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蟹工船・党生活者 の商品レビュー

3.5

311件のお客様レビュー

  1. 5つ

    38

  2. 4つ

    93

  3. 3つ

    128

  4. 2つ

    15

  5. 1つ

    6

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2021/02/01

方便・独特な文体であるが、読点を細かく入れ読むやすい文章だった。 「蟹工船」は、人間を人間と扱わない残酷な環境で、自分には刺激的であった。凄かった。

Posted byブクログ

2021/01/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

蟹工船で働く労働者たちの扱いがひどすぎて読み進めるのが苦痛なほどでした。監督に豚呼ばわりされている彼らですが、まさに畜生扱い。国も何も頼りにならないと知った労働者が労働運動に目覚め、生産性を落とした監督があっさりクビになるラストで少しスッキリしましたが、監督もある意味で資本主義の犠牲者なのでしょう。 読後、作者の小林多喜二が特高警察によって拷問死している事実を知り、またやるせない気持ちになりました。

Posted byブクログ

2021/01/28

封建制を打倒することで生まれた資本主義は、個人の自由とともに能力による格差を生み出し、自然発生的に社会主義と共産主義を生んだ。 (なんか教科書みたい…) というのを踏まえて、、、 資産家階級vs労働者階級。 資本主義の宿命というか必然というか…格差が生まれて歪んだまでに肥大すれ...

封建制を打倒することで生まれた資本主義は、個人の自由とともに能力による格差を生み出し、自然発生的に社会主義と共産主義を生んだ。 (なんか教科書みたい…) というのを踏まえて、、、 資産家階級vs労働者階級。 資本主義の宿命というか必然というか…格差が生まれて歪んだまでに肥大すれば、それを是正しようとする動きが出るのは当然だよね。 蟹工船も党生活者もそういう話なんだけれども、逆に資本主義の悪どさに寒気がする。ここまで歪めるものなのか、と。 雇用者と被雇用者は本来対等なはずなんだけどね。会社のためとか社員のためとか社会のためとか謳っても、所詮は営利追求。というのは穿ち過ぎた見方かな。 党生活者が未完なのが残念。笠原さんとどうなったのかな…。

Posted byブクログ

2021/01/24

深いです。 読み終わったあともしばらく引きずりました。 こういう時代もあったので、資本主義がいいとも言えません。 複雑です。

Posted byブクログ

2020/11/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第一に、芸術性としてこの作品にはいくつものオノマトペが使われている。 『蟹工船』だけでも二〇〇強のオノマトペが使われており、この物語の情景が鮮明に分かるような描写ばかりであった。 また、比喩を使って表している所もあり読者の想像を広がらせたと感じる。例えば、(「どれも写真はキズが入っていて、ひどく雨が降った。」八八頁引用)とあるが、写真は古いものだという事なのか、それとも縦に雨が降っているような沢山の亀裂があるのではないか、と想像させるような書き方。さらに(「始終我帝国軍の軍隊が我々を守っていってくれる事になっているのだ。」二一頁引用)と、彼等、労働者は思っていたが、(「国民の味方でない帝国軍艦」一三三頁引用)を知った時に(「それは皆がワケが分からず、ぼんやりと見とれている」一三四頁引用)という彼等の気持ちを素直に表現していて物語を読んでいる読者にも理解不能な気持ちを分け与えて来させるようなものだと感じた。 作者の思想性として、一番読者に言いたかったとしては、作品の中である人物が発した言葉、(「俺達には、俺達しか味方が無えんだ。」一三五頁引用)というここの部分だと思われる。どの時代に対しても言える事だとは思うが、味方が居れば敵がいる。また、味方だと思っていても裏切られることもある。しかし、同じ気持ちや同じ立場の者は裏切る事はないと考える。なぜなら、この物語でも裏切られ行為はあり、帝国の軍艦は労働者の味方だと彼らは思っていたが、最終的には監督と繋がっている仲間だという事が分かったからである。つまり、支配する側と支配される側とで分かれてしまい、帝国軍は支配される側の立場や気持ちになる事はないことから味方には付かないという事が言える。したがって、気持ちが同じ人間はその苦しい気持ちや堪え難い、我慢出来ない気持ちを共に感じ取っているからこそ彼らは裏切らないと思い(そういうセリフ)「俺達にしか味方が無えんだ。」と言えたのだと考える。また、(「そして、彼等は、立ち上った。-もう一度!」一三七頁引用)という最後の場面では、(「死ぬか、生きるか」一三七頁引用)の瀬戸際に立たされた彼等の何ごとも恐れない勇敢な気持ちであったり、前向きに突き進んで行く素晴らしさは、人間の美しさにも触れているような感じがした。 このことから、プロレタリア文学の素晴らしさは何なのか、と考えた事として、人間が、もがく苦しさの中に人間がその苦しさに立ち向かおうとする美しさ、というものではないか考えるのである。つまり、立ち向かって行くという事はその苦しい現実をいつか無くしたい、と思い行動している訳であり、今日が無理なら、明日という風に人間はいつも幸せになる為、希望を持ち続けているという事である。その希望を持つ事により、真の人間らしさであったり、本当の幸せとは何かを気付かせてくれるのがこのプロレタリア文学では無いのだろうか、と感じた。

Posted byブクログ

2020/09/25

蟹工船・党生活者 (和書)2009年02月13日 22:38 1954 新潮社 小林 多喜二 蟹工船ブームと言うことで読んでみました。いろいろ意見はあるようでこのブームに異議がある人も多いらしい。どっちにしても読んでみなければ話題に乗れないだろうから読んでみました。 柄谷行...

蟹工船・党生活者 (和書)2009年02月13日 22:38 1954 新潮社 小林 多喜二 蟹工船ブームと言うことで読んでみました。いろいろ意見はあるようでこのブームに異議がある人も多いらしい。どっちにしても読んでみなければ話題に乗れないだろうから読んでみました。 柄谷行人は蟹工船は勧善懲悪な作品であり階級闘争をラディカルに批判しているものではないと言っていてそれを読んだ記憶があります。 蟹工船の労働者達が貶められ、隷属せられ、見捨てられ、蔑視されるような一切の諸関係にあることは分かります。ただその関係が労働者対支配体制というあまりに単純な図式にはめられてしまうことは諸関係をくつがえせという無条件的命令を革命というものにしているがそれが本当の革命であるのかという疑問が残ります。労働者という一般化の中にも階級闘争は存在すると思うし普遍的な階級闘争はマルクスの言う宗教の批判であると思うから人間の関係には絶えず付きまとうものであると思うからこのようなプロレタリア文学というものが労働者搾取の度合い又は残虐性というよりその諸関係の根本的な批判を可能にしなければならないと思う。だから、それを分かりやすい正義にしなければ革命ができないようでは根底的革命にはならないと感じました。革命とは諸関係をくつがえせという無条件的命令(マルクス)をいうのだろうと思います。 本の中に出てきたドストエフスキー「死の家の記録」を読んで感じたことはそこにも経済が存在すると言うことでした。それはマルクス「資本論」というか国民経済学批判というものを言っているように感じました。普遍的な階級闘争を批判するにはそう言う視点が必要だと感じています。 非人間的で残虐な搾取される労働者を描いたものではコンラッド「闇の奥」を思い出しました。 分かりやすい勧善懲悪で支配体制を非難することは仮想敵をつくり国威を宣揚するのと同じ性質を持っていて共産主義が国家という国家権力になってしまう今までの共産国家と同じものになってしまい、それではラディカルで本質的な革命というか理念にはならないのではと感じました。 勧善懲悪自体は嫌いではありません。ただサド「悪徳の栄え」などもありますし文学としては底が見えてしまうような気がします。これは文学なんだろうか?最近読んだマルクスやフォークナーなどは諸関係をくつがえせという宗教の批判ということが書かれているように感じました。 宗教の批判とは・・・人間が人間にとって最高の存在であるという教えでもって終わる・・・

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2020/08/10

全体の所感として、著者のその後も含めて歴史的には重要な作品かもしれませんが、それほど感銘は受けませんでした。以下は二作品それぞれについてです。 <蟹工船> 外界から隔離された船内において、極端な不衛生さと過酷な労働により落命するものも現れるほどの劣悪な労働環境下で、労働者たちの...

全体の所感として、著者のその後も含めて歴史的には重要な作品かもしれませんが、それほど感銘は受けませんでした。以下は二作品それぞれについてです。 <蟹工船> 外界から隔離された船内において、極端な不衛生さと過酷な労働により落命するものも現れるほどの劣悪な労働環境下で、労働者たちの群像と資本家の手先として船内の権力者として頂点に立ち彼らをイジメ抜く監督を中心に描かれる、プロレタリア文学の代表作。資本家サイドの忠犬として非人道的な態度を貫く監督と、痛めつけられる労働者たちの姿が徹底して紋切型に表象されており、一歩間違えればナンセンスなドタバタ劇に転化してしまうのではないかという想像もしてしまいました。労働者たちが蜂起して以降の流れも、読み手をアジテートする意図がわかりやすく提示される展開となっています。 多くは固有名も与えられない、労働者たちの群像は無個性で象徴的に描かれているように見受けられました。資本家に立ち向かうために綴られたであろう本書が、個々の労働者の顔を描くことを軽視しているとも取れる姿勢は、結局資本側の労働者たちへの眼差しと相似するものではないかと、本作の創作における著者の姿勢に疑問を持ちました。 余談ですが良し悪しに関わらない部分で、擬音が相当に多用されていること、函館を出港しオホーツク海へ向かう船の労働者は周辺地域(北海道、青森、岩手、秋田)から集まっているため方言が用いられている点が気になったことを、備忘も兼ねて書き添えます。 <党生活者> 自身の経験をもとに、「赤狩り」の監視の目をかいくぐりながら共産党員としての地下活動に邁進する、軍需工場の労働者である男と仲間たちが描かれています。緊張感があってしかるべき物語の状況ですが、意図されたものかはともかく、読んだかぎりは微妙に間の抜けた空気感を感じました。

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2020/07/27

蟹工船。言わずと知れた名作ですよね 今回初めて読んだのですが、内容に驚愕。労働者階級の環境の悪さを如実に書き表した本書は素晴らしいと思います。躊躇なく書き出している。 大筋は労働者階級VS資本家階級なのですが、その対立を船の中で確実に表現している点は確実に評価できると思います。 ...

蟹工船。言わずと知れた名作ですよね 今回初めて読んだのですが、内容に驚愕。労働者階級の環境の悪さを如実に書き表した本書は素晴らしいと思います。躊躇なく書き出している。 大筋は労働者階級VS資本家階級なのですが、その対立を船の中で確実に表現している点は確実に評価できると思います。 ただ、その行き着く先が革命、その次が共産主義化なのはやっぱりちょっと違うかなとは思う。 時代が時代なので、共産主義を崇める感じに取り扱うのはアリだとは思うが、今の自分には少し受け入れられない。

Posted byブクログ

2020/06/11

2019年、こまつ座『組曲虐殺』は プロレタリア文学の旗手・小林多喜二の生涯を描いた。 小林多喜二(作家):井上芳雄 田口瀧子(多喜二の恋人):上白石萌音 伊藤ふじ子(多喜二の妻):神野三鈴 山本正(特高刑事):土屋佑壱 古橋鉄雄(特高刑事):山本龍二 佐藤チマ(多喜二の実姉)...

2019年、こまつ座『組曲虐殺』は プロレタリア文学の旗手・小林多喜二の生涯を描いた。 小林多喜二(作家):井上芳雄 田口瀧子(多喜二の恋人):上白石萌音 伊藤ふじ子(多喜二の妻):神野三鈴 山本正(特高刑事):土屋佑壱 古橋鉄雄(特高刑事):山本龍二 佐藤チマ(多喜二の実姉):高畑淳子 音楽・演奏:小曽根 真 演出:栗山民也 作:井上ひさし https://horipro-stage.jp/stage/kumikyoku2019/

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2020/06/04

ちょっと敷居が高いかなと思って個人的に敬遠していました。 死と隣り合わせの過酷な労働環境で働く人達の反骨心。 人をモノ扱いしているような上層部と現場の人達の関係性が生々しく、汗臭い、泥臭いという感じがしました。 今でこそ働くものとしての権利はある程度確立はされていますが、残念なこ...

ちょっと敷居が高いかなと思って個人的に敬遠していました。 死と隣り合わせの過酷な労働環境で働く人達の反骨心。 人をモノ扱いしているような上層部と現場の人達の関係性が生々しく、汗臭い、泥臭いという感じがしました。 今でこそ働くものとしての権利はある程度確立はされていますが、残念なことに実態としてはブラック企業と言われるようなところもありますよね。 百数十を超える重版があるということは、訴えかけている内容に今も皆さん思うところがあるということでしょうかね。

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