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わたしを離さないで ハヤカワepi文庫
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わたしを離さないで ハヤカワepi文庫

カズオイシグロ【著】, 土屋政雄【訳】

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わたしを離さないで ハヤカワepi文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2008/08/23
JAN 9784151200519

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わたしを離さないで

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商品レビュー

4

1263件のお客様レビュー

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2025/05/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

臓器提供者としての役割を持って生まれてきた人達。 常に提供の順番待ち状態というのはある意味死刑宣告と同じなのではないか。 そして将来提供者になるクローンに介護人をさせることで、身体的・精神的ケアや看取りまでクローン間だけで完結するというのも皮肉であり残酷。 虚構の世界だけど、読み進めていくうちに、こういったディストピアが実際に過去にあったのではないか? もしかしたら現在でもこの世のどこかに、、と疑いなくなるようなリアリティーだった。 物語の大部分は介護人キャシーが生まれ育ったヘールシャムや過去について回想している。 その語り口は静かで感情を伴わない淡々としたもの。提供者として生まれた運命の悟りやこの世の諦めが感じ取れる。 “癌は治るものだと知ってしまった人に、どうやって忘れろと言えます?不治の病だった時代に戻ってくださいと言えます?そう、逆戻りはありえないのです” この言葉はすごく考えさせられた。 科学技術が人間の社会を歪ませてしまう可能性いるし、倫理観まで損なわせかねない。 読み終えた後に静かな痛みを残す作品。

Posted by ブクログ

2025/05/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

“提供者”となった者の“介護人”の役割をするキャシーの目線で、幼少期から大人になるまでを過ごしたヘールシャムという謎めいた施設での出来事を思い出とともに振り返っていく。 臓器提供のために生み出されたクローン人間が共同生活をおくる学校のような施設“ヘールシャム”では、地理や音楽、美術、保健などの授業があり、食堂、寮が用意されており、授業以外の時間帯にはそれぞれ自由に遊ぶ時間もあるようです。ここで暮らすキャシーをはじめとする同様の子どもたちは大きな不自由なく、この環境に概ね満足しているようです。 そこでの教師の役割をする“保護官”は、ときおり何かを仄めかすような発言をします。 子どもたちの優秀な絵や詩などを選別して持っていく“マダム”は、そこにいる子どもたちをなにか恐れているようです。いったいなぜ? ここで暮らす子どもたちは、将来臓器提供をする運命であることをなんとなく潜在意識のもとで知っており、その運命自体には抗うことなく受け入れています。 彼らにとっての謎は、マダムはなぜ絵を持っていくのか?ときおり保護官が見せる不思議な態度はいったい何?といったことです。 もしかして優秀な人には提供前の“猶予”が与えられるのでは?という、それくらいは…という程度の希望も、最終的には打ち砕かれてしまいます。 キャシーら“提供者”として生まれ、育てられたものたちが、その状況下での他者との交流を通して心を揺らしながらも大人になっていく様を丁寧に描いています。これを非常に丁寧に書くことで、最後まで報われない彼ら、不条理で利己的な人間社会をリアルに描いているように感じました。 ヘールシャムはたしかに他の施設に比べて、彼らにとっては幸せな環境だったようです。ただ、どう育ったところで結末は提供です。それを知った後でも、彼らの受けてきた教育の賜物なのか、誰1人その状況に反旗を翻そうとしたり、逃げようとしたりはしません。移動手段として車が用意され、移動は割と自由に許されているようなのに…。 彼らが望むのは、数年の猶予くらいのものというのが、理解し難いけどもリアルなのかも…と思わされました。 こんなこと実際には起きないだろうと思いつつも、クローン人間が安定して作り出されるようになってしまった時、それに心があるのか?どう扱うべきか?については、目的と利用する集団よっては考えなしに利用される状況もあり得るだろう…と考えさせられました。

Posted by ブクログ

2025/04/16

読んでいるうちに、この物語が自分の心の奥にある何かと静かに響き合っているように感じました。 キャシー、トミー、ルース、この3人の間にある友情や愛情、嫉妬や虚栄、そして赦し。 どれもが穏やかな語りの中で、驚くほどリアルに、濃密に描かれていました。 私自身、人との距離をうまくつかめ...

読んでいるうちに、この物語が自分の心の奥にある何かと静かに響き合っているように感じました。 キャシー、トミー、ルース、この3人の間にある友情や愛情、嫉妬や虚栄、そして赦し。 どれもが穏やかな語りの中で、驚くほどリアルに、濃密に描かれていました。 私自身、人との距離をうまくつかめずに戸惑うことがあります。 だから、キャシーのように静かに周囲を観察しながら、自分のペースで関わっていく姿勢に共感しました。 彼女のやり方には派手さはないけれど、芯のある優しさと、静かな強さがありました。 運命が決まっている世界で、「生きること」や「誰かを想うこと」にどんな意味があるのか。 彼らの姿は、その問いに対して、ごく静かに、でも確かな形で答えてくれているように感じました。 噂にすがったのも、どうしようもない状況の中で、せめて希望を信じたかったから。 それは自然なことだったと思います。 そしてラストの別れ。 大げさな言葉や演出がなく、日常の延長のように淡々と描かれていたのが、逆に印象的でした。 言葉にしなくても通じ合う関係性と、積み重ねてきた時間、そして叶えられなかった未来が、静かに滲んでいました。 読み終えた今、この3人に出会えたことは、私にとって特別な経験でした。 人を想うことの重み、命の限られた時間の中でどう生きるか―― そのすべてが、心に静かに残っています。

Posted by ブクログ