文庫版 百器徒然袋 風 の商品レビュー

京極夏彦【著】

2012/05/18

京極本にしては、アッサリと読めた。
すんげー面白いってわけじゃないけど、普通に楽しめる。
榎木津好きの人には、たまらない本ですな。

2012/05/07

調査も捜査も推理もしない、彼にあるのは破壊と殲滅のみ――。
この世でただ一人の正しい探偵、榎木津礼二郎。
過去の事件がきっかけで、榎木津の下僕となってしまった本島は
関わりたくはないのに奇妙な事件に相次いで巻き込まれる。
探偵を陥れるために張り巡らされた罠。
ところが天下無敵の薔薇十字探偵は、
奇矯な振る舞いとめちゃくちゃな暴れっぷりで
それらの罠を徹底的に粉砕してしまう！
京極堂シリーズの番外編、「百器徒然袋」の第二弾。

猫に彩られた、渋谷円山町における遊郭の抗争劇「五徳猫」。
凡人のはずの本島が体験した奇妙な出来事から始まった
榎木津を陥れるための珍奇な仕掛け「雲外鏡」。
本島の隣人、近藤宅から出てきた不思議な面の謎と、
益田に着せられた窃盗の濡れ衣はどうつながるのか――「面霊気」。
今回も三篇収録。

前作「雨」とほぼ同様の趣向の作品集。
だが、今回の三篇は前回と違いひとつのつながった物語。
前回の三篇は別々の事件だったのに対し、
今回の事件は完全にひとつの流れでつながっている。

また前回と違う点は他にもあり、
今回の事件は明確に榎木津を巻き込むことが前提の事件である。
榎木津をはめて陥れるための仕掛けなのだが、
榎木津はそんなことはすべてお構いなしだし、
察しの良い中禅寺にも意図を見抜かれて、
結局は完膚なきまでに返り討ちにあう、という流れ。

このシリーズ、一応榎木津をメインに据えたシリーズではあるが、
やはり中禅寺という男の存在感はかなり大きい。
どの事件も、強大な爆発力を持った榎木津が武器となり、
常人なら持て余すその武器まで組み込んだ作戦を
中禅寺が嫌々ながら立て、益田らを使って実行することで
小悪党の悪巧みを粉砕していくという流れ。
やはり榎木津が暴れるだけでは物語にならないので
ある程度それを制御して活用する中禅寺が必要なのだ。

自称凡人の本島の視点で物語は進むのだが、
今回は本島がやや卑屈になりすぎているきらいがあり、
また、そのせいか榎木津の迷惑さが強調されて見えたが
最終的に榎木津の印象が好転する描写がある。
心温まるようなエピソードではあるのだけれども、
個人的には榎木津のキャラをやや壊すもののような気がした。

中編ではあるが、登場する事件はどれも凝った仕掛けだし、
京極夏彦なので雰囲気も描写も展開の面白さも超一流。
素直に楽しめる娯楽小説。

2012/03/12

誰かこの暴走マシーン、止めてやってください(笑)
と言いましてもとめられるわけがないか。

さすがに榎木津マシーン(笑)が
怒涛の活躍を見せますと
周りの人がねたみやら恨みを抱くわけでして…
どうにかしてつぶそうとします。
まあ、神の榎木津なので
どうなったかはご想像通りです。

これだけでシリーズを作ってほしいぐらいですぞ。

2012/03/11

これを読み終わったらラジオドラマの方も是非聞いて欲しいです。
漫画や映画の榎さんも素敵ですが、ラジオドラマの榎さんの再現率は異常です、まさしく榎さんという感じです。佐々木蔵之介さんが声優をしていたのですが最高でしたｗ

2012/01/21

榎木津の榎木津による榎木津のための話。破天荒な振る舞いで周りを振り回しながら、事件を解決していく姿は爽快。本編は割と暗い感じだが、これは明るく読める。

2012/01/18

笑える推理小説ここに極まれたり！榎木津ファン必見、またそうでない人はひとたび読めば榎木津を大好きなること間違いなし！勧榎木津懲悪帳！

榎木津が主人公の短編集（といっても一話250~300ページ）で、本編の重い雰囲気を払しょくする三下相手に榎木津が暴れ、京極堂が炊きつけ、関口君が巻き込まれ、本島君が下僕たる働きをする、そんなコメディ要素たっぷりの推理小説。榎木津が主人公だけあって、いつも以上にはっちゃけいて、軽い事件だからか出不精・京極堂もいつも以上に腰が軽く、尚且つコメディ要素に拍車をかける楽しみっぷりに本島君（榎木津の新下僕）が振り回され、非常に楽しい。事件もこだわっているのだが、それ以上にテンポが良くって考える暇なく榎木津に魅了される。ああ京極先生本当にすごいよ！
見どころは榎木津の全てと、マスカマダと本島君に与えられるあだ名の数かず！

2011/11/06

何年も前にノベルス版を読んで以来の再読。志水さんの漫画を読んでたら読みたくなりました。
京極堂と榎さんが楽しそうで何よりw
ラストでちょっとほっこりしました。

2011/10/16

いやー。面白かった♪本当に理解不能な榎さんの行動・言動。素敵です。しかも今回も出てくる本島くん。下の名前は前回みたいなオチになるんだろうなと予想はついてたけど、期待を裏切らない平凡な名前。さすがです。番外編だけじゃなく、本編にも出てこないかなぁ～
榎木津の行く手には粉砕か殲滅しかない。って違いがいまいちわからん（笑

2011/09/17

遠山金伍郎（とおやまきんごろう）とか今回も偽名の本島さん。さすが巻き込まれ型ですね。でもそんな偽名で呼ばれてるのに最後にはしっかりと本名が書いてあっちゃったりして。しっかり締めますね。もー、いい感じのところで本名出すんだから！

今回羽田さんが出てきたんだけれど、ああ！それよりお父様が！榎木津のお父様がついに登場！！なんだよぉ、結構よさそうなオジサマじゃないの。

だかさら、敦子と青木はどうなんてんのさぁ。

2011/06/12

本編では見られない、各登場人物の意外な一面が明らかに。

友人思いの京極堂。
下僕思いの榎木津。

読中の爽快感と、読後の温かい気持ちは本編には無い持ち味。
これからも続けて欲しい短編集。