美しい星 の商品レビュー
晩年の三島小説。 いくつかの代表作を読んできたのだが、晩年小説とだけあって政治や戦争、人類の在り方について詳しく重い文章となっている。 勿論SFを取り入れた物語としてのミステリー小説でもなんでもなく、三島が政治世界や、人が人である為の存在意義を全てぶつけた作品となっている。60年...
晩年の三島小説。 いくつかの代表作を読んできたのだが、晩年小説とだけあって政治や戦争、人類の在り方について詳しく重い文章となっている。 勿論SFを取り入れた物語としてのミステリー小説でもなんでもなく、三島が政治世界や、人が人である為の存在意義を全てぶつけた作品となっている。60年代はJFK暗殺事件など数多くの政治事件が起きており、海外戦争や民間人の政治介入で沢山事件が起こった時期だ。三島がこの様な作品を書いたのは理解できる。 しかし作者の耽美主義的な文章が政治介入としてのディスカッションで埋もれてしまっている様に感じられ、当初からの彼の良さである、耽美主義においては濁りがあると作品だと思う。なぜなら主張が強すぎるからだ。 好みが分かれる所だが、大衆向け作品ではない印象を受けた為、読む人を選んでしまうと思う。星は3つとさせて頂いた。 感染症やテロで世界が壊滅的になったとしたら人間は今後、何に価値を置いて生きていくべきなのか、考えさせられる。現代人にも通ずる作品なので是非読んで欲しい。
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初めて読んだ三島由紀夫作品です。 宇宙から来て地球で仮初めの生を得た、主人と奥方と兄と妹の家族の話でした。出身星の違う家族構成員それぞれの見地や考え方を掘り下げながら、家族として時に反発しあいながらも、協力し合う姿が印象的です。物語の終盤に向かって、地球という〝美しい星〟をど...
初めて読んだ三島由紀夫作品です。 宇宙から来て地球で仮初めの生を得た、主人と奥方と兄と妹の家族の話でした。出身星の違う家族構成員それぞれの見地や考え方を掘り下げながら、家族として時に反発しあいながらも、協力し合う姿が印象的です。物語の終盤に向かって、地球という〝美しい星〟をどのように〝美しい星〟あらしめるかの論戦に入っていく様は手に汗握りました。 題材がとてもSF的なのですが、文体は純文学的で時々分かりづらいところもありましたが、面白かったです。
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異色のSFかと思いきや、円盤や宇宙人という(一見)トンデモメタファーによって、政治や思想を真正面から語る秀逸な展開。 冷戦そして核の危険に満ちた現代社会にびっちり密着させながら、バチバチと人間思想がぶつかり合い、理性と感性、倫理と美意識とが絡み合う純文学。
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三島がSFって時点でかなり異色な作品、核戦争どうのこうのよりも人間の愚かな部分も幼けな部分も角度を変えて肯定してくれる人間賛歌。
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久しぶりの三島作品。珍しいSFチックな小説。空飛ぶ円盤を目撃したことをきっかけに、自分たちは宇宙から来たものだと確信した家族。そこから、人間の傲慢、強欲、軽薄、核戦争の危機を引き起こす愚かさを嘆きつつ、人類救済のために密かに活動を始める。これに対応し、無視するもの、賛同するもの、...
久しぶりの三島作品。珍しいSFチックな小説。空飛ぶ円盤を目撃したことをきっかけに、自分たちは宇宙から来たものだと確信した家族。そこから、人間の傲慢、強欲、軽薄、核戦争の危機を引き起こす愚かさを嘆きつつ、人類救済のために密かに活動を始める。これに対応し、無視するもの、賛同するもの、対立するものが現れ、様々な衝突や出会いを繰り広げる。三島のその後を知っているので、登場人物の言動は全て三島の言いたかったこと、自分も自覚しているけど否定したかったことではないかと思える。こういうことを含めて「美しい星」なのか、「美しかった星」なのか考えてしまう。
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面白かったです。 ある日、自分は地球人ではなく異星人である、という意識を持った家族のお話。 それぞれ星が違うので、考え方も違うのが興味深いです。 そして、家族とは別の場所で異星人という意識を持った3人との考えの違いが面白かったです。 「美しい星」を目指すも、重一郎は人類を救おうと...
面白かったです。 ある日、自分は地球人ではなく異星人である、という意識を持った家族のお話。 それぞれ星が違うので、考え方も違うのが興味深いです。 そして、家族とは別の場所で異星人という意識を持った3人との考えの違いが面白かったです。 「美しい星」を目指すも、重一郎は人類を救おうとし、3人は人類を滅ぼそうとする。3人が重一郎にキツい言葉を浴びせるシーンは辛かったです。 黒木が一雄ではなく3人を選んだことで、人類は滅亡に向かうのかなと少し思いました。 先に映画を観たのですが、原作の方が深みがあって、映画はエンターテイメントだったんだなと思いました。佐々木蔵之介さんの異様さがよかったけど。 ラストは、映画と違って、家族みんなが地球を離れるのですね。 三島由紀夫は、人に好意と絶望を抱いていたのかなと思ったりしました。
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初の三島由紀夫作でしたが、読みやすかった。 純文学は難しいと思い込んでいた私に、三島由紀夫作品のハードルを下げてくれた一冊。
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うーん。やっぱり三島文学は自分には合わないということが分かった一作。 我慢して読み続けてみたものの、終盤の自称宇宙人同士の論争の箇所で本を置いてしまった。なんか非常にくどく感じてしまって、お腹いっぱい。 何作か三島作品を読んできたが、やはり合わないと決定的に分かったという意味...
うーん。やっぱり三島文学は自分には合わないということが分かった一作。 我慢して読み続けてみたものの、終盤の自称宇宙人同士の論争の箇所で本を置いてしまった。なんか非常にくどく感じてしまって、お腹いっぱい。 何作か三島作品を読んできたが、やはり合わないと決定的に分かったという意味では良かった。
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純文学の作家がSF書くと変な小説になりますね。大江健三郎の『ピンチランナー調書』とか。それがいい味だしてる、そんな気がします。 最近になって映画化されたので、そちらもおすすめ。平沢進さんの挿入歌『金星』が素晴らしい。 https://gaga.ne.jp/hoshi/
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三島由紀夫の(ある意味では)SF小説。読みにくさはあまり無い。 やはり純文学というか、登場人物の劣等感や渇望感は非常にリアリティがある。SF的な世界観の中にも、現代に生きる我々と似たような息吹を感じることができる。 宇宙人という設定だからこそ、人間臭さが強調されているように思えた...
三島由紀夫の(ある意味では)SF小説。読みにくさはあまり無い。 やはり純文学というか、登場人物の劣等感や渇望感は非常にリアリティがある。SF的な世界観の中にも、現代に生きる我々と似たような息吹を感じることができる。 宇宙人という設定だからこそ、人間臭さが強調されているように思えた。なんとも巧妙。 物語は謎の感動を残してフィナーレを迎える。家族小説に弱い読者は、油断してるとホロリと来るかもしれない。 9章での理念の押し問答は、やや難解で飛ばし読みしてしまった。 でもそこに三島由紀夫のエッセンスが詰まっていたのかも?再読する時にはきちんと拾いたい。
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