忌館 ホラー作家の棲む家 の商品レビュー
著者である三津田信三自身が、作品の主人公として登場する。 主人公が描く連載ホラー小説と彼の私生活が徐々に交差していき、物語の終盤ではついに境が曖昧になってしまう。 そしてその結末は… 面白い設定だった。 でも、作品中に筆者の好みをツラツラと並べたててたり、置き去りにされた伏線が...
著者である三津田信三自身が、作品の主人公として登場する。 主人公が描く連載ホラー小説と彼の私生活が徐々に交差していき、物語の終盤ではついに境が曖昧になってしまう。 そしてその結末は… 面白い設定だった。 でも、作品中に筆者の好みをツラツラと並べたててたり、置き去りにされた伏線があったりして、ちょっと残念。
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とある洋館に代々ついてまわる、恐ろしい因縁のお話。 そこに住み始めた主人公が、その家を舞台にして、過去の惨劇を下敷きにした小説を書き始めるという、入れ子のような構造になっています。 事件そのものも怖いのですが、作中作と作品がリンクし、どんどん境目が無くなって行くのが一番怖いで...
とある洋館に代々ついてまわる、恐ろしい因縁のお話。 そこに住み始めた主人公が、その家を舞台にして、過去の惨劇を下敷きにした小説を書き始めるという、入れ子のような構造になっています。 事件そのものも怖いのですが、作中作と作品がリンクし、どんどん境目が無くなって行くのが一番怖いです。 おまけで収録されている『西日』が、これまた怖い。非常に短いのですが、ぞくっとします。 結局、二階のどちらの部屋にも、恐ろしい仕掛けがあったのだな、と。
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※このレビューにはネタバレを含みます
三津田作品で刀城言耶シリーズ以外は初めて読みました。 ミステリ要素はあまり無く、かなりホラーです。 小説と現実の交差の中、その境界が徐々に あやふやになっていき、ラストもかなりぼやっとした感じで終わります。 はっきりとした結末が好きな人には向かないかも? とはいえ三津田作品はどれも読了後、何か言い表せないものが残るのが特徴かと思います。 前半はちょっと入り込み辛かったのですが、後半は引き込まれました。 夜、ひとりで読むのがオススメです。笑
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刀城言耶シリースでは、怪奇幻想趣味の空気を纏わせつつも本格ミステリを完成させている良質の作品を続々と世に出している著者のデビュー作です。 主人公は三津田信三、編集者であり怪奇幻想小説家でもあります、つまり著者自身です。作中作が登場し、このあたりは雰囲気が折原一っぽいような?ホ...
刀城言耶シリースでは、怪奇幻想趣味の空気を纏わせつつも本格ミステリを完成させている良質の作品を続々と世に出している著者のデビュー作です。 主人公は三津田信三、編集者であり怪奇幻想小説家でもあります、つまり著者自身です。作中作が登場し、このあたりは雰囲気が折原一っぽいような?ホラー色が強くジワジワと得体の知れない何かへの恐怖が盛り上がっていくところは上手いです。 今作の特徴としてホラー色>ミステリ色となっているため伏線の妙や論理的結末などは弱く(むしろないかも?)モヤモヤ感は残るものの一機に読ませる緊張感は著者の力量の成せる技でしょう。 個人的ツボは著者の編集者としての見識でしょうが、作中で述べられる乱歩論でした。怪奇幻想趣味と本格ミステリの趣向を両立させる矛盾の中で、乱歩がどのように己の道を歩んでいったか?また彼の道を引き継ぎ完成させつつある作家達のことまでが、乱歩ゆかりの土地をねり歩きながら主人公の口で語られていました。この部分だけでも読む価値アリと思われます。 そして、その完成形を三津田氏自身が目指してるんだな?と妙に納得しました。
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嘘の配合比率が絶妙。 ホラー系の編集を生業とする主人公が住んだ館は イギリスから移築された幽霊屋敷だった。 この小説は現実から 次第におかしな出来事が起こり ホラーへと進んでいく。 その嘘の配合比率が絶妙だ。 そもそも、小説とは リアルに嘘を混ぜたもの。 その配合比率で以...
嘘の配合比率が絶妙。 ホラー系の編集を生業とする主人公が住んだ館は イギリスから移築された幽霊屋敷だった。 この小説は現実から 次第におかしな出来事が起こり ホラーへと進んでいく。 その嘘の配合比率が絶妙だ。 そもそも、小説とは リアルに嘘を混ぜたもの。 その配合比率で以下のように分類できる。 リアル>嘘 リアル=嘘 リアル<嘘 例えば。 ある解剖学書で 骸骨の上に蠅が止まっている 細密画があった。 その蠅はもちろん、フィクション。 嘘なのであるが、 このハエがいっそうのリアルさを生んでいる。 少しの嘘はリアルを高める。 さらに嘘の配合比率がリアルと同じくらいになると 読者は今がリアルか、嘘がリアルかわからなくなってくる。 さらに言えば リアル<嘘 は嘘がリアルを追い越していく。 アンチリアルという新たな地平を拓くものといえる。 フィクションの世界こそが人生。 今いる人生はフィクション、仮想現実。 オタクの立ち位置はここだと思う。 そういった意味でオタクが アイドルやSF、アニメに傾倒するのは アンチリアルへの多いなる志向だと言える。 この嘘の配合比率の順番に 一番上がノンフィクションであり 二番目が一般の小説であり 三番目がホラーやSFという考え方もできる。 さて、この小説。 作者の三津田信三は 本物のミステリー系の編集者。 さらに作家が住んだ家の周辺も 実際に存在する。 作中に出てくる作家が応募した小説も 本当に応募されたものだという。 こうしたリアルを重ねて いつしか登場人物である作家は 迷宮魔界へと足をそっと踏み入れる。 その足の踏み出し方が絶妙で 読み終えた後でも この屋敷は本当にあるのではないか。 あってほしいと願う自分に気づく。 「にちゃり」という笑いの繰り返し。 イギリスの木の家、その中に置かれた家と瓜二つなドールハウス。 愛読者が次第に変質していく様。 この小説は多彩なホラーとサスペンスの要素をミックスして 読者を夜眠れなくさせてくれる。
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さっすが講談社、ホラーまで質が高い。 しかもミステリ要素も含んでいる。 三津田信三には講談社のこれからの、 ホラー小説を担っていってほしい。
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- ネタバレ
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作品世界と作中作の境界が曖昧になって読者を眩暈させる、という設定自体は真新しいものはないのですが、最後にここまでミステリ色の強いどんでん返しが入ったものは初体験かもしれません。 ただ、この手の話の陥穽になりがちだと思うのですが、読者を積極的に惑乱させようとする書き方は、下手すると若干あからさま過ぎて途中から辟易するんですよね…。本作は、非常にギリギリでした。 静かな夜に読むと、思わず家の中に何かいるんじゃないか、誰かに見られているんじゃないかと息を潜めてしまうような作品です。 単純にミステリ的なオチで締めることもできた本編を、文庫化に際して収録した短編を付けることでホラーに引き戻したやり方に、作者が主張したいスタンスも強く感じられます。 私の名前を騙って新人賞に投稿された奇妙な原稿。その頃引っ越した曰くありげな洋館を舞台に怪奇小説を書き始めた「私」のもとに、ファンだと名乗る女性が訪れる。やがて、小説と現実が入り混じったような奇妙なことが次々と起こるようになるが…。
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やっぱりホラーは、こわい。今は家がホントにこわい。 ホラーとメタ構造が融合した小説と聞いていたので、メタの苦手な私は不安半分で読み始めたのだが、実際に読んでみると、本格ミステリ&メタ構造の話よりかはストーリーが理解しやすく読みやすかった。 ただ、スプラッタものではなかった...
やっぱりホラーは、こわい。今は家がホントにこわい。 ホラーとメタ構造が融合した小説と聞いていたので、メタの苦手な私は不安半分で読み始めたのだが、実際に読んでみると、本格ミステリ&メタ構造の話よりかはストーリーが理解しやすく読みやすかった。 ただ、スプラッタものではなかったが、描写が気持ち悪いところも多く、直前に読んだ綾辻さんのanotherと比べると読後の印象はかなり良くない。とはいえ、そこらのホラーと違い、よく作り込まれているのがわかったので、引き込まれたのも事実だ。次の作品も読もうと思う。…気持ち悪くないといいけど。
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粗筋(アマゾンから引用) 奇妙な原稿が、ある新人賞に投稿された。“私”は友人から応募者の名が「三津田信三」だと知らされるが、身に覚えがない。そのころ偶然に探しあてた洋館を舞台に、“私”は怪奇小説を書きはじめるのだが…。本格ミステリーとホラーが見事に融合する三津田信三ワールドの記...
粗筋(アマゾンから引用) 奇妙な原稿が、ある新人賞に投稿された。“私”は友人から応募者の名が「三津田信三」だと知らされるが、身に覚えがない。そのころ偶然に探しあてた洋館を舞台に、“私”は怪奇小説を書きはじめるのだが…。本格ミステリーとホラーが見事に融合する三津田信三ワールドの記念すべき最初の作品が遂に登場。
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小説の中と現実?が交互にってやつだけど。。。 怖くないな。。。 面白いんだけどな。。。 怖くないんだよな。。。 途中、なぜか探偵小説論みたいになったとこは読み応えはあったけど、 ストーリー的に必要かな。。。 「一人の芭蕉の問題」は懐かしかったけど。。。 これはもう現代では達成されてるような気がするけど、 連城三紀彦は読んだことないからわからないな。
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