貧困のない世界を創る の商品レビュー
「より多くの利益を得ることが人のモチベーション」と考える資本主義が全てではない、という出発点は重要な考え方と思った 筆者の提案するソーシャルビジネスは簡単に拡大するものではないと思うけど考え方は面白い お金がどうかより、課題に向き合うことが重要なのはソーシャルビジネスに限らず...
「より多くの利益を得ることが人のモチベーション」と考える資本主義が全てではない、という出発点は重要な考え方と思った 筆者の提案するソーシャルビジネスは簡単に拡大するものではないと思うけど考え方は面白い お金がどうかより、課題に向き合うことが重要なのはソーシャルビジネスに限らず大事なのだろう 本自体は詳細が多く飛ばし読みしてしまった
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グラミン銀行の創設者の考え方。 ソーシャルビジネスは、雇用して人を継続して雇用するという使命に縛られることになるのではないかと思った。
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早川書房 ノーベル平和賞 ムハマドユヌス 「貧困のない世界を創る」 10年以上前に書かれたソーシャルビジネスの本 著者の定義するソーシャルビジネスは 貧困削減以外への還元を認めない。日本でよく見る地域コミュニティ支援型の社会企業家とは少し違う。貧困の性質が異なるからだろうか...
早川書房 ノーベル平和賞 ムハマドユヌス 「貧困のない世界を創る」 10年以上前に書かれたソーシャルビジネスの本 著者の定義するソーシャルビジネスは 貧困削減以外への還元を認めない。日本でよく見る地域コミュニティ支援型の社会企業家とは少し違う。貧困の性質が異なるからだろうか 著者が行ったマイクロクレジットや奨学金制度は 貧困問題を解決し、損失なく費用を回収できる仕組みとして、よく出来ている *マイクロクレジット〜貧困脱却を目的とした連帯保証方式の低金利の小口事業ローン *奨学金制度〜出資者からの出資金は定期預金に投資され、運用利子が奨学金として子供に支給 マイクロクレジットは事業者向けローンなので、日本の貧困問題がサラリーの低所得や母子家庭に原因があるなら、マイクロクレジットニーズはないと思う。 名言「貧困は平和への脅威〜貧しい人々の生活を向上させるために投資することは、そのお金で銃器を買うことより良い戦略である」 国際機関や国内政府の貧困対策がうまくいかない理由に納得 *国際機関は、経済成長を通じた貧困排除を目指しており、経済成長自体が貧困を増長している *政府は効率が悪く、不正が起こりやすく、強力なグループの圧力により進歩が阻害される
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これはとても面白い タイトル通り、貧困のない世界を作るために行ってきたこと、またこれから実現しようとしていることについて書かれてる 事業の成り立ちや広がりも面白いし、資本主義経済というとてつもなく大きな概念に対して一石投じようという気概がいい その情熱と行動力に脱帽
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非常に面白かった。10年以上も前の本だけど新しかった。ソーシャルビジネスの意味を勘違いしていた。この本で本質を知れてよかった。 日本においては、NPO=ソーシャルビジネス、あるいは、社会課題解決するビジネスは、全てソーシャルビジネスと思っていたけど違った。 - ソーシャルビジ...
非常に面白かった。10年以上も前の本だけど新しかった。ソーシャルビジネスの意味を勘違いしていた。この本で本質を知れてよかった。 日本においては、NPO=ソーシャルビジネス、あるいは、社会課題解決するビジネスは、全てソーシャルビジネスと思っていたけど違った。 - ソーシャルビジネスとは、通常のビジネス、NPO、NGO、CSR、協同組合などと一線を画している。 - ソーシャルビジネスとは、リターンとして資金的な利益を求める出資ではなく、その代わり、リターンとして社会課題の解決を求めるのみ出資。その出資は無利子の貸付というスタンス。 - ソーシャルビジネスとは、二つのビジネスがある。一つは、個人や法人ではなく社会の利益の追求(例えば貧困解決、気候変動など)を目的としている。一つは、貧しい方々の所有する財産やスキルの利益を最大化を追求を目的とする者がある。 エグジットを目指す通常のビジネスだと出資先からの盲目的な"規模拡大"という不必要(時には必要である)なプレッシャーを受けがちだったり、かといってNPOはボランティアでビジネス採算を考えなさすぎて限界がある、やはり社会課題を解決するには資本主義では足りないところがある。そこを絶妙についているのがソーシャルビジネスだ。 ただ、残念なことに昨今の資本主義が牛耳る世界において、結局のところ機能していない印象がある。社会や環境にポジティブな変化を生み出す事業を対象とし、社会的成果と経済的リターンの両立を目指す「インパクト投資」や「ESG投資」がトレンドになるのか注目したい。
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グラミン銀行のマイクロクレジット事業の詳細について解説するような内容かと想像していましたが、グラミン銀行およびグラミン・グループの事業内容についてダイジェスト的に紹介されるのみ(唯一ダノンとの合弁のヨーグルト事業については立ち上げの経緯が詳しく紹介されていましたが)で、基本的には...
グラミン銀行のマイクロクレジット事業の詳細について解説するような内容かと想像していましたが、グラミン銀行およびグラミン・グループの事業内容についてダイジェスト的に紹介されるのみ(唯一ダノンとの合弁のヨーグルト事業については立ち上げの経緯が詳しく紹介されていましたが)で、基本的にはユヌス氏の提唱する「ソーシャル・ビジネス」という哲学が繰り返し熱く語られています。 その意味で、読み物としてはやや冗長な気もしましたが… 氏のいう「ソーシャル・ビジネス」とは単なるチャリティーや慈善事業とは異なり、あくまで利益を出すビジネスであるが、利益を最大化することが目的ではなく、事業を通して世の中に貢献することが目的であり、生み出された利益は投資家に分配されず全て再投資に回される、というもの。 氏は、「利益を最大化する」ことを人間の行動の動機とする、資本主義経済における「一次元的な」見方を否定し、人間には「人々と世界に対して良い行いをする」モチベーションが備えられており、そのことこそが将来的に「ソーシャル・ビジネス」が世界中で発展するための礎になると信じているといいます。 この哲学には非常に共感するものがあるんですが、それを実際の行動として現すことはなかなかできない。 それはきっと豊かで平和な日本に暮らしていると、克服すべき貧困の存在を実感することが難しいからかもしれません。 もちろん日本にも貧しい暮らしをしている人がいるでしょうが、バングラデシュやその他の途上国において現存する貧困とは、おそらく質も量も比べものにならない。 綺麗事でなく、そのことをどうしたら肌に感じることができるのか、常に考えていかねばならないと思いました。 細かいところで感銘を受けたのは、グラミンがその事業目的の達成度合いを測るために、非常に具体的な指標を設けて評価していることです。 グラミン銀行では、生活水準にたとえば次のような指標を設け、ある家族がそれら全ての指標をクリアしたことを以て、貧困からの脱出を果たしたと評価する仕組みを採っているとのことです。 1 銀行のメンバーとその家族が、トタン葺きの家か、少なくとも25,000タカ(およそ370ドル相当)の価値がある家に住んでいること。家族たちが、床ではなく、簡易ベッドか寝台に寝ていること。 2 メンバーとその家族は掘り抜き井戸、沸騰させた水、あるいはミョウバンや浄化タブレット、ピッチャーのフィルターを使って浄化した、砒素を含まない水を飲んでいること。 3 身体的、精神的に適格な6歳以上の、メンバーのすべての子供たちが、小学校に通っているか、卒業していること。 …etc 利益(金額)ではその成果を測ることのできないソーシャル・ビジネスであるだけに、このように極めて具体的な指標を以てその成果を測っていくことは、非常に重要だし、参考になるなあと思いました。
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●今更ながら、グラミン銀行やマイクロクレジットについて学んだ。著者の言う、ソーシャル・ビジネスが当たり前の世界になるには、まだかかりそうだ。
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バングラディシュで貧困層に無担保で貸付をおこなうというマイクロクレジットを実践すべくグラミン銀行を立ち上げた氏の著書。貧困は平和の脅威である。貧困をなくすための一つの解決策としてソーシャルビジネスを提起・実践している。ソーシャルビジネスとは、一般の企業と区別し、貧困層の為に事業を...
バングラディシュで貧困層に無担保で貸付をおこなうというマイクロクレジットを実践すべくグラミン銀行を立ち上げた氏の著書。貧困は平和の脅威である。貧困をなくすための一つの解決策としてソーシャルビジネスを提起・実践している。ソーシャルビジネスとは、一般の企業と区別し、貧困層の為に事業を立ち上げるが、投資家には還元せず、貧困層の為に再投資するというもの。投資家に還元しないというのが、個人的にはしっくり来なかったが、氏は、人間は経済的な理由のみによって動かされるものではなく、世界をよくしたいと思っている個人投資家がたくさんいるのだと反論している。 貧困を目の当たりにして何とかしたいという気持ちで草の根で活動をしてきた人の発言は迫力と説得力が全く違うように感じた。
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「「銀行は人々にとって価値があるのだろうか?」と。そのとき私は、銀行が人々にとって価値がないと知ったので、新たな種類の銀行を創設するべき時に来ていると気付いたのだ。」 マイクロクレジットの話。その広め方が書いてあって勉強になる。そして、これを読んで、著者が貧困撲滅を謳うのは、社...
「「銀行は人々にとって価値があるのだろうか?」と。そのとき私は、銀行が人々にとって価値がないと知ったので、新たな種類の銀行を創設するべき時に来ていると気付いたのだ。」 マイクロクレジットの話。その広め方が書いてあって勉強になる。そして、これを読んで、著者が貧困撲滅を謳うのは、社会意義のため、そしてビジネスのためだ、と感じた。貧困はビジネスになる。貧困で喘ぐものを助け出すのは社会的信頼も集める。著者が、インドからの織物の輸入を抑えようとした話やアメリカの関税を下げさせようとした話は、ビジネス色が出ている。
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「可能性を信じ、信じ続ける」というものすごいパワー。 それに、底抜けに明るく前向きな姿勢。 さらに、非常に高いレベルの「バランス感覚」。 これらを併せ持った奇跡のような人。 3月に六本木アカデミーヒルズで開催された講演を聴講し、 著者に対してそんな印象を持った。 「貧困は制度や...
「可能性を信じ、信じ続ける」というものすごいパワー。 それに、底抜けに明るく前向きな姿勢。 さらに、非常に高いレベルの「バランス感覚」。 これらを併せ持った奇跡のような人。 3月に六本木アカデミーヒルズで開催された講演を聴講し、 著者に対してそんな印象を持った。 「貧困は制度や政策によって人工的に作られたもの。 だから人工的に是正できるはず」 「すべての個人は世界を変える力をもっている。 にもかかわらず現状のグローバル資本主義は 人間を限定的に捉えすぎている。」 「資本主義はまだ『未完成』であり、 ソーシャルビジネスがそれを埋めることができる」 「ソーシャルビジネスは決して赤字にしてはならない。 ただし、利益を目的にもしない。 つまり、責任ある『利潤の最大化』が必要だ」・・・ その場で発せられた言葉はすべて、 著者がこれまで世界中で繰り返し述べてきたものであるはずだ。 にもかかわらず、今、ここで初めて話しているかのように、 目を輝かせながら、時にユーモアを交えて語る姿に 観る者すべてが釘付けになっていた。 本書は著者がノーベル賞受賞後に書き下ろしたもので、 グラミン銀行を始めとする一連のソーシャルビジネスの概要や その立ち上げ、理念、現在の取組みまでを幅広く網羅しており、 ソーシャルビジネスを知る入門書としてうってつけである。 また「志」や「ビジョン」といったものが、 行動をきっかけに強固になっていく様子もおもしろい。 学者として美しい数式の世界にいても、 目の前の貧困は解決しないことに悩んだ著者は、 貧困に苦しむ数名の人に、自ら27ドル相当のお金を渡した。 これがグラミン銀行の発端である。 そして思いのほか返済率が高いことに気づき、 銀行にビジネスモデルとして持ち込むがあっさり断られ、 自ら事業化することを決断する。 著者は「貧困の撲滅」を“吾人の任務”にしているが、 決してそれを「人助け」とは思っていない。 あくまで「ビジネス」として、貧困層の自立を バングラディシュ社会への貢献として捉えている。 単なる人助けはボランティアであり、 価値の移転は一方通行に終わる。 「寄付」という泉が枯れてしまえば、その流れは途絶える。 しかし、ソーシャルビジネスは価値の循環である。 その流れは双方向で、持続的に再生産される。 そのドライブとなるのは寄付ではなく、投機でもない。 社会への貢献を目的として投資する文化である。 正直、本書の後半はかなり壮大なテーマになってきており、 着いていくのがやっと、という感じもなくはない。 ただ、行き過ぎた金融資本主義へのカウンターとして、 しかも「経済なき道徳=寝言」に終わらない、 リアリティあるビジネスの智恵として、 ぜひとも読んでおくべき1冊であるといえる。
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