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国家の罠 の商品レビュー

4.5

165件のお客様レビュー

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2016/12/18

著者はロシア関係の外交官だった佐藤優。 今、ロシアのプーチン大統領と安倍首相の会談が話題になってる中、この本を読んだ。 田中真紀子に「外務省のラスプーチン」といわれて、鈴木宗男と共に国策捜査されて512日間に拘置された人。 つい先日、冤罪の恐ろしさを描いた『殺人犯はそこにいる...

著者はロシア関係の外交官だった佐藤優。 今、ロシアのプーチン大統領と安倍首相の会談が話題になってる中、この本を読んだ。 田中真紀子に「外務省のラスプーチン」といわれて、鈴木宗男と共に国策捜査されて512日間に拘置された人。 つい先日、冤罪の恐ろしさを描いた『殺人犯はそこにいる』を読んだのだけど、これはある意味冤罪よりも恐ろしい国策捜査の話。 冤罪は助かる可能性もあるけど、国策操作は著者が「地獄の双六」と証するように、最初から逮捕することが目的なので絶対に助からない。 それでも獄中で著者はインテリジェンス(諜報活動家)として、取調べの検察官と虚虚実実の駆け引きをするのだけど、基本的には負け戦の撤退戦。 最終的に本丸の鈴木宗男も逮捕され、彼自身も刑を執行されるのだけど、インテリジェンスの矜持は最後まで守ります。 「刑に執行猶予はあるけど、インテリジェンスの違反に期限はない」というのが印象的だった。

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2016/08/24

今迄読んだ佐藤優氏の本の中で一番読みやすかった。正確性・事実性を大切にする書き方は、この後次第にエスカレートしてゆくのだろう。確かに、この作品にもその片鱗が見受けられる。 読了後でも、佐藤氏が逮捕された背景がよく分からないのだけれど、塀の中に入ってからの感性と思考性はより研ぎ澄...

今迄読んだ佐藤優氏の本の中で一番読みやすかった。正確性・事実性を大切にする書き方は、この後次第にエスカレートしてゆくのだろう。確かに、この作品にもその片鱗が見受けられる。 読了後でも、佐藤氏が逮捕された背景がよく分からないのだけれど、塀の中に入ってからの感性と思考性はより研ぎ澄まされたものとなる。後半の展開はあたかも推理小説を読んでいるかのように進んでゆく。

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2016/05/21

・国際協調的愛国主義から排外主義的ナショナリズムへ ・クオーター化(全体像に関する情報を持つ人を限定する)=秘密を守る方法 ・田中眞紀子、トリックスター(騒動師、文化人類学)、その言葉は人々の感情に訴えるのみでなく、潜在意識を動かすことができる。規制社会の道徳や秩序を揺さぶるが、...

・国際協調的愛国主義から排外主義的ナショナリズムへ ・クオーター化(全体像に関する情報を持つ人を限定する)=秘密を守る方法 ・田中眞紀子、トリックスター(騒動師、文化人類学)、その言葉は人々の感情に訴えるのみでなく、潜在意識を動かすことができる。規制社会の道徳や秩序を揺さぶるが、同時に文化を活性化する。(しかし、その活性化された政治がどこに向かうか、ということ。)

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2016/03/11

 外務省内部に共産党のシンパがいる・・・保険として民主党にも告発文(マル秘文章)を送った。マル秘文章を手に入れることが出来るのは外務省幹部である。外務省は田中真紀子と鈴木宗男をどちらも切りたい・・・(文庫あとがきP519参照)  真紀子の我儘、宗男の恫喝で外務省幹部が我慢ならな...

 外務省内部に共産党のシンパがいる・・・保険として民主党にも告発文(マル秘文章)を送った。マル秘文章を手に入れることが出来るのは外務省幹部である。外務省は田中真紀子と鈴木宗男をどちらも切りたい・・・(文庫あとがきP519参照)  真紀子の我儘、宗男の恫喝で外務省幹部が我慢ならないところまできたのだろう、詳細については500ページある著書の中にも詳しくは書かれていないが、その雰囲気は伝わる。国家のためと思う気持ちが強い分、無理をしいて役人たちに嫌われたのだろう。宗男の娘が共産党との共闘姿勢を見せた民主から自民に鞍替えしそうだが、宗男の共産党嫌いはこのあたりにあるのかと知る。

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2016/03/08

田中真紀子が外務大臣になった時の外務省にいた佐藤氏の告発本です。鈴木宗雄代議士と組んでロシアとの友好に尽力していたところに田中大臣が乗り込んできてとんでもないことになった事件の話。結構面白い。

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2015/11/24

佐藤優万歳なわけではないが、読み応え抜群。マスコミの操作で鈴木宗男悪代官と感じていたが、実際はこんな動きがあったのかと目からウロコ。ムネオハウスの実態についても知れた。国家の罠というタイトルはなかなかいいえて妙である。 北方領土について。途中までの流れはひょっとするとひょっとした...

佐藤優万歳なわけではないが、読み応え抜群。マスコミの操作で鈴木宗男悪代官と感じていたが、実際はこんな動きがあったのかと目からウロコ。ムネオハウスの実態についても知れた。国家の罠というタイトルはなかなかいいえて妙である。 北方領土について。途中までの流れはひょっとするとひょっとしたかもしれないなと感じた。2000年までに解決すると言っていたがあれから15年。なんら進捗がないところをみると、この頃が一番話が進んだのかもしれない。北方領土についてもっと知る必要あり。

Posted byブクログ

2015/11/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

事実、読了に時間を費やしたが重厚な読み応え。 「国策捜査」を軸にした、検察と自身との神経戦。 佐藤氏の著書は数冊経験済みだが、なるほどこれが原点。 ロシア人、外務省人、検察人、弁護人。 極限状況にあっても、冷徹なまでの分析・観察眼、そして記憶力。 過度な悲壮感もドラマなく、淡々と綴られている事に、むしろ恐ろしさが。インテリジェンスのプロフェッショナルだからこそのノンフィクション。

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2015/07/30

非常に興味深く最後まで読めた。マスコミの偏向報道により、何となく鈴木宗男=悪代官的政治家、と思っていたが裏でこんなことがあったなんて。そもそもあの時、田中真紀子と鈴木宗男が何で更迭されたかすら分かってなかったし。 筆者は鈴木宗男と連座というか前座というかで逮捕され、出所後文筆業...

非常に興味深く最後まで読めた。マスコミの偏向報道により、何となく鈴木宗男=悪代官的政治家、と思っていたが裏でこんなことがあったなんて。そもそもあの時、田中真紀子と鈴木宗男が何で更迭されたかすら分かってなかったし。 筆者は鈴木宗男と連座というか前座というかで逮捕され、出所後文筆業で名を馳せており、以前からその知識人っぷりに興味津々だったのだが、読んでさらに興味をかきたてられた、是非他の本も読もう。ただし筆者の態度を借りるなら、この本もあくまでも一方からの言い分であり、鵜呑みにはしないように。

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2015/05/18

外務省専門職員(ノンキャリア)の外交官だった佐藤優氏が、背任罪で起訴され、その事件の背景を細かくなぞってゆく。筆者の理路整然と物事を述べてゆく筆力にはただ圧倒される。 筆者は以前ロシアの大使館で書記官を務め、外務省に戻ってからもロシアとの外交を主に担当していた。元国会議員の鈴木宗...

外務省専門職員(ノンキャリア)の外交官だった佐藤優氏が、背任罪で起訴され、その事件の背景を細かくなぞってゆく。筆者の理路整然と物事を述べてゆく筆力にはただ圧倒される。 筆者は以前ロシアの大使館で書記官を務め、外務省に戻ってからもロシアとの外交を主に担当していた。元国会議員の鈴木宗男氏とタッグを組んで、北方領土問題の解決に全力を注いだが、裏のより大きな力により(つまり誰かに目を付けられ)、「国策捜査」の対象となってしまった。本書は逮捕に至るまでと、拘禁中の佐藤氏の生活や検察および弁護士とのやり取りなどが中心に描かれている。 本書を読むまで、ロシアとイスラエルのつながりがいかに強いかなど、その歴史的背景を知らなかった。外交は、様々な要素や各国の思惑があり、それをうまく扱いながら進めていかなければならない、とてもデリケートな分野だ。情報の専門家の作者は、幅広い外国人との交友関係を利用し、外務省で活躍するが、それを面白く思わない人もいたのだろう。 元国家議員の鈴木宗男氏も同様の罪(北方領土のディーゼル発電の入札に絡む不正の疑い)で、続けて逮捕されることになる。本書によると検察はまずターゲットを絞り、その人物を逮捕すべくストーリーを描き、周辺を徹底的に調べるんだそうだ。タイトルは「国家の罠」だが、まさに国益のために尽くしてきた著者が国に裏切られる形になり、さぞかし無念だったろう。 著者は敬虔なクリスチャンで、とても正義感の強い人である。頭脳明晰で論理的であり、罪を認めたほうが早く社会復帰できるとささやく検察とのゲームにも負けなかった。 ずっしりと重く、考えさせられるノンフィクションである。毎日出版文化賞特別賞を受賞している。

Posted byブクログ

2015/07/06

2002年の田中真紀子外務大臣と外務省との対立、鈴木宗男の汚職と逮捕で新聞・テレビが随分にぎわっていたのを覚えている。どうしても田中大臣=無能なわがままおばさん、鈴木議員=悪徳政治家、著者=陰でなにをしているのかわからない怪しい外務省員というマスコミそのままの印象しか抱かなかった...

2002年の田中真紀子外務大臣と外務省との対立、鈴木宗男の汚職と逮捕で新聞・テレビが随分にぎわっていたのを覚えている。どうしても田中大臣=無能なわがままおばさん、鈴木議員=悪徳政治家、著者=陰でなにをしているのかわからない怪しい外務省員というマスコミそのままの印象しか抱かなかったが、内実はかなりことなることに驚いた。 国策捜査とは知らない言葉であったが、罪の有無など関係なく敵とされたら葬られる仁義なき政治の一面を垣間見せてくれた。書かれた内容を信用するならば、著者が有罪とされる理由は微塵も見いだせず、鈴木議員も逆に実力がありかつ誠実な政治家というしかない。 国を思う政治家がおり、自己顕示欲しかない政治家がいる。同様に国を思う官僚がおり、省益を思う、自己の出世を思う官僚がいる。当たり前であるが一般の社会もこれに同じであり、安易なイメージを信じることには何の益も見いだせなくなった。 それでも、かような転落をも恐れず職務を全うした著者並びに鈴木議員には賞賛を送りたい気持ちになった。人より多くの仕事を果たした何よりの証拠であろうと思われる。 今、2015年、田中大臣は議員としての評価を下げ続けた後亡くなられたが、著者の佐藤氏、鈴木議員をもはや前科者として知る者も多くはいるまい。 私を含め多くの国民が二人の逮捕に喝采を送ったと思うが、それが国益にかなったことだとは思えない。国民が政治の正しい姿をすることは今後非常に重要だと考える。

Posted byブクログ