左岸 の商品レビュー
なんだろう…。 主人公の茉莉的には悲しいだけの物語ではないはずだけど、私はすごく悲しくなった。というか不安になった。 茉莉の幼少期からの様々な人との関わりや自分自身の内面が書かれて茉莉の人生を深く辿る大きなお話なのだが。 親が旅立つのは仕方ないし、経験済みなので乗り越えられる思い...
なんだろう…。 主人公の茉莉的には悲しいだけの物語ではないはずだけど、私はすごく悲しくなった。というか不安になった。 茉莉の幼少期からの様々な人との関わりや自分自身の内面が書かれて茉莉の人生を深く辿る大きなお話なのだが。 親が旅立つのは仕方ないし、経験済みなので乗り越えられる思いもあるが…今そばにいてくれる恋人も、ある日急に居なくなったり…裏切ったりすることがあるかもしれない…。もういい大人だけど、その時に私は茉莉のように冷静に受け入れられるのだろうか。 今しあわせなのにそんなふうに考えてしまう私は自分に自信がなさすぎるのかな。 辻仁成さんの右岸…読もうかどうしようか迷うなぁ。
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若いころの無知・無鉄砲。母は母なりの必死さで子を育う一方で、自分の人生を生きたいと願った喜代。その姿は自分の母親と重なり、ようやく自分の母を少しは個人として理解できる気がした。その都度その都度相手の男を全身全霊で好きになり、それ以外の可能性は考えもしない茉莉が、時と経験を重ねるご...
若いころの無知・無鉄砲。母は母なりの必死さで子を育う一方で、自分の人生を生きたいと願った喜代。その姿は自分の母親と重なり、ようやく自分の母を少しは個人として理解できる気がした。その都度その都度相手の男を全身全霊で好きになり、それ以外の可能性は考えもしない茉莉が、時と経験を重ねるごとに失望し、慎重になって行く様子は私が今味わっている人生の様相と被って胸にしみた。オカルト云々の話はいらない気がするが、それを差し引いても私個人にはずしんとくる作品だった。
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お兄ちゃん子だった茉莉の幼少期からの大河。ずっしり。サラサラとした濃密さ。死後も声が聞こえる身近な故人たち。風変わりな茉莉がいつの間にか大人になる。福岡、パリ、東京での暮らしや、画家のモデルをしたり、バー勤めから自分の店を持つ仕事模様。幾つもの恋。母娘間が独立したような子育て。娘...
お兄ちゃん子だった茉莉の幼少期からの大河。ずっしり。サラサラとした濃密さ。死後も声が聞こえる身近な故人たち。風変わりな茉莉がいつの間にか大人になる。福岡、パリ、東京での暮らしや、画家のモデルをしたり、バー勤めから自分の店を持つ仕事模様。幾つもの恋。母娘間が独立したような子育て。娘の成長が感慨深い。
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読了日2010/09 「冷静と情熱のあいだ」から10年。またまた辻仁成さんと江國香織さんの共作です。 人生とは大きな広い長い川。 その、右岸と左岸を歩む不思議な力を持つ九と自由奔放の茉莉の幼いころから50代までの壮大な物語。 辻さんが九の視点で、江國さんが茉莉の視点で描いています...
読了日2010/09 「冷静と情熱のあいだ」から10年。またまた辻仁成さんと江國香織さんの共作です。 人生とは大きな広い長い川。 その、右岸と左岸を歩む不思議な力を持つ九と自由奔放の茉莉の幼いころから50代までの壮大な物語。 辻さんが九の視点で、江國さんが茉莉の視点で描いています。 テーマは人生。 川の右岸と左岸は決して交わることはないがバラバラに離れてしまうこともない。 そんな、九と茉莉。お互い波乱万丈な人生を歩んできて、最後にはまた静かに隣同士で暮らす。 人の人生ってすごくいろんな物語があり、紆余曲折しながら乗り越えて歩んでいく。 そして、今回、この対になった物語で、人は個々で絶対に誰かと一緒になることはないと強く感じました。 九には九の人生、茉莉には茉莉の人生。右岸と左岸は絶対に交わらないように。 二冊同時年代ごとに交互に読み進めると、より物語に深く入っていって楽しめます。 ただ、「冷静と情熱のあいだ」のようなドラマチック。。劇的。。な物語では全くありません。 読中に、ふと、自分の人生を振り返ってしまうような作品です。 そして、かなりの長編です。今年の夏はこの2冊にどっぷりはまって終わりました。。 CMで話題沸騰ロコンド【PR】
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始まりと終わりは「寒」のつぶやき。 喪失感、充実感 いろんな感情がまぜこぜになって、最後は穏やかな気持ちに満たされました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
辻仁成の「右岸」と対になる作品。九と茉莉の物語を茉莉の側から描いた物。 惣一郎の死後、隆彦と共に福岡を後にし、隆彦の先輩・馬場のアパートに転がり込んだ茉莉。隆彦がやさぐれ、馬場の部屋を出た後、同じアパートの山辺の部屋へ転がり込むが、やがて山辺もダメになって行く。山辺を連れ、東京を離れ福岡へと戻るが、 放生会で九と再会し愛を確かめ合い、ほんのひととき触れ合うも、結ばれることができなかったショックで九は姿を消す。 山辺を切り捨て、大学へ進学、家庭教師のミチルとの出会い。そして最愛の夫・柴田始と出会い恋に落ちる。 卒業を一年後に控えた冬、娘を身籠もるが、時を同じくして母・喜代が出奔、結局大学を辞めて始の実家へと入り「さき」を産む。始との夢の様な幸福の日々。 しかし、やはりそれは突然にやって来た。雨の夜の交通事故で始と両親はあっけなく 他界、またしても茉莉の居場所は無くなってしまう。 実家に戻った茉莉は喜代のガーデンで、資産家であり、著名な画家・青山志津夫と出会い、絵のモデルとしてパリへ渡る。 様々な国籍の様々な人々との出会い、そして九との再会。 日本に戻った茉莉は、志津夫の紹介で、南青山のバー・エンドラに勤め、その店長・達哉と付き合う。 母・喜代の死と、姉の借金を機に堕落した達哉との別れを経て福岡へ。 戻った茉莉は、自分の店を持つ足掛かりに、博多のバー・トミーズに勤め様々なことを学ぶ。そして、念願の店、ポスト・デセンヌを開業した同時期に、清水智幸と恋に落ちる。さきの渡仏、新の入院と退院。智幸の裏切りと別れ。さきの帰国とアミとの出会い、新との別れ。 そして最後に訪れる、九と過ごす穏やかな時間。 右岸から読んで、この左岸を読んだ。 それぞれの主人公・九と茉莉とも言えるし、男と女なのか、そのまま書き手の辻と江國とも言えるのか。平たく言うと、本そのものの雰囲気が右岸には子供っぽさ、左岸の大人っぽさみたいなものを感じる。 理由の一つ。右岸は、九と茉莉の物語だけれど、左岸は茉莉の物語だから。 九にはいつだって茉莉の影が寄り添って(張り付いて)いるけれど、茉莉にとって九は心の深いところに、いつも惣一郎の隣にいて、ふとした時に顔を出す。
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寺本茉莉の半生。 兄の惣一郎との別れ、母の失踪、旦那の死。 博多、パリ、東京。 江國香織の作品は言葉のチョイス、空気感が好き。天気のいい日に読みたくなる著者。 長いのでお腹いっぱい。
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めっちゃするする入ってくるんですけど、さすがに長かった! でも早く辻仁成の『右岸』も読みたいな・・・。 『冷静と情熱のあいだ』みたいな分かりやすい愛じゃなくて、全ての愛した人や全てのものを通しての全ての愛情、って感じだったな・・・。 エスパー?とか極道?宗教?とか、辻仁成サイドで...
めっちゃするする入ってくるんですけど、さすがに長かった! でも早く辻仁成の『右岸』も読みたいな・・・。 『冷静と情熱のあいだ』みたいな分かりやすい愛じゃなくて、全ての愛した人や全てのものを通しての全ての愛情、って感じだったな・・・。 エスパー?とか極道?宗教?とか、辻仁成サイドで今まで江國先生のはなかったテーマが織り込まれてるみたいですけど、「深いきょうだいの絆」「恋に溺れる女」「女手一つで娘を育てる母」「次第に母から離れていく娘」「美しいお酒」「離れていく心」などなど、いつもの江國節は健在。
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江國さんの方からまず読みました。 長〜い。。。 主人公の幼少期からの半生を描いたお話。 「冷静と情熱のあいだ」のように、一人の人を愛しつづけるお話ではなかった。 時代の移り変わりと、茉莉ちゃんの周囲の状況がどんどん変わっていくのが自然な流れでかかれていて、長い文章だったけれど、...
江國さんの方からまず読みました。 長〜い。。。 主人公の幼少期からの半生を描いたお話。 「冷静と情熱のあいだ」のように、一人の人を愛しつづけるお話ではなかった。 時代の移り変わりと、茉莉ちゃんの周囲の状況がどんどん変わっていくのが自然な流れでかかれていて、長い文章だったけれど、そこそこすっと読み終わった。 特に、子どもとの関係が今の私には胸に突き刺さり、その後、夢にも出て来てしまった。ただ、やっぱり子どもには子どもの人格があり、母親とは別の人生なんだなぁと納得というか、あきらめと言うか… 私がそうだった様に、母親がいなくてもきっとしっかり大人になっていくんだろう。 次々おこる出来事は現実離れしていても、人生の流れと心の動きはこのお話に書かれている様なものなのかもしれないし、 一人ぼっちのさみしさなんて一生埋まらないものかもしれないと思った。 右岸も読むかな。
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描写がうまくて、博多弁もすき。 登場人物が、自分の周りの人とかぶった。 主人公が子供から大人になるにつれて、徐々に変わっていく 物の考え方が、どの時代も共感できる部分があって 面白かった。
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