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わたしを離さないで の商品レビュー

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1191件のお客様レビュー

  1. 5つ

    351

  2. 4つ

    406

  3. 3つ

    253

  4. 2つ

    37

  5. 1つ

    11

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2024/05/06

得体の知れない恐ろしいものが、じわじわ迫ってくる雰囲気があった。 後半で、彼らの生活が何かはっきり明かされた時、 彼らをそれまでと違う目で見てしまい、切なくなった。 目的のために必要なら自分も見て見ぬふりしてしまうだろうが、向き合い、尽力した先生たちやマダムは凄い

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2024/05/04

カズオ・イシグロ氏の作品を全て読んだ訳じゃないけれど、多分これが最高傑作なのでは?と思いました。 逃れられない運命、人ではない、人以下の人生しか送れない悲哀…でもそんなに違うものかな?現実の人間がもっと悲惨で苦しい人生の人の方が多いのでは?彼らの方がずっと「良い」人生を送れている...

カズオ・イシグロ氏の作品を全て読んだ訳じゃないけれど、多分これが最高傑作なのでは?と思いました。 逃れられない運命、人ではない、人以下の人生しか送れない悲哀…でもそんなに違うものかな?現実の人間がもっと悲惨で苦しい人生の人の方が多いのでは?彼らの方がずっと「良い」人生を送れているのでは?と考えることにゾッとした。 どこか、「誰しも逃れられない運命に従って人生を歩んでいる」というメッセージが籠められている気がした。

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2024/04/25

核心に触れそうで触れない⬅️納得 エミリー先生とマダムの言ってることが正しいのか、それともルーシー先生が正しいのか、自分で考える必要がある。 曖昧な感じで終わるのも、物語の中に取り残されたようで良い また会話中のちょっとした心情や雰囲気がとても鮮明に言語化されていて、ここまで細か...

核心に触れそうで触れない⬅️納得 エミリー先生とマダムの言ってることが正しいのか、それともルーシー先生が正しいのか、自分で考える必要がある。 曖昧な感じで終わるのも、物語の中に取り残されたようで良い また会話中のちょっとした心情や雰囲気がとても鮮明に言語化されていて、ここまで細かな描写で文章にすることができるのかと感動した。

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2024/04/23

母がドラマを見ていて知った小説。その数年後、電子書籍で読んでいたがデータが消えてしまい途中で止まっていた。久しぶりに図書館で見かけたので手に取る。 なんとなく、ドラマで描かれていた森の中の学校というイメージがあったが良く覚えていなかった。でもなんとなく、何の目的かという1番大事...

母がドラマを見ていて知った小説。その数年後、電子書籍で読んでいたがデータが消えてしまい途中で止まっていた。久しぶりに図書館で見かけたので手に取る。 なんとなく、ドラマで描かれていた森の中の学校というイメージがあったが良く覚えていなかった。でもなんとなく、何の目的かという1番大事な部分は分かってしまっていたと思う。 あとはメイン3人がなんとなくドラマのイメージになってしまっていた。 いろいろなことが明かされたようで、明らかになっていないところもある気がして、自分の中ではモヤモヤとした読後感。 でも皆さんの感想などを読みながら、なるほどこのモヤモヤした感じを楽しむ小説であったのだなと納得。 長い小説だし、過去を振り返って語られる形式なので、わからないことがわからないまま話が進みモヤモヤするけれど、世界観に引き込まれ自然と読み進むことができた。

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2024/04/20

物語の全容を知らないということがこの作品を楽しむ上でとても重要で、私はできる限り多くの人にこの物語を楽しんで欲しいと思っているので、内容にはなるべく触れずにレビューをする。 「介護人」キャシーの幼少時代から現在までをカズオ・イシグロお得意の回顧録形式で綴る。 幼少期にはヘールシ...

物語の全容を知らないということがこの作品を楽しむ上でとても重要で、私はできる限り多くの人にこの物語を楽しんで欲しいと思っているので、内容にはなるべく触れずにレビューをする。 「介護人」キャシーの幼少時代から現在までをカズオ・イシグロお得意の回顧録形式で綴る。 幼少期にはヘールシャムと呼ばれる学校で育ち、学校を出た後はコテージと呼ばれる施設で生活を送る。 その幼少期から青年期にいたるまで、先生や先輩、そして学校の仲間と多くの人々との関わりがあるが、とりわけルースとトミーとの3人の関係が想起の中心となる。 学校生活だったり、友人関係だったり。本人達にも理解のできない行動規範のようなものが少しあるものの、ごくごく普通の少年少女の成長が、背景が語られないままに綴られていく。 この、背景が語られない、十分な情報が与えられないというのがこの作品の大きな特徴となる。 とくにほとんどの情報がない序盤では、語られているいかにもジュブナイルな人間関係に注目するしかなく、自然ルースやトミーがどのような人間なのかということを深く理解するに至る。 皆普通の子供だよなあなんて思いながら中盤にさしかかろうとするところで、新たな情報が投入される。 すると読者の、彼らを見る目がガラッと変わる。変わった目でさらに物語を読み進める。彼らが青年期にさしかかる頃の話を読む。 語られるのは引き続き仲間関係のこと、性に関すること、そして恋に関わることが中心になるが、同時に自分たちに与えられた役割の中でどのような人生を歩むべきかというアイデンティティの問題にも焦点が当てられる。 読者も、この新たに与えられた情報を知識として彼らのアイデンティティについて深く考えさせられる。 そして後半から終盤、彼らがそれぞれの人生を歩むようになる頃、読者もほとんどすべての情報が与えられる。 引き続き、語られるのは彼らの普通の生活。普通って言ったらおかしいけど、彼らから見れば与えられた役割の上での当たり前の生活。 語り手のキャシーが体験する感情だって、青年期の女性が経験するようなあたりまえのもの。 それでも我々読者が、与えられた新しい情報のフィルターを持って解釈をすると、とても重大で切ないものとなる。 すべての情報が与えられるのは最終盤。私はこれから読む皆さんに、ここに到達したときの気持ちを味わって欲しい。 最終盤、情報がすべて所与になったとき、キャシーが語った、彼らからすると(そして私たちも序盤はそう思っていた)ごくごく普通の思い出がびっくりするくらいに色づき、まるで読者自身の記憶であるかのように大切で愛おしいものに感じられることになる。すごい切ない。本当に切ないんだけど、これはなかなかない体験。すごい。 重要な情報が与えられないっていうプロット自体は昔から数多くある。特にSFでは多く、ぱっと思い浮かんだところだと、古くは星新一なんかがお得意とした語り口である。 カズオ・イシグロがすごいのは、自らが得意とする「記憶」というテーマに対してこの手法を使うことで、ものの見事に私たちの記憶自体もコントロールしたところにある。 新たな情報を時宜にかなったタイミングで投入し、私たちの過去の情報を書き換え、今後の読み方の印象を変える。 この技術はすごい。ノーベル文学賞ってやっぱり伊達じゃないんだなと改めて感じた。 もうほんと、私もすごい頑張って核心に一切触れずにレビューしたので、皆さん是非読んで欲しい。体験してほしい。

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2024/04/11

文章はシャーロットブロンテのジェーンエアのように イギリスの風景を想像できる荒々しく、綺麗だか 内容はスティーブキングが書いてもいいような ホラーテイストの小説 綺麗な文章だからこそ、後半になるにつれ 怖さが増してくる カズオイシグロの文才に脱帽する

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2024/03/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度…。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく-全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。」 中島京子・選 カズオ・イシグロ作品は ①『浮世の画家』(飛田茂雄訳/ハヤカワepi文庫) ②『わたしを離さないで』(土屋政雄訳/ハヤカワepi文庫) ③『夜想曲集ー音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』(土屋政雄訳/ハヤカワepi文庫) ②について:「イシグロの小説にとって、記憶は何より重要だ。「記憶の混乱」というテーマには、捏造とか、隠蔽とか、ネガティブなイメージがある。けれど、「記憶」の作家イシグロのアプローチは、それだけでは終わらない。  たとえば、『わたしを離さないで』においては、むしろポジティブな面も語られる。冒頭、幸福な少年時代を持たない臓器提供者が語り手である介護人のキャシーに、子供時代の思い出話をしてくれとねだる。「薬と痛みと疲労で朦朧とした瞬間に、わたし(キャシー)の記憶と自分の記憶の境がぼやけ、一つに交じり合うかもしれない」からと。ここはちょっと、ストーリーを知るものには涙なしには読めない。」 (『作家が選ぶ名著名作 わたしのベスト3』毎日新聞出版編 毎日新聞出版 p48 中島京子・選 カズオ・イシグロ より)

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2024/03/14

徐々に暗い運命を感じさせつつ、ヘールシャムの仲間との友情、愛、それぞれの感情が緻密に描かれている。提供者でない視点から読むと、運命の決まっている子どもたちの、儚い人生の物語のようにも読み取れるが、提供者の視点から読むと、その人生の彩りや生い立ちに意味や幸せはあったようにも思え、そ...

徐々に暗い運命を感じさせつつ、ヘールシャムの仲間との友情、愛、それぞれの感情が緻密に描かれている。提供者でない視点から読むと、運命の決まっている子どもたちの、儚い人生の物語のようにも読み取れるが、提供者の視点から読むと、その人生の彩りや生い立ちに意味や幸せはあったようにも思え、その中で運命の謎が明らかにされたことは残酷だったのか、本当によかったのか、様々な感情が残る読後感

Posted byブクログ

2024/03/13

前半は読みにくさ,見通しの悪さ,違和感があるけど, それが少しずつ晴れていく感じで読めた。 読了しても霧は晴れきらないが… 読了後にいろいろ考えさせられたお話だった。

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2024/03/12

正直最後まで読むのたいへんやった…。 おもしろいのはおもしろいけど、事前に聞いてたネタバレ無しで読んでほしいとかむせび泣きながら読んだとかの口コミと逸脱してる感じ、、、。 時速20キロでずーっと物語がつづいていく感じ。 少しつかれた。カタルシスは得られない。

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