破船 の商品レビュー
『三陸海岸大津波』に続いて、吉村昭作品。 冬には雪が積もる、リアス式海岸の漁村が舞台。 ワタクシ思わず、東日本大震災の津波被災地を連想してしまいました。 貧しさ故に、周囲を山に囲まれて孤立し、貧しさ故に、他人の不幸(座礁船)を神様扱いしていた村が、逆に罰が受けるというお話。 ...
『三陸海岸大津波』に続いて、吉村昭作品。 冬には雪が積もる、リアス式海岸の漁村が舞台。 ワタクシ思わず、東日本大震災の津波被災地を連想してしまいました。 貧しさ故に、周囲を山に囲まれて孤立し、貧しさ故に、他人の不幸(座礁船)を神様扱いしていた村が、逆に罰が受けるというお話。 今の日本みたいに豊かだったら、このような悲劇は無かったでしょうけど。 他人の不幸を喜ぶのは悲劇だし、罰を受けるのも悲劇ですね。 余計な表現の無い、抑揚を抑えた、客観的で簡潔な文体も、この小説にピッタシでした。 感動したっ!以上!!(毎度お馴染み、小泉元総理のパクリ)
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面白くてその日の夜のうちに読んでしまいました。と言っても暗く悲惨な救われない話です。昔の日本の貧しい農村・漁村の暗く、閉鎖的で淫靡で猟奇的?な人々の生活、風習、祭事に興味のある方にはオススメです。
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相変わらず吉村昭は面白い! 特にこの本は淡々とした吉村昭の文体が非常に話しとマッチしてていつも以上にあっという間に読みきれた。 この本を楽しむにはAmazonの書評にもあったけど、事前に裏表紙のあらすじも呼んじゃダメで、なんの前情報もない方がより楽しめると思うです。
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貧しい海岸沿いの村 獲れる魚貝類は少なく、農作物も育たない 飢えを凌ぐもっとも容易な方法は、家族が身を売ること 妊娠した女性による箱膳の蹴り上げ 悪天候の時に行われる塩焼き お船様という難破船 サンマの手づかみ漁は佐渡島で行われていたらしい もともとは能登方面から伝わったもの...
貧しい海岸沿いの村 獲れる魚貝類は少なく、農作物も育たない 飢えを凌ぐもっとも容易な方法は、家族が身を売ること 妊娠した女性による箱膳の蹴り上げ 悪天候の時に行われる塩焼き お船様という難破船 サンマの手づかみ漁は佐渡島で行われていたらしい もともとは能登方面から伝わったもの いずれにしてもここら辺が舞台なのだろう
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ホラーと見まごう怖さ。ラストシーンが切なすぎる。 フィクションだが、淡々と綴られる寒村の日常に、「ただ生きる」と言うことが難しい時代というものが日本にもあったんだな、と思った。
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一家の主でさえも身を売る、極貧の村。 お船様と呼ばれる難破船は村にとてつもない恵を与えてくれる。 船を難破させるために冬の夜に浜で塩を焼き、お船様を待つ。 しかし、ある冬、お船様が積んでいたのはとてつもない厄災だった。 死者はまた村に戻ってくる。村を出て死んだ者の魂は永遠にさまよ...
一家の主でさえも身を売る、極貧の村。 お船様と呼ばれる難破船は村にとてつもない恵を与えてくれる。 船を難破させるために冬の夜に浜で塩を焼き、お船様を待つ。 しかし、ある冬、お船様が積んでいたのはとてつもない厄災だった。 死者はまた村に戻ってくる。村を出て死んだ者の魂は永遠にさまよう。 そう信じて、厳しい村の生活を父不在の後を守る10歳の少年。 怖いけど、ぐいぐい引き込まれて一気に読んでしまいました。
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うわあああああ・・・・・!!! リアルに怖い!怖すぎる!!!! あんまり淡々とした語り口で、史実のような気すらする。 生き延びるために必死で日々働き続けて、大人の男すら身売りをして食いつなぐ、極度に貧しい村には、「お船様」が富を運んできてくれるという信仰があった。それは難破船を...
うわあああああ・・・・・!!! リアルに怖い!怖すぎる!!!! あんまり淡々とした語り口で、史実のような気すらする。 生き延びるために必死で日々働き続けて、大人の男すら身売りをして食いつなぐ、極度に貧しい村には、「お船様」が富を運んできてくれるという信仰があった。それは難破船を誘導して待ちつづけ、その荷を奪い食いつなぐこと。「お船様」に人が乗っていた場合は皆殺し。村人だけが知っている恐ろしいサバイバル的土着信仰であった。しかし、ある「お船様」が来てから、村に恐ろしい事態が起こる・・・・生き延びるためにはかくも人間は恐ろしくなるのか。悲しい。
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