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美しい星 の商品レビュー

3.8

175件のお客様レビュー

  1. 5つ

    33

  2. 4つ

    60

  3. 3つ

    50

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    2

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2022/01/12

読んだのは随分前だが、いかがわしさや粘着性のある宇宙という宗教のようなテーマに斬りかかっていてこれこれ!と思った記憶がある。

Posted byブクログ

2021/09/10

人間ではなく、宇宙人という高次の存在としての立場から、 人類救済を目指す様は、最初でこそ、意識高いなあと思わせてくれるが、物語が進むにつれ、家族たちの人間くささが、描写されていき面白いです。 最後は持論のぶつけ合いが続き、核心的な場面だけどちょっと退屈になってしまいました。

Posted byブクログ

2021/09/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

登場人物がほぼ宇宙人(人間の形をした)という、いかにもSFになってしまいそうなテーマを純文学に落とし込める三島由紀夫の才能の凄さを実感した。 そして内容が割と重かった! 人類の破滅か存続かを宇宙人という第三者的客観的視点から論じていく。どちらの言い分も理解できるが故に私は結論が出がたく感じた。でもどちらか一方を選ぶのなら、私は人類の存続を選びたい。この愛すべき楽天さや気まぐれは人間にしかないものだと思っているから。そして私はそんな人間が好きだから。これだと羽黒一派に一蹴されそうではあるが、、、

Posted byブクログ

2021/05/24

あの華麗な調子の文体で、独特な世界が展開されているという感だった。 最初に発表された時代、昭和30年代後半に差し掛かるような頃、1960年代前半位が作中世界の舞台であると思う。文庫本としては1967(昭和42)年に初登場し、版を重ねて現在に至っているようだ。 作中の中心となるのは...

あの華麗な調子の文体で、独特な世界が展開されているという感だった。 最初に発表された時代、昭和30年代後半に差し掛かるような頃、1960年代前半位が作中世界の舞台であると思う。文庫本としては1967(昭和42)年に初登場し、版を重ねて現在に至っているようだ。 作中の中心となるのは4人家族である。 一寸した資産家で、何処かに勤めているということでもない父親、専業主婦でその妻である母親、そして大学生の息子と娘である。 この4人の家族だが、何処か秘密めいたモノを持っていた。冒頭部のミステリアスな感じに引き込まれる。 4人の家族だが、彼らは各々が「他の惑星からやって来た者」であると考え、信じているのだ。そして、核戦争のような破滅の道へ人類が踏込んでしまうことを本気で危惧している。 そんな不思議な人達が「美しい星」を憂う中で、一家の人々の各々の物語が展開する。父親の行動、息子の行動、娘の行動という部分の分量がやや多いと思う。 やがて、別な不思議な人達も現れる。「美しい星」に在って、人類とは滅びる運命、また滅びなければならないという考え方に憑かれているような人達である。 この「美しい星」を憂うという中で展開する様々な話題であるが、本作が登場した時代を想うと同時に、「現在読んでも何か響く普遍性」を帯びているようにも思った。流石に“古典”ということであろうか。 「ボリュームの在る大作」ということでもない1冊で、何処となく「テレビドラマのノベライズ」を思わせるムードも在り、読み易い作品であると思う。が、“古典”の重厚さは些かも損なわれていない。そこが「名文家」として高名な三島由紀夫の力なのであろう。 広く御薦めしたい感だ…

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2021/05/11

まず、宇宙人から啓示をうけた 一家。わたしたちは宇宙人だ。宇宙人として 人類滅亡の危機を救わないと。って。。。 気になるに決まってない?(笑) だけど、宇宙人という存在を使って 人間、人類を客観的にみさせるやり方?というのかな、それはまじすごいなと思った 最初はちょっと疑問持...

まず、宇宙人から啓示をうけた 一家。わたしたちは宇宙人だ。宇宙人として 人類滅亡の危機を救わないと。って。。。 気になるに決まってない?(笑) だけど、宇宙人という存在を使って 人間、人類を客観的にみさせるやり方?というのかな、それはまじすごいなと思った 最初はちょっと疑問持ちながらにやけながら 読むんだけど、だんだん宇宙人って存在にも 違和感なくなるのか不思議なんだよな 人間の愛おしい部分のあの5箇条みたいなやつ なんでかわからんが好きすぎて何回も読んじゃったな

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2021/02/27

「ふっ」と笑ってしまいたくなるシュールなストーリーと、これ以上ないほど繊細で美しくて痺れる日本語との組み合わせがたまらない。異色の意欲作。 三島由紀夫の発想力、日本語力は天才。 物語後半で語られる人間批判はお見事。 痛烈で、今の時代にも当てはまる。

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2021/02/26

「この世の形態はみんな偽りであり、滅亡でさえ形態を持ち、その形態に欺かれている」 自分たちは宇宙人であるという意識に目覚めた家族を主人公に、核兵器を持ち滅亡へ進む人類の現代的な不安を、宇宙人による第三者視点で現代人の意識、政治、文明、思想を批判する論戦小説、あるいは思想小説の傑作...

「この世の形態はみんな偽りであり、滅亡でさえ形態を持ち、その形態に欺かれている」 自分たちは宇宙人であるという意識に目覚めた家族を主人公に、核兵器を持ち滅亡へ進む人類の現代的な不安を、宇宙人による第三者視点で現代人の意識、政治、文明、思想を批判する論戦小説、あるいは思想小説の傑作。SFでも狂気でもない。宗教でもない。地球人を恒久平和に導こうとする火星人の父、大杉重一郎と人類滅亡を企む白鳥座から来た助教授羽黒の論戦は圧巻。時間の不可逆性に縛られた人類には3つの欠陥がありどのみち水爆の釦を押す運命と力説する羽黒の圧倒的正論に押されながら人類の愚かさと同時に愛おしさを語る重一郎。そして人間的肉体環境の限界の中で迎えるクライマックスへ。この一見おかしな設定を用意しないと語りきれなかった現代人に対する第三者的立場からの批判を三島は見事に語り切っている。熱烈に求める平和の偽物臭さ。これは福田恒存も言った「結果として存在し得ないものが過程で存在する気味悪さ」である。「生きていることへの絶望ではなく、生きていること自体への絶望」が人間を無目的に生かしているという救いようのない現状を語る三島はこの論戦小説を書いた8年後に自殺する。

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2020/11/28

『美しい星』 ほぼ日書評 Day283 あれから50年ということで何かと話題の三島由紀夫。三島唯一のSF(そんなものがあることを知らなかったのだ)ということで手に取ってみた。 読後感としては、これはSF小説ではなく、思想書だ。 これも今年、映画で公開された駒場での数百名の...

『美しい星』 ほぼ日書評 Day283 あれから50年ということで何かと話題の三島由紀夫。三島唯一のSF(そんなものがあることを知らなかったのだ)ということで手に取ってみた。 読後感としては、これはSF小説ではなく、思想書だ。 これも今年、映画で公開された駒場での数百名の学生相手の大討論を最もリアルな場における思想の表出であるならば、本書は限りなくノンリアル(フィクションでもあり、バーチャルでもあり、フィジカルな実存を否定するものでもあるという意味で)な場におけるそれである。 登場人物が本当に「宇宙人」なのか、単にそう思い込んだ精神異常者なのかは、ある意味瑣末な議論である。 要は、日常現実の世界に存在しない、もしくはそこから遊離した対立的ペルソナに各々の持論を開示せしめるための舞台作りに過ぎない。 「宇宙人」家族以外の(全体でも決して多くない)登場人物が、長編の伏線としてでなく、むしろ使い捨てられているところにも、意図的にこの表現方法を採用していることが見て取れる。 にしても、8-9章で語られる対立的ペルソナの論は難解である。3回ほど読み返したが、あとは書写でもするしかないか。 https://www.amazon.co.jp/gp/product/4101050139/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=nobu2kun-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4101050139&linkId=ec4453e8acb2d06a0975237c1e33284c

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2020/07/28

2016.4.17 に書いた読書メモ。 三島の先見性に驚く。 いずれ核兵器により人類は滅びるだろう、という未来を憂い、三島の美学と哲学により警鐘を鳴らしている、そんな本。 人類というより地球の未来かな。 (大国が核兵器で競い合っていた当時の時代背景を考えると、 本当に終末期的な...

2016.4.17 に書いた読書メモ。 三島の先見性に驚く。 いずれ核兵器により人類は滅びるだろう、という未来を憂い、三島の美学と哲学により警鐘を鳴らしている、そんな本。 人類というより地球の未来かな。 (大国が核兵器で競い合っていた当時の時代背景を考えると、 本当に終末期的な予感があったのだろうか。 今も左程変わらないかもしれないが…) 自分たちは宇宙人である、地球を救う為に飛来したのだ、という意識に目覚めた一家4人を中心に話が展開していく。 人間らしさに溢れ、軽妙なユーモアを纏いながらも、本質を鮮やかに突く。感嘆する。 現代の文明への痛烈な批評。 前から読みたかった本をやっと手にとってみて、もっと早く読んでおけばと! 物語の終盤で、生きることに希望が持てる、 とても美しい一節が出てきて感動した。 人間賛歌に、優しい眼差しと救いを感じる。 「美しい星」 三島由紀夫著 新潮社(昭和37年)刊行 新潮文庫、昭和42年

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2020/05/06

一番面白く感じたのは、自分は地球外の惑星からやって来たと信じる者同士が、物語後半に、核に賛成か反対か激しく議論(口論?)する場面である。政治や国際関係から語られることが多いテーマだが、文学者が登場人物に語らせることで、様々な視点や思考のヒントを読者に提供するという方法もありだなと...

一番面白く感じたのは、自分は地球外の惑星からやって来たと信じる者同士が、物語後半に、核に賛成か反対か激しく議論(口論?)する場面である。政治や国際関係から語られることが多いテーマだが、文学者が登場人物に語らせることで、様々な視点や思考のヒントを読者に提供するという方法もありだなと感じた。登場人物が真面目に行動すればするほど、おかしくて、思わず笑ってしまう場面も多い。軽い気持ちで三島作品を読みたい人にはおすすめです。

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