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項羽と劉邦(上) の商品レビュー

4.2

166件のお客様レビュー

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2024/05/25

紀元前221年に春秋戦国時代の中国を統一し、秦王朝を打ち立てた始皇帝の末期から始まる本書。それまでの封建性に取って代わり、官僚制による各地を統治するという斬新な方法で全国を支配した。万里の長城を始めとする数々の大型土木工事を行ったが、これを実行する為に各地から労働力を徴用しつづけ...

紀元前221年に春秋戦国時代の中国を統一し、秦王朝を打ち立てた始皇帝の末期から始まる本書。それまでの封建性に取って代わり、官僚制による各地を統治するという斬新な方法で全国を支配した。万里の長城を始めとする数々の大型土木工事を行ったが、これを実行する為に各地から労働力を徴用しつづけたことで民心は離反していた。始皇帝が死ぬと各地で武力勢力が蜂起する。宦官の趙高は胡亥(こがい)を担いで形ばかりの後継の皇帝とし自らがすべてを取り仕切る事に成功する。 統制が乱れた地方では同じ様に各地域の旧王族を担ぎ上げた自称王国が多数誕生する。その中の一つが、江南の楚であった。項梁がかつての楚の王を血を引く男、羊の糞を乾かして売り歩く男を探し出し、楚王に祭り上げる。項梁の甥である項羽と、劉邦は楚軍の将軍として秦の軍を打ち破っていく。一方、秦は趙高の代理施政によって完全に内部が腐敗し、外で展開する反乱を収める能力は失っていた。 ここで描かれている事はその4〜500年後の三国志で起きる事と酷似しており、歴史は繰り返すという言葉はすでに2000年前から同じである事を思い起こされる。役人の腐敗、人民からの搾取と虐殺、傀儡による政治の私物化、謀反などあらゆる悪事はその後の中国の歴代王朝でも何度と無く繰り返され、そして現代の中共に至っても同様だ。 更に驚くのは、ここから更に1500年ほど遡った殷王朝に関する記述。存在が確認されている王朝としては中国最古であるが、その遺跡には王の墓の周辺に首の無い骨が500柱程発掘されているという。それが何を意味するのかは不明であるが、おそらくは殉死者なのか奴隷なのかという事である。そのような野蛮な事が行われていた事に驚愕する。

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2023/12/13

他の作品もそうだが、『項羽と劉邦』もビジネス教養書としてあまりに有名。 曰く、項羽はカリスマ性もあって有能だが部下の意見を容れず、劉邦は無能だが部下に慕われ、優秀な人材を多く集めたため天下を獲った。だから上司たるもの、自分の能力以上に部下への接し方が大切である…といった具合に語ら...

他の作品もそうだが、『項羽と劉邦』もビジネス教養書としてあまりに有名。 曰く、項羽はカリスマ性もあって有能だが部下の意見を容れず、劉邦は無能だが部下に慕われ、優秀な人材を多く集めたため天下を獲った。だから上司たるもの、自分の能力以上に部下への接し方が大切である…といった具合に語られるのをよくみる。 上巻読了時点の感想としては、そういう風に読むことも可能だろうが、司馬遼太郎の描きたかったこととはズレるのではないかな、といったところ。 まず項羽からして、カリスマと呼ぶには蛮勇の色が強すぎる。むしろ頑固で人間味の薄い戦闘狂といった具合でカッコよさはあまり感じない。 一方の劉邦も、人徳を集める人物という描写は多いが、その理由は龍に似た人相にかなりのところを負っていて、ダメさを帳消しにするほどの魅力的な人格の持ち主には見えない。 というわけで現状ではどちらも何を考えているのかよく分からず、感情移入しづらいものの、単純に古代中国の世界観を味わう読み物としても充分に面白く読めた。今後に期待。

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2023/08/24

始皇帝が中国を統一したところから物語が始まる。始皇帝が全国に顔を見せるために巡回している間に死んでしまい、それに漬け込んだ宦官の趙官が胡亥を要して実質の皇帝になる。始皇帝から始まった建設事業によって多くの人たちが駆り出され不満が溜まっていきついに陳勝が反乱を起こすことで秦帝国の崩...

始皇帝が中国を統一したところから物語が始まる。始皇帝が全国に顔を見せるために巡回している間に死んでしまい、それに漬け込んだ宦官の趙官が胡亥を要して実質の皇帝になる。始皇帝から始まった建設事業によって多くの人たちが駆り出され不満が溜まっていきついに陳勝が反乱を起こすことで秦帝国の崩壊が始まる。これに続き呉中の項梁、項羽や沛の劉邦らが反乱軍を組織。鉅鹿城にて章秦軍を倒した項羽は20万もの秦軍を捕虜とするも新安で20万の兵を谷に生き埋めにしてしまう。 シンプルに戦国時代の中国を統一した始皇帝はすごいが封建制度から法治国家にするのは難しかったか。無駄な建設はしないに限る。キングダム読んだことあるから少しだけ理解しやすかったが、全体的に登場人が多くて難しいのと中国の地理が馴染みがないので揚子江より南が全くの異文化とかわかりにくかった。

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2023/08/19

歴史には疎く、歴史書を読むことは少なかったのだが、先日中国の西安・成都に観光に行って興味が湧いたことをきっかけに、司馬遼太郎の項羽と劉邦を読むことにした。上・中・下の三巻からなり、それぞれ約500ページもある書で、まだ上が終わったばかりだが、非常に面白い。 項羽と劉邦だけではな...

歴史には疎く、歴史書を読むことは少なかったのだが、先日中国の西安・成都に観光に行って興味が湧いたことをきっかけに、司馬遼太郎の項羽と劉邦を読むことにした。上・中・下の三巻からなり、それぞれ約500ページもある書で、まだ上が終わったばかりだが、非常に面白い。 項羽と劉邦だけではなく、周りの人物像もこと細かく記載されており、歴史的背景も非常によく分かりやすく記載されており、またクスッと笑える部分もある。たまに中だるみする箇所があったが、戦闘シーンなどはまるで映画を見ているように情景が頭に浮かび、最後の項羽と章邯が出会う場面では、章邯に感情移入しすぎて涙が流れた。 続いて中へ進もうと思う。

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2023/04/27

秦の始皇帝が死に乱世に突入した中国。そこに現れる英雄2人。項羽と劉邦。 上巻ではまだ大きく羽ばたくまでには至らず。 劉邦は人たらしのようだが、まだ皇帝になるような要素は見せない。 項羽が闇落ちしていきそうな予感。 それにしても、この時代に生まれなくてよかったと何気に思ってしまった...

秦の始皇帝が死に乱世に突入した中国。そこに現れる英雄2人。項羽と劉邦。 上巻ではまだ大きく羽ばたくまでには至らず。 劉邦は人たらしのようだが、まだ皇帝になるような要素は見せない。 項羽が闇落ちしていきそうな予感。 それにしても、この時代に生まれなくてよかったと何気に思ってしまった。

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2022/12/04

父の本棚から持ってきた本。とりあえず上巻読了。 時代背景や、文化・社会的な背景を「本当に小説か?」と初心者が戸惑う程に描くことでむしろ個々の人物の人間的魅力が強烈に表れてきて引き込まれていく司馬遼太郎節が全開。 項羽と劉邦の二人の成長と軌跡が楽しみ。

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2022/05/21

中学生の時に三国志を読み、大学生の時キングダムを読み、27にして項羽と劉邦を読む。 やっと中国の歴史が整理された。 これだけの史実が今に伝えられているということがすごいと思った。 食の大事さを実感。

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2022/05/05

初めての皇帝として君臨した秦の始皇帝の存在を知った時はなんてすごい人だろうと思っていたけど、その秦が愚鈍な息子と奸臣のせいであっという間に滅んだと知り更にびっくりした。それを滅ぼしたのは誰で、どんな流れで滅亡まで進んだのかに興味が出て手に取ってみた本。史実と違う部分は多いのだろう...

初めての皇帝として君臨した秦の始皇帝の存在を知った時はなんてすごい人だろうと思っていたけど、その秦が愚鈍な息子と奸臣のせいであっという間に滅んだと知り更にびっくりした。それを滅ぼしたのは誰で、どんな流れで滅亡まで進んだのかに興味が出て手に取ってみた本。史実と違う部分は多いのだろうがイメージをつかむにはフィクションもいいかなと思っている。

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2022/03/01

【著者として 同じく司馬と 名乗れども  人の魅力と 歴史の必然】 『史記』と言えば司馬遷が有名だが、それを踏まえた上で読むと面白いかと思われる。史記は、個人にクローズアップし、生き生きとその人間の魅力が描かれているが、この著作は歴史現象として描かれている。 下準備もなく挑戦す...

【著者として 同じく司馬と 名乗れども  人の魅力と 歴史の必然】 『史記』と言えば司馬遷が有名だが、それを踏まえた上で読むと面白いかと思われる。史記は、個人にクローズアップし、生き生きとその人間の魅力が描かれているが、この著作は歴史現象として描かれている。 下準備もなく挑戦すると、地名なのか、人名なのか、国名なのか、分からなくなる人もいるだろう。 項羽と劉邦というタイトルの割には、二人に対してあまり好意的な感じがしない。むしろ自然発生的な現象として祭り上げられたという感じが強くある。これは司馬遼太郎の独特の英雄史観や歴史史観と思われる。 本当の主役はショウカであり、兵站の大切さを説いている所は、実に新しい考えであると思われた。 この小説はエンターテイメントとして読むのではなく、学術的歴史書として読むと面白さが増す。 面白さが分かるのは、大人になってからだと思われる。

Posted byブクログ

2021/11/28

キングダムにハマり、中国の歴史に興味を持ち読み始めました。 どの視点で物語を見るかによって感じ方も大きく変わりますね。 司馬遼太郎さんの歴史小説は面白く、次に進みたくなりますね!

Posted byブクログ