左岸 の商品レビュー
一人の女性が、自分を見出せないままふらふらと生きていく話。ふらふら=流れる=大河に身を任す、という印象。 恋愛もの、というよりは恋愛をひとつのツールとして使っていく女の一代記、という感じ。
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2012.8.28読了。茉莉の人生の話。駆け落ち、同棲、結婚、出産、兄惣一郎の死、九、父、母、ガーデン、シズオ、娘、フランス、死。 50年の話だから、とても長いけど、気になって読んでしまう。時間がかかったけど。茉莉の感情、文章が独特なので、数行前を読み返すを繰り返した。
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ずっと悲しかった。 メランコリ。懐古。喪失感。 そのようなものたちでいっぱいだ。 小さい頃、一番幸福だった頃、無敵だった頃 知らず知らず両腕いっぱいに抱え込んでいた、大切な物たち。 でもそんなに抱え込んだままでは、歩けないのだ。 一歩一歩あるくごとに、少しずつ少しずつ、こ...
ずっと悲しかった。 メランコリ。懐古。喪失感。 そのようなものたちでいっぱいだ。 小さい頃、一番幸福だった頃、無敵だった頃 知らず知らず両腕いっぱいに抱え込んでいた、大切な物たち。 でもそんなに抱え込んだままでは、歩けないのだ。 一歩一歩あるくごとに、少しずつ少しずつ、こぼれていってしまう。 振り返って、落ちてキラキラ光っているものを見て、 「なんでいまわたしの手元にないのだろう?」と思う。 けれど戻って取りに行くことは決してできない。 もちろんただ取りこぼしていくだけが歩んでいくことではなくて 新しいものを拾ったり、またそれを落っことしちゃったりもしながら いま持てる分だけ手元に残るように、なっているのだろう。 茉莉の50年間を読んで、そんな風に思った。 これが「人生というもの」なのか、茉莉がそうだっただけかは、まだわたしにはわからないけれど。
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かなり長い期間を描写している本なので、最初好感が持てた人がそうでもなくなったり、逆もあったりして面白い。主人公自体も年齢と共にすごく変化する。 そして、すっごい長い。長い本が苦手というわけではなくて、むしろ好きなのだけど単なる長さじゃない。文字数が多いっていうより内容が長い。(...
かなり長い期間を描写している本なので、最初好感が持てた人がそうでもなくなったり、逆もあったりして面白い。主人公自体も年齢と共にすごく変化する。 そして、すっごい長い。長い本が苦手というわけではなくて、むしろ好きなのだけど単なる長さじゃない。文字数が多いっていうより内容が長い。(これと比べたらアンナ・カレーニナなんて短いような気がする。) 一晩で読むより、ちょっとずつ、ちょっとずつ読むのがいいと思う。江國さんの本を読むと、いつもいい感じに疲労するけれど、今回の疲労は実際に次の日に響く疲労だった。(それでも心地いいのだけど。)
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「物事には準備する時間は与えられてないんだ」その言葉のままに幼い女の子、茉莉が様々な出来事に翻弄されながら大人の女性へと成長していく、数十年にも及ぶ物語。茉莉は幼い頃に自殺した兄を始め、人生の節目で大切な人々を失っていく。失くした人たち、失った時間を折に触れて思い出すが、茉莉にできることは何もない。人生にただ流されていくしかないのだ。 これは一人の人生が詰まった物語でありとても読み応えがあったが、幼い少女が女性へと成長していく様が見事に描かれていた。私の好きな著者特有の憂いの余韻を残すしっとりとした文章を追っていくうちに、私も茉莉の人生に寄り添って生きているような気分になった。 もっと早く読んでいたかったし、数年後、数十年後にもまた読みたい。きっとそれぞれに違う感じ方をするだろうと思わせる、深い物語だった。
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冷静と情熱のあいだ以来、久し振りの辻仁成氏とのコラボ作品です。 博多生まれの寺内茉莉の半生を描く長編。 茉莉や周囲の人々が纏う独特の雰囲気は、間違いなく江國ワールドでした。 茉莉の恋の落ち方、好きです。 共感ではなく、憧れ。
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2日で読み切りました。すごく何かが残る、という感じはなく、ぼーっと遠くから絵を眺めていた感じ(苦笑)
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左岸、右岸というタイトルからして舞台はパリなんだろうと思っていた、パリも出てきたのは出てきたけど。 まだ、左岸はこれからだけど、冷静と情熱の間のような絡み合いではない感じで、さぁ次は左岸読むぞ!って思えないな~。機会があれば読んでみます。 九ちゃんよりも主人公の母親とか、子供の目...
左岸、右岸というタイトルからして舞台はパリなんだろうと思っていた、パリも出てきたのは出てきたけど。 まだ、左岸はこれからだけど、冷静と情熱の間のような絡み合いではない感じで、さぁ次は左岸読むぞ!って思えないな~。機会があれば読んでみます。 九ちゃんよりも主人公の母親とか、子供の目線は読んでみたいかも。しかし、私自身に子供がいるからか、同じ母親として主人公が理解できないことばかりだった。
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『落下する夕方』に通ずるところがある、透明なぬるま湯でゆっくり溺死するような恐怖を感じる作品。 自他共に認めるように一見排他的で自立しているように見える茉莉は、結局残像から逃れられず、肉体ばかりが大きくなって年相応のロールプレイをしているかのよう。精神が『惣ちゃん』の妹である...
『落下する夕方』に通ずるところがある、透明なぬるま湯でゆっくり溺死するような恐怖を感じる作品。 自他共に認めるように一見排他的で自立しているように見える茉莉は、結局残像から逃れられず、肉体ばかりが大きくなって年相応のロールプレイをしているかのよう。精神が『惣ちゃん』の妹であることから逃れられずに。だから、遠くへ、行きなさい。(このメッセージの解釈には個人差があるだろうけど、私はこう。) 『でもね、あたしはあなたに意見されるとが好いとうと。わかっとうことでも、あなたの口から聞くとが好いとうっちゃん』。 小さな女の子、ではなく、小さな妹、から抜け出せない茉莉が哀しくて、愛しい。
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左岸は右岸より読みやすい。 茉莉の人生が書かれいる。 人は結局一人ぼっちなんだって思い知らされる。 物事には準備する時間は与えられていないんだ。 私も超然として遠くに行こう。
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