反貧困 の商品レビュー
問題提起をしたことに意味があるとするならばこの本には、私が評価した以上の価値があるのだろうが、この著者、結局の所、論理的な解決策を提示できていない。 公務員批判をし過ぎるし、世の中には、貧困問題以外でも公務をより複雑にし、公務員を過労へと追い込む問題が山ほどある。責任をそこに押...
問題提起をしたことに意味があるとするならばこの本には、私が評価した以上の価値があるのだろうが、この著者、結局の所、論理的な解決策を提示できていない。 公務員批判をし過ぎるし、世の中には、貧困問題以外でも公務をより複雑にし、公務員を過労へと追い込む問題が山ほどある。責任をそこに押しつけ、あとは人々の意識に問いかける。 結局の所、この国のシステムの根本に関わる問題であって、貧困問題から切り込んだところで、それは単なるしわ寄せにしか過ぎないのがどうも著者には分からないらしい。
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第三章などでは、ミクロな視点での生活保護を受けれなくて悲惨な状況に陥っているという記述がなされている。 でもだから生活保護を際限なく受給させるべきだと自分は考えていない。 そもそもの問題は生活保護給付ラインが客観的事実に基づいて運用されず、 かつ生活保護を申請する人間にと...
第三章などでは、ミクロな視点での生活保護を受けれなくて悲惨な状況に陥っているという記述がなされている。 でもだから生活保護を際限なく受給させるべきだと自分は考えていない。 そもそもの問題は生活保護給付ラインが客観的事実に基づいて運用されず、 かつ生活保護を申請する人間にとって厳しい基準がある(医者の診断書が必要等)ことにある。 自分はそもそも生活保護という制度自体廃止すべきだと思っていて、 代わりに負の所得税を導入すれば年収という客観的事実に基づいて再分配が行われるだろう。 奥谷氏の発言については、確かに偏りがちな意見とは言えるなあ。 でも、その後の湯浅氏のフリーターに置き換えるとっていうのは??って感じ。 フリーターもそれぞれだし、仮に正社員になりたかったフリーターだとしたのなら、 正社員になるような一定の努力を怠ったというのはあるのではないかと思う。 正社員になるということはそれほど門戸が狭くはないと思うけれども。(これは主観) で、第四章P108では「政治はこの間、貧困を拡大・深化させる方向で動いてきた」と記述されている。 ん?前章で政府が貧困のちゃんとしたデータを取ってないっていう話をしていたのだから、 確かに貧困ではないとは証明されないけれども、だからといって貧困だとも証明出来ないのでは? (見落としているのならごめんなさい) P126では「滞納などによる金銭トラブルになるのは約5%前後」 これを少ないといっているが、多くない?って個人的には感じますが…。 6年半で1300世帯に対して連帯保証人提供をされてきたとのことなので、 5%が2ヶ月家賃を滞納したら(5万円と仮定)650万円。一年に100万円か。 まあ、湯浅氏が少なくてよいよいと思っているのなら、それは良いのですけれども。 湯浅氏はP154で労働者派遣法を非難し、国が「貧困ビジネス」を支援してきたと断じている。 けれど、派遣が開放されていなかったら今頃海外に工場移転出来る会社は生き残り、 移転出来ない中小企業は価格競争から脱落して潰れてしまうという自体を招くと思うのだけれども。 派遣社員と失業者のどちらがよいかと考えたなら、前者の方が全然よいと思うのは俺だけなのかな。 派遣禁止をしたら、韓国のように失業率を高めるだけ。 ただ、派遣の中間マージンがあまりに多いというのは問題だと思う。 でも市場機能がうまく働いていれば、マージンは抑えられていくと思うのだけれど、 なぜ高止まりしているのだろうか。派遣企業同士でカルテルを組んでたりするのかな。 貧困の方々が悲惨な状況にあるのは分かった。 ただ、具体策はいまいち見えてこないし、生活保護のという制度に頼るのはどうかと思う。 (貧困者を救済することが悪いと言っているのではなく、生活保護という制度自体がよろしくないかと) どうでもいいけれども、この人一度見かけたことあるんだよね。もしもで働いていた時に。 まあ、湯浅氏の善意の結果、地獄への道の扉が開かれるなんてことのないように願うばかり。
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生活困窮者を自己責任論で批判したり、社会保障を減らしたりすることは、「溜め」のない仕組みを作り、回りまわって生活困窮者以外の生活水準、そして国力を下げることになる。貧困のスパイラル。
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雇用の悪化→社会保障の崩壊。今年はちょうどこの過程の真っ只中か?! 資本主義、新自由主義は万能ではない? 貧が貧を生み、金が金を生む現状は打破できないのか? むずかしい・・・。
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非正規社員、フリーター、ネット難民、ワーキングプア、生活保護からすべり落ちる人々、そして彼らを自己責任の一言で片付けてしまう社会、また彼らの存在する気づかない市民、いわゆる貧困ビジネスの仕掛人。本書はセキュリティーネットの修復、溜めとすべり台社会からの脱出を説き、貧困をなくし、「...
非正規社員、フリーター、ネット難民、ワーキングプア、生活保護からすべり落ちる人々、そして彼らを自己責任の一言で片付けてしまう社会、また彼らの存在する気づかない市民、いわゆる貧困ビジネスの仕掛人。本書はセキュリティーネットの修復、溜めとすべり台社会からの脱出を説き、貧困をなくし、「強い社会」を作ってゆくことを提言する。なかなか目に見えない「貧困」の存在を明らかにし、その対策を訴えたこと、かつ貧困救済の代表が書いた本として名著のひとつと思う。2008年度以降の活動について、続編を期待する。
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・貧困問題で湯浅誠をもう一冊。「貧困襲来」と内容は重なるが、もうすこし現在の行政、特に生活保護受給の問題点について現場からの視点で突っ込んだ内容。 ・貧困は社会の問題であり、憲法25条に反する状態なので政治で解決するべき問題だと本書は言う。貧困が自己責任の一言では解決できないのは...
・貧困問題で湯浅誠をもう一冊。「貧困襲来」と内容は重なるが、もうすこし現在の行政、特に生活保護受給の問題点について現場からの視点で突っ込んだ内容。 ・貧困は社会の問題であり、憲法25条に反する状態なので政治で解決するべき問題だと本書は言う。貧困が自己責任の一言では解決できないのは良くわかった。貧困という状態は自己責任でどうにもならないから「貧困」だということも。 ・生活保護というと、受給してない俺たちにとっては全然他人事という感覚だけど、生活保護基準が下がればそれに連動して条件が下げられる制度が多数存在しているので、注視していく必要がある。 ・これを読んだからって今すぐ何かができるわけじゃないけど、関心は持ちつづけることにする。
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遅ればせながら、読了。自ら日雇い労働者となって、その過酷な労働環境/形態をルポする一方で、緻密な文献研究で日本の「すべり台社会化」に警鐘を鳴らしている。ここで取り上げられていることのほとんどは改善されていないか、悪化してしまっている。 生活保護制度をはじめとした福祉行政のお粗末さ...
遅ればせながら、読了。自ら日雇い労働者となって、その過酷な労働環境/形態をルポする一方で、緻密な文献研究で日本の「すべり台社会化」に警鐘を鳴らしている。ここで取り上げられていることのほとんどは改善されていないか、悪化してしまっている。 生活保護制度をはじめとした福祉行政のお粗末さをあげつらう部分が何カ所も出てきて、「みんながみんな、こうではないんだけどな」と思ってしまう。じゃあ、「これだけのことを福祉の関係者はやっていますよ」と言えるかというと、全くそんなことはなく。 実践者は日々の業務に疲弊し、研究者は社会的活動を冷ややかに見ることしか知らない。ソーシャルワークのなかのソーシャルアクションを、学界全体でもっとすすめていかなければならない。いまを逃さずして、いつやるのだ?
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溜めが重要だということに同意。 もやいが、貧しい人々をつなげて、人間関係の溜めをつくってることに感動した。
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正直いって、この本はつらい。単純に私は途中で息抜きせざるをえなかった。 確かに本であるから、少し誇張して書いたり、貧困をより貧困と見せようとしているのかもしれないが、それを把握して読んだとしても、貧困ということについての印象は読む前と読んだ後では180度変わったといってもいいかも...
正直いって、この本はつらい。単純に私は途中で息抜きせざるをえなかった。 確かに本であるから、少し誇張して書いたり、貧困をより貧困と見せようとしているのかもしれないが、それを把握して読んだとしても、貧困ということについての印象は読む前と読んだ後では180度変わったといってもいいかもしれない(私が無知であるのもあるが)。 この本は中学生以降なら読んでおいていいだろう。内容が重いような気もするが、これを読んで貧困の現状を把握するのは、大変意味があることだと思う。
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湯浅誠『反貧困ー「すべり台社会」からの脱出』(2008)を読む。 既に出版から二年、遅ればせではあったが、 本書の視点・主張は現在でも少しも色あせていない。 堤未果『貧困大国アメリカ』『貧困大国アメリカII』を読み、 アメリカの貧困の現実に目を開かれたこと、 友人ブロガーharu...
湯浅誠『反貧困ー「すべり台社会」からの脱出』(2008)を読む。 既に出版から二年、遅ればせではあったが、 本書の視点・主張は現在でも少しも色あせていない。 堤未果『貧困大国アメリカ』『貧困大国アメリカII』を読み、 アメリカの貧困の現実に目を開かれたこと、 友人ブロガーharuharuyさんの感想も気になっていた。 日本社会のなにかがおかしくなってきたと感じている。 駅のホームレスが世に言う浮浪者、落伍者だけとは思えぬほど 多彩多様な人たちに広がってきた。 契約を打ち切られた人、退職を余儀なくされた人の再就職が より困難になってきた。 大学生・大学院生が就職面接で数十社落とされることも 例外ではなくなってきた。 そうしたすべての人たちが自分の義務を放棄し、 わがままで高望みしているだけだとはどうも思えない。 国際競争力のある政府・企業。 自立と責任がひとりひとりに要求される社会。 官から民へ。自由競争が新秩序を生む。 そうしたスローガンが繰り返される中で、 日本はいつの間にか「すべり台社会」が進んでいる。 まさかの時に受けとめてくれるはずの セーフティ・ネットもほころんでいる。 湯浅は「溜め」を作れるつながりが 貧困問題解決の鍵であると本書で主張する。 「溜め」とは金銭・経済の「溜め」であり、 家族や友人や仲間たちとの関係による人間同士の「溜め」であり、 国が憲法の精神を遵守して保障する社会の「溜め」である。 日本の貧困を直視することは胸が痛むことである。 できればそんな事実は知らないでいられるならと 思わないでもない。 しかし、僕たちがいま「ゆるやかな連帯感」を欲する心理には、 こうした社会的困難を見過ごせない「集合としての善意」が 働いているのではないかとも思えるのだ。 貧困は他人事ではない。 (文中敬称略)
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