袋小路の男 の商品レビュー
作者名と受賞した文学賞名だけで、小難しい純文学と思い込んでいた。表題作は、まるでラブレター。「あなた」と綴るように語りかけるお話を、記憶する限り初めて読んだ心地がしました。 自分が嫌いにならない限り、いつまでも断ち切れない。つかず、離れずの関係は、時の空白を挟みながらも、綿々と感...
作者名と受賞した文学賞名だけで、小難しい純文学と思い込んでいた。表題作は、まるでラブレター。「あなた」と綴るように語りかけるお話を、記憶する限り初めて読んだ心地がしました。 自分が嫌いにならない限り、いつまでも断ち切れない。つかず、離れずの関係は、時の空白を挟みながらも、綿々と感情を伸ばし続ける。どひゃー。
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最初の1、2ページを読んだだけで片思いの相手のろくでもなさとそれでも魅力的であることがわかってしまいます。 付き合ってもいないし、先にも進めず、戻れもしない、今更ほかの人を好きになれないというまさに袋小路のような片思い。永遠に交わらないまま年を取っていってしまう。考えようによって...
最初の1、2ページを読んだだけで片思いの相手のろくでもなさとそれでも魅力的であることがわかってしまいます。 付き合ってもいないし、先にも進めず、戻れもしない、今更ほかの人を好きになれないというまさに袋小路のような片思い。永遠に交わらないまま年を取っていってしまう。考えようによってはホラーのように怖い話かも知れません。 江國香織の「ウエハースの椅子」の結末を思い出しました。 「アーリオ・オーリオ」もいい感じでした。眼前に無限の選択肢が広がる中学生の姪と相通じるものがありながらも、女性と交際しても未来を決定する言葉は言えない、日常の細かい習慣(パスタを作るとか)を変えることもできない、中年期の主人公の閉塞感がなんとなくわかる気がしました。
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「ともかく、俺とおまえは喧嘩くらいしかやることねえんだから」「しっかり喧嘩して、ちゃんと仲直りして仲良くやろうな」
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何年振りかで再読 前に読んだときよりこの2人の関係にもやもやしないのは自分がオトナになったからなのか。 単なる自分勝手に女を振り回すいけすかないオトコ、としか思えなかったのが、こんなに長い時間一人のオンナを片思いさせ続けるのはある意味すごいことだよな、と。 アーリオオーリオはやっ...
何年振りかで再読 前に読んだときよりこの2人の関係にもやもやしないのは自分がオトナになったからなのか。 単なる自分勝手に女を振り回すいけすかないオトコ、としか思えなかったのが、こんなに長い時間一人のオンナを片思いさせ続けるのはある意味すごいことだよな、と。 アーリオオーリオはやっぱり好きだ。この3光日のもどかしさと待ち遠しさがとてもとても素敵だ。
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ブックピックで気になった一文があったけど迷って別な本を購入した後にググってみたら自分にぴったりではないかと思い早速図書館で予約。文庫で手元に置きたいな。体の関係がないまま付かず離れず…いっそのことセックスして終わりにしたいと思ったり…終わらないでと思ったり…終わるのが怖いから触れ...
ブックピックで気になった一文があったけど迷って別な本を購入した後にググってみたら自分にぴったりではないかと思い早速図書館で予約。文庫で手元に置きたいな。体の関係がないまま付かず離れず…いっそのことセックスして終わりにしたいと思ったり…終わらないでと思ったり…終わるのが怖いから触れるけど触らない。関係を壊したくないけど進みたい…みたいな、これは、恋愛の一番辛くて最高に楽しい部分ではないか!彼の家の近くにマンションを買った主人公、今後は、いかに!?読み手の想像に任せる的なラスト(ややハッピー)もたまらない。
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表題作と二つ目のお話は、恋人同士ではないけれど好き合ってないわけでもない男女の関係が、人肌の温度で書かれていて良かった。女性からしたらのらりくらりと交わしてばかりの小田切は確かにろくでもないのかもしれないけど、私が日向子でもきっとあのままの距離を保ったまま付き合うだろうと思って...
表題作と二つ目のお話は、恋人同士ではないけれど好き合ってないわけでもない男女の関係が、人肌の温度で書かれていて良かった。女性からしたらのらりくらりと交わしてばかりの小田切は確かにろくでもないのかもしれないけど、私が日向子でもきっとあのままの距離を保ったまま付き合うだろうと思ってしまった。 三つ目の「アーリオ オーリオ」は王道のラブストーリーではないけれどむしろときめいた。著しく変化する中学生の姪に少し触発された哲が前向きになれるラストが印象的。
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小田切が駄目男すぎる。 小説家になっても救われない小田切は可哀相だった。 小田切を諦めない日向子は小田切に片想いしているなら、他の男と付き合うなと思った。
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2005年本屋大賞4位 連作短編と他1つ。 好きになってしまった高校の先輩に女として振り向いてもらえず、指一本触れたことのない12年間の距離間を描いた話とその先輩側からの話、叔父さんと中学三年生の姪っ子とが星を通じての交流を描いた話の3つ。 女性の性欲が描かれているこの手の話...
2005年本屋大賞4位 連作短編と他1つ。 好きになってしまった高校の先輩に女として振り向いてもらえず、指一本触れたことのない12年間の距離間を描いた話とその先輩側からの話、叔父さんと中学三年生の姪っ子とが星を通じての交流を描いた話の3つ。 女性の性欲が描かれているこの手の話は、男に入ってくるなと言われているようで、個人的にちょっと苦手。 でも、その辺の理解がついていけなくても最後まで一気に読んでしまったw 内容が全くリンクしていない最後の話と「距離感」で合わせているのかぁと納得するも、冒頭の引用とはどうやってリンクさせているのかわからんかったorz
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「女に対してすることは三つしかない、女を愛するか、 女のために苦しむか、女を文学に変えてしまうか。」 本書の冒頭に引用されていた言葉の一部である。 本書は3つの短編からなっている。 「私」が「あなた」に、続きが見えるわけでも 終わりが見えるわけでもない、正に袋小路に迷いこんで...
「女に対してすることは三つしかない、女を愛するか、 女のために苦しむか、女を文学に変えてしまうか。」 本書の冒頭に引用されていた言葉の一部である。 本書は3つの短編からなっている。 「私」が「あなた」に、続きが見えるわけでも 終わりが見えるわけでもない、正に袋小路に迷いこんでしまったような 激しさを内に秘めた恋心を抱くさまを描いた表題作。 それを三人称の視点でとらえなおした「小田切孝の言い分」。 そして、中学3年生の姪と、そのおじさんとの手紙での やりとりを描いた「アーリオ オーリオ」。 どの話も嫌いじゃないけれど、乾いた文体や 余韻を容赦なく拭い去るような現実的な表現が わたしの好みには合わなかったかな。 本書に出てくるどの男も、女(の子)を 文学という架空の世界におしこめようとすることで その不可解さやある種の恐れから、逃れようとしている。 本当に袋小路に迷いこんでいるのは、この世界の中では いつだって男だった。
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主人公が大好き。2人の距離感も、最初に読んだ時はもどかしかったが、人間関係はすべからく「友達」や「夫婦」や「恋人」というような名前をつけられないオリジナルなものだし、それを物語を破綻させずにひたすら描いている。僕らはもっと自由でいい。
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