不連続の世界 の商品レビュー

恩田陸【著】

2012/09/17

　 Darkside of the Moon がイマイチだったから、陸ちゃん名誉挽回とばかりに、短編集を手に取る。「月の裏側」の主人公・塚本多聞が登場する作品集となっている。ちなみに、確かツタヤではこの文庫版が人気コーナーに展示してあった気がする。

　オープニング「木守り男」は言葉遊び？　イマイチだなぁ。次の「悪魔を憐れむ歌」はオカルトチックではあるが、いい感じだ。主人公多聞の個性が良く出ている。

　中盤になって「幻影キネマ」もいい感じ。ミステリーというかサスペンスとして面白い。少し力を抜いた「砂丘ピクニック」もそれなりにいい作品。

　でも、本作では「夜明けのガスパール」が最高だろう。多聞、そしてその友人たちの愛情がキラリと光る。いい話だ。作者自身が書いているとおり、まさに不連続の世界。一気読みできる分量だから、買うなら文庫よりもハードカバーがお勧めだな。

　今日は敬老の日。親を大事にしよう。後悔する事がないように。

2012/09/03

主人公、塚崎多聞のつかみどころのない飄々とした感じが物語の内容にとても合っていて、すらすらと最後まで読んでしまいました。

導かれるままについて行ったら、いつの間にか引き返せないところまで来てしまったような、ひやっとする怪談を読んでいるような感じ。
読み終わった後に、じわじわ怖くなってくるようなお話です。

2012/07/28

無国籍、無色透明、極楽とんぼな男・塚崎多聞が謎解きがてらに語るミステリーか?トリックか?の短編5話。各話、呪縛に縛られる主役たちをさりげなく解き放つ様は、本当に色無く感情の起伏さえ無い。

2012/07/26

短編集。
設定とかは引き込まれたが、あまり深くない。短編でなく、この題材で深く話が続けば良かった気がする。

2012/07/21

短編５つの話。
なかなか物語の世界に張り込めない。
ハズレかな～とおもいつつ読み進めると、やっと雰囲気が出てくる話になってくる。

四編目『砂丘ピクニック』
五編目『夜明けのガスパール』

五編目が一番先へ先へとページをめくる。
人は自分を守るために気づかないうちに自己防衛を重ねてしまう。
長編でじっくりと作り上げる世界も楽しいけど、短編で思いを伝える割り切りもまた楽しい。

2012/06/29

初の恩田陸作品でしたが
どうやら、コレは続編らしく。

それもあったせいか、なんとなく世界観に入りづらく
ショートショートもあり、やや消化不良な感じで
読み終えてしまいました。

前作を読んでから、また再読してみたいです。

2012/05/16

『月の裏側』を読んでから出直したい。
でも4編中3編が中国地方を舞台にしていて、それぞれ土地勘のある場所なのでテンションが上がった。
植田正治写真美術館はほんとにすき。
尾道もいいところ。

2012/04/26

連作短編。主人公は多聞という男。海外経験が長く、音楽プロデューサーをしながら、日々暮らしている。この著者の表現にはいつもゾッとさせられる。特に、火事のシーンでは、じっくり恐怖を垣間見たような気になるのだ。
小さな謎を、もっともらしい推測で解決しながら物語は進んでいく。
最後の短編で、多聞は仲間に、妻ジャンヌが帰ってこないことを打ち明ける。ところが、それは認めたくない現実から逃げるための、塗り替えられた記憶だった…。

2012/04/08

「月の裏側」から続く後味悪いホラー。
これを読むと日常の風景画があっさりホラーになる。

いやはや、良い後味の悪い小説である。

2012/02/23

恩田陸氏はミステリではなく、ホラー（あるいはファンタジー）作家なんだ。

そう思うとすんなり読める。
ミステリ仕立てだから、そうやって構えて読むと終盤潰れる（心が）。
最近氏の作品を読んでじりじりしていた自分を反省。

主人公多聞を語り部とした４つの小編。
切なくも優しい物語の詰め合わせ。

明るい残暑のけだるさ溢れるカフェよりも、クーラーのいらなくなった夜、寝る前に布団の中で読むのが似合っている。
読後感も悪くない。

ミステリじゃなく、恩田陸の小説を読みたい人にはぴったりな短編集です。