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自分のなかに歴史をよむ の商品レビュー

4.1

54件のお客様レビュー

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    15

  2. 4つ

    18

  3. 3つ

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2012/02/05

自分の経歴を書きながら歴史研究の方法を語る。経歴も変わっていて中学生の頃修道院に預けられたことからドイツ東方騎士団の研究をすることになったそうだ。文化とは人間関係の総体であり目に見える物が媒介するだけでなく目に見えない絆も含まれる。歴史研究とは目に見える史実だけでなく目に見えない...

自分の経歴を書きながら歴史研究の方法を語る。経歴も変わっていて中学生の頃修道院に預けられたことからドイツ東方騎士団の研究をすることになったそうだ。文化とは人間関係の総体であり目に見える物が媒介するだけでなく目に見えない絆も含まれる。歴史研究とは目に見える史実だけでなく目に見えないモノも考えなければならないとことはなるほどと思った。またただ知るだけでなく「解る」ということは「自分自身が変わること」というのは考えさせられた。

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2011/12/10

凄く良かった!現代の名文。 歴史・特に古代~中世史を勉強してる人に勧めたい。 論文のテーマは「自分がそれをやらないと生きていけないようなもの」にする必要があるんすね~。 『ハーメルンの笛吹き男』も凄く興味があるから読んでみたいな。

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2011/12/06

歴史学の権威である阿部氏の自叙伝のような形を取った学問書。中高生を対象としたやさしい語り口の中に「歴史が解るとは歴史の諸事情の奥底にあり、自分の内面と呼応する関係、あるいはその変化を発見すること」という彼独自の歴史観を通して、「人間と人間の関係のあり方の原点とその変化」という本質...

歴史学の権威である阿部氏の自叙伝のような形を取った学問書。中高生を対象としたやさしい語り口の中に「歴史が解るとは歴史の諸事情の奥底にあり、自分の内面と呼応する関係、あるいはその変化を発見すること」という彼独自の歴史観を通して、「人間と人間の関係のあり方の原点とその変化」という本質的な要素を歴史の中に見出しています。

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2011/10/11

阿部謹也さんを知ったのは高校生の時。赤い表紙の新書を、何度も何度も読み返していた。まぁ全体としては良く理解出来なかったのだけれど、ふとしたフレーズや言い回しがどうも気になって、きっと何か手がかりがあるんだと、借り続けては鞄に入っていた気がする。 話はかなり面白い。キリスト教がヨ...

阿部謹也さんを知ったのは高校生の時。赤い表紙の新書を、何度も何度も読み返していた。まぁ全体としては良く理解出来なかったのだけれど、ふとしたフレーズや言い回しがどうも気になって、きっと何か手がかりがあるんだと、借り続けては鞄に入っていた気がする。 話はかなり面白い。キリスト教がヨーロッパの人間や世界との関わり方を規定し文明を作ったこと、それに対して日本には文化はあっても文明はないこと。私は自分の人生から何を読み取って、世界と関わっていこうか。

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2011/09/23

中高校生向けに書かれた本(らしい)。しかし、中高校生に関わらず、是非読んでおきたい1冊。社会を解ることとは人と人との関係について理解することであると述べている著者。私もその意見に十分賛成であり、今の学問には著者のような学問とはなにか、と問う真摯な姿勢が欠けていると考えた。特に学問...

中高校生向けに書かれた本(らしい)。しかし、中高校生に関わらず、是非読んでおきたい1冊。社会を解ることとは人と人との関係について理解することであると述べている著者。私もその意見に十分賛成であり、今の学問には著者のような学問とはなにか、と問う真摯な姿勢が欠けていると考えた。特に学問の存在意義と真摯に向き合わないまま研究書なり論文を書く傾向が最近あるように思えて仕方がない。著者のような姿勢が今必要なのではないかとこの本を読んで感じた。

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2011/09/16

 自分の探求したい学問テーマを見つける過程。  向かう世界と自分との関わりを深める過程の物語。  著者の『中世賤民の思想』(友達のバイブル)は読みごたえがあって、まだ全部読めてないけど、こっちは読みやすかったな。  著者が大学の教授に『どんな学問をやるにせよ、それをしないと生き...

 自分の探求したい学問テーマを見つける過程。  向かう世界と自分との関わりを深める過程の物語。  著者の『中世賤民の思想』(友達のバイブル)は読みごたえがあって、まだ全部読めてないけど、こっちは読みやすかったな。  著者が大学の教授に『どんな学問をやるにせよ、それをしないと生きていけないとゆうテーマを見つけなさい』と言われたところが印象的。  学び方を学ぶのが大学だったかなと、自分を振り返って思う。  大学はこうした場所であってほしいと思った。    中世ヨーロッパの人々はどのように世界を見ていたか?   私たちの暮らしに当たり前にあるものがない世界。  当たり前にわかっていることがわからない世界。  分からないことが多いからこそ(天変地異や、身体のメカニズム、なぜ排泄されるのか、なぜ病気になるのか)分からないものへの不安、おそれの中で生きていた。  当時の人々の世界認識を考えたら、当時の宗教や哲学、芸術がどうして生まれたかも納得できる。   人間の身体が小さな宇宙と、地球という大きな宇宙。 そうした世界で、文明の発達、時計ができたこと、科学の発達、キリスト教の登場はパラダイムシフトを興すような出来事。 キリスト教と世界との関係面白いなぁ。 災害や病気は大きな宇宙からやってくるものと信じられていたのが、それは全て神の摂理によるものとされた。 死生観も変えた。死ぬことは生の延長であると考えられていたのが、生きている世界と死後の世界は別々のものとなった。 死んでから、動物植物に変身することもあったと考えられていたのが、善人は天国、悪人は地獄へいくとなった。 人の考え方、世界の定義をガラリと変えてしまうようなことを考えるということがスゴイと思う。 面白かったー。      

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2011/05/22

○それをやらなければ生きてゆけないテーマ(20頁) ○それでいったい何が解ったか→解ることは変わること(知ることとは違う)(21頁) ○(原著を読めれば、著者と同時代人になれる)(24頁) ○学問は自覚的に生きること→自己形成の歩みを掘り起こす(62頁) ◎糞尿の神秘性→小宇宙(...

○それをやらなければ生きてゆけないテーマ(20頁) ○それでいったい何が解ったか→解ることは変わること(知ることとは違う)(21頁) ○(原著を読めれば、著者と同時代人になれる)(24頁) ○学問は自覚的に生きること→自己形成の歩みを掘り起こす(62頁) ◎糞尿の神秘性→小宇宙(身体)からの排出、腐敗の変化→処理するものは異能者 ○モノによるつながり、目に見えない絆によって結ばれた関係 ○相覆い合う状態が幸せ→どちらか一方に偏っても幸せではない ○文化と文明の違い ○小さな違和感を大切にすることが、他の文化を理解する上で重要

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2011/03/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・中学時代の修道院生活が西洋史研究につながる ・ゲルマンの風土的価値観である大宇宙と小宇宙  大宇宙=自然  小宇宙=人間   これらは人間には制御しきれない、わからないもの ・キリスト教価値観の普及  大宇宙=神として、小宇宙を否定  しかし小宇宙に対する畏敬の念は残り、  大宇宙・小宇宙に関わる職業人は差別されることとなった  粉挽き、理容師、外科医、芸人、ジプシー・・・ ・ハーメルンの笛吹きにつながる

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2011/03/12

著者は大学3年時にゼミの申し込みをするために上原先生の家に直接訪ねていった。 しかしそのとき先生は会議中であった。 著者は会議の席に呼ばれ、上原先生とその場にいたその他高名な先生方はひとりずつ頭を下げて作者に 挨拶をされた。それだけではない。筆者に対して会議に参加するようやさしく...

著者は大学3年時にゼミの申し込みをするために上原先生の家に直接訪ねていった。 しかしそのとき先生は会議中であった。 著者は会議の席に呼ばれ、上原先生とその場にいたその他高名な先生方はひとりずつ頭を下げて作者に 挨拶をされた。それだけではない。筆者に対して会議に参加するようやさしく促し、意見を求めたのだ。ひとりの平凡な大学生に過ぎなかった作者に対してとても丁寧で対等な態度であいさつを受けた作者は気後れを感じながらも先生たちの立ち振る舞いに感動を覚えたのであった。 それが著者と先生との出会いだった。紳士的な態度で振舞う先生は、学問に関してはとても厳しい方だった。 ゼミでこの先生から受けた指導が、作者のその後の歴史家としての研究生活の根幹になることとなる。 卒論のテーマに悩んでいた作者はあるとき、先生からアドバイスを受ける。 「どんな問題をやるにせよ、それをやらなければ生きてゆけないというテーマを探すのですね。」 また、別の機会において先生は研究について、 「人物であれなんであれ、研究対象に惚れこまなければ対象をとらえることはできないでしょう。 けれども惚れこんでしまえば対象が見えなくなってしまいます。ですから研究者は、いつも惚れこんだ瞬間に身をひるがえして、現在の自分にもどってこられるようでなければならない。」 「解るということはそれによって自分が変わるということでしょう。」 などと厳しくも鋭い言葉をおくったのだった。 著者は、中学生時代にカトリック系の修道院の施設に入れられていた体験から、修道院というものに好意を持ち、中でも教えを説く身でありながら戦いに参加し人を殺す存在であるドイツ騎士修道院にひかれて、その研究をすることになった。 研究を続けた箸者は、ハインペルの論文を読んで、学問の意味は生きること自覚的に行なうことだと結論付け、そのためには自分の内奥(子供の頃の体験など)を掘り起こしながら、つまり、自分のなかに歴史を読みながら、同時にそれを“大いなる時間”のなかに位置づけていくことだと悟る。 また、著者はその後も研究を続けた後、ドイツに留学し日本と西洋の違いは何か、西洋でなぜ差別が生まれたのかという問題に挑んでいく。 本書は、著者の自己へのあくなき内省と真摯な学問に対する態度によって丁寧な筆致で書かれた学問的な自伝であるが、大学で勉強するとはどういうことか、学問にどう取り組むべきかについて大いに汲み取れることがある。 第1章における上原先生との出会いは、権威ぶった偉そうな大人が優れた人物にないことを教えてくれるし、上原先生の数々の言葉、特に「解るということはそれによって自分が変わるということでしょう。」という言葉は、どこかすぐ近くのその辺に落ちていそうでもそうでない非常に深い響きを持った言葉ではないだろうか。

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2010/12/02

著者(と上原専禄教授)の学問と真摯に向き合う姿勢に大変感銘を受けた。 特に冒頭の上原先生の件では、こちらも思わず姿勢を正しました。 学生時代に読んだはずですが、その時は何も感じなかった。 今感じた気持ちを学生のときにも持てていたら、もっと勉強したと思う。 まあ、今だからこそ感じる...

著者(と上原専禄教授)の学問と真摯に向き合う姿勢に大変感銘を受けた。 特に冒頭の上原先生の件では、こちらも思わず姿勢を正しました。 学生時代に読んだはずですが、その時は何も感じなかった。 今感じた気持ちを学生のときにも持てていたら、もっと勉強したと思う。 まあ、今だからこそ感じることが出来たとは思います。

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