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国家の罠 の商品レビュー

4.5

165件のお客様レビュー

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2019/06/13

例の「ムネオさんの犯罪」辺りに連座して、背任、偽計業務妨害で起訴された著者である。 この本は、田中真紀子外相(当時;「外務省は伏魔殿発言」などで旧弊にクサビを打ち込む正義の味方に見えたっけ) vs ムネオさん戦争の裏事情や、北方領土を巡って、ソ連~ロシアとの間で水面下の交渉が進...

例の「ムネオさんの犯罪」辺りに連座して、背任、偽計業務妨害で起訴された著者である。 この本は、田中真紀子外相(当時;「外務省は伏魔殿発言」などで旧弊にクサビを打ち込む正義の味方に見えたっけ) vs ムネオさん戦争の裏事情や、北方領土を巡って、ソ連~ロシアとの間で水面下の交渉が進められていた頃の内幕、逮捕拘留されてからの検察官とのやりとりなどが迫真の筆致でえがかれている。 そして、外交とはどういうものか、検察とは(あるいは国策捜査とは)どういうものかについてアウトラインを教えてくれる。さらに、小泉政権を境に日本はいったいどう変わったのか?についても理解を与えてくれる。(それがつまり、傾斜配分:格差社会の始まりと、国際間協調ではないアメリカ偏重外交の始まりである) たいへん感銘を受けた。

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2019/01/08

鈴木宗男と佐藤優は、ロシアを見ながら、日本の国益に忠義を尽くした人達だったと、初めて知った。ヤワな裁判懺悔録とは一線を画す佐藤優の獄中録。 拘置所での検察官との対話を通じて国策捜査を読者に教えてくれる。 自らの困難を客観的に著述できる著者の教養本は、今後も売れるはず。 佐藤優っ...

鈴木宗男と佐藤優は、ロシアを見ながら、日本の国益に忠義を尽くした人達だったと、初めて知った。ヤワな裁判懺悔録とは一線を画す佐藤優の獄中録。 拘置所での検察官との対話を通じて国策捜査を読者に教えてくれる。 自らの困難を客観的に著述できる著者の教養本は、今後も売れるはず。 佐藤優って、胡散臭い元外交官のオッさんでしょ?という人にはまず読んで欲しい作品である。

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2019/01/20
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※このレビューにはネタバレを含みます

国策捜査がどう生まれどのように行われるかが良く分かる。後半の西村検察官とのやり取りがハイライト。 独特の風貌もあり何となく怖い人、悪い人という印象だったが一変。明晰な頭脳で国家の為に尽くした外交官であったのだろう。もちろん自身に有利なように書いている部分はあるのだろうが、それでも抜群の頭脳と豊富な知識量を持つことに疑いの余地はなく、こういう人を外交官から失ったのは明らかに国家の損失。現代の知の巨人。 ・ナショナリズムには二つの特徴がある。第一は、「より過激な主張が正しい」という特徴で、もう一つは、「自国・自国民が他国・他民族から受けた痛みはいつまでも覚えているが、他国・他民族に対して与えた痛みは忘れてしまう」という非対称的な認識構造である。ナショナリズムが行き過ぎると国益を毀損することになる。 ・国策捜査は時代のけじめをつけるために必要なんです。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出して、それを断罪するのです。法律はもともとある中で、その適用基準が時代によって変わってくる。特に政治家に対する国策捜査の適用基準のハードルは驚くほど下がっている。適用基準を決めるのは検察ではなく一般国民が決めている。

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2018/11/09

日露外交の発展のため、命を賭して戦った佐藤氏と鈴木宗男氏のドキュメンタリーである。国策捜査によって理不尽な獄中生活を送った佐藤氏が、情報分析官として、検察や外務省との当時の記録が具体的に残されている。 自身の信念を曲げず、国家権力と戦う佐藤氏の姿勢に感銘を受けるとともに、ひたむき...

日露外交の発展のため、命を賭して戦った佐藤氏と鈴木宗男氏のドキュメンタリーである。国策捜査によって理不尽な獄中生活を送った佐藤氏が、情報分析官として、検察や外務省との当時の記録が具体的に残されている。 自身の信念を曲げず、国家権力と戦う佐藤氏の姿勢に感銘を受けるとともに、ひたむきに努力を続け、必死に生きる人には、次に進むためのステップが用意されているように感じた。

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2018/02/08

2018.2.8 国策捜査の対象が何故鈴木宗男になったのかという考察が大変面白い。大きなパラダイスシフトのシンボリックとして、運悪く選ばれてしまった。このパラダイスシフトは、今にも連なる流れだ。自由主義経済と、ナショナリズム。そして、個人と国家をそれぞれ志向する両者は、実はベクト...

2018.2.8 国策捜査の対象が何故鈴木宗男になったのかという考察が大変面白い。大きなパラダイスシフトのシンボリックとして、運悪く選ばれてしまった。このパラダイスシフトは、今にも連なる流れだ。自由主義経済と、ナショナリズム。そして、個人と国家をそれぞれ志向する両者は、実はベクトルが違う。これ、まさに今にあてはまるのではないだろうか。 日露の北方領土問題は勉強になった。領土の帰属を解決するまで平和条約は締結しないと。国際ルールか。 北方領土にディーゼル発電機を供与することで、日本への依存を高めようとする戦略。ロシアとイスラエルの関係。

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2018/01/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

佐藤優氏が捕まるまでと逮捕された後の刑務所の実態が書かれている。外交官という仕事をより深く知ることができる良書であり、佐藤優氏を含めた外交官は相当な努力に加えて、官僚内の社内政治の中を生きてきたのだと知った。 鈴木宗男氏や田中真紀子氏について、当時のマスコミの報道から受けた印象とロシアの第一人者として活躍する鈴木氏では全く印象が違い、いかにマスコミが無能で事実を報道していないのか、その差に驚く。

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2017/12/25

国のために仕事してたのに、国策逮捕された著者の拘置所での話。検察官とのやり取りが興味深い。 検察官も著者がそれほど悪くないのは解ってるけど…ってのがやりきれない。 著者側の視点だし、機密もあるから全部が明らかになってるわけじゃないけど、一時期の鈴木宗男バッシングは完全に政府側にコ...

国のために仕事してたのに、国策逮捕された著者の拘置所での話。検察官とのやり取りが興味深い。 検察官も著者がそれほど悪くないのは解ってるけど…ってのがやりきれない。 著者側の視点だし、機密もあるから全部が明らかになってるわけじゃないけど、一時期の鈴木宗男バッシングは完全に政府側にコントロールされた話だったんだな、ってのが解る。 自分も何も知らないけど彼は悪い奴なんだって認識だったからな。一度鈴木宗男の著作も読みたいと思った。 ところで今の外交はそんな評判悪くないみたいだけど、著者の意見を聞いてみたい

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2017/08/20

いかに官僚の世界が高度であり、一般人にはなかなか類推しがたいほど複雑に動いているかが分かった点でとても面白かった。 どれほど内容が正確かは確かめようがないが、ここまで詳細に状況を記述できる著者の記憶力と描写力に感動した。

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2017/07/01

佐藤優氏の著作を多く読んでいるうちに、今更ではあるが原点の著書を読み返してみた。 外務省時代の彼の仕事ぶり、そして逮捕後の拘置所内での検察とのやりとりなど、非常に興味深い内容であった。 自分も当時はメディアの情報を丸呑みしていた者として恥ずかしく思った。彼ら(鈴木宗男氏や著者たち...

佐藤優氏の著作を多く読んでいるうちに、今更ではあるが原点の著書を読み返してみた。 外務省時代の彼の仕事ぶり、そして逮捕後の拘置所内での検察とのやりとりなど、非常に興味深い内容であった。 自分も当時はメディアの情報を丸呑みしていた者として恥ずかしく思った。彼ら(鈴木宗男氏や著者たち)がどれだけ真剣に日本そして北方領土問題を解決しようと奔走したのか、そしてそれを政治的な理由だけで検察に捉えられたしまったことがどれだけ今の日本にマイナスになっているのかを悔やまれてならない。 あれから数十年も経っているのに、このような本気で国のことを考えて奔走している人たちが政治に利用されることがないような仕組みを日本という国が作れていないことに恐怖さえ覚えた。 微力ながら時分ももっともっと知識をつけて、声を発していかなければいけないと考えさせられた。

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2017/02/21

恐らくは未だ口外できないことが多いのだろう、何故著者が逮捕されたのか、どのような力が働いたのか…言おうにも言えないもどかしさを感じた。あと、著者の恐ろしいまでの記憶力と再構築力には畏怖すら感じる。知性の構成要素で最も重要なのは記憶力だと思う。 この本で最も印象的なフレーズは「日...

恐らくは未だ口外できないことが多いのだろう、何故著者が逮捕されたのか、どのような力が働いたのか…言おうにも言えないもどかしさを感じた。あと、著者の恐ろしいまでの記憶力と再構築力には畏怖すら感じる。知性の構成要素で最も重要なのは記憶力だと思う。 この本で最も印象的なフレーズは「日本人の実質識字率は五パーセントだから、新聞は影響力を持たない。ワイドショーと週刊誌の中吊り広告で物事は動いていく」。 かといって「いや、俺は様々な情報をベースに世間を見ているぜ」というポーズをとる輩も危うい。そして、冷静なふりをしつつ、一方的な主張を繰り返す人間が最も危うい。

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