文庫版 百器徒然袋 風 の商品レビュー
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【収録作品】五徳猫 薔薇十字探偵の慨然/雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑/面霊気 薔薇十字探偵の疑惑 ノベルスのほうを読む。相変わらずの暴れっぷりが小気味いい。ちょっと本島が気の毒にもなるが、ラストがきれいに収まって、なんだかずるい気もする(褒めてる)。
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全3篇が収録されている短篇集で、いずれの作品においても「僕」こと本島俊夫が知らぬ間に事件に巻き込まれてしまい、それを榎木津礼二郎が搔き回しつつも、中禅寺秋彦の手も借りて最終的には解決するという筋書になっている。本島の立場になってみれば、「何が何やら」という感じであろうが、それは読...
全3篇が収録されている短篇集で、いずれの作品においても「僕」こと本島俊夫が知らぬ間に事件に巻き込まれてしまい、それを榎木津礼二郎が搔き回しつつも、中禅寺秋彦の手も借りて最終的には解決するという筋書になっている。本島の立場になってみれば、「何が何やら」という感じであろうが、それは読者にとっても同じことで、特殊な構造ゆえに「事件」の全貌の把握に難儀しているうちに、中禅寺はとうにすべてを見通していて、いつの間にやら物語が解決に向かって動き出してしまう。「何が何やら」という感じである。そのため、いちおう推理小説には分類されるのであろうが、推理小説としての楽しみ方はほぼできないと言ってよく、独特の雰囲気などを味わう作品となっている。本作までに刊行されているシリーズ作品をすべて読んでいたため存分に楽しめたが、そうでなかったらそれこそもっと「何が何やら」という感じであろう。
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何度目かの再読。百鬼夜行シリーズ番外編。流石の榎木津、凡人では到底マネのできない事をやってのける。そこに痺れるが憧れはしない。だって大変そうだもの。凡人たる自分なんかはそう思いながら今作も楽しく再読できた。
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20211013再読了 やー、破天荒とはこの人のことでしょう。榎木津探偵。気持ちいいほど破壊してくれます。読んでいてスカッとしますねー。
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百鬼夜行シリーズ中の榎木津もの第二弾。中編というか、それぞれ300頁弱あるからほぼ長編が3作。 五徳猫は「右」、面霊気は「釈然としない」。各作品の各章冒頭、韻を踏むかのように同じ言葉を持つ文章が繰り返される。雲外鏡は同じ言葉というより「本島の卑下」というテーマが繰り返される。 ...
百鬼夜行シリーズ中の榎木津もの第二弾。中編というか、それぞれ300頁弱あるからほぼ長編が3作。 五徳猫は「右」、面霊気は「釈然としない」。各作品の各章冒頭、韻を踏むかのように同じ言葉を持つ文章が繰り返される。雲外鏡は同じ言葉というより「本島の卑下」というテーマが繰り返される。 物わかりの悪い本島のスピード感欠く会話にイラツキながらも(ほんと短気だ)読んでよかった。 他では見ることがない(であろう)榎木津の魅力に触れて、ほっこり。三体ロスまで引き飛んだ。
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榎木津探偵大暴れ。1篇が中編小説並の紙数ではあるが、軽く読みきれる。主人公の本名が最後のページで初めて判明するのは笑える。 戦後すぐの空気感がよい。招き猫欲しくなる。
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とにかく面白かった。何度も笑い転げそうになりました。「勧榎木津懲悪」が個人的にはツボです。榎木津が悪党共を愉快痛快に蹴散らしていく様は読んでいてとても気持ち良かったです。 『百器徒然袋 雨』で名字が明らかになった「僕」に関しては、権太郎やら五十三次やら五郎やら「ご」のつく名前なのかななんて色々考えていたりしたけど全然違くて最後まで爆笑でした。
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にゃぁんこ。 榎木津主人公痛快アクション小説第二弾。 語り手の本島くんの名前が明かされる1冊(笑)。 自分は京極堂シリーズを刊行順に読んでるんだけど、時系列的には本作品は『邪魅の雫』のあとみたいで、どっちを先に読んだら良かったんだろうか(ネタバレ的に)。 さらに『百器徒然袋ー雨』の直後の話だから『陰摩羅鬼の瑕』に行く前に読んでしまいたくなるし。 まぁどれ読んでも大丈夫なようにはなってるんだろうが。 例によって榎木津が気持ち良く暴れる。 『百器徒然袋ー雨』で結構出張ってた中禅寺は、本作品では参謀に徹していて、肉体労働嫌いのキャラ設定を守っている。 中禅寺は、榎木津に関わるともの凄い勢いで馬鹿になると言うけど、むしろ榎木津本人がもの凄い勢いで馬鹿になってる気がする。 中編三編の繋がりが強く、一冊の長編と見做してもいいかもしれない。 中編の各タイトルは鳥山石燕の妖怪絵本から取ってるけど、作中では妖怪そのものについての蘊蓄はほとんど語られないし、妖怪絵本が開かれるシーンも全くない(薀蓄のあるような妖怪じゃないのかも。みんな石燕の創作で)。 おまけに民俗学的な問答も最初の招き猫に関することくらいで(…と思ったら能面の蘊蓄もあったか)、とにかく、2話目から羽田製鉄の陰謀話になってしまって、3話目の落としどころで羽田氏が今後大人しくなってくれるのかは若干疑問である。 なので、続きを! 是非続きを書いてください京極夏彦。 これ読み終わると『邪魅の雫』を残すのみになってしまうので、読んでる間中ずっとそこはかとなく悲しかった…(笑)。 ・「五徳猫 薔薇十字探偵の慨然」 招き猫がたくさん出てきて、どの猫がどっちの手挙げてる子なのか混乱した。 奈美木セツやら沼上やらの再登場で楽しく読める話だった。 事の真相は私も説明されるまで見当もつかなかったけど、巻き込まれそうな予感に珍しく取り乱す中禅寺は、らしくなくて可愛かった。まぁその割には作戦が悪ノリ気味か。 なんというか、榎木津が幻視体質なら、中禅寺は実は思考が読める体質なのを隠してるんじゃないかと疑ってしまう。ていうか、中禅寺の脳裏に策が浮かぶ時、決して視覚情報はないはずなのに榎木津が察知してしまうのは、榎木津も中禅寺の思考を読めてるように思うんだけど。違う? 頭イイ人はこんなもんなの? 中禅寺の、多々良と榎木津の分析には賛同しかねる(笑)。正しいだけ榎木津の方がずっとイイ。 美津子に大金が入り、その大金で年季が明け、親子関係は修復され、主人の小池も大損はせず、北九州のボンボンには良い別荘が見つかり、悪は裁かれるなんて、榎木津が仕切った事件の中では最高に上手くいった例だと思う。 エチオピア人の益田可愛い。 ・「雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑」 神無月鏡太郎なんて胡散臭い関西の霊感探偵が出てきて、榎木津にギャフンと言わされる話。 本島に人を刺すフリをさせたのが榎木津ターゲットなのは途中で分かったけど、実際神無月が榎木津と対決してからの顛末は、予想を超えていた。 視えるってことがどういうことか、私も認識が甘かったわ。 中禅寺は謎解きはするけど、特に動かない。榎木津が自力で解決(?)した稀有な事件(?)。 ・「面霊気 薔薇十字探偵の疑惑」 ついについに幹麿氏登場! でも『魍魎の匣』で電話越しに声だけ出演した時の幹麿さんとあまりに印象が違ってて、私ここだけは納得いかない。こんな上品な好々爺じゃなくてもっと威厳があったじゃん。京極夏彦そのこと忘れてるんじゃない? その上、ほんの数週間前に危篤状態だった老人を引っ張り出した中禅寺も、いつもの配慮に欠けていて違和感を持った(危篤ってのは榎木津の誇張表現だったと捉えるべきか)。 「五徳猫」の招き猫がここでも小道具として使われてて上手い。しかし怪盗招き猫はイイとして(新聞掲載の写真がありありと目に浮かんだ)、本島を泥棒に仕立てて羽田別邸に捕らえさせたあと、あんなに思惑通り行くだろうか。かなり無理がある作戦だと思うんだが。 鰹節盗むのにわざわざ木場修の管轄区域を選んだりして、巻き込む気満々である。 繰り返すが、ホントにこれで羽田氏は恩義を感じて手を引いてくれるのだろうか。続きを(略)。 まぁでもこのラストを見る限り上手く落ちてるからここで終わりなんだろうな…。 ラストに榎木津の不器用な優しさが感じられて、ついでに中禅寺の榎木津愛も感じられて、ほっこりした読後感だった。 関口は全く出てこなかった。関口って…。 (追記) 『邪魅の雫』読んだあとでちょっと再読してみたけど、やっぱり刊行順に読むのが正解みたい。ちょっと矛盾した描写があった(鞭について)。 逆に『百器徒然袋ー雨』のすぐあとに(『陰摩羅鬼の瑕』に行かずに)本書を読む分には問題ない気がする。
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[五徳猫] 招き猫が持って来た謎。前回と同じように本島が巻き込まれて事件が進む。前より間が悪くなっている気がして、ますます関口くんに似てきた印象。榎木津の下僕らしくなって来たが本編には登場しないのかな。 親切にしてくれた旦那さんが実は悪党で、依頼人の母の所に殺人を犯して死んだ...
[五徳猫] 招き猫が持って来た謎。前回と同じように本島が巻き込まれて事件が進む。前より間が悪くなっている気がして、ますます関口くんに似てきた印象。榎木津の下僕らしくなって来たが本編には登場しないのかな。 親切にしてくれた旦那さんが実は悪党で、依頼人の母の所に殺人を犯して死んだと思われていた娘を偽って当てがっていた。 話は重いのだが、外伝だからか軽く書かれている。 [雲外鏡] 榎木津に対して敵愾心を燃やす神無月という心霊探偵。やる事も見た目もダサいので、あっけなく榎木津にしてやられる。世界一敵に回さないほうが良い人である。 榎木津の能力を手にとって、してやろうと画策したのは良いが、自分がメイクをして変装をしているところを鏡を見て行っていたので、どれだけ頑張ろうと榎木津には筒抜だった。本編の事件も、こんな風に雑魚ばかりだったらあんなにページ数も増えないのに。 [面霊気] 突然現れた面。それは本島の隣に住む近藤の部屋にあった。そして泥棒として益田が疑われたりする。京極堂が忠告した通りに、榎木津のそばにいたから面倒ごとに巻き込まれてしまった。 全ては榎木津の評判を地に落とすために、羽田が仕組んだ事だった。盗まれた品を榎木津の関係者の所においておき、関係者の持ち物を盗んで何か事件を起こすという作戦だったのだろうが、榎木津と京極堂にしてやられた。この二人が組むと誰も手出しが出来なそうだ。 最近は事件続きなので、榎木津がみんなのためにお祓いをしようとしていたのが意外でもあり、らしくもある。やはり榎木津というのは面白いキャラクターだ。
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何度読み返しても面白い。本当にツボにはまった作品。 この一冊に限らず百鬼夜行シリーズに言えることだが、ちょっと助長かなと思える語り口が思わぬ伏線になっているので、何度読んでもジックリと一文字一文字きちっと折ってしまう。斜め読みなんて出来ない。 また本編以上に荒唐無稽なのが良い。す...
何度読み返しても面白い。本当にツボにはまった作品。 この一冊に限らず百鬼夜行シリーズに言えることだが、ちょっと助長かなと思える語り口が思わぬ伏線になっているので、何度読んでもジックリと一文字一文字きちっと折ってしまう。斜め読みなんて出来ない。 また本編以上に荒唐無稽なのが良い。すごく良い。本編には出てこないキャラクター達ながら誰も彼も個性的で、一話ごとのボリュームこそ控えめながらキャラの立ち方は全然控えめじゃない。むしろ個性的すぎてどちらも続編が待ち遠しくてならない。 本当に続編が何時出るのか気になってしょうがないくらいこのシリーズが好きです。 あえて難点を言うならば文庫の厚さ。笑い話ながら手が小さいのでずっと持っていると肩が凝ってしまうってことと、ページがめくりにくいことでしょうか。
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