反貧困 の商品レビュー
内容(「BOOK」データベースより) うっかり足をすべらせたら、すぐさまどん底の生活にまで転げ落ちてしまう。今の日本は、「すべり台社会」になっているのではないか。そんな社会にはノーを言おう。合言葉は「反貧困」だ。貧困問題の現場で活動する著者が、貧困を自己責任とする風潮を...
内容(「BOOK」データベースより) うっかり足をすべらせたら、すぐさまどん底の生活にまで転げ落ちてしまう。今の日本は、「すべり台社会」になっているのではないか。そんな社会にはノーを言おう。合言葉は「反貧困」だ。貧困問題の現場で活動する著者が、貧困を自己責任とする風潮を批判し、誰もが人間らしく生きることのできる「強い社会」へ向けて、課題と希望を語る。 目次 第1部 貧困問題の現場から(ある夫婦の暮らし すべり台社会・日本 貧困は自己責任なのか) 第2部 「反貧困」の現場から(「すべり台社会」に歯止めを つながり始めた「反貧困」) 強い社会をめざして―反貧困のネットワークを
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友達が紹介してくれたので読みました。 今まで知りもしなかった、日本の貧困問題。 ひどい、本当に、ひどすぎる。 すべり台社会という言葉がこの現状を言い得ている気がします。 読んでいて、腹立たしく、辛かったです。 同じ日本で、どうしようもない悪循環に、はまっている人がい...
友達が紹介してくれたので読みました。 今まで知りもしなかった、日本の貧困問題。 ひどい、本当に、ひどすぎる。 すべり台社会という言葉がこの現状を言い得ている気がします。 読んでいて、腹立たしく、辛かったです。 同じ日本で、どうしようもない悪循環に、はまっている人がいる。 それを、すべて、自己責任だと考えていた自分は無知すぎました。 『貧困の最大の特徴は見えないことであり、そして、最大の敵は無関心です』 この本で、かなり見方が変わったので、いろんな人に読んで欲しい一冊です☆
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生活保護を希望する外国人が増えています。 とりあえず言ってみた、言う感じの人もいるけど、 実際、ハンデがあって若くても就職は難しい場合も多い。 ただ一つ、必ず「帰国しなさい」という選択肢を加えられる。 10年以上も日本にいて、生活の基盤をこちらに作ってしまった人たちに、 最低限...
生活保護を希望する外国人が増えています。 とりあえず言ってみた、言う感じの人もいるけど、 実際、ハンデがあって若くても就職は難しい場合も多い。 ただ一つ、必ず「帰国しなさい」という選択肢を加えられる。 10年以上も日本にいて、生活の基盤をこちらに作ってしまった人たちに、 最低限の生活の保障すらない国に帰るほうがいいですよ、というのは、説得性を持たない気がする。 でも、就職もままならない日本人の友達のこととかも考えることがある。 自分なりにそのことについて、意見を持ちたいと思って、手に取った。 難しいことは全然書かれていなくてわかりやすかった。 社会や、企業が悪い、ということももちろんあるんだけど、 自分もその一員であると思うと、なんだか、自分はそのことを言うことができない。 ただ、貧困ということを、どのようにとらえればいいのか、 ということについて、すごく頭が整理されたし、 実際に行動している人だから、励まされた。 最後のセーフティネットであるのかもしれないのだから、 心してそうありたい。
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貧困は「溜め」がないために起こるというのが筆者の主張です。 「溜め」とは、お金や人間関係や公的セーフティーネットなどの困ったときに助けてくれるものです。 それらの実情が描かれています。 貧困は個人だけの責任ではありません。 上から目線の自己責任論ほど無責任なものはないです。
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後半の“溜め”という表現が引っ掛かった。貧困を防ぎ、最低限の生活を維持するための機能全般に対して筆者は“溜め”という言葉を用いている。一般的に言われる私有財産だけではなく、家族、友人といったソーシャルネットワークまで含有しているのが興味深い。 興味のある個所だけピックアップして...
後半の“溜め”という表現が引っ掛かった。貧困を防ぎ、最低限の生活を維持するための機能全般に対して筆者は“溜め”という言葉を用いている。一般的に言われる私有財産だけではなく、家族、友人といったソーシャルネットワークまで含有しているのが興味深い。 興味のある個所だけピックアップしているので、近いうちに通読したい。
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貧困が、いかに人を社会からの排除し、なかでも自分で自分を排除してしまう仕組みを作ってしまうのか、ということを丁寧に報告した本。「努力しなかったから貧しいのでは?」という自己責任論に対して丁寧に応答している。 個人的には、p140の図に非常に勇気づけられた。やはり、貧困がもたら...
貧困が、いかに人を社会からの排除し、なかでも自分で自分を排除してしまう仕組みを作ってしまうのか、ということを丁寧に報告した本。「努力しなかったから貧しいのでは?」という自己責任論に対して丁寧に応答している。 個人的には、p140の図に非常に勇気づけられた。やはり、貧困がもたらす「自分からの排除」を舫(もやい)の活動のなかで感じ、考えてきた著者だと思う。舫では、相談機関や社会資源の充実だけでなく、居場所を大事にしているとのこと。素敵な実践をしてはる方からの応援メッセージだと思った。
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2006年度、企業業績は売上高、経常利益ともに過去最高を記録した。 しかし、社会には、フリーター、派遣労働者、ワーキングプアといった、雇用環境の悪化を背景とする問題が山積している。 OECDによると、日本の全人口の相対的貧困率は世界5番目の15.3%、生産年齢人口の相対的...
2006年度、企業業績は売上高、経常利益ともに過去最高を記録した。 しかし、社会には、フリーター、派遣労働者、ワーキングプアといった、雇用環境の悪化を背景とする問題が山積している。 OECDによると、日本の全人口の相対的貧困率は世界5番目の15.3%、生産年齢人口の相対的貧困率はアメリカに次いで2番目の13.5%である。このデータを見るだけでも、国際的に、日本は貧困がある国であることは明らかである。 現在の日本は「セーフティネットが崩壊」した状態にある。そこから落ちる者が多いために、筆者は「すべり台社会」と形容する。 筆者は貧困に陥る原因として「溜め」の欠如を挙げている。これはノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センの「潜在能力」が欠如した状態という考えとほぼ同義であると、本書で解説されている。 「溜め」の意味については本書を参照してほしいのだが、生活に深く関わる「溜め」が欠如することは、人々が奈落の底に落ちていく原因に、十分になっている。 その生活を補助するためにあるのが「生活保護」という制度である。しかしながら、役所の窓口では「水際作戦」が展開され、追い返される貧困層の人々が多い。顕著な例は北九州である。北九州では餓死者も出た。 本来保護すべき人を保護しないのでは、生活保護制度たる意味がない。 行政のやり口がひどく、筆者の運営するNPO「もやい」に駆け込む人も多いという。 「もやい」のスタッフが同行するとあっさり申請が許可される。 こうしたことが今全国の自治体で起こっている。 本書から2箇所ほど引用したい。 「なぜ政府は貧困問題に向き合おうとしないのか。日本社会における貧困の広がりを認めなければ、貧困が生み出される社会構造はそのままに放置され、貧困はさらに拡大する。生活苦による犯罪、児童虐待を含む家庭内暴力、自殺が減ることは泣く、社会の活力はますます失われ…。(中略)しかし、それゆえに政府は貧困と向き合いたがらない。貧困の実態を知ってしまえば、放置することは許されない。なぜなら、貧困とは『あってはならない』からだ。貧困とは一言で言えば、憲法25条違反の状態である。国には、その違憲状態を解消する義務が生じる。しかしそれは、この間の政府の『小さな政府』路線に根本的な修正を迫らずにはおかない。(中略)『お金がないからできません』という言い訳が通用しなくなってしまう。財政出動を要求する事態になってしまう。だから見たくない、隠したい-こうして、政府は貧困を認めず、貧困は放置され続けている。」 次に本書で紹介されている貧困層の人の声を引用したい。 「もし、今一時的に労働者の保護・安全・生活を保障することで社会保障費が増えたとしても、このまま貧困層が拡大・増殖して国力の低下・社会不安・技術力の低下を招くより、さらなる10年後、20年後を見据え、派遣労働者・貧困層を救済するほうが国力の向上をもたらし、社会不安をなくし、より明るい未来をもたらすと信じます。」 まさに、私もこの発言に全面的に同意したい。 政府は一刻も早く貧困問題に積極的に取り組むべきである。 「溜め」というのは社会的要因をさすものであるから、「溜め」の欠如によって起こる貧困も、社会的問題であると、筆者は言う。 筆者は東大大学院単位取得退学後、路上生活者の支援活動を行い、現在、反貧困ネットワーク事務局長、NPO法人「もやい」事務局長などを通じて貧困層の救済に当たっている。 私は筆者を心から尊敬する。それはなぜかといえば、筆者自身がワーキングプアだからである。 お金持ちが貧困層を援助することは簡単だ。ばら撒けば良いのだから。 しかし、筆者の運営する「もやい」は月60万円の運営資金を3~4人のスタッフで分け合っているのだそうだ。 筆者自身の生活も苦しい中で、貧困の実態を世に(とりわけ政府・役人に対して)知らしめようとする姿勢には、頭が下がるばかりである。
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昨今の年越し派遣村、生活保護受給問題、貧困ネットワーク等を伝える数々の報道。 そして年始より自分の身近なところで関わることになったホームレス支援に関することから見えてきた私が感じた事実。 そこで私たちが住まう貧困の全体を見るヒントを得たく本書を読むことになった。 ヒントを得たいと...
昨今の年越し派遣村、生活保護受給問題、貧困ネットワーク等を伝える数々の報道。 そして年始より自分の身近なところで関わることになったホームレス支援に関することから見えてきた私が感じた事実。 そこで私たちが住まう貧困の全体を見るヒントを得たく本書を読むことになった。 ヒントを得たいという期待を損なうことなく、それ以上のもの得たという満足感があった。しかし満足感とともに今後の課題も山積みになった感も否めない。 著者はホームレス支援団体もやい、貧困ネットワークの事務局長を務め、社会運動家・活動家の肩書きをもつ湯浅誠さん。 内容は200ページの紙面を使った2部構成となっている。 第1部を「貧困問題の現場から」と題してこの国に蔓延するといっても過言ではない貧困の状態を研究者の視点ではなく現場の目線から論じている。 第2部は1部で語られた現状を踏まえたうえで、現在進行形で立ち向かっている活動やどのように貧困に立ち向かっていくのか?という課題が語られている。 本書で印象に残るキーワードは”自己責任論””5つの排除”アマルティア・センの”貧困の概念”だ。 本書を読む前、自己責任論に関しては論調が過剰すぎると思われた。 しかし読後は「貧困に陥るのは自己責任だ」と唾棄する前に、もっと慎重に自己責任については考えるべきだと改めるに至った。 この国は「自分は(社会は、国は)もういいんすよ」という考えで溢れている その諦念から1歩進んだ考えを選択する時期なのかもしれない。 以後も貧困に関しての本を読む気持ちが強くなり、著者が述べる「強い社会」を作るため一層力を込める決意に至った。
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今や時の人となっている著者の考えが濃縮されている一冊。 研究畑というよりは現場実践をしながら理論等にも考えをめぐらしている、貴重な存在だと思います。 著者の言う「すべり台社会」は、確かにその通りで、上手い例えをしたものです。世の中の大多数の人がすべり台のように一段一段登っていっ...
今や時の人となっている著者の考えが濃縮されている一冊。 研究畑というよりは現場実践をしながら理論等にも考えをめぐらしている、貴重な存在だと思います。 著者の言う「すべり台社会」は、確かにその通りで、上手い例えをしたものです。世の中の大多数の人がすべり台のように一段一段登っていって、落ちてしまう時は一気に下まで落ちる。特にこの不況下の現代においては、それは顕著でしょう。踊り場でずっと留まるというよりは、万が一下まで落ちてしまっても、また階段を登っていけるような、そんな社会を目指しての発言なのではないかと感じています。 それは「溜め」や「五重の排除」(特に「自分自身からの排除」)という言葉もそうで、つまりは安定した場所に居続ける方法を考えるのではなく、できるだけ落ちないようにしながらも万が一落ちてしまった場合に再び社会参加できる場が与えられるか。それが、本書も含めた、貧困問題のネックなのではないかと思います。 「溜め」は何も著者が初めて考えたのではないと思いますが、著者の経験から発せられる言葉は一言一言に重みがあります。貧困の最前線で奮闘してきた人の言葉には、僕らも耳を傾けるべきなのではないでしょうか。 「事実としては、貧困状態にある人たちの多くは、連帯保証人になってくれるような頼れる関係(人間関係の“溜め”)を持ってなかった。そのため〈もやい〉の発足を準備する過程で、私たちは「人間関係の貧困も貧困問題である」というメッセージを打ち出した」(p130)
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1人のNPO法人の主催者が書いたとは思えない程、貧困問題について整理されていた。 現場で活動しつつ、政府へも働きかけを行っているので、現場での目線と社会全体を俯瞰した見方を両方持ち合わせていた。 特に終章で、貧困は、貧困にあえいでいる人が問題なのでなく、貧困を生み出す社会そのもの...
1人のNPO法人の主催者が書いたとは思えない程、貧困問題について整理されていた。 現場で活動しつつ、政府へも働きかけを行っているので、現場での目線と社会全体を俯瞰した見方を両方持ち合わせていた。 特に終章で、貧困は、貧困にあえいでいる人が問題なのでなく、貧困を生み出す社会そのものが問題であり、人間を再生産できる強い社会を作らなければならない。貧困と戦争の問題はセットで考えなければならない、といった言葉は非常に共感が持てた。
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