わたしを離さないで の商品レビュー
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全部追想。徐々にいろいろわかっていく。何、を4回提供するのか、(トミーの言い方的に腎臓は残ってそう?取られて回復するのって肝臓くらい?)とか読んでもわからないところはまだあるけれど本としては全然必要ない。やっと会えたマダムや先生が話してくれる内容、読者はそっち側ではないのでキャシー達の扱いが腑に落ちるけれど、ヘールシャムの子たちがわかるわけはないし。 倫理が許せば実現できる世界ではある。
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ずっと気になっていてようやく読みました。奇妙な世界観と綿密な表現で、引き込まれました。本当に体験した人が言ってるかのようにリアルでした。ラストはもう少し何かあっても良かったと思うけど、それでも充分考えさせられるし興味深い内容なので読んで良かったです。
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初めて読んだイシグロ作品。 終始仄暗いシーンが浮かぶ。 普段は救いがない作品を好んで読まないが、この作品はなんだか考えさせられるものがあった。
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介護人のキャシーが過去を回想する話。 一体物語がどこに向かっているのか検討もつかないまま、子供の頃の出来事をひたすら詳細に読み進め、焦らされているような気持ちになったが、最後まで読んですべて合点がいった。私も子供の頃の些細なことをこの緻密さで思い出せたらなと思う。子供の頃なぜか流...
介護人のキャシーが過去を回想する話。 一体物語がどこに向かっているのか検討もつかないまま、子供の頃の出来事をひたすら詳細に読み進め、焦らされているような気持ちになったが、最後まで読んですべて合点がいった。私も子供の頃の些細なことをこの緻密さで思い出せたらなと思う。子供の頃なぜか流行っていたこと、友人とのすれ違いや違和感を覚えたこと、心が通じた瞬間がよく伝わった。ノーフォークで失くし物が見つかる、って言い伝えが気に入った。
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読んでいる途中で表紙デザインがなぜカセットテープなのかに合点がいき、そこからどんどん物語に入り込んでいった。作品の本文であるキャシーの回想そのものがカセットテープ的、いわば記録、記憶されたものの再生であるということに気づいた。こういった仕掛けを考えるのが好きなので気づけたときは嬉しかったし、存分にこの物語を味わえた要因の一つだった。 人間関係においてキャシーのようにひとりになる事を恐れていた経験があるのでヘールシャムでの生活を読んでいるときはこわかった。 クローンであることや臓器提供の運命があることを語られたとき、さほど驚かなかった自分に感想を書きながら驚いている。キャシー達のように漠然と運命を感じていたからなのだろうか。 もう一度読み返すのなら、猶予が与えられる噂が嘘であるとわかった帰り道の、野原で叫ぶトミーのシーンだろう。自らの運命と叶わなかった希望に打ちのめされる悲しいシーンだけど、1人の人間としていちばん生の輝きを放っているシーンだと思った。そしてこれはキャシーが寮で「わたしを離さないで」のテープを流しながら赤子を抱えて踊っていたシーンと被ってみえた。泥に塗れ た体に輝く月明かりと、部屋の窓から刺す太陽の明かり。なによりも祈りを体現しているんじゃないだろうか。 キャシーはこの先、ロストコーナーの有刺鉄線の場所を何度も訪れていたんじゃないのかな。そして、友人たちとなんでもない会話をしているような情景が浮かんだ。
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中古で180円で売られていたので購入し、連休の旅行中、帰りの高速バスで貪るように読んだ。 この小説の根幹を成している重大な設定の一部を既に知っていた状態で読んだものの、思ったより序盤でその部分のネタバラシがされることに驚いた。 主要な登場人物の少なさや、主人公が回想する形で物...
中古で180円で売られていたので購入し、連休の旅行中、帰りの高速バスで貪るように読んだ。 この小説の根幹を成している重大な設定の一部を既に知っていた状態で読んだものの、思ったより序盤でその部分のネタバラシがされることに驚いた。 主要な登場人物の少なさや、主人公が回想する形で物語が進むので簡潔な文体でとても読みやすかった。 でも、少しずつ違和感や苦しさ、切なさが澱のように溜まっていく感じ。 終盤の、登場人物の一人が主人公に願いを託すシーンや、生まれ育った場所で行われていたことの目的が明かされるシーン、4度めの「提供」を前に介護人を変えることを伝えられるシーンなどは感情をメチャクチャにされること間違いなし。 柴田元幸氏による解説も素晴らしく、訳者のあとがきの問いかけも考えさせるものがあった。
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ハトマメ(鳩に豆鉄砲)なフレーズ 「無から作り出した自分だけの隠れ家、恐れや望みをいくらでも持ち込める場所―それが秘密です。でも、そんな秘密を必要としていること自体が、当時のわたしたちには、周囲の期待を裏切ることで、いけないことのように感じられていました」 「みっともない人生にしないため、自分が何者で、先に何が待っているのかを知っておいてください」 「孤独も、慣れるとさほど悪いものではありません」
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TVドラマにもなった本作品です。当時はほぼ見てなかったけどある場面はなんとなく知っていて、あらすじは少し頭に入った状態での拝読。あとがきにもあるけれど、きっと前情報なしのほうが主人公たちと体験を共有できそう。 そんな状態で読みはじめたけれどやはりはじめから気持ちがどんよりしまし...
TVドラマにもなった本作品です。当時はほぼ見てなかったけどある場面はなんとなく知っていて、あらすじは少し頭に入った状態での拝読。あとがきにもあるけれど、きっと前情報なしのほうが主人公たちと体験を共有できそう。 そんな状態で読みはじめたけれどやはりはじめから気持ちがどんよりしました。 序盤からの、はっきりしないが確かにある不穏さがずっと続く感じがつらかった。 第1部は、空が地べたと交わるほど低くて、そのわずかな合間をスレスレに飛んでいるような感覚。自由がなくいつ落ちても不思議ではない、そんな落ち着かないイメージで読みすすめるも状況が進んだ第2部に入ると少し慣れたのか、気持ちが落ち着いた。そしてラストの第3部でまた辛かった。 キャシーとトミーとルースがそれぞれの境遇や考えの違いでなかなか相容れず、すれ違うのがもどかしくて、でも三人の考え方にはどれも理解できる部分もあるしで一様にはいかない。 小説は『読者』という安全圏からの、身には危害の及ばない、悪くいえば高みの見物だが、これはその境界線を越えてくる訴えの強さがあった。 辛い部分があったので休み休みで読みましたが、色々と考えることのできた読書体験でした。
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残ったのは、印象だけ。 涼しく、寂しい、風が吹いている草原にひとり。 感情は凪いでいる。 私には難しかったから、きっとメッセージを受け取ることはできなかった。 でも、清潔で、快適で、寂しい諦めと、無垢の、良い匂いがしている。 ずっと残っている。 ページをめくり終わった指先にひんや...
残ったのは、印象だけ。 涼しく、寂しい、風が吹いている草原にひとり。 感情は凪いでいる。 私には難しかったから、きっとメッセージを受け取ることはできなかった。 でも、清潔で、快適で、寂しい諦めと、無垢の、良い匂いがしている。 ずっと残っている。 ページをめくり終わった指先にひんやりと、あとから思い出して初めてそれを認識できるような、穏やかな哀しみだけが残った。
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こんな残酷な荒涼とした物語を、作者はどうやって思いついたんだろう?謎解きと言ってもいいような、底に流れる世界観が、苦しくて苦しくて、読み続ければ何か、解答があって、希望のようなものが見えるのか?と期待して最後まで読んだ。 が、つらいまんま、何も私の期待する救いはなかった。 これを...
こんな残酷な荒涼とした物語を、作者はどうやって思いついたんだろう?謎解きと言ってもいいような、底に流れる世界観が、苦しくて苦しくて、読み続ければ何か、解答があって、希望のようなものが見えるのか?と期待して最後まで読んだ。 が、つらいまんま、何も私の期待する救いはなかった。 これを読んでる最中、あるトーク番組で、米津玄師がこの作品が好きだと言い、この中に登場する「ロストコーナー」について触れていた。忘れられた土地、遺失物置き場、という意味を持つ言葉。 寂しい言葉だ。 この小説の中での設定は全て 物語の半ばまで、ずっと曖昧な言葉で語られていた。 提供者、介護人、保護官、展示館、提供調整官、使命、云々。。。 結局、、、 人間の不治の病を臓器移植で完治させられる。そのために作られたクローン人間。その子達を養育する施設が各地にある。ヘールシャムはその一つ。そこで成長する主人公とその友人(?)たちの、成長、日常の出来事を、細やかに綴った物語。 親が誰かもわからない、将来起こることはすでに決まっていて、そこから逃れることはできない。 子どもたちもはっきりとではないが、自分の使命を漠然とではあるけど徐々に理解していく。 本当に残酷なお話で、長ーい物語は、古典文学に通じるような、ちょっと格調高い美しい文章で綴られていて、読者は逃れたくても、その文章から離れられない。まるで、臓器提供者の運命のように。
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