暁の寺 の商品レビュー
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三巻・四巻はあまり評価がよくないのかとレビューを見ていると感じます。ジン・ジャンの出番は松枝の立ち位置としては少なく、象徴的な扱いだったような気がします。だからこそ本多に輪廻転生の考えをより強く持たせたのかもしれません。美しさ、若さに対する老い、醜さの描写がなかなか辛かったです。
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ストーリーは、情熱感・勢い・ドキドキハラハラには欠けるが、人間らしい本多が垣間見える、1~2巻とはまた違ったテイストの作品だった。 最終巻に向かってどんな伏線が張られているのか楽しみである。
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ますます本多が俗人化してゆく作品。ヒロインの心理が一切わからないのは本多と年齢が離れてしまったせいなのか?そもそもこのヒロインは必要だったのだろうか…?と言うのが率直な感想。
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三島自身の校了の感想も、これまででもっとも不愉快だったと言っているそうで、この小説を書き終えた半年後に自衛隊での演説をおこなうことになるわけだが、このことを知って読むと一層感慨深い。内容は輪廻転生や人間の生をテーマとしているが、とにもかくにも人の美しさ、醜さ、高潔さ、狡猾さ、悲し...
三島自身の校了の感想も、これまででもっとも不愉快だったと言っているそうで、この小説を書き終えた半年後に自衛隊での演説をおこなうことになるわけだが、このことを知って読むと一層感慨深い。内容は輪廻転生や人間の生をテーマとしているが、とにもかくにも人の美しさ、醜さ、高潔さ、狡猾さ、悲しみ、エロティシズムが、綺麗で力のある言葉で描かれている。前半後半で時間の流れがまったく違うと感じることも驚き。やはり三島は一度は読むべき。
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輪廻転生の「転」にあたる3作目。そこには2つの「転」が存在する。一つは異国の人として生まれ変わった「転」、もう一つは女性として生まれ変わった「転」。それが、老いてく本多の中に、新たな異性への想い、恋、エロティシズムとして溶けていく展開が実に官能的で興奮させる。しかしそれは表向きの...
輪廻転生の「転」にあたる3作目。そこには2つの「転」が存在する。一つは異国の人として生まれ変わった「転」、もう一つは女性として生まれ変わった「転」。それが、老いてく本多の中に、新たな異性への想い、恋、エロティシズムとして溶けていく展開が実に官能的で興奮させる。しかしそれは表向きの顔。「転」の本質は別にある気がしてならない。そもそも戦後復興への胎動期にあり、まだ進駐軍が跋扈していた時代であるにも関わらず、中心人物がみな裕福なのには違和感を覚える。本多の人物像しかり。一瞬にして土地成金になり、孫のような年の少女に恋をし、覗きで興奮する異常性愛の持ち主。一方の少女は狂った幼姫で同じように異常性愛を植え付けられ、あっけない最期を遂げる。その死には清顕や勲のような神秘感は存在しない。これらを総合して考えると、実は登場人物の姿、行動を戦後日本の象徴として表現したのではないか、と想像する。そして三島が伝えたかった「転」とは、復興に向けて歩む日本の指針への警鐘に他ならず、最終章への布石が見えてくる。
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このシリーズは間をおかずに一挙に読んだ方が関連がわかりやすい。 第三巻は異国の女性が主人公なので、ややエログロナンセンス。 二巻までは理性と良心の人だった本多が覗き魔になったり、孫といってもおかしくない娘に懸想したり。人物の誰にも共感が持てなかった。長ったらしい仏教などの解説部分も冗長にすぎる。 ラストで驚きの結末を迎えるが、ボリュームもなく、二巻までに比べると、ストーリーを煮詰めずに荒書きした印象。作家の死の半年前脱稿を考えると、追い詰められていたのかと感ずる。
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『永年の習慣で、散歩というと本屋へ行くのである。夥しい背文字の列が心を慰めた。 すべてが観念に化してここに納められている。人間の愛欲と、政治的騒擾も、すべては活字になって沈静に配列されている。 しかもここにはすべてがあるのだ。編物の手ほどきから国際政治まで。』 難しいなぁ。...
『永年の習慣で、散歩というと本屋へ行くのである。夥しい背文字の列が心を慰めた。 すべてが観念に化してここに納められている。人間の愛欲と、政治的騒擾も、すべては活字になって沈静に配列されている。 しかもここにはすべてがあるのだ。編物の手ほどきから国際政治まで。』 難しいなぁ。登場人物のみんなが何考えてるか分からないなぁ〜。 たぶん、肝心なことを誰も何も言ってないからなんだろうな。
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登場人物の誰にも感情移入ができなくて読み進めるのが辛かった。『春の雪』『奔馬』が良かっただけに残念。
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20141118読了。 豊饒の海第3巻。輪廻転生の話が相変わらず続いているのだけど、今回は主人公が本多になる。 輪廻について本多が感じていることが書かれていて面白い。 また実際にインドへ行ってガンジス川を眺めたことがあるため、無常観というか非日常感が共感できる。 なんにしても本多...
20141118読了。 豊饒の海第3巻。輪廻転生の話が相変わらず続いているのだけど、今回は主人公が本多になる。 輪廻について本多が感じていることが書かれていて面白い。 また実際にインドへ行ってガンジス川を眺めたことがあるため、無常観というか非日常感が共感できる。 なんにしても本多の歪んだ一面が前面に出てきていて、読むのはしんどいがなかなか面白い。
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前半読み通すのはかなりの苦労を要したが、蓼科が現れた途端に、話は一気に展開していく。結局、三巻にも、とうとう聡子は登場しなかったのだが。具体的に書いてしまうと、未読の方に申し訳ないが、第二巻からの中心人物である本多の人間像が大きく揺さぶられる。となりの寝室をのぞく本多を見とがめた...
前半読み通すのはかなりの苦労を要したが、蓼科が現れた途端に、話は一気に展開していく。結局、三巻にも、とうとう聡子は登場しなかったのだが。具体的に書いてしまうと、未読の方に申し訳ないが、第二巻からの中心人物である本多の人間像が大きく揺さぶられる。となりの寝室をのぞく本多を見とがめた妻梨枝が「どうせこんなことだろうと思っていました。」というところをみると、本多の性癖はとうに知れていたのだろうか。一巻、二巻、そして三巻前半とほとんど登場しなかった性描写が、ここに来て大きな位置を占めるようになる。しかし、この悪癖を、なんとも美しく描く三島という人物、奥深いのかそれとも単なるスケベか変態か。エロ雑誌か何かを立ち読みしていた青年が、ズボンのポケットの中の手をもぞもぞと動かす。こんなシーンですら、きれいな描写ですまそうとする。それがまた淫靡であったりもする。最後にはどうしても死が必要なのだろうか。
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