「空気」の研究 の商品レビュー
日本人の集団として…
日本人の集団としての特徴をこれほどまでに論じた本はまずないのではないか。意志決定がその場の「空気」に支配される、それを戦前の軍隊組織を具体例として、古くて新しい問題ととらえている。類書がない、多くの著者に引用されている本書は必読である。
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その場の空気というと…
その場の空気というときの空気についての考察が書かれている。またその空気を壊すことができるものとして水を差すの水があるが、その水とは何かという考察もある。山本七平の本は面白い。
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言葉使いが固いため、…
言葉使いが固いため、初心者にはオススメしません。内容としても古い本なので当然、ひっぱってくる例も古いので分からないことも多いかもしれません。 空気の要素(窒素、二酸化炭素・・・)などではなくて、人々がその場の空気に惑わされていく・・・そんなメカニズムを追っています
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戦時中から現代に至るまで、日本の選択を左右してきた「空気」に関する論考。文化的な本質を西欧の(聖書に基づく)世界観と比較して分析していて、とても納得感があった。日本人の意思決定の癖は、政府の中枢から零細企業まで、今も昔も本質的には変わらないのだ。 私の知識不足で、古い文章からの引...
戦時中から現代に至るまで、日本の選択を左右してきた「空気」に関する論考。文化的な本質を西欧の(聖書に基づく)世界観と比較して分析していて、とても納得感があった。日本人の意思決定の癖は、政府の中枢から零細企業まで、今も昔も本質的には変わらないのだ。 私の知識不足で、古い文章からの引用は背景が分からず読みづらかった。ただ、流れで読めば全体の理解に支障をきたすほどではない。
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山本さんは論理展開の鬼。 概念の言語化と例示の上手さに舌を巻く。 戦時下の精神は特殊だったように思えるけど、実は平時でも、似たようなことは起きている。
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「空気を読む」の「空気」とは。を研究、考察した本。 科学的に説明がつかないからといって、無いものとしたところで、”ある存在”を否定することはできないし、ないものにはできない。
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合理性ではなく空気(ムード)で物事が決まっていくのは、今も昔も変わらぬ日本人集団の悪癖だ。 ある空気を絶対的なものとして、それに対する反論や相対化する別の意見を「水を差すな!」「空気を読め!」といって排除する。 最終決定は空気によって行われるが故に、何かあっても明確な責任請負...
合理性ではなく空気(ムード)で物事が決まっていくのは、今も昔も変わらぬ日本人集団の悪癖だ。 ある空気を絶対的なものとして、それに対する反論や相対化する別の意見を「水を差すな!」「空気を読め!」といって排除する。 最終決定は空気によって行われるが故に、何かあっても明確な責任請負人がいない。 その結果、またもや空気によって供物となる犠牲者が選ばれることもあろう。 空気による決定には、長所もあるだろう。 ひとつの命題を絶対的に正しいものとして皆に刻み込むため、集団や組織の団結力や絆とやらは強いものになろう。 ただ情けないことに、その命題の正しさは客観性や合理性に担保されない思考や批判抜きでの空気によってしか保証されないので、空気が変わったと判断された瞬間に、かつての正解はなかったことにされ、水に流される。 敗戦によって鬼畜米英から対米従属に節操なしに身持ちを転じたわが国の集団精神の柱の一つが、空気(ムード)である。
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1977年に書かれた本だから、書かれている政治・社会状況がほぼ歴史になっているし、一文がやはり”昭和的”に長く、現代の本に慣れてしまっているとちょっと古めかしい読みにくさは感じるが、空気に支配され、水をさして「通常性」を取り戻すという日本特有の在り方は今もまったく変わっておらず、...
1977年に書かれた本だから、書かれている政治・社会状況がほぼ歴史になっているし、一文がやはり”昭和的”に長く、現代の本に慣れてしまっているとちょっと古めかしい読みにくさは感じるが、空気に支配され、水をさして「通常性」を取り戻すという日本特有の在り方は今もまったく変わっておらず、その分析自体は理解できるし面白い。 個人的には、著者が指摘する公害や原発、外交などさまざまな個別の事案について、ちょっと違う意見を持っているから、読みながら?と感じてしまうところはあるが、それは本書が扱うテーマそのものを考える材料、例示として理解すると面白いので、その部分で引っ掛かる人も、そのまま読み進んでみてほしい。 著者が言う「日本的平等主義」は、自由よりも平等に大きく重心を置く日本的民主主義が、「不断に修正していく」アメリカ型民主主義にならない大きな要因だろうと思う。「空気」が醸成するニッポンの力は、日本を壊滅もさせ、奇跡の復興ももたらすという両刃。その力をコントロールする能力は、未だ持ちえていないだろうと、コロナ禍でのこの国の状況を見ながら考えさせられた。
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山本七平による「空気」についての研究書。 日本人は往々にして「あの空気では何も言えない」「当時の空気がそうさせた」と、あたかも「空気」が最終決定者であるような言い振りをする。しかし多くの人はこの「空気」が一体何なのかを知らない。 著者はこの本で、判断基準かつ権力者である「空気」...
山本七平による「空気」についての研究書。 日本人は往々にして「あの空気では何も言えない」「当時の空気がそうさせた」と、あたかも「空気」が最終決定者であるような言い振りをする。しかし多くの人はこの「空気」が一体何なのかを知らない。 著者はこの本で、判断基準かつ権力者である「空気」がどんなもので、どのように醸成され、どのように人々を支配するようになるのかを明らかにしようとした。 また著者はここから発展して、「空気」の伝統的な対抗手段として存立していた「水を差す」という行為と、この「水」についても考察を加える。 内容は非常に面白い。 ただ記述が哲学的、かつよくわからない比喩を多用されるため無茶苦茶読みにくい。時代背景と前提が違うことを差し引いても、読ませる気がないとすら思うほど目が滑る本だった。 ポイントは、本著内でやたらと出てくる「臨済感的把握」という概念の理解かと思う。 「臨在」というのがキリスト教用語で、「神は不可視ではあるがその場その場に存在している」という意味。「臨在感」は、因果関係が恐れや救済といった感情と結びつくこと。 ゆえに「臨在感的把握」とは、ある対象と何らかの感情を結びつけて認識すること。と理解できる。 ここを押さえておけばある程度は読めると思う。 読みづらいが、ネットと睨めっこしながらでも読み切る価値のある本。
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キリスト教の話が出てくるので、難しかった。 また、NOxの話などは科学的知見としては変なところに立脚した論を立てているので、そこにも引っかかってしまい、読みやすいとは言えなかった。 私の理解力が低いのだろうが…
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