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自分のなかに歴史をよむ の商品レビュー

4.1

54件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    18

  3. 3つ

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2014/10/14

この本は深いです.宗教,産業革命,資本主義,差別と,とても広い分野に渡っていて,それが,全部一つに繋がっていることがわかります.まだ自分の中で整理できていませんが,読む度に新たな発見を与えてくれそうです.「わかるとは,それによって自分が変わることである.」この言葉は常に自分の頭の...

この本は深いです.宗教,産業革命,資本主義,差別と,とても広い分野に渡っていて,それが,全部一つに繋がっていることがわかります.まだ自分の中で整理できていませんが,読む度に新たな発見を与えてくれそうです.「わかるとは,それによって自分が変わることである.」この言葉は常に自分の頭の中にとどめておきたいです.

Posted byブクログ

2014/04/17

著者の自叙伝であり、歴史学入門であり、中世ヨーロッパ社会史の入門書でもある、一粒で3度おいしい名著。 歴史を研究するとは、ここまで深いことなのかと瞠目させられた。 まず「解る」ということは一体どういうことなのか、何がどうなれば「解った」ことになるのか、著者の研究はその問いを突き...

著者の自叙伝であり、歴史学入門であり、中世ヨーロッパ社会史の入門書でもある、一粒で3度おいしい名著。 歴史を研究するとは、ここまで深いことなのかと瞠目させられた。 まず「解る」ということは一体どういうことなのか、何がどうなれば「解った」ことになるのか、著者の研究はその問いを突き詰めることから始まり、広がっていく。 著者は「解る」ということは自分との共通点を見つけることであるという。自分の体験の一部のようなものとして腹落ちするような状況を指しているのだろう。 それゆえ著者は、「私にとって歴史は自分の内面に対応する何かなのであって、自分の内奥と対応しない歴史を私は理解できない」とまで語る。 この研究姿勢は読んで感じてもらうのが一番手っ取り早い。 中世ヨーロッパ社会史の入門としても、歴史素人の私としては非常に新鮮な指摘が多かった。 大宇宙・小宇宙の世界観、キリスト教との邂逅、それによる文化と文明の発生など、当時の人々の世界観をまざまざと明かしてくれたように感じた。 しかもこれだけ魅力的な内容が詰まっているにもかかわらず、本書は中高生向けに平易な文章で書きあげられているのだから言うことない。 歴史好きなら一度は読んでみてもいい一冊かと。

Posted byブクログ

2013/11/21

「解るということはいったいどういうことか」 なぜ中世ヨーロッパにおいて差別が生まれたのか。本書中盤以降、ヨーロッパ社会の歴史を振り返りながら、この疑問に答えていく場面が続く。古来より大宇宙と小宇宙が人々の世界観を形成し、二つの宇宙の狭間に異能力者が存在していたこと。キリスト教の...

「解るということはいったいどういうことか」 なぜ中世ヨーロッパにおいて差別が生まれたのか。本書中盤以降、ヨーロッパ社会の歴史を振り返りながら、この疑問に答えていく場面が続く。古来より大宇宙と小宇宙が人々の世界観を形成し、二つの宇宙の狭間に異能力者が存在していたこと。キリスト教の普及によって宇宙が一元化され、異能力者の存在が公的に否定されたこと。それによって異能力者は「恐れながら遠ざける」べき存在となり、ここに賤視=差別が生まれたこと…。つまり差別は文明の副産物だったのだ。本書を読むと、歴史に対する見方が一変させられる。そうしてようやくこの言葉の本当の意味を理解できるようにもなるのだ。 「解るということはそれによって自分が変わるということでしょう」 心憎い伏線が張られた誠実な一冊。

Posted byブクログ

2013/09/11

20年ぐらい前に読み、たびたび開いてきた本です。 二十代の頃思い余って、阿部先生にお手紙などを書きましたら お葉書をいただきました。この本から次々、先生の著書を読み出しました。

Posted byブクログ

2013/06/04

中世ヨーロッパの世界に生まれ落ちた感覚で、 かつて観てきた映画の記憶の助けを借り、中世の価値観、宗教観を身に纏いながら自分の半生を振り返ってみる。表面的な中世の知識では感じられない、果てしなく緩やかな時間と

Posted byブクログ

2013/05/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者は、幼いころに生活した修道院での体験から、ヨーロッパと日本の違いとは何なのかを、自己のテーマとして研究してきた。 学問をすること、作品を書くことを、著者は「生きるということを自覚的に行う」ことであるという。 そのための手続きとは、 ・自分自身の過去を深く深く掘り下げること ・同時にそれを《大いなる時間》の中に位置づけていくこと。 このような研究、作品こそが、一人の人間の生きた証としての価値を持つということ、とても共感できる。 著者がたどり着いた、ヨーロッパと日本の違いとは、人間と人間との関係の結び方の違いである。 日本や、キリスト教が台頭する以前のヨーロッパにあった"文化"とは、物を媒介とした人と人との関係の中で形成された、非合理的なものであった。それに対し、キリスト教の登場が、人と人との関係に神という目に見えない絆を挟むことで、極めて合理的なものとした。それがヨーロッパ"文明"となって、全世界に急速に拡大する因となるのである。

Posted byブクログ

2012/08/20

後半の中世ヨーロッパの分析から、キリスト教の普及に伴って差別が生まれてきた歴史を分析していく過程も興味深いのだが、やはり本書の最大の特徴は自らの幼少期学生時代を回顧しつつ、歴史を学ぶ意味についての思索が巡らされる前半部にある。人は何かを知っただけでは変わることなく、逆に言えば「解...

後半の中世ヨーロッパの分析から、キリスト教の普及に伴って差別が生まれてきた歴史を分析していく過程も興味深いのだが、やはり本書の最大の特徴は自らの幼少期学生時代を回顧しつつ、歴史を学ぶ意味についての思索が巡らされる前半部にある。人は何かを知っただけでは変わることなく、逆に言えば「解る」ことは自らの人格に関わる体験だという話は至言だし、ハインペルを引き合いに出しつつ歴史というものを自らの意識や存在そのものと結びつけようとする真摯な態度には心動かされた。中高生の時期に読んだら確実に人生観を変えてしまいそうな本。

Posted byブクログ

2012/08/06

上原専禄先生は東京商科大学の学長を務められドイツ中世史の権威として学界にゆるぎない地位を確立した学者であります。人間の過去に規定される。過去の絆では学問の第一歩、歩み始めて自分との関係をどのように気付いてきた進歩があると思います。過去からのつながりも過去との本質的な絆をもたなかっ...

上原専禄先生は東京商科大学の学長を務められドイツ中世史の権威として学界にゆるぎない地位を確立した学者であります。人間の過去に規定される。過去の絆では学問の第一歩、歩み始めて自分との関係をどのように気付いてきた進歩があると思います。過去からのつながりも過去との本質的な絆をもたなかったら作品に未来に生きられないと思い、人間が過去の絆を生きていく力があり、自分の将来のことも大切だと思いました。

Posted byブクログ

2012/06/30

歴史に疎い自分にはとても勉強になりました。 本書は、阿部謹也先生がどういう問題意識をもっていたのか、それをどうやって解いていこうと考えたのかがわかりやすい表現で書かれており、読みやすかったです。 特に気に入った部分は、著者の先生である上原氏がおっしゃっていた「それで何がわかったこ...

歴史に疎い自分にはとても勉強になりました。 本書は、阿部謹也先生がどういう問題意識をもっていたのか、それをどうやって解いていこうと考えたのかがわかりやすい表現で書かれており、読みやすかったです。 特に気に入った部分は、著者の先生である上原氏がおっしゃっていた「それで何がわかったことになるのですか?」という問いです。何かを学ぶということは、学んだことによって自分の中の何かが変わることが必要であるという考え方です。これを意識することで読書や研究を無駄なものに終わらせない、効率化につながると思います。 易きに流れて実行できていない自分を啓蒙する良い書だったと思います。

Posted byブクログ

2012/03/18

著者の伝記のようでいて、著者にとっての歴史学が何たるかを説明しようとしている本。 ヨーロッパの一部の歴史を人と人との関係の変化をもとに説明していて、そういった解釈にふれられたことが素晴らしかった。 以下、自分用にこの本の主要なところを3つにまとめる。 ・解るということ   何...

著者の伝記のようでいて、著者にとっての歴史学が何たるかを説明しようとしている本。 ヨーロッパの一部の歴史を人と人との関係の変化をもとに説明していて、そういった解釈にふれられたことが素晴らしかった。 以下、自分用にこの本の主要なところを3つにまとめる。 ・解るということ   何がどうなって解ったといえるのか。 ・人と人との関係   モノを媒介にする関係と、絆を媒介にする関係。 ・大宇宙・小宇宙、昔の童話の話   自然を自然科学で捉える前の時代における人々の自然への認識。

Posted byブクログ