国家の罠 の商品レビュー
外務省職員としてロシアとの北方領土交渉に当たっていた著者は、鈴木宗男バッシングが高まる中で、身に覚えのない背任容疑で逮捕されてしまう。著者はこの「国策捜査」に対して徹底抗戦するのだが…。 著者にとっては大変な経験だっただろうが、読み物としては抜群におもしろいドキュメンタリーになっ...
外務省職員としてロシアとの北方領土交渉に当たっていた著者は、鈴木宗男バッシングが高まる中で、身に覚えのない背任容疑で逮捕されてしまう。著者はこの「国策捜査」に対して徹底抗戦するのだが…。 著者にとっては大変な経験だっただろうが、読み物としては抜群におもしろいドキュメンタリーになっている。田中真紀子と鈴木宗男のバトルや、取り調べの過程で西村検事と著者のあいだに生じてくる奇妙な信頼関係など、とてもおもしろい。 知らなかった知識をたくさん得ることができた。
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後半失速してしまったけど、とても面白かった。 まとまりがないけど、感想を箇条書きで残しておく。 ・論旨とはズレる感想だけど、 ウクライナ侵攻以降、ロシアという国やそこに暮らす人々をより遠く感じる中で、佐藤さんの文章読んで、巨大なロシアの官僚たちが豪快にウォッカ飲んでロシア語で語...
後半失速してしまったけど、とても面白かった。 まとまりがないけど、感想を箇条書きで残しておく。 ・論旨とはズレる感想だけど、 ウクライナ侵攻以降、ロシアという国やそこに暮らす人々をより遠く感じる中で、佐藤さんの文章読んで、巨大なロシアの官僚たちが豪快にウォッカ飲んでロシア語で語らって、サウナでも浴びるようにウォッカ飲んで汗かいてるところが目に浮かんで、なんとも懐かしい気持ちになった。ロシアに気持ちの良い人たち(熱くてまっすぐな人が多い)が多いのは事実だよな、と思い出した。 ・国策捜査、本当にやることが汚いなあと思った。 官僚の全員が全員そうではないと思うけど、本当に汚くてムカつく。 国政について色々思うことがある中で読んだので余計に腹が立ったり、頭が重くなったり、色々考えたりして、それも後半失速した原因かもしれない。 ・川上さんの解説読んでいて良いなあと思ったのは、うのみにしないということ。 情報を一方向から取り入れて終わりにしないで、いろんな角度から取り入れて、自分で考えて判断しようと改めて思った。 ・佐藤さんは人を見る目が鋭く、多大なナルシズムは感じるけど、文章表現がきめ細やかで、全体としてとても面白かった。他の作品も読んでみたいと思った。
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テレビで佐藤優さんをお見かけして興味を持ち、読んでみました。かなり面白く、どうしてこれまで無関心だったんだろうと、自分の視野の狭さを反省しましたし、どんなときでも冷静に状況を見極め、信頼を裏切らないところに感嘆しました。今更ですが、佐藤さんの他の著作も読んでみたいと思います。
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著者は「地アタマ」と記憶力がいい人なんだろうな。 ソ連・ロシアについてはゴルバチョフ・エリツィン・ペレストロイカ・グラスノスチなんて単語は知っていたが、それが何か、当時何があったのかは当作で知ることができた。 また、北方領土がその中でどういう位置づけであったか学ぶことができた。...
著者は「地アタマ」と記憶力がいい人なんだろうな。 ソ連・ロシアについてはゴルバチョフ・エリツィン・ペレストロイカ・グラスノスチなんて単語は知っていたが、それが何か、当時何があったのかは当作で知ることができた。 また、北方領土がその中でどういう位置づけであったか学ぶことができた。 また、外交官がどの様な働きをするのか、そもそも外交とは何か、興味深く読みました。 そして、国家組織の中にいる優秀な人物であっても、ひとたび国家に目をつけられるとどの様な扱いを受けるのか…恐ろしい。 ムネオハウスという単語が出てきた事件、おぼろげに覚えているがそんな事だったのか。 当然、これは一方から見た意見ではあるが、そんな事があるのかと思わされた。
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佐藤優さんが語る映像にふれてからどのくらい経ちますかね。ちょっと胡散臭い、が正直な第一印象。 でも、なにかが気になっていたのでしょうか、どんな人なのか知りたくて検索。 鈴木宗男事件 当時の記憶はあるが、佐藤さんの存在があったことは知りませんでした。 事件後30年になる2030年...
佐藤優さんが語る映像にふれてからどのくらい経ちますかね。ちょっと胡散臭い、が正直な第一印象。 でも、なにかが気になっていたのでしょうか、どんな人なのか知りたくて検索。 鈴木宗男事件 当時の記憶はあるが、佐藤さんの存在があったことは知りませんでした。 事件後30年になる2030年に、関連文書が公開された時、『国策捜査』の真実が明かされるのでしょう。 あまり経験することがなさそうな、いや経験したいとは思えない回想録なんだけれども、佐藤さんの、強い信念に生きる人となりが本当に良くわかりました。 この本に縁できたことに感動しています。 胡散臭いなんてごめんなさい。勝手に親近感。 ちょっと佐藤優さんにハマりそうです。
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改めて国家機関って敵に回すと怖いなと実感。 自分は佐藤氏のような立場になる確率はかなり低いけど仮になった場合、彼のような毅然とした態度がとれるだろうか。
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読まず嫌いリストの上位に常に置かれていた佐藤優氏の作品を初読了。 薄っぺらい感想だけ述べれば、「なぜもっと早く読まなかったのか」ということ。 国が個人に襲い掛かるとき何が起こるか。本人も書いているように、拘禁反応はあったようだ。しかし検察による取り調べの様子はきわめて冷静に描...
読まず嫌いリストの上位に常に置かれていた佐藤優氏の作品を初読了。 薄っぺらい感想だけ述べれば、「なぜもっと早く読まなかったのか」ということ。 国が個人に襲い掛かるとき何が起こるか。本人も書いているように、拘禁反応はあったようだ。しかし検察による取り調べの様子はきわめて冷静に描かれていることが示すように、決して自分を見失っていないことがうかがえる。 担当の西村検事との高度な駆け引きも魅力であるし、隣の部屋の死刑囚の様子も、刑務所という非日常を理解させられる意味で興味深い描写だった。
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世間を騒がせていたあの小泉政権、外務大臣の田中真紀子氏や鈴木宗男氏の動きが良く分からなかった。この本を読んで田中真紀子さんはとんでもく外交をぶち壊していたことを知った。ムネオハウスがどうしてあんなに貧素なんだろうと思った理由もロシアとの返還駆け引きでわざとそうしていた理由を知った...
世間を騒がせていたあの小泉政権、外務大臣の田中真紀子氏や鈴木宗男氏の動きが良く分からなかった。この本を読んで田中真紀子さんはとんでもく外交をぶち壊していたことを知った。ムネオハウスがどうしてあんなに貧素なんだろうと思った理由もロシアとの返還駆け引きでわざとそうしていた理由を知った。この本で全く鈴木宗男氏の見方が変わった。彼と作者は生粋の国士だな。 西村検事とのやりとりで政治調書を正しく残すこと。外交官としての最後の仕事として、 p329のところ。佐藤優さんは政治的、歴史的事項に関心がある。28年後に事件の関連の資料として公開される。供述調書には僕が言っていたことが事実に合致していたように検証できるようにしたい。その思いで法的な点においては違法性は無かったにも関わらず検察譲っている。歴史に残るようにの検証。 お勧めの「太平記」も読んでみよう。 その公開時期2030年が来たら関連資料を読んでみたい。 クオーター化の原則。 佐藤氏にとっての拘置所に居る安全。ここらへんも面白い。 外務省は鈴木を失跡出せるためにマル秘情報を共産党にわざと漏洩したこと。国が崩れて来た時期を見せられた。 現在自民党首相争いで候補者の主張を観ているが国を立て直す気概のある人は一人しかいないようだ。それもどうなることか。また組織で潰すのかな?
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私は佐藤優氏の本のよいコレクターと言えると思う。 一応、単著だけでも本書を含めて26冊持っているし、さらに副島隆彦氏、的場昭弘氏、池上彰氏、手嶋龍一氏、橋爪大三郎氏、片山杜秀氏、山内昌之氏、魚住昭氏等々との対談本になると腐るほどある。 だが、よい読者とは言えず、ほとんどザッと読み...
私は佐藤優氏の本のよいコレクターと言えると思う。 一応、単著だけでも本書を含めて26冊持っているし、さらに副島隆彦氏、的場昭弘氏、池上彰氏、手嶋龍一氏、橋爪大三郎氏、片山杜秀氏、山内昌之氏、魚住昭氏等々との対談本になると腐るほどある。 だが、よい読者とは言えず、ほとんどザッと読み流す程度である。 それでも、佐藤優氏が書くものを、「何かとらえどころがないような奇怪さ」を感じながらも、ほとんど手放しで信頼してきた。 だが、最近、たまたま佐高信氏の『佐藤優というタブー』を読んでから、私の「佐藤神話」が危うくなっている。 例えば、佐高氏は辛口でこう書く: <・・・佐藤のウンチクは死体解剖である。思想を現実に生かすマルクスを求めるのではなく、ウンチクを売るためにマルクスの死体をいろいろといじくる。・・・> そう書かれるとムカッとするが、やがてそのようにも思えてくるのだから、じつに困ったものだ。 少し捕捉すると、佐藤氏は佐高氏の『佐藤優というタブー』の中の記述を名誉棄損で提訴した。 一方、佐高氏は「言論人なら法廷でなく『言論』で戦え!」と反論した。 この辺の事情は、佐藤氏と副島隆彦氏の対談本『「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり』――「「佐高信の正体」と構造改革派」に書いてある。 私は裁判の結末を知らない。 佐藤氏は『国家と神とマルクス 「自由主義的保守主義者」かく語りき』という本を書いているから、佐藤氏は「自由主義的保守主義者」である。 もちろん、歴としたクリスチャンでもある。 そのような佐藤氏は、同時進行で、インテリジェンス(モサドなどの政府諜報機関)、マルクス(「マルクス主義」かも知れないが、私にはわからない)、国家主義、ファシズム、地政学、新自由主義(冷酷・強欲な資本主義)、創価学会(池田大作氏の思想)などを好意的に評価している。 単純狭量な私は、佐藤氏に「何かとらえどころがないような奇怪さ」を感じてしまう。 推察するに、インテリジェンスは自己滅却しているだろうから、おそらく感覚(感情)も脱落しているだろう。 感覚脱落の詩人として、萩原朔太郎と西脇順三郎が輝いている。 それはさて措き、そういう人の言説を、凡人の私が安易に信頼しても大丈夫なのか? 表現が悪くて恐縮だが、気が利いた人はそういう佐藤氏の「くそみそ一緒」的なアプローチに疑問を持ち、距離を置くかもしれない。 最近、佐高氏の『佐藤優というタブー』や佐藤氏ご本人の本によって、佐藤氏の「何かとらえどころがないような奇怪さ」が、佐藤氏独特の「保身の術」であることを私は知った。 著書名を失念したが、佐藤氏は「たくさんの出版社から自分の本を出すのは、自分の敵を作らないためだ」という趣旨のことを書いた。 その延長として、たくさんの思想について書く(それらを称賛する)ことも「保身の術」になる、と考えるのも自然であろう。 保身のために利用できそうなものは何でも褒め称えて、八方美人になって敵の目を眩まして、佐藤氏の批判者(敵)を作らないようにするのである。 海岸の潮溜まりを覗くと、いろいろな生物がいる。 佐藤氏の「保身の術」は、愛嬌のあるヤドカリが自分が背負った殻にさまざまなゴミをくっ付けて(つまり迷彩して)歩きまわっている風景を彷彿とさせる。 しかし、佐藤氏の「保身の術」は、彼が理不尽な「国策捜査」によって投獄されたという恐怖の実体験から思い至ったものだから笑うことはできない。 ただ心配な点は、深層心理的に、佐藤氏の信頼性を損ねることになるかも知れないということ。 実際、頭が良い佐藤氏がカメレオンのように自在に書くものに騙されるかも知れない、と私は警戒するようになった。 佐藤氏の本を厳選して不要なものを処分しようと思うが、実行はなかなか難しい。 こういう話がある。 松本健一氏の『戦後の精神』の「花田清輝――<知>の袋小路」の中に、川本三郎氏の『同時代を生きる「気分」』の一節が引用されている: <どこをさがしても、花田清輝は、いないのである。いや姿は見える。ちょうど、モグラのように、あちこちで、ポコッと穴をあけ顔を出す。……モグラは、地上に見える軌跡を残さない。あらわれた証拠の土のもりあがりが人には見えるだけで、その軌跡はだれにもわからない。モグラは、論理的一貫性から解放され、また、ひとつの価値を中心に動くという方向性はまるでない。彼は自在に、周囲にある価値に冷水を浴びせかけては去っていく。> 花田清輝氏は「モグラ」のようになって、昭和のあの狂気の国家主義の時代をやり過ごした。 佐藤氏は「ヤドカリ」のようになって、「冷水」の代りに「好意的評価」「称賛」を浴びせかけて幻惑している、と私には見える。 妄言多謝!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
佐藤優氏が逮捕勾留される事になった事件の回顧録。この本に初めて興味を持ったのは週刊新潮に連載されていた「頂上対決第182回」の対談相手が取り調べを行った元検事、西村尚芳氏だったからである。 事件当時、鈴木宗男議員と田中真紀子議員と佐藤優氏がTVニュースに映りまくり、良くは分からずとも何やら大変な事件が起こっており「外務省は悪い人たちのいるところだ」みたいな印象を子供ながらに抱いていた。ので、長らくきっと事件の弁明みたいな事が書いてあるのだろうくらいにしか思ってなかったのだが「悪い人」であるはずの佐藤氏の名前をアチラコチラで頻繁に目にすると、流石にこの認識は大分違うらしいと気にはなっていた。文章を読むと俗悪さの欠片もない。凄い。ではなぜこんな凄い人が捕まったのか。またなぜ評価をくれているのか。知りたくなった。 元外交官とは知りつつも、よもやここまで世界情勢が絡んでくるとは思わず、イスラエルの知識まで増えるとは思わなかった。事件のみならず現在を理解するうえでも大変役に立ったし、僅かな海外経験の肌感覚も記述と合致してかなり納得できた。 事件の専門的な細部までは分からないし、伏せられていることもあって全容では無い。ただ、私の実質識字率は5%からは少し上がったと思う。今後も上げ続けていかなければ。 「利害が激しく対立するときに、相手とソフトに話ができる人物は手強い」激しく同意。西村検事はずっと敵なのに、信用できる人。小説ならば胸熱なキャラだけど、実在する人で、20年後の対談でもそれは揺らがない。「国益」という言葉が多用されていたが、つまるところ、命がけで挑める何かがあるか。そんなものを持つ人は明治大正時代あたりで消えたと半ば本気で考えていたが、私の視野が狭窄だっただけだった。破廉恥事件ばかりに目が行くが、こんな真剣な大人たちがいてくれることに救われる想いがする。 『自壊する帝国』もあまり時間を開けずに読むつもりだし、今後氏の著作は極力読んでいきたい。
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