犬はどこだ の商品レビュー
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犬捜し専門調査事務所に舞い込んだ謎は、女性の失踪と古文書解読。 紺屋と半吉、対照的だが通じる部分もある二人の視点が交互に移り変わっていく。 一見地味な二つの謎が少しずつ解かれ、繋がるさまはやはり本書の醍醐味だろう。 〈デュプリケート〉、〈マーチヘマ〉、絵葉書、住民票、『戦国という中世と小伏』などなど、伏線回収も見事。 返却のタイミングで、間壁がいつ攻めにくるかをコントロールしていた、というのには脱帽。 「自衛」が本書のテーマだそう。 城を築き、略奪者に自ら立ち向かう農民たち。 ネットストーカーを操り、罠へと誘い込む桐子。 そして桐子の自衛は成功する。 紺屋は、桐子の「自衛」から身を守るため、番犬を買うことを決めた。 文句が一つもない。余韻に浸りながら、タイトルとサブタイトルを見返し、さらなる余韻に浸る。
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ハードボイルドもの。探偵と相棒の二本立てで進んでいくという、ちょっと変わった進行の仕方。伏線と最後のどんでん返しも、結構面白い。
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読みやすかったし面白かった。直近で読んだ「叫びと祈り」よりも断然こっちの方が文章も物語の展開の仕方も好きだった。最初軽快に進んでいたストーリーがまさかああいう終り方になるとは思っていなかった。テンポ良くコミカルに描かれる物語にきっとスカッと爽快に事件が解決してデコボココンビ2人がこれからも予期せぬ事件を解決し続けていく、シリーズ作品的なそんな感覚で捉えていたけど、そういうフィクショナルな単純にキャラクタライズされた話ではない終り方だった。ので、こう、どう気持ちを持っていって良いか分からないところはある。急にハシゴが外れた感じ。でもそれも含めて面白かったのでもうちょっとこのもんもんとした読後感についてぐるぐる考えようと思った。ハンペーリテラシー高すぎぃ。桐子さん怖すぎぃ。
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続きが気になる展開、紺屋部長とハンペーの絡みももう少し見たかった気がする。何はともあれ、紺屋部長の追いかけている謎が繋がり始めたあたりが盛り上がったかな。読みやすいし面白かったけど、イッキ読み!とまではいかず。
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大学卒業後銀行に勤めるも調子を崩して退職。故郷に戻ったら治らなかったアトピーも治ってしまった。そこで犬の探偵業を始めた紺屋。お客がくるかと思いきや開業初日で2件もの客。いずれも村役場に勤める同級生からの紹介だった。ここでも穂積氏の故郷の岐阜県あたりの山村が舞台かなあなどと思いつつ...
大学卒業後銀行に勤めるも調子を崩して退職。故郷に戻ったら治らなかったアトピーも治ってしまった。そこで犬の探偵業を始めた紺屋。お客がくるかと思いきや開業初日で2件もの客。いずれも村役場に勤める同級生からの紹介だった。ここでも穂積氏の故郷の岐阜県あたりの山村が舞台かなあなどと思いつつ読む。失そうした孫娘の捜査と、村に残る古文書の解読。捜査をするうち二つが関係してくる。 孫娘がけっこう強い意志を持つ女性として描かれる。テンポよく物語は進む。映像化したらおもしろいだろうなあと思いつつ読む。 2005.7.25初版 図書館 読んだのは単行本
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'21年5月29日、読了。 面白かった!楽しんで、読みました。適度なユーモア(読了後、改めてタイトルに笑ってしまった!)、そして、この人らしい謎解き等…イッキに読んでしまいました。田舎町の、のどかな風景と、そこに蹲るようにして存在する、閉塞感に、ちょっとブレーキを踏み...
'21年5月29日、読了。 面白かった!楽しんで、読みました。適度なユーモア(読了後、改めてタイトルに笑ってしまった!)、そして、この人らしい謎解き等…イッキに読んでしまいました。田舎町の、のどかな風景と、そこに蹲るようにして存在する、閉塞感に、ちょっとブレーキを踏みながら。 この作家さん、本当にハズレが無い!次は、どれを読もうかな…。
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駆け出しの探偵事務所に舞い込んだ「人探し」と「古文書解読」。それがビミョウにリンクして巻き込まれる事件。 紺屋とハンペーの捜査にモヤモヤとしつつも、最後までどういう結末になるのか分からないまま、最後のほんのりイヤミス展開、嫌いではない。 最後まで読んでいろいろ気になるところはある...
駆け出しの探偵事務所に舞い込んだ「人探し」と「古文書解読」。それがビミョウにリンクして巻き込まれる事件。 紺屋とハンペーの捜査にモヤモヤとしつつも、最後までどういう結末になるのか分からないまま、最後のほんのりイヤミス展開、嫌いではない。 最後まで読んでいろいろ気になるところはあるけど、この紺屋S&R事件簿が読みたいかも。
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車においといて、出先でちょっとずつ読んでたんだけど、読むたびに前のことを忘れてるから、戻って読んでってことを繰り返すこと数年。やっと読み終えた。 米澤穂信作ってことをあまり意識しないで読んでたんだけども、終わってみると王道らしいミステリーだった。そして、イヤミスとまではいかないまでも「あぁ、こういう終わりカー」というあたりに氏らしさを感じた。 2つの依頼がいずれクロスすることになるのは予想がついたものの、古文書とブログという2つのテキストをつなげることで、時代を超えた人の意思が収斂していくと。そしてそれが動機になるわけだから、その伏線具合はさすが。 いつの時代も人の声は形に残るもので、だからこそミステリーには重要な要素なんだと実感した次第。
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面白い!オチが凄くいい!こういう解決の仕方もあるのかと感心した。そして事件解決後の探偵の心情を考えると震えるものがある。 途中それはさすがに無理だろという展開もあったけど読んで良かったと思える一冊でした!
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うーん、まあまあかな...。退職し地元に帰って調査事務所を開業した紺屋。「犬探し専門」と宣言したのに、舞い込んだ依頼は失踪人捜しと古文書の解読。紺屋は失踪人担当、後輩のハンペーは古文書担当として調査に乗り出す。読んでいてあれ、あまり面白くないかも..と思ったが、ほのぶ氏の初期の作...
うーん、まあまあかな...。退職し地元に帰って調査事務所を開業した紺屋。「犬探し専門」と宣言したのに、舞い込んだ依頼は失踪人捜しと古文書の解読。紺屋は失踪人担当、後輩のハンペーは古文書担当として調査に乗り出す。読んでいてあれ、あまり面白くないかも..と思ったが、ほのぶ氏の初期の作品だったのね。文章自体がやはり近年作品の方が巧みでお上手。しかし本作も種明かしはムリなく「ほほう」と思う手口で流石ほのぶ氏。ただラストが盛り上がらず、紺屋のキャラも今一つ魅力がないような。ハンペーは読むにつれて好きになってきた。
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