負けるのは美しく の商品レビュー
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娘さんのくだりを読んだ。つらかっただろうな。怒ることに時間を割くくらいなら娘さんのために時間を使いたかっただろうに。娘が病に侵されていくことへの無力感、ずさんな病院に対する怒り、仕事と家庭との両立、自分の感情の整理のつかなさ。感情移入しながら読んで疲れてしまった。
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(俳優業はもちろん)情熱的な書評を書く人、というのは知っていたけどエッセイまでめちゃくちゃ面白いとは知らなかった。演じること、老いの孤独を書かせても絶品だが初めて海外小説を原書で読みとおした時の話がすごく良い。原文で読むことの喜びをここまで言語化した文を読んだことがない。この本を起点に次は夢枕獏の「神々の山嶺」を読みます。
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温和で素敵な紳士と言うイメージの児玉さん。私は俳優というより、書評を書く人という意味で存知あげていた人であったが、ガッツを持って生き抜いていらした方だったこを知って、ますます好きになった。そして、彼のガッツを見習って(外にでなく、自分に向けて)仕事にもガッツを持って取り組まねば!...
温和で素敵な紳士と言うイメージの児玉さん。私は俳優というより、書評を書く人という意味で存知あげていた人であったが、ガッツを持って生き抜いていらした方だったこを知って、ますます好きになった。そして、彼のガッツを見習って(外にでなく、自分に向けて)仕事にもガッツを持って取り組まねば!と思ったりもした。人間が好きになる。素敵な1冊。
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稀代の名司会者だった児玉さん。実はエッセイスト、レビューワーとしても超一流だった。 でもご本人の自分評は、「負けてばかりの人生」。 俳優を目指したが映画スターにはなれず、テレビに活路を見出すが、テレビは女優の引き立て役ばかり。 そんな中でも、ミステリ小説という自分なりの「趣味」を...
稀代の名司会者だった児玉さん。実はエッセイスト、レビューワーとしても超一流だった。 でもご本人の自分評は、「負けてばかりの人生」。 俳優を目指したが映画スターにはなれず、テレビに活路を見出すが、テレビは女優の引き立て役ばかり。 そんな中でも、ミステリ小説という自分なりの「趣味」を愛し、家族と仕事に誇りを持ち、自分なりの「美学」を築き上げていく。 知らないうちに、俳優でも司会者でもない、「児玉清」さんそのものの「美学」に、私たちは魅了されていましたね。 簡潔な文章に、胸がぐっときます。亡くなったあとでも、何回も読み返し、「この人なら友達になれそうだな」と勝手に思っています。 そして、今日も人生に「ファイティングポーズ」!(アタック25風に^^)
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映画俳優としての児玉清さんは、成功者とは言いづらい存在だった。でも、ときおり見せる個性的なえんぎ、存在感はまだまだ期待の持てる俳優だったと思う。とは言え、日本映画界の凋落とともに、テレビを主たる仕事場にせざるをえなかったのだろう。 本書はそんな人物の回顧記、鈴木英夫監督や堀川...
映画俳優としての児玉清さんは、成功者とは言いづらい存在だった。でも、ときおり見せる個性的なえんぎ、存在感はまだまだ期待の持てる俳優だったと思う。とは言え、日本映画界の凋落とともに、テレビを主たる仕事場にせざるをえなかったのだろう。 本書はそんな人物の回顧記、鈴木英夫監督や堀川弘通監督等の東宝映画の内幕といった面白さもあるが、一人の男の職業人生における戦い、矜持といった世界を見せつけてくれる一冊である。
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児玉清さんの半生を綴ったエッセイ。最初の母とパンツが凄く面白かった。 最後の章の娘さんの話はそんな話があるんだ・・・と少し病院に不信感をもちました。話の中で出てくる俳優さんがほとんど分からなかったけどわかったらもっと 楽しいんだろうなと思う本でした。
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品性と知性と教養を兼ね備えた児玉清さん。 でも実は、熱い反骨精神と、お茶目な一面もお持ちの寛大で優しい方だったのだなぁ。 独自の視点を持ちながらも、他者にも優しいのは、文章の語彙や表現の豊かさからも伝わってくるようです。 往年の俳優さんたちの武勇伝なども披露してくれていますが、俳優として、人としての魅力とはどういうものなのか、考えてみたくなります。 最終章では、若くして亡くなられた娘さんへの思いが胸にささりました。 でも途中まで、実は「柳生博さん」の本だと完全に勘違いして読んでいたことは、内緒・・・(苦笑)
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穏やかで知的で、絵に描いたような「紳士」。児玉清さんにはこんなイメージを持っていたのだが、この自らの人生を振り返った一冊を読んで、そのある意味では平板な印象は大きく変わった。清潔感のあるダンディな風貌のかげに、こんな苦悩や葛藤があったなんて。 俳優人生五十年のうち十年にも満たな...
穏やかで知的で、絵に描いたような「紳士」。児玉清さんにはこんなイメージを持っていたのだが、この自らの人生を振り返った一冊を読んで、そのある意味では平板な印象は大きく変わった。清潔感のあるダンディな風貌のかげに、こんな苦悩や葛藤があったなんて。 俳優人生五十年のうち十年にも満たない映画俳優時代のことが多く語られている。あまり芽が出なかったというこの時代だが、児玉さんにとってはやはり原点で、語りたいことがたくさんあるのだろう。映画作りの現場の納得しがたい理不尽さが書かれている所など、児玉さんの意外な硬骨漢ぶりに驚かされる。そしてなんといっても、個性あふれる監督や名優たちとのエピソードが抜群に面白い。オープンカーで疾走する三船敏郎氏とか、じっと空を見上げる森雅之氏の話など、まるで短い映画のようだ。 最終章では、三十六歳という若さで癌のため亡くなったお嬢さんのことが書かれている。ページから慟哭が聞こえるようで、涙なしには読めない。親としての真情が吐露されており、何をもってしても埋め合わせにはならない、かけがえのないものがあるということを痛切に感じる。 読書家として知られていた児玉さん、各章の冒頭のエピグラフは英語の引用で、さすがは原書でミステリを読んでいた人だ。所々に本好きとしての姿が顔をのぞかせていて、そこにも惹きつけられた。何で読んだか忘れたが、林真理子さんが成田で見かけた児玉さんは、洋書一冊だけを手にしていて、それを検査機に通してピックアップする姿が颯爽としていたそうだ。うーん、かっこいい。
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負けるのは美しく。心にズシッと響く児玉清さんのモットー。人には他人にはわからない想いがある。素敵な生き方だ。
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映画俳優としての思い出からテレビドラマへの移行について。最終章では娘さんの最期に触れる。 目の前で話してくれているように、滑らかに理解できる抑揚が上品。
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