反貧困 の商品レビュー
「まえがき」の時点で怖じ気付いて、本文を読むことを躊躇われた。実際ホラーより怖かった。今の自分はなんとかやっていけてるけれど、一歩踏み外したら転落しそうなので、困ったときの相談窓口など知ることができてよかった。貧乏と貧困は違うんだなとハッとさせられた。自分の持っている「溜め」が少...
「まえがき」の時点で怖じ気付いて、本文を読むことを躊躇われた。実際ホラーより怖かった。今の自分はなんとかやっていけてるけれど、一歩踏み外したら転落しそうなので、困ったときの相談窓口など知ることができてよかった。貧乏と貧困は違うんだなとハッとさせられた。自分の持っている「溜め」が少ないと気付いたので、人間関係なり知識なり少しずつでいいから増やしていきたい。
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国内の貧困問題を自己責任と片付ける人が、権力者を中心に見られるが、本書はそのような自己責任論に一石を投じたものである。前半部分では貧困に至った人の事例をあげて、個々の努力には限度があることを指摘する。自己責任論は、ほかの選択肢を等しく選べたはずという前提があること、また、貧困は...
国内の貧困問題を自己責任と片付ける人が、権力者を中心に見られるが、本書はそのような自己責任論に一石を投じたものである。前半部分では貧困に至った人の事例をあげて、個々の努力には限度があることを指摘する。自己責任論は、ほかの選択肢を等しく選べたはずという前提があること、また、貧困はやむを得ずに選択するということ、ここを履き違えてはならないのである。 10年以上前に出版された本とはいえ、現代でも学べることがあり、「無関心」が貧困の最大の敵であるのは強く共感した。当時よりもSNSが普及したことで、隠れがちな社会問題を可視化できる世の中になったことはある意味進歩だと思う。しかし、本書で繰り返し訴えた「溜め」の領域は、依然として不十分なので、社会の強化、とくに昨今跋扈する新自由主義者に対抗するために、これからも訴え続けるべきである。
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反貧困ネットワーク -2009.03.25記 昨年暮れの「年越し派遣村」から全国各地に拡がった「駆込み相談会」など反貧困ネットワーク運動の旗手、湯浅誠の岩波新書「反貧困」をやっと読了。 その第一感、69年生れで今年40歳になるという若い著者は、この世代にはめずらしいほどの、骨太の思想家であり活動家だと受けとめ得た。 本書の内容について云々することなど必要はあるまい。私の手許の本書が12月5日発行の第5刷とあり、さらに刷を重ね、なおベストセラーであり続けていようから、より広汎に多くの読者を獲得されることを期するのみだ。 著者に云わせれば、貧困は「ある」と「ない」の間にあるからだ、と。 貧困の最大の特徴は「見えないこと」であり、最大の敵は「無関心」だ。
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現代日本の貧困の広がりと、そこから這い上がることを困難にしている社会の構造を訴えた、2008年の新書。貧困の実情と構造を伝える第一部と、著者も深くコミットする「反貧困」の活動を伝える第二部からなる。約220ページ。 第一部では、著者が関わる自立生活サポートセンターの利用者である...
現代日本の貧困の広がりと、そこから這い上がることを困難にしている社会の構造を訴えた、2008年の新書。貧困の実情と構造を伝える第一部と、著者も深くコミットする「反貧困」の活動を伝える第二部からなる。約220ページ。 第一部では、著者が関わる自立生活サポートセンターの利用者である夫婦の来歴をとおして貧困の実例を確認する。そこから分析される貧困に陥るメカニズムとしては、「雇用(労働)」「社会保険」「公的扶助」という三層のセーフティネットが機能していない現状を訴える。そして、このような貧困を考えるキーワードとして、いかにして「自己責任」という言葉が広く浸透し、内面化したかを考える。ここではとくに、「他の選択肢を等しく選べたはず」という自己責任論の大前提そのものが現在の貧困問題には当てはまらないことを強調する。そして貧困の具体的な原因には、「小さな政府」を推進する政財界の意向、自助努力を要求する政府のありかたをあげ、これを徹底的に批判する。 第一部の現状を受けた「反貧困」の活動の状況を伝える第二部は、著者を含む非営利団体による公的機関への働きかけと、それに対する政府の動きを確認する。複数人が死亡する原因となった北九州市の対応例をはじめ、貧窮者にも徹底して生活保護受給を出し渋る公的機関の非人道的な対応の根源に、貧困を頑なに認めようとしない政府・厚生労働省の態度を糾弾する。ここでは「ネットカフェ難民」問題と現代の「飯場システム」として機能してしまっている日雇い派遣労働などを貧困の実例に、貧困者自身が「自己責任論」を深く内面化してしまっていることを伝える。また、政府自体が貧困問題を天下り先確保のための施策として利用し、民間企業だけでなく政府までもが「貧困ビジネス」に加担している現実を非難する。 社会活動家としての経験による貧困の現場のレポートに加え、政治学の専門家の観点から多くの人が貧困に陥り、そこから浮上できない構造的な問題に関して深い示唆を与える。著者の分析によって特定される現代日本の貧困の原因は明確である。それは前述のとおり、具体的な問題としては財界の要望ともあいまって新自由主義を推進し、貧困者を認めようとせずに、むしろ貧困ラインの切り下げによって問題を拡大させてしまう政府の姿勢にある。そして、このような状況を可能とする風潮として、本書で何度となく用いられる「自己責任」の精神が横たわっている。著者はこの二点について、政府のありかたを強く非難し、貧困の原因が自己責任の不足ではなく、むしろその過剰な内面化によって惹き起こされていると主張する。 著者は本書の役割を貧困問題の可視化にあるとする。なぜなら、貧困問題に限らず「姿が見えない、実体が見えない、そして問題が見えない」こと自体が、多くの社会問題に共通するポイントだからである。その意味で、本書は貧困問題の実例と構造、原因を理路整然と、かつ平明に伝えたうえで強い印象を与えて問題意識を喚起させ、その目的を十二分に果たしていると思えた。さらに、非正規雇用の増加が結果的に正規雇用者に対しても厳しい労働を強いることや、児童虐待、「最後のセーフティーネット」としての高齢受刑者の増加など、貧困問題が関係する与える負の連鎖と、その先にある戦争への免疫力の低下という恐ろしい事態への自覚を促し、貧困が同じ社会に住むすべての人々に大きな影響を与える問題であることを思い知らせる。 本書の出版から14年が経ち、そのなかで個人的に感じた社会の変化としては、自己責任を追求する風潮は以前より和らいでいるように感じられる。ひとつには著者のような論者の発信によって、貧困問題の大部分が経済力や人間関係をはじめとした環境に大きく依存する事実への理解が広まりつつあるのかもしれない。そしてもうひとつは、現実に貧困への危機を他人事として捉えられなくなった人が増加しているという社会全体の貧困化の広まりにあるのではないだろうか。
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事例が多め 「滑り台社会」 五重の排除 ・教育課程・企業福祉・家族福祉・公的福祉・自分 自己責任論的な福祉は人を殺す 貧困ビジネス
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めちゃくちゃ勉強になった。 読んでる最中にDaiGoの炎上があったからより内容が濃く感じられた。 貧困問題を見ないことは社会全体の首を絞めることでとても危険なこと。 そして当たり前にあるはずの人権を国や他者に許可してもらう/もらえないなんてことがあってたまるかよ! 少し前ゾゾの前園社長がお金配ってたけど、上下関係ができそうで人権って意味でも危険な行為だなってこの本読んでから思った。 ホームレスの人の命を軽視せず支援することは社会全体にとってプラスになるという知識を得た今、DaiGoの発言が残念すぎる
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この本が出版されてから、かなり時間が経ってから読み終わった。 反貧困ネットワークは、依然活動しているようだが、以前のような見える形ではなくなった。貧困が解決している訳ではないだろうが、アピールがうまくなくなったのか、単にメディアが取り上げなくなっただけなのか。 著者も、一時期...
この本が出版されてから、かなり時間が経ってから読み終わった。 反貧困ネットワークは、依然活動しているようだが、以前のような見える形ではなくなった。貧困が解決している訳ではないだろうが、アピールがうまくなくなったのか、単にメディアが取り上げなくなっただけなのか。 著者も、一時期「時の人」となったが、最近は見かけない。これも、単に、こちらの情報感度の問題だけなのかもしれないが、これだけ、反貧困に対する知見と経験を持ち合わせている人が、表舞台に出てこないのはなぜだろう。何かあったのかもしれない。 今(2021/9現在)、メディアは自民党の総裁選一色である。申し訳程度に、野党の政策を報道する程度だ。野党もだらしがない。政権の批判ばかりが目立ち、主張する政策も「軸」が見えない、寄せ集め感がある。 著者のような人を、先頭に立てて、野党をとりまとめれば、アメリカで、サンダース旋風が巻き起こったように、日本の政界にも風が吹くのかもしれない。そんなことを感じた。
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貧困とは他の選択肢を等しく選ばない状態のこと。 健全な社会とは自己責任論の適用領域について線引きできる社会。 自己責任論は過去を問うばかりの後ろ向きの理屈である。 首長の根拠をしっかり見る。
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貧困になってしまうのは自己責任の部分が多いと思っていたが、この本をきっかけに必ずしもそうではないと思った。貧困になってしまうには負のスパイラルにはまりこんでいく。貧困から脱出するには第三者の協力が必要であろう。個人では自信を損なわれ、行政と対等に手続きすることもできない。生活保護...
貧困になってしまうのは自己責任の部分が多いと思っていたが、この本をきっかけに必ずしもそうではないと思った。貧困になってしまうには負のスパイラルにはまりこんでいく。貧困から脱出するには第三者の協力が必要であろう。個人では自信を損なわれ、行政と対等に手続きすることもできない。生活保護に関しては行政は特に厳しく対応するのが現状だと思う。
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2008年刊行時に「「まじめに働いてさえいれば、食べていける」状態ではなくなった。」(P21)、雇用(労働)のネット、社会保険のネット、公的扶助のネットの綻びが露呈してきていると指摘されていました。コロナ禍で、やっと人ごとではなく、助け合いによる溜めをつくる必要性に気付いたような...
2008年刊行時に「「まじめに働いてさえいれば、食べていける」状態ではなくなった。」(P21)、雇用(労働)のネット、社会保険のネット、公的扶助のネットの綻びが露呈してきていると指摘されていました。コロナ禍で、やっと人ごとではなく、助け合いによる溜めをつくる必要性に気付いたような気がします。
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