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わたしを離さないで の商品レビュー

4

1230件のお客様レビュー

  1. 5つ

    360

  2. 4つ

    424

  3. 3つ

    258

  4. 2つ

    39

  5. 1つ

    12

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2024/06/12

あまり文学作品は読まないのだが、提供者についての内容が気になり手に取ってみた。 最初の2/3は最後の1/3を楽しむための長いつまらない前戯のよう。私にはこういう文学は、合わないとわかった。 もっと心揺さぶる内容を期待したが、さらっとしていた。

Posted byブクログ

2024/05/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

じわじわと明らかになっていく展開と、そこにしかない世界観はとても新鮮でその世界観に引き込まれた。個人的には何とも言えない終わり方で、問題の解決を求めている人にとっては結局何が言いたかったんだろうと、足踏みする。これからの世の中に関しても関係が深いところだし、人間本来の在り方を見つめなおす、題材のような作品だった。

Posted byブクログ

2024/05/27

何の事前情報も持たずに読んで良かったと思う。 優秀な介護人キャシー・Hが過去を回想する形で話が進行する。 舞台の中心は、彼女たちが育った施設ヘールシャム。 ヘールシャムでの子供時代はほのぼのとしていながらも、保護官の態度や謎の多いマダムの存在、展示館の噂など、「この裏には何かが...

何の事前情報も持たずに読んで良かったと思う。 優秀な介護人キャシー・Hが過去を回想する形で話が進行する。 舞台の中心は、彼女たちが育った施設ヘールシャム。 ヘールシャムでの子供時代はほのぼのとしていながらも、保護官の態度や謎の多いマダムの存在、展示館の噂など、「この裏には何かがある」と思わせる、気味の悪さや違和感が積み重なっていく。少しずつヘールシャムの全貌と彼女たちの立場が明らかになってきて…。 主人公キャシーと、どこのコミュニティにもいそうなカースト上位の高飛車な女の子ルース、癇癪持ちで心の広いトミー。 長くて短い3人の関係が、エピソードを交えて緻密に描かれる。近づいたり、離れたり、突き放したり、支え合ったり。 あえて言うとすれば、「アルジャーノンに花束を」を読んだ後と少し似た感覚が残っている。 静かで、穏やかで、残酷で、気味が悪くて、それでも暖かい。 イギリスと日本にルーツを持つ作者が、世界で高く評価されていることに納得した作品でした。

Posted byブクログ

2024/05/06

得体の知れない恐ろしいものが、じわじわ迫ってくる雰囲気があった。 後半で、彼らの生活が何かはっきり明かされた時、 彼らをそれまでと違う目で見てしまい、切なくなった。 目的のために必要なら自分も見て見ぬふりしてしまうだろうが、向き合い、尽力した先生たちやマダムは凄い

Posted byブクログ

2024/05/04

カズオ・イシグロ氏の作品を全て読んだ訳じゃないけれど、多分これが最高傑作なのでは?と思いました。 逃れられない運命、人ではない、人以下の人生しか送れない悲哀…でもそんなに違うものかな?現実の人間がもっと悲惨で苦しい人生の人の方が多いのでは?彼らの方がずっと「良い」人生を送れている...

カズオ・イシグロ氏の作品を全て読んだ訳じゃないけれど、多分これが最高傑作なのでは?と思いました。 逃れられない運命、人ではない、人以下の人生しか送れない悲哀…でもそんなに違うものかな?現実の人間がもっと悲惨で苦しい人生の人の方が多いのでは?彼らの方がずっと「良い」人生を送れているのでは?と考えることにゾッとした。 どこか、「誰しも逃れられない運命に従って人生を歩んでいる」というメッセージが籠められている気がした。

Posted byブクログ

2024/04/25

核心に触れそうで触れない⬅️納得 エミリー先生とマダムの言ってることが正しいのか、それともルーシー先生が正しいのか、自分で考える必要がある。 曖昧な感じで終わるのも、物語の中に取り残されたようで良い また会話中のちょっとした心情や雰囲気がとても鮮明に言語化されていて、ここまで細か...

核心に触れそうで触れない⬅️納得 エミリー先生とマダムの言ってることが正しいのか、それともルーシー先生が正しいのか、自分で考える必要がある。 曖昧な感じで終わるのも、物語の中に取り残されたようで良い また会話中のちょっとした心情や雰囲気がとても鮮明に言語化されていて、ここまで細かな描写で文章にすることができるのかと感動した。

Posted byブクログ

2024/04/23

母がドラマを見ていて知った小説。その数年後、電子書籍で読んでいたがデータが消えてしまい途中で止まっていた。久しぶりに図書館で見かけたので手に取る。 なんとなく、ドラマで描かれていた森の中の学校というイメージがあったが良く覚えていなかった。でもなんとなく、何の目的かという1番大事...

母がドラマを見ていて知った小説。その数年後、電子書籍で読んでいたがデータが消えてしまい途中で止まっていた。久しぶりに図書館で見かけたので手に取る。 なんとなく、ドラマで描かれていた森の中の学校というイメージがあったが良く覚えていなかった。でもなんとなく、何の目的かという1番大事な部分は分かってしまっていたと思う。 あとはメイン3人がなんとなくドラマのイメージになってしまっていた。 いろいろなことが明かされたようで、明らかになっていないところもある気がして、自分の中ではモヤモヤとした読後感。 でも皆さんの感想などを読みながら、なるほどこのモヤモヤした感じを楽しむ小説であったのだなと納得。 長い小説だし、過去を振り返って語られる形式なので、わからないことがわからないまま話が進みモヤモヤするけれど、世界観に引き込まれ自然と読み進むことができた。

Posted byブクログ

2024/04/20

物語の全容を知らないということがこの作品を楽しむ上でとても重要で、私はできる限り多くの人にこの物語を楽しんで欲しいと思っているので、内容にはなるべく触れずにレビューをする。 「介護人」キャシーの幼少時代から現在までをカズオ・イシグロお得意の回顧録形式で綴る。 幼少期にはヘールシ...

物語の全容を知らないということがこの作品を楽しむ上でとても重要で、私はできる限り多くの人にこの物語を楽しんで欲しいと思っているので、内容にはなるべく触れずにレビューをする。 「介護人」キャシーの幼少時代から現在までをカズオ・イシグロお得意の回顧録形式で綴る。 幼少期にはヘールシャムと呼ばれる学校で育ち、学校を出た後はコテージと呼ばれる施設で生活を送る。 その幼少期から青年期にいたるまで、先生や先輩、そして学校の仲間と多くの人々との関わりがあるが、とりわけルースとトミーとの3人の関係が想起の中心となる。 学校生活だったり、友人関係だったり。本人達にも理解のできない行動規範のようなものが少しあるものの、ごくごく普通の少年少女の成長が、背景が語られないままに綴られていく。 この、背景が語られない、十分な情報が与えられないというのがこの作品の大きな特徴となる。 とくにほとんどの情報がない序盤では、語られているいかにもジュブナイルな人間関係に注目するしかなく、自然ルースやトミーがどのような人間なのかということを深く理解するに至る。 皆普通の子供だよなあなんて思いながら中盤にさしかかろうとするところで、新たな情報が投入される。 すると読者の、彼らを見る目がガラッと変わる。変わった目でさらに物語を読み進める。彼らが青年期にさしかかる頃の話を読む。 語られるのは引き続き仲間関係のこと、性に関すること、そして恋に関わることが中心になるが、同時に自分たちに与えられた役割の中でどのような人生を歩むべきかというアイデンティティの問題にも焦点が当てられる。 読者も、この新たに与えられた情報を知識として彼らのアイデンティティについて深く考えさせられる。 そして後半から終盤、彼らがそれぞれの人生を歩むようになる頃、読者もほとんどすべての情報が与えられる。 引き続き、語られるのは彼らの普通の生活。普通って言ったらおかしいけど、彼らから見れば与えられた役割の上での当たり前の生活。 語り手のキャシーが体験する感情だって、青年期の女性が経験するようなあたりまえのもの。 それでも我々読者が、与えられた新しい情報のフィルターを持って解釈をすると、とても重大で切ないものとなる。 すべての情報が与えられるのは最終盤。私はこれから読む皆さんに、ここに到達したときの気持ちを味わって欲しい。 最終盤、情報がすべて所与になったとき、キャシーが語った、彼らからすると(そして私たちも序盤はそう思っていた)ごくごく普通の思い出がびっくりするくらいに色づき、まるで読者自身の記憶であるかのように大切で愛おしいものに感じられることになる。すごい切ない。本当に切ないんだけど、これはなかなかない体験。すごい。 重要な情報が与えられないっていうプロット自体は昔から数多くある。特にSFでは多く、ぱっと思い浮かんだところだと、古くは星新一なんかがお得意とした語り口である。 カズオ・イシグロがすごいのは、自らが得意とする「記憶」というテーマに対してこの手法を使うことで、ものの見事に私たちの記憶自体もコントロールしたところにある。 新たな情報を時宜にかなったタイミングで投入し、私たちの過去の情報を書き換え、今後の読み方の印象を変える。 この技術はすごい。ノーベル文学賞ってやっぱり伊達じゃないんだなと改めて感じた。 もうほんと、私もすごい頑張って核心に一切触れずにレビューしたので、皆さん是非読んで欲しい。体験してほしい。

Posted byブクログ

2024/04/11

文章はシャーロットブロンテのジェーンエアのように イギリスの風景を想像できる荒々しく、綺麗だか 内容はスティーブキングが書いてもいいような ホラーテイストの小説 綺麗な文章だからこそ、後半になるにつれ 怖さが増してくる カズオイシグロの文才に脱帽する

Posted byブクログ

2024/03/14

徐々に暗い運命を感じさせつつ、ヘールシャムの仲間との友情、愛、それぞれの感情が緻密に描かれている。提供者でない視点から読むと、運命の決まっている子どもたちの、儚い人生の物語のようにも読み取れるが、提供者の視点から読むと、その人生の彩りや生い立ちに意味や幸せはあったようにも思え、そ...

徐々に暗い運命を感じさせつつ、ヘールシャムの仲間との友情、愛、それぞれの感情が緻密に描かれている。提供者でない視点から読むと、運命の決まっている子どもたちの、儚い人生の物語のようにも読み取れるが、提供者の視点から読むと、その人生の彩りや生い立ちに意味や幸せはあったようにも思え、その中で運命の謎が明らかにされたことは残酷だったのか、本当によかったのか、様々な感情が残る読後感

Posted byブクログ