ねたあとに の商品レビュー
007年11月から2008年7月まで朝日新聞夕刊に連載された長編小説。それだけ読むと何か意味深なタイトルだけれど、何のことはない。楽しいことが起きそうなので、まだ寝たくないなという気分を指している言葉だ。 新聞小説にしては異例ながら、まるで著者である長嶋有をモデルとした私小説風の...
007年11月から2008年7月まで朝日新聞夕刊に連載された長編小説。それだけ読むと何か意味深なタイトルだけれど、何のことはない。楽しいことが起きそうなので、まだ寝たくないなという気分を指している言葉だ。 新聞小説にしては異例ながら、まるで著者である長嶋有をモデルとした私小説風の物語である。特にこれといった事件は扱われず、淡々と作家・ナガヤマ(トイレ)コモローの山小屋での仲間との遊びの話が続いていく。どれだけ読んでも、ゆるゆるとした脱力感たっぷりの長編だ。語り手は彼の友人でウエブデザイナーの久呂子としてある。語り手を女性として客観的に描いているところにその面白さがある。ところでこの小説、コモローのはまっている「ムシバム」も実在するし、出てくる登場人物たちもほぼ実名どおりで、小説というよりは本当の出来事ばかりのようだ。コモローの父親ヤツオはあの古道具屋主人の康郎氏だろうし、言語学者というヨツオ伯父さんにも心当たりがある。作家のコウさんやミュージシャンのジョーさんが誰かあれこれ推理して見るのも楽しいかもしれない。オーエ賞受賞というお話が出てくるあたりは、実際に「夕子ちゃんの近道」で第一回大江健三郎賞を受賞した出来事だし、新潮社らしき版元と喧嘩別れしたことまで暴露してある。長嶋ファンはとうにご存じだろうが、ゴシップ・ネタとして読むのもひとつの楽しみかも。
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タイトルと装丁で、一瞬卑猥な想像をしてしまうが、200%裏切られる。かなりユルい内容。ユルい大人たちが山奥の山荘に集って、深夜まで地味で微妙なゲームをうだうだ続ける話。ユルユル。
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これ好きだぁー! 学生時代の合宿のノリ+じいちゃんばあちゃん家に遊びに行く感覚みたいな。 読みながら自分もこの山荘の一員になっていて楽しい一時を過ごせた。 この小説は何を伝えたいのか?とか深く考えず読める話。
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今年もコモローの山小屋にやって来た。 重い回線をフル稼働してわたしはウェブデザインを、 コモローは小説を書く。 そして夜には誰からともなくゲームを始めるのだ。 麻雀牌を使った「競馬」、サイコロで見た目から人格まで決める「顔」、 謎の質問に答える「それはなんでしょう」、 複雑な勝敗...
今年もコモローの山小屋にやって来た。 重い回線をフル稼働してわたしはウェブデザインを、 コモローは小説を書く。 そして夜には誰からともなくゲームを始めるのだ。 麻雀牌を使った「競馬」、サイコロで見た目から人格まで決める「顔」、 謎の質問に答える「それはなんでしょう」、 複雑な勝敗表が必要な「軍人将棋」、 眠いから許せる「ダジャレしりとり」などなど コモローの父ヤツオおじさんと弟のヒキオくんが昔作った遊びたち。 カバー・扉絵:高野文子 装丁:名久井直子 いい大人たちがシンプルで変な遊びに興じる話。 特に山場もなくたんたんとそれだけの話なんですが 遊びへの興味もあって飽きませんでした。 すごく仲間に入りたくなります。修学旅行のわくわく感も少し。 「それはなんでしょう」とか面白そう。
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「ジャージの二人」とつながってるんだっけ? 既読なのに、全然忘れてるなぁ。 確かに、「ジャージにて」という本を書いた…とか出てくるんだけど。 舞台が全く動かない。 とある山荘。 この感じは、どことなく三谷さんの作品にもつながる感じが…。 そして私、こういうの好き。 出てくる様...
「ジャージの二人」とつながってるんだっけ? 既読なのに、全然忘れてるなぁ。 確かに、「ジャージにて」という本を書いた…とか出てくるんだけど。 舞台が全く動かない。 とある山荘。 この感じは、どことなく三谷さんの作品にもつながる感じが…。 そして私、こういうの好き。 出てくる様々な遊びがおもしろい。 どうしても「ゲーム」とかいうと、子供も一緒に、というの前提で考えてしまうので、それでいうと「ケイバ」は一緒に出来るかな。 しかし、しかしこの本、「虫」がたくさんでてきます。 いや、種類は限られてるんだけど、とにかくやたらと虫が出現する記述が多い。 虫ギライな私は、それがたまりませんでした。 カマドウマ………。ゲー。 私はこの山荘には、泊まれないな。
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名久井直子氏の手掛けた装丁の本を調べていて手当り次第に借りて来た中の一冊。 が、なかなかどうして、なんというか独特な長嶋有ワールドに引き込まれてしまい、集中して読み切ってしまった。 舞台は避暑地としての「山荘」で、小説に出てくるのは夏だけ。 その夏が終わると小説でも次の年の夏に...
名久井直子氏の手掛けた装丁の本を調べていて手当り次第に借りて来た中の一冊。 が、なかなかどうして、なんというか独特な長嶋有ワールドに引き込まれてしまい、集中して読み切ってしまった。 舞台は避暑地としての「山荘」で、小説に出てくるのは夏だけ。 その夏が終わると小説でも次の年の夏になる。 そこでは「何も起こらない」。恋愛も、事件も、ない。 ただひたすら山荘での日常が綴られている。 しかし、「みんなのレビュー」を見てもそうだけれど、 読み手を飽きさせないのが長嶋有ワールドなのか。 なにもない日常なのに、読み手に「あるある!」と思わせる 詳細でリズミカルな描写。 そして娯楽らしい娯楽の無い「山荘」で生み出された独特な遊び達。 しばらくして、また読みたくなるだろうな…と感じる作品だった。 そしてその他の長嶋有作品も読んでみたくなった。 #その後名久井直子氏の出演するトークショーにて #偶然にも長嶋有氏の真隣に着席してしまい #トークショーの間中ドキドキしてしまったのであった…。
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森の中で毎夜行われる”遊び”の数々。不思議な家族と素敵な仲間。ぜひとも、顔を作ってみたいと思います。
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バイトしてた頃に朝日新聞で連載してた本。読んだことないけど懐かしくて手にとった。 ストーリーはほとんどない。山小屋でのゲームの紹介?面白い訳じゃないけど読んでて不快じゃない。なんとなくぼんやり読める感じ。
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平和だなー ひとつずつひとつずつその積み重ねが生活になる。 1年ごとに振り返れば、変わらないと思っていたことも変化していることに気づく。 いろいろな遊びを楽しみながら、ゆとりのある生活をしみじみ堪能。 やっぱり長嶋さんのリズムだなぁと思う。 長嶋さんが朝日で連載してたのはじめ...
平和だなー ひとつずつひとつずつその積み重ねが生活になる。 1年ごとに振り返れば、変わらないと思っていたことも変化していることに気づく。 いろいろな遊びを楽しみながら、ゆとりのある生活をしみじみ堪能。 やっぱり長嶋さんのリズムだなぁと思う。 長嶋さんが朝日で連載してたのはじめて知った。
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著者 長嶋有(ながしまゆう)男 1972年生まれ 本名同じ 『ジャージの二人』(長嶋有著2003年発行)の小説を書いたと設定されている小説家トイレコモロー34歳とその父ヨツオの所有する避暑地 山小屋での夏の何年かを、コモロ―のHPを請け負っているウェブデザイナーの久呂子さんから...
著者 長嶋有(ながしまゆう)男 1972年生まれ 本名同じ 『ジャージの二人』(長嶋有著2003年発行)の小説を書いたと設定されている小説家トイレコモロー34歳とその父ヨツオの所有する避暑地 山小屋での夏の何年かを、コモロ―のHPを請け負っているウェブデザイナーの久呂子さんからの視線で書かれている小説。 わらわら出てくる虫数種、いつも湿気ている洗濯物と布団、五右衛門風呂にアナログ回線,カビ臭い匂い、そんな環境の山小屋を訪ねてくる大人たちがゲームで遊ぶ。 麻雀牌を使った「競馬」、占い要素たっぷりの「顔」、「それはなんでしょう」、特別ルールの「軍人将棋」、「ダジャレしりとり」など鉛筆やわら半紙を使って小さな炬燵テーブルを囲み遊ぶ。そんなゲームを鼻で笑うようなものはこの山小屋には居ない。 コモロ―は自分が寝た後に他のみんながどんな楽しい遊びをするかと不安で、一つの楽しみも逃さないように眠りにつくのを後伸ばしにする。まるで日曜日になると今日の休みには一体どんな楽しいことが待ってるかと平日よりかなり早く起きだしてしまう(一昔前の?)子どものような心を持つ。 起承転結もない坦々とした小説で長嶋有の作りだす世界に心地よく浸っていられる本でした。 本文中にコモロ―の書いた小説がオーエ賞受賞(おっ!もしやこれが転?w)するが、作者の長嶋有は『夕子ちゃんの近道』(2006年発行)で大江健三郎賞を受賞している。
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