嵐が丘 の商品レビュー
最初は田舎が舞台の泥仕合のメロドラマかと思いきや、かの文豪サマセット・モームがリア王並みの悲劇だ、と評するのも頷ける二世代に渡る大河ドラマっぷり。ヒースクリフの大物悪役感ぶりが非常に物語をサスペンスに盛り上げつつ、終盤に自分が財産をのっとって破滅させた2家のヘアトンとキャサリンの...
最初は田舎が舞台の泥仕合のメロドラマかと思いきや、かの文豪サマセット・モームがリア王並みの悲劇だ、と評するのも頷ける二世代に渡る大河ドラマっぷり。ヒースクリフの大物悪役感ぶりが非常に物語をサスペンスに盛り上げつつ、終盤に自分が財産をのっとって破滅させた2家のヘアトンとキャサリンの仲睦まじさに、かつての自分と愛した女を重ね合わせて、幻覚を見ては苦悩し独白する姿がなんとも言えない対比となっていて、彼の悲しき哀れな人間性の深さに引き込まれてしまう。しかし、子リントンのヘタレな扱いっぷりにイライラしつつ笑わずにはいられない。
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リントン夫人の絵をしげしげと眺めたのち、こう云いました―― 「あれは家に持って帰ろう。とくに要るわけではないが――」 2013/12/27-02/05
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20代前半だったときに、実家にあった世界文学全集みたいなのの中にこれがあって、読んだ記憶がありました。 あと、「ガラスの仮面」でも。あれは少女時代だけでしたけど。 今回、前に読んだ「本格小説」が嵐が丘をベースにしたとあったので、もう一度読んでみました。 救いようがないったらな...
20代前半だったときに、実家にあった世界文学全集みたいなのの中にこれがあって、読んだ記憶がありました。 あと、「ガラスの仮面」でも。あれは少女時代だけでしたけど。 今回、前に読んだ「本格小説」が嵐が丘をベースにしたとあったので、もう一度読んでみました。 救いようがないったらない。 ヒースクリフの気持ちもわからなくもないけど、子どもの代まで恨み持たなくてもさあ…。 ヒースクリフにはキャサリンしかいなかったからしょうがないけど、エドガーはどうしてそんなにキャサリンが好きになっちゃったかな。 美人だけどわがままなんでしょ? とにかく、狭い世界の中でいろいろやってるなーという感じのする話です。 この中で、1番悪いのは誰が…と考えていて、ヒースクリフも悪い…でもあんな扱いされればねえ。ヒンドリーもよくない…でもパパが自分のお土産を犠牲にしてまで、突然見知らぬ子を拾ってきたらねえ。キャサリンもヒースクリフとエドガーとどっちつかずでダメ…でも、この時代だとヒースクリフと結婚したら路頭に迷うしかなくなるってのは、わからなくもない。 となると悪いのは、ヒースクリフを拾ってきたパパさんか…いや、そもそもヒースクリフを捨てた親が悪いな!という結論に達した次第です。
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ワザリング・ハイツ。嵐が丘。題名に違わず、荒々しくも美しい作品。 見所は、キャサリンとヒースクリフの我儘で自由奔放なキャラクター。恋愛モノの王道である「お嬢様と不良少年」の元祖みたいな二人。 従兄弟の好青年(というには泣き虫だが)エドガーと、ひねくれ者で根性悪(これは本当、褒めようがない)のヒースクリフを比べたキャサリンの独白「~~まるで稲妻と月光、火と霜みたいに違っていてよ!」が彼らの情熱の口火であり、ある点ではクライマックス。
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高校生の時以来久しぶりの再読。700ページに及ぶ大作なので、なかなか佳境に入らないのだが読了してみると、しみじみとした感慨にふけることになる。ヒースの散在する北イングランドの荒涼としたムーア。姓も名も不明のままのヒースクリフという墓碑銘。この作品もまた、燦然たる孤高の中にある。語...
高校生の時以来久しぶりの再読。700ページに及ぶ大作なので、なかなか佳境に入らないのだが読了してみると、しみじみとした感慨にふけることになる。ヒースの散在する北イングランドの荒涼としたムーア。姓も名も不明のままのヒースクリフという墓碑銘。この作品もまた、燦然たる孤高の中にある。語りもまた独特だ。基本的にはネリーの回想で語られるという、いわば間接話法によるリアリティのあり方。あまりにも濃密な関係性。凝縮された小説世界―どれをとっても、ここにしか存在しない世界だ。物語の空間に耽溺できる固有の時間がここにある。
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一度は読んで見たいと思っていた本。 嵐が丘と鶫の辻にある2つの家の二世代に渡る物語。 ヒースクリフのキャサリンに対する想いがとても一途。 アーンショウ家とリントン家への復讐だけを考えて生きる姿が、 ディーンおばさんの語りのみで綴られている。 それぞれ個性の強い登場人物ばかりで面白かった。 最後は少ししんみりと。でも一応ハッピーエンドなのかな。
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鶫の辻と嵐が丘。2つの家の間で起こった人間模様を、3世代にわたって描く。長編小説だから出来るスケールの大きさだよな。
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面白かった。 リントン坊ちゃんにいらいらした。 そんな感じです。 ヒースクリフにはどうもいらいらも感じませんでした。かわいい人です。 ハッピーエンドという形でまとめられるような終わり方ではないように感じました。ヒースクリフが死の間際にみた幻想は、何であったかは具体的には書かれて...
面白かった。 リントン坊ちゃんにいらいらした。 そんな感じです。 ヒースクリフにはどうもいらいらも感じませんでした。かわいい人です。 ハッピーエンドという形でまとめられるような終わり方ではないように感じました。ヒースクリフが死の間際にみた幻想は、何であったかは具体的には書かれていませんが、妄想に変わりはないでしょう。 キャサリンもキャシーもかわいらしくて、私は好きです。
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名作を読むとまた新しい発見がありますね。 ちょっと前に猫町倶楽部の課題本になって読めなかったので、 読んでみました。読了後の感想として、奥が深いなと。 話の内容に最初はものすごくイライラしていたというか、 ヒースクリフの言動に信じられないくらい憤りを感じていました。 キャサリンから振られたがために、 復讐という選択をして残りの人生を彼は費やしました。 でも復讐という心をもっていては、生きるためのエネルギーにはならないよね。 相手を憎むことは相手からも当然憎まれる結果になる。 生きるエネルギーというのは自分のために精一杯生きることでもあるし、 それが相手のために生きることでもある。 キャサリンが亡くなってからの彼はもはや生きる屍であり、 彼に感情移入しようとすればするほど厭になる。 でも見方を変えれば、彼は幼い時に親に捨てられそれが 彼にとってはトラウマとなったのだろう。 そして最愛の人、キャサリンに振られたということは 想像を絶するショックだったに違いない。人を信じられなくなるのも無理はない。 でもリントンがなくなって、もはや何もかも手に入れた彼を待っていたのは 空虚の心だったのだろう。そしてキャサリンとヘアトンの恋愛を少なからず 祝福していた晩年の彼には僕も気分がよくなった。 やっぱり彼も人の子供なんだと。 また印象に残ったシーン。キャサリンがエドガーと結婚するときに ネリーが彼女に追及していたシーン。 エドガーの容姿に惹かれて好きになっても彼以上の人が現れたら その恋愛感情が続かないと窘めていた。 キャサリンはエドガーに恋こそしていたもののそれは愛ではなかった。 結婚する時はやはり恋のままでは続かないのかな? 愛がないと結婚生活は持続できないのかな? 恋と愛の定義もはっきりわからないけど、 ネリーが諌めようとしていたのは、 キャサリンが幸せになれないとわかっていたのだろうね。 恋が愛に代わる瞬間、それはいつなんだろう、 そんなことも考えさせられる本でした。
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人にお勧めされて読んだ。 三浦しをんさんの「きみはポラリス」にちょろっと出てくる。 曰わく、 「あの作品の舞台は、荒野とそこに建つ二軒の家しかないと言っていいでしょう。だがその世界を狭いと感じる人がいるでしょうか。いや誰もいない。そこにはすべてがあります。愛と憎しみが、策謀と和解が、裏切りと赦しが、その他ありとあらゆる、人間のすべてが嵐が丘にはある。」
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