あのころはフリードリヒがいた 新版 の商品レビュー
児童書とはいえ救いがない 無力な隣人、差別が日増しに酷くなっていくドイツ そしてユダヤ人少年の無情な最期 日本でもいじめで追い詰められて自殺したり 在日の人のヘイトスピーチも問題になった 他人事とは思えない物語 ただ、ただ、人間の愚かさが悲しい
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国家が差別行為をしてよいと許可を与えると、恐ろしい地獄が出現する。そしてもっと恐ろしいのが、人々がそうしてしまう過程が、理解できることだ。今現在の世の中も、一歩間違えば、簡単に地獄に変わり得ることが、恐ろしい。
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このところ、戦間期のドイツを調べるためにいくつかの本を読んでいる。僕という子どもの目線から、ユダヤ人迫害をクロニクル的に追い、次第に人々が変わっていく様子が丁寧に描かれている。後半は今の日本のヘイトスピーチと驚くほど重なり恐ろしい。 もちろん、当時の人も今が戦間期などとは思わず、...
このところ、戦間期のドイツを調べるためにいくつかの本を読んでいる。僕という子どもの目線から、ユダヤ人迫害をクロニクル的に追い、次第に人々が変わっていく様子が丁寧に描かれている。後半は今の日本のヘイトスピーチと驚くほど重なり恐ろしい。 もちろん、当時の人も今が戦間期などとは思わず、生きていたわけだが、日本の今の精神状態はこれに近づいてはいないか。 この本のラストは衝撃的だ。それ以上に様々な理由をつけ、便乗したり、傍観者をよそおったりしていく市民が空恐ろしい。
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かなり前の本ですが、友人の感想を伺って、読みたくなりました。映画「ハンナ・アーレント」を観て、「悪の凡庸さ」というものは、当時どんなものであったか、子どもの世界を通して、描いていると思います。登場人物はすべて平凡で良心的な人間です。だから、日常の生活に潜む残酷さを、優しく描いてい...
かなり前の本ですが、友人の感想を伺って、読みたくなりました。映画「ハンナ・アーレント」を観て、「悪の凡庸さ」というものは、当時どんなものであったか、子どもの世界を通して、描いていると思います。登場人物はすべて平凡で良心的な人間です。だから、日常の生活に潜む残酷さを、優しく描いています。 心理的な意味では、アウシュビッツものより恐ろしい。それは今いるごく普通の人たちが、そういうふうに変貌するから。また、それに気づいていても、身動きできないもどかしさも伝わってきます。 今の時代、読み直す価値があると思います。
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ヒットラー政権下のドイツで、隣人のフリードリッヒ一家の運命を「僕」の視点から描いた作品。 このテーマには、ベンニーニの映画"lIFE IS BEAUTIFUL"などの秀作があるが、あの映画にはまだまだコミカルで軽快な部分や、明るいエンディングがあったが、この...
ヒットラー政権下のドイツで、隣人のフリードリッヒ一家の運命を「僕」の視点から描いた作品。 このテーマには、ベンニーニの映画"lIFE IS BEAUTIFUL"などの秀作があるが、あの映画にはまだまだコミカルで軽快な部分や、明るいエンディングがあったが、この小説は徹底的な厳しさに貫かれている。「僕」の語りによる回想という方法もリアリティを高めているだろう。みんなに読んでほしい作品。
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収容所に行くことなく亡くなったフリードリヒ。レッシュ氏の言うように、そのほうが幸せだったのでしょうか…。 昨日まで仲のいい友人だったのに、戦争によって友人でいることができなくなってしまう。戦争は何もかも奪ってしまいますね。
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収容所の話かと思ったのですが違いました。タイトルからフリードリヒが最後には死んでしまうことを予感させるのですが、それも込みで、最後までぐいぐい読ませます。
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子どもの時読んで声を出して泣いた本。 社会の流れの中で図らずも弱者になっていく人の姿をみて幼心にとても怖かった。
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1960年代後半から1970年代にかけてドイツでは反権威主義的児童文学が生み出された。その中で書かれたもの。 主人公(ドイツ人の青年)の日記を読んでいるようだった。 ユダヤ人に対するドイツ人の対応がいくつかにカテゴライズできた。 特に印象的だったのは、ヘルガ。そして次の言葉が...
1960年代後半から1970年代にかけてドイツでは反権威主義的児童文学が生み出された。その中で書かれたもの。 主人公(ドイツ人の青年)の日記を読んでいるようだった。 ユダヤ人に対するドイツ人の対応がいくつかにカテゴライズできた。 特に印象的だったのは、ヘルガ。そして次の言葉が私の心に深く浸透した。「『そう思ったの!』といった。なんでもないことのように、さらりといったんだ!」 ヘルガのようなドイツ人だっていたんだ。そういう人でありたい。 するりとのみ込んで手を引いてあげたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
くくりは児童書だけど、大人も十分考えさせられる本。 こういったナチスドイツ戦況下の話に接する時、遠い国すぎて他人事として捉えてしまうけど、自分達にも充分に置き換えられる。 そう言った意味でも、終盤に挿入される「ソロモン」の章がとてつもなく印象深い。 読者がただの戦争悲話として捉えないように、章毎に年数、そして最後に実際起きた出来事の年表が付けられている。併せて読むと、これがただのフィクションでないことを実感する。
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