「空気」の研究 の商品レビュー
正直五十ページくらいで挫折しました。 絶対化とか臨在感とか、抽象化された言葉が少し多くてくどかった。 物体自体は精神を持たないのに、それに纏わる人間の精神が宿されることで、物体が「物神」となって人々の精神を逆に支配する、つまりその「空気」を作り出す、ということで合ってるのでしょ...
正直五十ページくらいで挫折しました。 絶対化とか臨在感とか、抽象化された言葉が少し多くてくどかった。 物体自体は精神を持たないのに、それに纏わる人間の精神が宿されることで、物体が「物神」となって人々の精神を逆に支配する、つまりその「空気」を作り出す、ということで合ってるのでしょうか??
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随分長い間積ん読されていたものをようやく読んだ。もっと早く読んでおきたかった、と思わせられる本だった。人間の思考、判断が空気に依存し得るというか、空気がすべてを決めているとする表題の、「空気」の研究、はわりと理解出来たような気がするが、その後の、「水=通常性」の研究、はかなり難し...
随分長い間積ん読されていたものをようやく読んだ。もっと早く読んでおきたかった、と思わせられる本だった。人間の思考、判断が空気に依存し得るというか、空気がすべてを決めているとする表題の、「空気」の研究、はわりと理解出来たような気がするが、その後の、「水=通常性」の研究、はかなり難しく、最後の、日本的根本主義について、に至ってはもはや何が何やら、という感じで読むしか出来なかった。きっと繰り返して読むことに意味があるのだろうと思える。他の著作も読みたい。 170701
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(引用)空気とは、非常に強固でほぼ絶対的な支配力を持つ「判断の基準」であり、それに抵抗するものを異端として「抗空気罪」で社会的に葬るほどの力をもつ超能力であることは明らかである。我々は常に、論理的判断の基準と空気的判断の基準という、一種のダブルスタンダードのもとに生きているのであ...
(引用)空気とは、非常に強固でほぼ絶対的な支配力を持つ「判断の基準」であり、それに抵抗するものを異端として「抗空気罪」で社会的に葬るほどの力をもつ超能力であることは明らかである。我々は常に、論理的判断の基準と空気的判断の基準という、一種のダブルスタンダードのもとに生きているのである。そして、我々が通常口にするのは、論理的判断の基準だが、本当の決断の基本となっているのは、「空気が許さない」という空気的判断の基準である。(引用終) お見事。著者の眼力の凄まじさがにじみ出る一文である。空気を読む、水を差すの表現にある通り、「空気(=支配するもの」」に対して、「水(=壊すもの)」との関連付けで議論を深めている。第2次世界大戦を経験した著者のいう「水を差す自由が大切」というのはもっともだと思う。空気による支配に対し、水を差すことが出来るものが英雄、というのも理解できる。 敗戦等により空気がガラッと変わると、人々の行動様式、価値観はあっという間に変化する。これは日本人が軽薄なのではなく、空気的判断をしているからである。
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山本学よくわからん。おしまい。 阿部謹也『「世間」とは何か』がわかりやすかった。たぶん、それの類だと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「空気の研究」の箇所を読了。 日本人がディベートが苦手な理由にもつながっているように感じるが、空気の醸成の背景には対象の「絶対化」が存在していることにある。 出来事や物体に対し感情移入を結果として起し、それ以外の相対する考えは排除される。 そしてアニミズム的な世界として、その絶対化の対象が転々としていくこと。 一方で一神教としては、神のみが絶対なのですべてのことは相対化して考えられなければいけない。こういったことから、空気への抵抗(=相対する考えの発現)が比較的容易である。 一団となって攻める際には、非常に有効だが、揚げ足取りに利用されると大変効果的でない。 ヨブ記と同様で、絶対的な考え在りきで現実を捉えるため、目の前の状況がその考えと一致していなければ、その理由を対象とされている者に求める(正義は報われるがそうなっていないのは、何か隠し事があるから)。 多様性ということが叫ばれる中、うまく使い分けていくことが重要だと考える。 基本的にはキリスト教的考えが世界を席巻しているわけで、そこでは相対化というところが取られている。 一方で一神教も度が過ぎるとISのようになり、絶対化の対象を神のみならず現状の世界にまで拡げて解釈することになり、絶対と状況を統一させようという考えが成り立ってしまう。
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読了。会社の人に借りた本である。原発事故のあと、よく本屋に平積みされていたが、いつか読みたいなと思った本である。読みごたえのあるハードな本であった。この本を娯楽の類いで読む人がいたら尊敬する。目から鱗であったのは、戦時中もみんな、天皇は神と習っているが、人間だと知っていたことであ...
読了。会社の人に借りた本である。原発事故のあと、よく本屋に平積みされていたが、いつか読みたいなと思った本である。読みごたえのあるハードな本であった。この本を娯楽の類いで読む人がいたら尊敬する。目から鱗であったのは、戦時中もみんな、天皇は神と習っているが、人間だと知っていたことである。あの戦争は、我々と変わらないとうより、もっと大人であった人たちでさえやってしまうことなんだということである。なんとなくわかっていたが、国全体が狂信的になって戦争を起こした訳でないことである。現代も十分起こりうるなと思った。怖いことである。この本は、30年前に出た本である。このような本が出版されたから、戦争を避けることが、できたのかなと考えた。
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あらゆる文献で引用されることの多い『「空気」の研究』を改めて読む。一言で空気が醸成される原理を言ってしまえば、対象の"臨在感的把握"という、ちょっと難しい言葉になる。簡単にいえば、事実に基づくいかんに関わらずある事柄を真実であると無言の圧力のうちに承服せざるを...
あらゆる文献で引用されることの多い『「空気」の研究』を改めて読む。一言で空気が醸成される原理を言ってしまえば、対象の"臨在感的把握"という、ちょっと難しい言葉になる。簡単にいえば、事実に基づくいかんに関わらずある事柄を真実であると無言の圧力のうちに承服せざるを得ない"何らかの力"とも言える。トランプ大統領誕生に代表されるpost-truth時代には、力学が駆動する論理と倫理に"空気"というレンズから常に冷徹に相対化していく必要がありそう。 空気が醸成される原理原則は、対象の臨在感的把握である。そして臨在感的把握の原則は、対象への一方的な感情移入による自己と対象との一体化であり、対象への分析を拒否する心的態度である。p154
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小池都知事の発言に触発され読む。'日本人とユダヤ人'の著作で有名な山本七平氏の日本社会論。論理的判断による決定よりも、その状況での'空気'による判断が優先される思考形態を具体的事例で洞察する。この'空気'に対して、...
小池都知事の発言に触発され読む。'日本人とユダヤ人'の著作で有名な山本七平氏の日本社会論。論理的判断による決定よりも、その状況での'空気'による判断が優先される思考形態を具体的事例で洞察する。この'空気'に対して、'水'を差すという行為を対比表現で取り上げている着眼点がいい。唯一神を絶対的基準で持たないが故の日本人のあり様を、多角的ワーディングを駆使して論旨を展開しているが、読み解いていくには疲労感が残る。
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少し古い本であるため、書かれている時事問題の背景・知識の不足が読む上で障害になったことは否めないが、筆者の主張は現在の日本・日本人にも十分に通用する内容であり、考察力の深さには唸らされた。それは、出版から何十年経った今の日本は、出版当時の日本とほとんど変わらないことを意味する。 ...
少し古い本であるため、書かれている時事問題の背景・知識の不足が読む上で障害になったことは否めないが、筆者の主張は現在の日本・日本人にも十分に通用する内容であり、考察力の深さには唸らされた。それは、出版から何十年経った今の日本は、出版当時の日本とほとんど変わらないことを意味する。 筆者の言いたいことを100%理解できた自信はないけれど、おおむね内容は把握でき、他の本も読んでみたくなるような筆者の筆力でした。
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同調圧力から醸成された『空気』に(リアリティを示して、目を覚まさせる)『水を差す』事の大切さ。 本書にある事例は、戦時中や、高度経済成長期の公害被害だが、いまで言えば、震災後の風評被害。 かつての日本男児は、空気に支配される事を「恥」として来た。 kyの効用。 だが、後半の「根本...
同調圧力から醸成された『空気』に(リアリティを示して、目を覚まさせる)『水を差す』事の大切さ。 本書にある事例は、戦時中や、高度経済成長期の公害被害だが、いまで言えば、震災後の風評被害。 かつての日本男児は、空気に支配される事を「恥」として来た。 kyの効用。 だが、後半の「根本主義者」の件は難解だった、、。
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