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かたみ歌 の商品レビュー

3.7

282件のお客様レビュー

  1. 5つ

    36

  2. 4つ

    116

  3. 3つ

    98

  4. 2つ

    11

  5. 1つ

    2

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2016/05/15

物哀しくも後味はあったかい短編集。テーマソングとも言えるアカシアの雨がやむときをかけながらの二周目もあじわい深いです。 「夏の落とし文」「ひかり猫」、この二編がどうにも切なくて枕がびしょびしょに(笑) 「栞の恋」は昔、世にも奇妙な物語の中でドラマ化してましたね。読み進めていくう...

物哀しくも後味はあったかい短編集。テーマソングとも言えるアカシアの雨がやむときをかけながらの二周目もあじわい深いです。 「夏の落とし文」「ひかり猫」、この二編がどうにも切なくて枕がびしょびしょに(笑) 「栞の恋」は昔、世にも奇妙な物語の中でドラマ化してましたね。読み進めていくうちに、あっこれは!と。 結末は違っていましたが、どちらも素敵でした。古本屋の店主を若き日のサリーこと岸辺一徳さんがやられていたのも面白かったです。

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2016/02/29

最初は悲しいだろうが、やはり去る者は日々に疎し。人間は、忘れてしまう生き物だ。喜びも悲しみも、月日が経てば過去のものになる。心の整理がついたら、また歩き出せばいい。 世の中には、寂しい思いをしているものが、たくさんいる。 「面白いものですね、世の中と言うものは。日々誰かが去り...

最初は悲しいだろうが、やはり去る者は日々に疎し。人間は、忘れてしまう生き物だ。喜びも悲しみも、月日が経てば過去のものになる。心の整理がついたら、また歩き出せばいい。 世の中には、寂しい思いをしているものが、たくさんいる。 「面白いものですね、世の中と言うものは。日々誰かが去り、日々誰かがやってくる。時代も変わり、流行る歌も変わる。けれど人が感じる幸せは、昔も今も同じようなものばかりですよ」

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2016/02/25

ホラーものは苦手ですが、これは大丈夫でした。「栞の恋」と「ひかり猫」が良かったです。「夏の落とし文」は、例え小説とは言え、子供が大人に傷付けられるのはやりきれないです。

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2016/01/08

ファンタジックのようでいて、よく考えるとかなり不条理な「死」の物語。 「死」の不条理さがあるから、絶対的にちっぽけな者たちがの「生」が、愛おしく思えるのか。 個人的には、猫の話が好き。

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2015/12/30

どうしてこの人の話のオチはこんなにも心地良いのだろう。此処しかないという着地点にピタッと落ち着き、同時に胸をカッと熱くさせる。僕はこの人の作品は本作入れて高々2作しか読んでいないのだが心の琴線は震えっぱなしだ。胸に染みっぱなしだ。昭和の哀愁、アカシア商店街、覚智寺、50度の眉毛の...

どうしてこの人の話のオチはこんなにも心地良いのだろう。此処しかないという着地点にピタッと落ち着き、同時に胸をカッと熱くさせる。僕はこの人の作品は本作入れて高々2作しか読んでいないのだが心の琴線は震えっぱなしだ。胸に染みっぱなしだ。昭和の哀愁、アカシア商店街、覚智寺、50度の眉毛の古本屋主人。これらがキーワードになった今回の作品も僕の心をノスタルジックな世界に運んでくれた。現世と黄泉の不思議で切なくて哀しい話も人間の想いや愛で浄化させてくれる。2015〆に相応しい作品であった。

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2015/12/19
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※このレビューにはネタバレを含みます

海外特に西洋の怖い話って、とことん怖かったり悲しかったりやりすぎてたりするんだけど、日本の妖怪話ってどっかに油断があるというか弛緩する部分があって、それが妙味になってたりする。 その妙味を醸し出すのがノスタルジックな雰囲気。市井人情江戸もんでも大正ロマンでもエエんだけど、戦後からバブルくらいまでの昭和テイストってのは、俺らの郷愁をかきたててタマらない気分にさせる。あの頃はまだドブも汚くて、街灯も薄暗くて、夜は怖いもんだった。何かがいそうな気がした。 朱川作品はその妙味をしっかり含有しているのは読んだ人には分かってもらえると思う。本書もまさにそれ。アカシア商店街に「アカシアの雨が止むとき」が鳴ってるんやで。ノッケから「さぁ郷愁とちょびっとの怖さ味わってやぁ」って感満載。そして最後まで期待を裏切らず、飽きるまで味わってくれとばかりに、商店街とそこにある古本屋と神社を中心にした短編全てに妙味が詰まっている。 ラスト収束の仕方に少々あざとさを感じたものの、これは個人の感じ方の範囲かなぁと思う。上手いよなぁ朱川湊

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2015/12/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いっぺんさんという短編を読んで作者に興味を持つ。 この人、オチがいいなぁ。。 毎回主人公は違うけれど、 登場人物は年代は違えど被ってくる。というか、毎回登場する人物こそ真の主人公だと最後に気づいた。 作中で紹介される音楽が昭和で馴染みが無いけれど 聴いてみたくなる。 作中の少女が憧れているサリーなる人物がどんなにイケメンなのかと検索したら 岸部 一徳さん という事実が一番衝撃的だったけども。 女性目線、男性目線の時もどちらもすんなり感情移入できるのが凄い。

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2015/11/26

なぜか不思議なことが起こる街の商店街を舞台にしたオムニバス作品集。 どれも不思議なんだけど、哀しく切なく、どこか優しい素敵な作品でした。 必ず出てくるのが古書店の店主さんというのが、また直前に読んだ作品とリンクしててなんとも… 芥川龍之介似の店主さん、とても素敵です。過去が明らか...

なぜか不思議なことが起こる街の商店街を舞台にしたオムニバス作品集。 どれも不思議なんだけど、哀しく切なく、どこか優しい素敵な作品でした。 必ず出てくるのが古書店の店主さんというのが、また直前に読んだ作品とリンクしててなんとも… 芥川龍之介似の店主さん、とても素敵です。過去が明らかになっても、素敵です。 紫陽花のころ…近所のラーメン店で起きた悲しい事件とその被害者、そして主人公夫婦の秘密。靴を隠す場面で「?」となりましたが、最後は納得。ただただ切ない… 夏の落とし文…ちょっと怪談風。哀しすぎます。いつかまた、出会えますように。 栞の恋…どこかで見た…と思ったら、世にも不思議な物語で映像化された作品。当時から大好きでしたが、原作もとにかく良かった。栞で交わす心。救われる人。とっても好きです。これが入っているだけで、☆4 おんなごころ…哀しいけど、それより悔しい。幼い子どもは本当に純真で、一途で、可哀想… ひかり猫…可愛くて切ないです。誰もが愛されたいし、寂しさを抱えているというのは…真理すぎて切ない。 朱鷺色の兆…誰かが命を落とす印が見えてしまうということ。淡いピンク色というのが、逆にとても切ない。かなり好きな作品です。 枯葉の天使…まとめとして素敵。やっと店主さんのお話。読後感がとっても優しくなりました。

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2015/10/17

久しぶりに「もっと読んでいたかったな」と思える本に出会えました。 7つの短編から成っています。すべてに「死」が絡んでいるので、ゾクリとする場面がありですが物語全体が優しさに満ちているので怖い反面良い話だなぁという印象を受けました。平成生まれの私ですが、昭和の時代に生きてみたかった...

久しぶりに「もっと読んでいたかったな」と思える本に出会えました。 7つの短編から成っています。すべてに「死」が絡んでいるので、ゾクリとする場面がありですが物語全体が優しさに満ちているので怖い反面良い話だなぁという印象を受けました。平成生まれの私ですが、昭和の時代に生きてみたかったなと思います。ちなみに、一番好きなお話は「ひかり猫」です。朱川湊人さんの他の作品も読んでみます。諸田玲子さんがすごく丁寧にこの作品を解説していたのもよかったです。初めて知った作家さんですが、諸田さんの作品も読んでみたいです。

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2015/09/21

これ全く期待していなくて、例によって表紙がいいなあと思って買いました。家で読んでいたら何故か嫁が反応しました。この表紙の版画作家さんのファンらしく、コレクションを色々見せてもらいました。なかなか面白い偶然でした。 さて、表紙から想像するに3丁目の夕日的なものを想像すると思うので...

これ全く期待していなくて、例によって表紙がいいなあと思って買いました。家で読んでいたら何故か嫁が反応しました。この表紙の版画作家さんのファンらしく、コレクションを色々見せてもらいました。なかなか面白い偶然でした。 さて、表紙から想像するに3丁目の夕日的なものを想像すると思うのですが、実際はホラーだったりするんです。 昔ながらの商店街で色々な人々が不思議な体験をするのですが、その核になっているのが町の神社ととある古本屋さんで、その不思議な体験は全てが霊体験。連作なのに全部霊体験なんですよ。全然予想していなかったので正直びっくり。 話し的には切ない話が多いのですが、中にはぞくっと来る話も有って飽きることなく読めます。 「なんだよほんわかしたかったのに、ケッ!」 とか思いながら読んでいたらば、どれもこれも懐かしい風景と、胸に迫る情感が素晴らしくて、結局は大感動してしまいました。 商店街なので、一つ一つの話しがさりげなくリンクしていて、ああ、そういえば昔は誰かが誰かに関わってみんなすこしずつ数珠つなぎだったなあと思いだしました。 都内ですが僕も商店街の生まれだったので、優しい人々に見守られて大きくなった子供でした。商店街を歩いて買い物するとみんなが声かけてくれて、えらいな!買い物か!とか言っておまけしてくれたりしました。 虫捕まえて餌が欲しくて果物屋さんの前ででかい声で「腐った果物下さい!」と叫んで「うちには腐った果物なんて無い!!」と怒りながら色の変わったバナナくれたり、畳屋さんで一日畳作るの見ていたり、喫茶店のおねえさんにチーズケーキごちそうして貰ったりと思い出してもみんな優しかった。 なのでダメ親父は全然家に帰ってきませんでしたが不思議と寂しくなかったです。 話し逸れましたがこれは心に残る本になりました。

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