文庫版 百器徒然袋 風 の商品レビュー
京極堂さんのお友達、変人で美男中年の榎木津さんを中心にした短編集のその2。 まぁ、榎木津さん周辺で事件が起こるってだけで、榎木津さんは最後に登場して引っ掻き回す役割です。 さすがは変人美男中年ハイソ探偵…。 ここで問題点。 この作家さんのこのシリーズは、ちゃんと通しで読まない...
京極堂さんのお友達、変人で美男中年の榎木津さんを中心にした短編集のその2。 まぁ、榎木津さん周辺で事件が起こるってだけで、榎木津さんは最後に登場して引っ掻き回す役割です。 さすがは変人美男中年ハイソ探偵…。 ここで問題点。 この作家さんのこのシリーズは、ちゃんと通しで読まないとわかりにくいと思います。 京極堂シリーズが好きな人には、めっちゃたまらないと思うけれど、仲間になれないとそれほど楽しめない。 だって、登場人物が多すぎるし、そのバックボーンを知らないと楽しみ半減なんだもの…。 この本も最後の悪の親玉さんとの因縁は、今までのシリーズを知らないと「?」って感じでした。 知らなくても楽しめるっちゃ楽しめるけどね。
Posted by
「わははははッ!待っていたぞ」敬してやまない薔薇十字探偵・榎木津礼二郎の独擅場なのだ。唯我独尊とばかり横行闊歩する天下無類の極楽蜻蛉である。百鬼夜行シリーズを読むにつけ、いつか彼にすべてを委ねてみたかった。「この世に不思議なものなど何もない」とのたまう京極堂でさえ、彼の特殊能力は...
「わははははッ!待っていたぞ」敬してやまない薔薇十字探偵・榎木津礼二郎の独擅場なのだ。唯我独尊とばかり横行闊歩する天下無類の極楽蜻蛉である。百鬼夜行シリーズを読むにつけ、いつか彼にすべてを委ねてみたかった。「この世に不思議なものなど何もない」とのたまう京極堂でさえ、彼の特殊能力は解説不能に違いあるまい。『五徳猫』どもを虚仮にし、『雲外鏡』を粉砕し、『面霊気』を蹂躙しつくす。いやー、愉快愉快。通勤バスで笑いをこらえられず、同乗の衆には疎んじられるも、傍目を気遣う小心では彼を慕う資格なし。『雨』に先んじて読んだので、楽しみは半分残っている。
Posted by
2015.07.10 五徳猫:風俗店のいざこざ 雲外鏡:インチキ霊感探偵 面霊気:鬼面とコソ泥騒動 薔薇十字探偵団の話。羽田隆三絡み。 ラストで榎木津の意外な一面も
Posted by
中学生の時分には何度も挫折した妖怪シリーズですが、「姑獲鳥の夏」も「魍魎の匣」も意外と読めたので久しぶりに買ったら榎木津が主人公だったので驚いた。 五徳猫は好きな話。ストレートに良い話は大好物。変に捻ると不愉快なだけだから。 雲外鏡。敦っちゃんがカッコ良かった。 面霊気。木場修...
中学生の時分には何度も挫折した妖怪シリーズですが、「姑獲鳥の夏」も「魍魎の匣」も意外と読めたので久しぶりに買ったら榎木津が主人公だったので驚いた。 五徳猫は好きな話。ストレートに良い話は大好物。変に捻ると不愉快なだけだから。 雲外鏡。敦っちゃんがカッコ良かった。 面霊気。木場修は榎木津の幼馴染である限り出世できないと思う。 しかし語り手が違うと京極堂がえらい行動的だ。関口の語りがちょっと苦手なので、本島の語りのほうが面白くて好き。もちろん本編の狂った世界の語りは狂った人にしかできなくて、本島には無理かもしれないけど。でもこの人面白いよ。地の文で突っ込みをいれるんだよ。女の子にすら。口に出さずに。なんという小心者。あとマスカマが半端なく小物でどうしようかと思った。 京極堂はやっぱり優しい。榎木津は意外と優しい。木場修はかっこいい。関口は出番無かった。 久しぶりに全巻買いなおそうかなあ。学生時代は塗仏あたりまで集めて売っちゃったけど。久しぶりに再読したくなった。
Posted by
この長さを、中編小説と言っていいのか。 「~の◯◯」ってタイトルですが、榎木津礼二郎の暴挙暴君具合は涼宮ハルヒのネジを更に5本くらい外した感じなぁ。ていうかハルヒと榎木津は気が合いそうだね。 五徳猫 薔薇十字探偵の慨然 招き猫の由来、20年ぶりに戻った実家がおかしい。 雲外鏡...
この長さを、中編小説と言っていいのか。 「~の◯◯」ってタイトルですが、榎木津礼二郎の暴挙暴君具合は涼宮ハルヒのネジを更に5本くらい外した感じなぁ。ていうかハルヒと榎木津は気が合いそうだね。 五徳猫 薔薇十字探偵の慨然 招き猫の由来、20年ぶりに戻った実家がおかしい。 雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑 魔境。インチキ霊能者が榎木津と対決を申し込む。 面霊気 薔薇十字探偵の疑惑 鬼の面。益田が窃盗の容疑者になってしまう。 前編「雨」を「漫画かよ」と突っ込みましたが、どちらかと言うとライトノベル的な雰囲気を感じました。多分、語り手のボヤき具合と自己卑下の仕方、影が薄いことを嘆くあたりに、私の思う「ライトノベルっぽさ」が在るんだと思います。(って言ってもライトノベルってほとんど読まないから偏見なんだけれど)まぁ、ぶっちゃけると、本島某の地の文が実はあまり好きじゃない‥。榎木津の破天荒さとはっちゃけ気味の中禅寺が好きですが、このシリーズを読むと関口くんが恋しくなります。 えのパパ登場が嬉しかったです。思ったよりずっとマトモでいい人やないか。大物です。
Posted by
榎木津と探偵事務所の面々とのやりとりがコミカルに描かれている中編、3編。長編シリーズよりも角が取れた感じで読みやすい。おなじみのメンツも登場します。
Posted by
『百器徒然袋―雨 』に続いて、今回も榎木津が主役。 京極夏彦の作品はみんなおもしろいけど、京極堂シリーズの中ではあたしは断然、この2冊が好きです。 なんてゆーか、爽快。いや、痛快? 他の京極堂シリーズはどちらかといえば、全体的にしっとりした?感じなんだけど、この2冊は、メチャク...
『百器徒然袋―雨 』に続いて、今回も榎木津が主役。 京極夏彦の作品はみんなおもしろいけど、京極堂シリーズの中ではあたしは断然、この2冊が好きです。 なんてゆーか、爽快。いや、痛快? 他の京極堂シリーズはどちらかといえば、全体的にしっとりした?感じなんだけど、この2冊は、メチャクチャ…というか、ムチャクチャというか…。 ひたすら榎木津が楽しそう(笑)。 そして、そういう榎木津の、自由奔放で唯我独尊・傍若無人なところが好き…というか、うらやましい。 さて、で、短編集、というには1つずつが長いけど、3話収録。 ストーリー的に一番好きなのは、2話目の「雲外鏡」。 関西の自称・霊能探偵と、榎木津のやり取りが笑えます。 で、一番興味深いのは、3話目の「面霊気」。 この話の中で、たびたび、「仮面」という言葉が出てくるんだけど(例えば、p.659の本島の独白とか、p.688-689の京極の台詞)、それがすごく、おもしろいし、わかりやすい。 少し話は飛んで…。 ドイツの社会学者に、ニクラス・ルーマンという人がいます。 で、その人が「Person」っていう概念を使うんだけど…(日本語訳では「パースン」とか「人格」と訳されてます)。 ルーマンのPerson概念を、ちゃんと説明するのは難しい…っていうか、あたしには無理なので、大雑把に言うと、Personっていうのは、「期待の束」。つまり、ある人に向けられる期待を、まとめあげたもの、です。 社会学では、似た言葉に「役割」っていうのがあるけど、役割が、ある地位についている人びとに共通して向けられる、一般化された期待を指すのに対して、Personは、ひとりひとりに向けられる、個別的でより具体的な期待を指します。 例えば、「先生」一般に向けられる期待(=役割期待)と、「○○先生」っていう、特定の人に向けられる期待(=Person)、みたいな。 で、Personっていうのは、個別・具体的な期待なので、その人の就いている職業だとか、家族構成(と、その人のそこでの位置づけ)だとか、その人のいわゆる「性格」だとか、「嗜好」だとか、年齢だとか、性別だとか、その人と、自分が、これまでどういうコミュニケーションをとってきたのかだとか、すんごくいろんなことから、つくりあげらていきます。 で、「意外」な場面に出くわすと、「この人にはこーゆーところもあるんだ」→「今度からこの人の前ではこれをするのはやめよう」…てな感じで、つくり換えられたりもしたり。 したがって、Personっていうのは、何が、その人に対して期待できたり、できなかったりするのかを、その都度その都度、限定するためのもの、です。 で、何が期待できたり、期待できなかったり、っていうのは、その人がどういう人として捉えられているのか、ってことなので、Personを、最初よりもさらにざっくり言うと、その人「像」とか、「その人らしさ」って感じ。 (なんかもう、学問的な概念定義としてはありえない表現に…。ちゃんとした研究者の方々、ごめんなさい↓↓) んで、何が言いたいかというと、京極夏彦が「面霊気」の中で使う「仮面」という言葉は、ルーマンのPerson概念を、非常に、簡単に、かつわかりやすく説明してるなぁ、と。 言うまでもなく、「Person」(英語で「パーソン」、ドイツ語で「ペルゾン」)の語源は、ラテン語の「Persona」(ペルソナ:仮面)だし。 なんだか、長々と書いた割に、言いたいことはそんな短いのかよ、って感じですが、京極夏彦はホントすごい。 てか、もう、社会学者になっちゃえばいいのに(笑)。 んで、他の社会学用語も、もっとわかりやすく説明してくれればいいのに。 難しいことをわかりやすく伝えるスキルとセンスがほしい…。 あ、補足ですが、一応。。。 あたしのPersonの説明はかなり杜撰なので、ルーマンのPersonについてもっとちゃんと知りたい方は、以下を参照ください。 ・『社会システム理論』〈下〉の第8章(だっけか?)「構造と時間」。 (たぶんその章に、「期待、役割、パースン」とかっていう節があったハズ) ・『ポストヒューマンの人間論―後期ルーマン論集』の第4章「人格という形式」。 (ルーマンの著作の中で唯一、Personを中心的に取り扱った論文)
Posted by
最後が爽やか。せやから榎さん好きやねん。 せやけど、爺さんは詰めが甘いなぁ。もしも、堂島静軒みたいな人なら榎さん達もヤバかったで。 梶野美津子を助けた合気道を使う豆腐屋って誰?『塗仏』に出てきたナントカ流とかの人かなぁ?
Posted by
百鬼夜行シリーズに比べると軽い感じがするけどどの話もつながりがあってなによりも榎さん最高! 読後感がスッキリ感じられました。榎さんが来るとすべてを終焉に導いてくれそうで安心しちゃう。神だね
Posted by
前回は苗字ネタで今度は名前ですか まぁ、それはよい 中篇が3つでそれぞれがなんとなく繋がっているのは感心 これの続編は次にいつ出るのかしら? ってか本編よりも結構先に進んでない?
Posted by
