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わたしを離さないで の商品レビュー

4

1377件のお客様レビュー

  1. 5つ

    408

  2. 4つ

    467

  3. 3つ

    286

  4. 2つ

    45

  5. 1つ

    14

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2026/04/20

苦しいほど切ない。 作中、いくつも希望が生まれては消え、展示館を通じて提供までの猶予を得られるかもしれないという最大の希望がただの噂にすぎなかったと知る。 主要な登場人物であるキャシー、トミー、ルースはそれぞれの性格が細部まで描かれており、漫画やアニメのキャラクターのような「仲良...

苦しいほど切ない。 作中、いくつも希望が生まれては消え、展示館を通じて提供までの猶予を得られるかもしれないという最大の希望がただの噂にすぎなかったと知る。 主要な登場人物であるキャシー、トミー、ルースはそれぞれの性格が細部まで描かれており、漫画やアニメのキャラクターのような「仲良し3人組」になりきらない部分にリアルさを感じた。 全員がとても人間臭い部分を持っていて、3人それぞれに自然と感情移入してしまう。 だからこそ、終盤は物語を読み進めるのが辛くなってくる。 ヘールシャムの生徒たちも、保護官も、マダムも登場人物が優しい人ばかりで、その優しさが社会の仕組みや時代の流れにかき消されてしまうというやるせなさが表現されており、大きな力に惑わされずに本物の優しさを見極められる人でありたいと思った。 カズオ・イシグロを読んだのはこれが2作目で、1作目は癖のある文章に苦戦したが、今ではそれに慣れてむしろ心地よく感じるほどになったので、他の作品も楽しみたい。

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2026/04/15

描かれている物語は残酷なのに 登場人物は自分たちの人生に対して残酷だと思っていない クローンであることを当たり前のこととして認識している 『運命を仕組まれた子供達』的な設定が大好きだけど この作品はまた違った良さがあった。

Posted byブクログ

2026/04/15
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クローンとは言えど、提供者という抗えない運命に生まれた彼らを思うと、どうしても「最初から真実を伝えるべきだ」というルーシーの考えに共感してしまう。でも同時に、「せめて子ども時代だけは普通の幸せを」というエミリ先生の想いも否定しきれない。どちらも人間的で、だからこそ苦しい。 キャシーとトミーも、もっと早く愛し合ってほしかったと悔やんでしまう。気づいたときにはもう遅い残酷さが胸に残る。 しかし結局、彼らと我々は与えられた時間の長さと扱いが違うだけで、誰もが終わりに向かっている。だからこそ、日々の中で大切なことや想いを分かち合いながら生きたい。何も知らない、伝えないまま終わるのではなく、不完全でもいいから、ちゃんと向き合っていたいと思った。

Posted byブクログ

2026/04/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

全く前知識なく読んだ方が良いです。 これは。 読めば読むほど、そういうこと?!と、 色々なことが分かっていって、読むのが止まらない。 本当に止まらなくなります。 どんどん心の鉛が増えていく感じもあるけど、一生私の中に残り続けるだろうなという印象深いシーンもどんどん出てきて、カズオ・イシグロさんの天才的な表現力を痛感します。 私の今年に読んで良かった本ベスト10に入ると思います。 それどころか、もし誰かに「どういう本が好きなの?」と聞かれたら、「土屋政雄訳、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』」とまず答えてしまうかもしれないです。 それくらい良かった。面白かった。 本ってすごい。 バケモノ。 カズオ・イシグロさんがバケモノ。天才。 翻訳もすごい。世界観をバッチリ捉えていると思う。 『日の名残り』も大好きだったけど、それを上回る印象深さでした。 前述した通り、できれば前知識ゼロの状態で読んでみてください。 ぜひ読んでみてください。 とっても読みやすいし、海外文学に不慣れでも読みやすいと思います。 ぜひ!! この機会にぜひ!! ということで、ここからはまだ読んだことない方は読むのをやめてください。 ------- ちょっと中身が、私の中でまだ全て消化しきれていないです。 まず思ったのは、クローン(とは言っても、普通の心の通った人間)による臓器提供で、もし自分の大事な誰かが助かるとしたら、私はそれに頼ってしまうのではないか?ということ。 もちろんそんなことが許される世界は現実にはないし、そんな世界だったら恐ろしすぎるんだけど、それを肯定したくなる心の奥底の悪魔はどんな人間にも潜んでいるのかもしれないと思いました。 西加奈子さんの『くもをさがす』で、西加奈子さんが癌を患った時に「なんで私が?」と思い、でもそれはイコール「なんで他の人じゃなくて、私が?」というニュアンスも含まれていたのでは…?と書かれていたんです。 つまり人間は、自分や大切な周りの人に何かあったとき、例えば「私じゃなくて良かった。」、「うちの子じゃなくて良かった」って無意識に思ってしまうし、それを裏返すと、自分や大切な人が助かるなら、他の人に何かあっても良いとも取れるような気がしていて… そんな、深掘りしない方が良いようなところを、この『わたしを離さないで』は抉ってくる気がしています。 読み終わりはなんというかもう、初めて感じる気持ちの波が押し寄せてきました。 印象深いシーンが本当に沢山あって、みなさんがどんなシーンを印象深く覚えているか聞いてみたいのですが、私は特に以下のシーンでした。 キャシーが枕を抱いて赤ちゃんのように揺すりながらカセットを聴いているところ、トミーが最後入居したバスルームをリフォームした1人部屋で絵を描くシーン、街の雑貨店で、ルースのポシブルかもしれない人を観察するシーン…どうしてあんな強烈なインパクを残すシーンを文字で書き起こせるのか。本当にすごいです。 作品を作り、もしそれに心が表れて愛し合っていると認められたカップルには猶予が与えられ、長く生きられるのではと考えるシーンは本当に悲しかった。トミーがそのために、きっと才能の塊であろう興味深いデッサン画を書き溜めるところも、辛かった。 あとは、子供たちの絵を世に出して、この子たちにも心があるということを広める運動に携わっていたエミリ先生が、最後ドライにキャシーとトミーを切り捨てるシーンも、慈善団体などの皮肉もあるのかと考えてしまいました。 なんだろう、こう御涙頂戴で「泣けるー」じゃないんですよね。とにかく心の鉛なんです。 それがどんどん増えていって悲しい感じ。 でも様々な描写が美しくって、早く本の世界に戻って読み続けたいと思える感じ。 そして読んだ後に改めて装丁のイラストのカセットテープを眺めると、胸が締め付けられます。元々この装丁好き!!と思っていたけど、読んだ後にこのカセットテープを眺めると、「装丁も含めてこの日本語訳のハヤカワepi文庫最高かよ…」となりました。 まだまだ消化しきれていない私ですが、読んだ方の違う感想も聞いてみたいです。 カズオ・イシグロさんの、これを超えてくる作品はあるのだろうか… でももっともっと彼のことが好きになる作品でした。

Posted byブクログ

2026/04/08

豚や牛といった家畜が人間に食われるために生きていることを考えて暗い気持ちになりますが、この小説もそれに劣らぬ真っ暗な読後感を持ちました。読み終えて6年以上経つが、思い出して震えが止まらなくなる怖さがある。

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2026/04/08
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読み終えると様々な思いが生まれ、不思議と心がかき乱される。古くからある題材だし、結末も予想できるものなのに。劇的な展開を排し、我々と変わりない日常生活を丹念に描き、理性的な主人公にその心情を語らせる。その手法が共感を生むのだろう。この悲劇の裏側では、我々の現実世界では救えない命が救われている。どちらがディストピアか。エミリー先生とルーシー先生のどちらが正しいのか。登場人物たちが行わなかった手段(反乱や逃亡や抗議の自死など)を自分はとるか。我々の人生もこの物語の悲劇性を内包しているのではないか。どれも答えはでない。

Posted byブクログ

2026/04/07

ゆっくりと謎が明かされていく構成で、静かに進むが読後強く心に残る作品。 ヘールシャムとは何だったのかを考えながら読む中で、登場人物たちの何気ない会話や感情に、言いようのないもやもやが残った。 当たり前のように与えられている「選べる将来」について考えさせられ、時間の大切さを改めて感...

ゆっくりと謎が明かされていく構成で、静かに進むが読後強く心に残る作品。 ヘールシャムとは何だったのかを考えながら読む中で、登場人物たちの何気ない会話や感情に、言いようのないもやもやが残った。 当たり前のように与えられている「選べる将来」について考えさせられ、時間の大切さを改めて感じた。 これまでにない、少し変わった読書体験だった。

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2026/04/04

正直、この本のすべてを理解することはできなかった。複数の登場人物と掛け合いにより、描写があまり理解できなかった。初めて翻訳された書籍を拝読したからか、登場人物の心境を汲み取ることが至難だった。また改めて読み直そうと思う。

Posted byブクログ

2026/04/02

抑制のきいた端正で静かな語り口で、かえって事実やそれに関わる人たちの不気味さ異常さに慄いた。将来の選択肢はないのに、計画の詳細を曖昧にしたままに感受性豊かに理知的に育てる教育は、教師や利用者の罪悪感を薄めるだろうけれど、子供達にとってとても残酷に思えた。

Posted byブクログ

2026/03/30

数年ぶりに再読。 一つ一つの出来事に隠された意味があり、徐々に明かされる現実の欠片が結晶化するのを拒否したくなりながら読み進めました。 人の内面の描き方が巧みで、登場人物たちが実在しそうに感じました。 何度読んでも面白い作品です。

Posted byブクログ