一貫して無味な存在の津奈木が織りなす交流が面白い。 仲俣暁生の、「互いの領分を決して侵さない寧子と津奈木の関係は、卵二つでつくった目玉焼きのように、それぞれの核をしっかり守ったまま、白身であやふや...
初本谷有希子。 分かってもらいたいんだけど、素直な自分を表現できない寧子。そして、一貫して無味な存在の津奈木が織りなす交流が面白い。 仲俣暁生の、「互いの領分を決して侵さない寧子と津奈木の関係は、卵二つでつくった目玉焼きのように、それぞれの核をしっかり守ったまま、白身であやふやに繋がっている状態と言えばいいだろうか」という解説は秀逸だった。
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痛くて苦しくてなんだかなー 読みはじめて読みはじめたこと少し後悔した でも最後まで読むと好きだなって思った 残酷だなぁ つなきくんだっけ、、すごい好きだな あんな人いるのかな やすこが全裸になって話した言葉がすごい突き刺さってきて息苦しかった 苦手だな でも好きだな 私にはまだ難...
痛くて苦しくてなんだかなー 読みはじめて読みはじめたこと少し後悔した でも最後まで読むと好きだなって思った 残酷だなぁ つなきくんだっけ、、すごい好きだな あんな人いるのかな やすこが全裸になって話した言葉がすごい突き刺さってきて息苦しかった 苦手だな でも好きだな 私にはまだ難しいみたいにも思った 装丁がすき可愛い タイトルも良いよね 生きてるだけで、愛
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