レベッカ(下) の商品レビュー
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下巻も面白かったです。結局、主人公の名前出てこなかった…すごい。 原作は、主人公はちゃんとマキシムと並んで立ってるのが良いな。映画はひたすら守られてる感じの弱々しい若い女性だったので。原作では成長して妻になってる。 ふたりを執拗に追い回すレベッカの影は、失われたマンダレーを伴って濃くなった気がします。でもウィンター夫妻は離れることは無いだろうな。 マンダレーが燃えてるっぽい…で終わるラストも良かったです。上巻の冒頭でマンダレーがどうなったかはわかるし、全てを語らなくてもよいです。
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レベッカの遺体が見つかってからの展開は、上巻のマンダレーを一瞬で激流に放り込むようだ。それは、疑心暗鬼だった主人公(実は名前がない)のキャラが性格が、展開を推し進めるようだ。それが、レベッカのマンダレーを徐々に変えてゆく。 結婚したマキシムとレベッカは、きっと、上流階級ではよくある関係なのかもしれない(あくまで小説としては)。そして、二人は、お互いに最高のものを手に入れていたから。 マキシムに”悪徳の権化みたいな女”と言わしめたレベッカは、ダンヴァーズ夫人の語る「誰にも恋などせず、男のことはみんな軽蔑していた」姿で、自分を愛していた。かもしれない。 さらに、病気を利用して嘘をつくところは、”レベッカ自身”、”マンダレー”そして”夫・マキシム”をすべて、我が手中にいれる離れ業を堂々と演じた。 本書のタイトルが、”レベッカ”である理由が胸に拡がる。 だから、本当の意味でレベッカを失った”マンダレー”には、その存在意義は無くなってしまった。最後の場面では、炎に消えるしかなかった。 主人公が夢に見る”マンダレー”は。
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完全に騙されてましたー!やられたー!ってなりました。上巻では『わたし』への感情移入が強くマキシムがが亡くなったレベッカを忘れることができず、次第にわたしが壊れていくって感じかと思っていたので、まさかマキシムがレベッカを全く愛していなかったなんて、、!レベッカもなんたる悪女! 最後は老いていったりするならさっと死にたいと言っていたように、妊娠した風を装い、マキシムに自分を殺させるように仕向けるのもすごい! まさかの癌だったとは、、、 ダンヴァーズ夫人がレベッカを崇拝していて、最後マンダレーに火をつけるところまでレベッカの計画だったらと思うとゾゾっとした。 本当に何回も騙されていた。面白かった!
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死んだ人には敵わない …というような話かと思っていたら、下巻で話は急展開に。この展開は読めなかった。 最後まで「わたし」の名前も何者なのかも詳しくは明かされず。でも心理描写が素晴らしくてまるで自分が「わたし」であるかのような気持ちで読んでいた。 訳も読みやすく、終始映画を見ている...
死んだ人には敵わない …というような話かと思っていたら、下巻で話は急展開に。この展開は読めなかった。 最後まで「わたし」の名前も何者なのかも詳しくは明かされず。でも心理描写が素晴らしくてまるで自分が「わたし」であるかのような気持ちで読んでいた。 訳も読みやすく、終始映画を見ているようだった。
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実際にはハードカバーで読んだのでリストに出てこなかったので… ・本が重いのもあり、また、最初のマンダレーの描写がまどろっこしくて、なかなか読み進められない。 ・マキシムが登場したあたりからようやくハマり始める。 ・中盤まで特に、ヒロインが読んでて本当にイライラさせられた。うじうじしてて、翻訳独特のまどろっこしい繰り返しとかそういうので更に。 ・そして途中からはマキシムにも更にイライラ。 ・レベッカの死の真相が語られたあたりでようやく登場人物に対するイライラか消える。 ・終わりがあっさりすぎて、ページをまとめてめくっちゃったのかなと思ったくらいだった。 上の箇条書きでは、なぜ4つ星?と思われるかもしれないけど、読み終わった後は、じわじわ思うところもあり、面白かったので。 ヒロインがレベッカに重なる描写があったが、それ以降はベーカーの話などが入ってきて、また、震えるヒロインに戻ってしまうんだけど、冒頭を思い出すと、結局レベッカのようにはならなかったってことなのかな。30代に至るまでにどう過ごしたのかとか、見てみたかった気がした。 マキシムは、ヒロインのざっくり言ってしまうと幼さや、あどけなさ、自信のなさに魅力を感じているようだつたけど、事件の真相話した後のヒロインは、明らかに変わったと思う。 それでもマンダレーがなくなったあとも、結婚生活は続いていたようだし、マキシムとの間に新たに生まれた感情は愛なのか、それとも秘密の共有によるものなのか、、とか色々考えさせられる。 また、フランクの献身も、なぜあんなにと思ってしまうのだけど、時代的にはそんなものなのかな? 訳者解説によると、時代的には少女が女性になっていく物語がウケていたそうなので、その視点で見ると、面白い物語だったと思う。 そして、作者が出版社にこの作品を送った際に添えたという「サスペンスを醸し出すようにしたが、最後はちょっとあっけなくて、なんだか暗い」というのが、まさにその通りすぎて、ちょっと微笑ましく思えた。
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「ゆうべ、またマンダレーに行った夢を見た」有名な書き出しで始まるサスペンス、心理スリラー、ゴシックロマンスの名作。ヒッチコックが映画化し、主人公をジョーンフォンティンが演じた「レベッカ」だ。老婦人に世話係に雇われてモンテカルロ旅行に同行した21歳の「私」は、海難事故で妻を亡くした...
「ゆうべ、またマンダレーに行った夢を見た」有名な書き出しで始まるサスペンス、心理スリラー、ゴシックロマンスの名作。ヒッチコックが映画化し、主人公をジョーンフォンティンが演じた「レベッカ」だ。老婦人に世話係に雇われてモンテカルロ旅行に同行した21歳の「私」は、海難事故で妻を亡くした貴族マキシムと出会い後妻となる。しかし彼の邸宅マンダレーには先妻レベッカの存在が強く残り家政婦頭には敵意さえ感じられる。舞踏会の翌日レベッカのヨットが見つかり…マキシムの秘密、レベッカの秘密、マンダレーの秘密が次々と明らかになる。ひぇー!育ちが良く美しく魅力的なレベッカの影、庶民出身の若き後妻「私」の不安、登場人物たちがそれぞれ考えていること、全部が気持ちよく繋がる見事な伏線。 この表紙のイラストは貴族の生活とは関係ない単なるオシャレさんにしか見えずイメージは台無しだ。しかしデュモーリア自身の写真が「私」っぽくて可愛い。「私」は庶民の若くて可憐、純粋で一般的な意味で上品な女の子だ。しかし貴族社会では通用しない。貴族が持つ生まれついての気品、自信、落着きがないからだ。そんな女の子が貴族に恋し結ばれる。20世期前半に輝いた白馬の王子話だ。白馬の王子の相手役なら永遠の妖精オードリーヘップバーンの「ティファニーで朝食を」が頂点だろうか。「プリティウーマン」あたりから、かつてと違い王子=金持ちになってしまい、気品がなくなってしまった。今では気品を表現できる役者も見当たらなくなってしまった。日本の小説や映画ではこのような女性像を思いつかない。貴族と自由平等が混在した時期がほとんどないからだろうが、この匂いを感じるのは大正の女性だ。しかし日本女性は耐えてしまうので、可憐に咲き誇るヒロインがいない。ちょっと違うが川口松太郎の「紅白振袖」に出てくる君子なんか好きだけど。レベッカとは関係のない話だ。
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読み終わってしまった‥ もう今はいないレベッカの影にじわじわと追い詰められたような上巻とは逆に、下巻では次々と明らかになる真実にドキドキしっぱなしだった。 でも読み終わった今、頭に浮かぶのは「わたし」と一緒でマンダレーの美しい庭や、フリスやロバートたち使用人によって儀式の様に繰り返し調えられる日常のことかもしれない。 この余韻に浸るためにまた読みたい。
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ヒロイン目線で読んでるから、マンダレイに後妻として入ったヒロインに対する色んな仕打ちに心折れかけた。 美しくて教養もあって面白味があった前妻レベッカと何かにつけて比較されて、がっかりされて。領地の人たちにも、マキシム(旦那)の姉にも、マンダレイに昔からいる執事のフリスにも、全て...
ヒロイン目線で読んでるから、マンダレイに後妻として入ったヒロインに対する色んな仕打ちに心折れかけた。 美しくて教養もあって面白味があった前妻レベッカと何かにつけて比較されて、がっかりされて。領地の人たちにも、マキシム(旦那)の姉にも、マンダレイに昔からいる執事のフリスにも、全てを取り仕切る使用人のデンヴァース夫人にも。 みんな揃いも揃ってヒロインのことを「レベッカとはまるで違う」と言う。 社交界なんかもあって女主人として采配をふるう必要のあるこの時代に後妻に入るとこんな面倒なんやなあと心底同情した。 頼みの綱の旦那、マキシムはその辺全く分かってなくて、人見知りなんかそのうちなおるし(なおらんわ!)、皆そんな気にしてやしないさ(気にしてるわ!現に面と向かって色々言われてます)とか言ってヒロインの心労について全然わかってくれない。 私は最後までマキシムのことは25、6歳も年下のうぶな若い女に手を出したおっさんとしか思えなかったので、そんなマキシムに嫌われまいと何もかも我慢して文句も言わず必死なヒロインを見てると共感できずにずっとイライラした。笑 そういう夫婦としての在り方とか、昔の社交界とか、出会いから結婚までの怒涛の展開とかも描きつつ、幸せそうで完璧に見えてどこかいびつな屋敷の様子が描かれていてすごく面白かった。
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上巻の途中までは読むのしんどかったけれど、そこから先、特に下巻に入ってからはもう怒涛の展開で先が気になって仕方なかった。 少女の成長のお話なのかな?とぬるく考えていたら、そんな優しいものではなく、少女は一瞬で女に変わった。こわい。狂気だよ。でも目が離せない。 とにかく構成が美しい作品だと思う。 「わたし」の名は最後まで登場せず、繰り返されるレベッカの名とその存在感。これはレベッカの物語。レベッカの勝利なのか。 どんどん速度をあげていく物語に夢中になって、ようやく落ち着いたかと思った直後の不穏な気配、そこからのラストの一文の潔さに驚愕。そして物語は冒頭へ繋がる…。とても面白かった。
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面白すぎて一気読み。先を読みたい気持ちに読むスピードが追いつけずにやきもきするような小説は本当にまれ。これがまさにそれ。 舞踏会の失態でショックを受けた直後に船の挫傷事件があって、それをきっかけにレベッカの死の真相が明らかになり、マキシムは運良く追求を逃れたと思ったら、ダンヴァース夫人の復讐がまっているという、この急な展開と流れのうまさに息つく暇もない。 あれだけ落ち込んでいた主人公が、マキシムがレベッカを愛していなかったと知った途端に息を吹き返すところなど、無邪気な彼女はいったいどこにいったのだという感じでちょっと怖かった。 最後フランクがどうなったか明らかにされていないが、無事だったとよい。割と好きなキャラだったので。
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