左岸 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
辻仁成さんと再びコラボ。幼少期から大人になるまでを描いている。主人公は茉莉。兄惣一郎、幼なじみの九と仲良しであったが、兄が自殺してから家族間が変わり、17才で駆け落ちする。途中、九に告白されるも別々の人生を送る。だが、ラストでお互いに似たような人生を歩んでいたことを知る。
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大変長かったので、3週間くらい(?)かかったと思う。主人公茉莉が幼い頃好んでいたというダンボール滑り、それに人生を重ね、「流れを堰き止めてはいけない」というその言葉にも、茉莉自身の生き方にも感銘を受けました。確かに「生きる」ことは、おそらく誰にとってもある意味ひとつの河の流れのよ...
大変長かったので、3週間くらい(?)かかったと思う。主人公茉莉が幼い頃好んでいたというダンボール滑り、それに人生を重ね、「流れを堰き止めてはいけない」というその言葉にも、茉莉自身の生き方にも感銘を受けました。確かに「生きる」ことは、おそらく誰にとってもある意味ひとつの河の流れのようなものであり(流れに任せるにしても、ダムを作るにしても、どのような流れであっても)、自然の河と同じく、流れの持つ「力」「抗えない脅威」をも、作品を通じ感じました。 茉莉は個性的で力強いキャラクターですが、私たちひとりひとりに「河」があり、生物学的な意味だけでは包括出来ない「生命」の意味を考えさせられました。そしてまた、タイトル「左岸」の意味も。
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一人の少女に焦点をあて幼少期から母になるまでの半世紀を語った作品。思ったより対となる右岸の主人公との絡みは少なく、ほんとに人生の一点一点で交わる程度でした。
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ちょっぴり大人の恋を味わうのにおすすめ。会話には福岡弁など、方言が出てきたりして言葉遊びも楽しめます。この本の“対”として、辻仁成『右岸』もおすすめ。両方とも読んでみてください。 九州ルーテル学院大学:職員 不見谷笑
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右岸と対になっているので、「冷静と…」のように最後は結ばれるのかと思ったけれど、そういうわけではなく、なんだか拍子抜け。 若くてめちゃめちゃだった主人公が、だんだん歳をとっていき、最後には落ち着いたおばさんになってしまう。 今私は子供を育て始めたところだけど、なんだかこの先こんな...
右岸と対になっているので、「冷静と…」のように最後は結ばれるのかと思ったけれど、そういうわけではなく、なんだか拍子抜け。 若くてめちゃめちゃだった主人公が、だんだん歳をとっていき、最後には落ち着いたおばさんになってしまう。 今私は子供を育て始めたところだけど、なんだかこの先こんなふうにしんみりおばさんになってしまうのかなと、ちょっと怖くなった。
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長い。分量という意味ではなく、人の半生を描くとはこういうことか、と思った。 大作のわりに、あっさりした印象。それぞれのエピソードの濃度が時間で希釈されているかんじ。 連載で読んだ方がよかったかもしれない。 私は、先に右岸を読んでおいて正解だった。 なにせ右岸は濃すぎる。波瀾万丈...
長い。分量という意味ではなく、人の半生を描くとはこういうことか、と思った。 大作のわりに、あっさりした印象。それぞれのエピソードの濃度が時間で希釈されているかんじ。 連載で読んだ方がよかったかもしれない。 私は、先に右岸を読んでおいて正解だった。 なにせ右岸は濃すぎる。波瀾万丈を絵に描いたよう。 左岸も波瀾万丈に違いはないが、常識的なレベル。 わけわからんものは嫌いだ。 「冷静と情熱の間」も読んだけど、断然そちらの方が良い。 そして、江国香織は好きだけど、辻仁成はすっごい苦手という事実の再確認。
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幼児期から少女・大人・中年になるまでのひとりの女性の人生が描かれている。同じ女性として共感できる部分も多く、話に引き込まれていった。
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「愛され、理解されたかった。信頼され、大切にされたかった。」茉莉の生き方。 その世界に引き込まれるように、この本を読んだ。 身近で大切な関係でも、確かなものではなく、簡単に二度と手の届かないものになってしまう。 そんなことが繰り返される中で、心の底に沈んだ切なさや悲しみを抱えて...
「愛され、理解されたかった。信頼され、大切にされたかった。」茉莉の生き方。 その世界に引き込まれるように、この本を読んだ。 身近で大切な関係でも、確かなものではなく、簡単に二度と手の届かないものになってしまう。 そんなことが繰り返される中で、心の底に沈んだ切なさや悲しみを抱えて、流れに沿って生きていく。超然と。 自由奔放に行動してきた茉莉なのに、母親や娘の冒険には不満を持ってしまう。愛されたい、大切にされたいという欲求が、彼女の孤独を一層強調する。 江國さんの本に時々ある、少し現実離れした部分が、都合がよすぎるように感じる。でも、それが小説というものなんだろう...。
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江國香織と辻仁成の恋愛リレー小説その2 リレー小説の可能性を出し切れていないと思います。それにしても江國香織の描く女性は瑞々しいエロさをもつよね。 この人の小説を読むと、時間の使い方を考えるのがばかばかしくなる。 茉莉は平気で若い頃の時間を無駄にしてるし、急に思い立って大学行きたいとか言いだして当然のように浪人したし、旦那に先立たれたと思ったら変な絵描きについていってフランスに行くし、日本に戻って水商売で日々の糧を稼いでると思ったらいい歳して恋してるし。 こいつ、いつ稼いでんの??将来の蓄えとか考えてんの?? そもそもこういう発想が先に浮かんでしまう私は茉莉のような人生は送れないね。 悔しいわ。 というか、男ってどうしてもこういう生き方できなんじゃないかな。 許されないって心のどこかで思ってしまっている節がありそう。悲しいかな。 ぜひとも三十歳になるまではテキトーに、人生の流れ(宗教的に言えば、現世で既に決められた生き方)というものを感じて、身を任せて生きてみたいと強く思いました。 ___ p309 <不在が存在よりも濃い気配を作ることを、茉莉は母の出奔ではじめて知った。> 失って初めて気づくとかそういうこと。でも表現がイイよね、「失って気付く」は空虚さを際立たせるけど、「いないのに強い気配を感じる」っていうのはより切ない。存在するからこそ虚しいという背反的表現の使い方のうまさがイイ。 筥崎八幡宮(はこざきはちまんぐう)福岡県東区にあるらしい。行ってみたい。 p444 <(捨て猫を隠れて育てようとしたさきに説教したが肩透かしを食らって)茉莉はまたさきを見つめる。見たことのないもののように。> 子供って見たことのないものになるんだろうなぁ。残酷なまでに。 特にマイペースで生きてきた茉莉にとってさきの変化は許容範囲を超えてるんだろうなぁ。 p468 赤間神社(下関)耳なし芳一がある。行ってみたい。芳一(よしかず)ではない。 p506 <智幸は新の介護の負担を減らすために茉莉に結婚をすすめた。けれど、茉莉はそれに悲しさを覚えた。そんな愛が一番に来ない理由で結婚するのは悲しいと感じたのだ。> うーん。これは結婚観の問題なんだろうけど、私は共感できないな。 結婚には愛が必要だと思う。だって一緒に生きていくなら好きな人がイイ。でも結婚はやはり生きるためにするものだと思う。 茉莉の結婚をしなかった判断は正しいと思う。好きだから結婚すると考える人は結婚しない方がイイと思うな。 持論を再認識。 p526 <あたしには、多分生身の人は愛する力がないのだ。そう考えると納得がいった。あたしは多分、自分のものしか愛せないのだ。死んだ夫や死んだ兄、記憶の中の彼らはあたしだけのものだから、きっと安心して思うさま愛せるのだ-> 自分の中のものしか愛せないって言うのはすごい納得がいく。 現代人の深層心理ではないかな。 みんなの自由と権利が尊重されなくてはならないのが現代社会である。だから、他人に深く干渉することはしてはいけないことである。 そう思うところがあるから、愛することができないという人はたくさんいるはず。 自分の心の中にいる人間は傷つけずにすむ。だから臆することなく愛せる。 愛ってなんでしょう。 p537 プュイ・イフュメ(白ワイン) ホタテに合うんだって。飲みたい。
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ボリュームがすごい。 主人公の茉莉の半生。 愛する人を得ては失う、それでも愛さずにはいられない、女の業みたいなものを感じた。 子供もいるのに、女を捨てきれない。 子供を愛しているのに、どこかわかりあえない。そんな自分にも子供にも苛立って。 そんな茉莉が、切ないけど愛しい存在...
ボリュームがすごい。 主人公の茉莉の半生。 愛する人を得ては失う、それでも愛さずにはいられない、女の業みたいなものを感じた。 子供もいるのに、女を捨てきれない。 子供を愛しているのに、どこかわかりあえない。そんな自分にも子供にも苛立って。 そんな茉莉が、切ないけど愛しい存在に思えた。
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