わたしと小鳥とすずと の商品レビュー
小学校の教科書以来。彼女の詩はリズムを刻む祈りみたいだ。改めて触れてみると、金子みすゞのまっすぐな子どものような目線は、大人になると損なわれやすい貴重なものだと感じる。享年の若さにも驚いたし、「こどもは大人のはじめです。こどもは人間のはじまりです。」から綴られる与田準一の”はじめ...
小学校の教科書以来。彼女の詩はリズムを刻む祈りみたいだ。改めて触れてみると、金子みすゞのまっすぐな子どものような目線は、大人になると損なわれやすい貴重なものだと感じる。享年の若さにも驚いたし、「こどもは大人のはじめです。こどもは人間のはじまりです。」から綴られる与田準一の”はじめに”も印象的だった。お気に入りは表題作がやはり一番、他には「わらい」、「星とたんぽぽ」が特に好きだった。 わたしと小鳥とすずと わたしが両手をひろげても、 お空はちっともとべないが、 とべる小鳥はわたしのように、 地面をはやくは走れない。 わたしがからだをゆすっても、 きれいな音はでないけど、 あの鳴るすずはわたしのように たくさんなうたは知らないよ。 すずと、小鳥と、それからわたし、 みんなちがって、みんないい。 ーーー わらい それはきれいなばらいろで、 けしつぶよりかちいさくて、 こぼれて土に落ちたとき、 ぱっと花火がはじけるように、 おおきな花がひらくのよ。 もしもなみだがこぼれるように、 こんなわらいがこぼれたら、 どんなに、どんなに、きれいでしょう。 ーーー 星とたんぽぽ 青いお空のそこふかく、 海の小石のそのように、 夜がくるまでしずんでる、 昼のお星はめにみえぬ。 見えぬけれどもあるんだよ、 見えぬものでもあるんだよ。 ちってすがれたたんぽぽの、 かわらのすきに、だァまって、 春のくるまでかくれてる、 つよいその根はめにみえぬ。 見えぬけれどもあるんだよ、 見えぬものでもあるんだよ。
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星はつけられない わたしと小鳥とすずと わたしが両手をひろげても、 お空はちっともとべないが、 とべる小鳥はわたしのように、 地面をはやくは走れない。 わたしがからだをゆすっても、 きれいな音はでないけど、 あの鳴るすずはわたしのように たくさんなうたは知らないよ。 すず...
星はつけられない わたしと小鳥とすずと わたしが両手をひろげても、 お空はちっともとべないが、 とべる小鳥はわたしのように、 地面をはやくは走れない。 わたしがからだをゆすっても、 きれいな音はでないけど、 あの鳴るすずはわたしのように たくさんなうたは知らないよ。 すずと、小鳥と、それからわたし、 みんなちがって、みんないい。
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詩という名の童謡。リズムとテンポがあり、素直な気持ちでさらさらっと表現されているのを読むと優しい気持ちになれる。誰を対象とするわけでもなく、神羅万象、生きとし生けるものすべてに光がスポットライトを当てたようなこの作者をTVなんかで耳にしたことはあっても読んだことがなかった自分に驚きで、普段読まない詩集や童謡というジャンルだったので見落としも見落とし、危うく気づかぬまま過ごすところだった。すっかりみすゞワールドにはまってしまったので、もう全集を読まないと気が済まなくなったので、これは借りて読むのではなく、手元に置いてきのむくままぱらぱらと読みたい。書店行って全集(一冊にまとめられたもの)を買うか、全6巻の方を買うかを見て決めてこようっと
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だいぶ前に読了。 以下、メモ。 金子みすゞが残した512編の作品から、まず最初に読んでほしい60編を選び、旧仮名・旧漢字を改めて読みやすくまとめた童謡集です。小学校国語教科書に採用されている作品をすべて収録しています。
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朗読が好きで、声に出して読ませていただきました。通り過ぎてしまいがちな小さな対象物にも、細やかに目を止める感性が優しいです。
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小学生のころから大好きで、定期的に開きたくなる本。優しさが染みわたって、心が浄化されます。この詩集の中からベスト3を選ぶとしたら、「わたしと小鳥とすずと」「ふしぎ」「みんなをすきに」かな。
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大学生の時に出会った金子みすゞさん。全集がらでるとバイトしたお金で、学生生協で手に入れたのが、26年程前。今では、すごく有名になられましたが、初めてみすゞさんに出会うには、読みやすい短編集です。
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小学2くらいの国語の授業で扱ったやつ。それなのに、未だに結構暗唱できるのってやっぱり金子みすゞ凄いよね
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与田準一さんの「はじめに」から良い。 みんなをすきに ふしぎ タイトル以外にも素敵な詩に出会えた喜び。
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有名な『わたしと小鳥とすずと』や『こだまでしょうか』の他にも自分の知らなかったみすゞの詩を読めて楽しかった。 個人的には『お魚』が1番好き。 『お魚』 海の魚はかわいそう。 お米は人につくられる、 牛はまき場でかわれてる、 こいもお池でふをもらう。 けれども海のお魚...
有名な『わたしと小鳥とすずと』や『こだまでしょうか』の他にも自分の知らなかったみすゞの詩を読めて楽しかった。 個人的には『お魚』が1番好き。 『お魚』 海の魚はかわいそう。 お米は人につくられる、 牛はまき場でかわれてる、 こいもお池でふをもらう。 けれども海のお魚は なんにも世話にならないし いたずら一つしないのに こうしてわたしに食べられる。 ほんとに魚はかわいそう。 みすゞの独特の視点から、私達がいつも食べている海の魚の悲しみや孤独を見つめ、それらに寄り添うみすゞのやさしさが感じられる。 多くのみすゞの詩には動植物をはじめ多くの自然が登場しており、彼女が本当に自然を慈しんでいたことが伺える。 そんな優れた詩を残してきた彼女だが、1930年3月10日、26歳の若さで自ら命を絶ってしまう。 彼女の死後、世界では第二次世界大戦という大きな戦争が起こり、彼女が大好きであった自然はもろとも日本中が焼け野原となった。 そして今日では地球規模の環境問題が叫ばれるようになった。 そんな世界を見ずに、彼女はこの世を去ったのだ。 彼女は現在のこの世界を見て、どう思うのだろうか。 そして彼女はどのような詩を残すだろうか。
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