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美しい星 の商品レビュー

3.8

170件のお客様レビュー

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2022/07/26

宇宙人から見て、地球は美しい星なのだろうか。 人間的には間違いなく美しい。それなのに、自ら破滅へと向かう人類の愚かさ。それを助長しようとする宇宙人と救済しようとする宇宙人。彼らの討論の様子は、とても情緒的で細部の言い回しまで理解することは、1回読んだだけでは私には難しかった。 ...

宇宙人から見て、地球は美しい星なのだろうか。 人間的には間違いなく美しい。それなのに、自ら破滅へと向かう人類の愚かさ。それを助長しようとする宇宙人と救済しようとする宇宙人。彼らの討論の様子は、とても情緒的で細部の言い回しまで理解することは、1回読んだだけでは私には難しかった。 人類の未来とゆう壮大なテーマは、宇宙人の視点で語られるため、他人事である。 しかし、火星人にしても、未知の惑星から来た羽黒にしても、一個人の話なるとなんと小さくか弱い存在だろう。人間が抱えるありきたりな悩みを内包している。 人間は誰しもが自分は特別であり、個人の死が突如現れた時の世界の変容がとても印象に残る。 あとは、金星人の暁子の美しさよ。彼女の存在感は一際強い。 最後はどう終わるのかと思っていたけれど、よい結末でホッ。さて、残された地球人たちはなんとかやっていくことが出来るのだろうか。きっと彼らは遠くから様子を見ているに違いない。

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2022/06/20

ミシマ文学、何度か挑戦して綺羅綺羅しさに3ページ進まず だった私が最後までやめられなかった作品 ご本人が変な物語、と言っていらしたのですね 夢と現実とを何が分けるのか

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2022/03/29

米ソ対立により世界の終末が囁かれていた時代に、三島自身がUFO観測に勤しんでいた事も重なり生み出された作品であり、宇宙人である事に目覚めた日本の小さな家族が世界滅亡危機という壮大な問題の為に人知れず動き回る独特な世界観が面白い。加えて人間ドラマの側面もあり、対立する宇宙人との議論...

米ソ対立により世界の終末が囁かれていた時代に、三島自身がUFO観測に勤しんでいた事も重なり生み出された作品であり、宇宙人である事に目覚めた日本の小さな家族が世界滅亡危機という壮大な問題の為に人知れず動き回る独特な世界観が面白い。加えて人間ドラマの側面もあり、対立する宇宙人との議論には三島の思想が窺え、それらが美しい文章で紡がれている。

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2022/03/21

1962年(s37) 刊行埼玉飯能に住む旧家大杉家一家はある日宇宙船を目撃し父火星人、母木星人、息子水星人、娘金星人と確信。米ソの核開発激化により地球滅亡を予見する。この頃三島は日本空飛ぶ円盤研究会(JFSA)に入会し観測に夢中。本人も実にヘンテコな小説と語っていたよう。

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2022/12/28

いま読んでる 「人間の存在の条件の同一性の確認にはじまった以上、その共同意識は、だんだん痛みや痒みや空腹の孤立状態に耐えられなくなる」 「目的も持ち、意志から発した行為が、行為のはじまった瞬間に、意志は裏切られ、目的は乗り超えられて、際限なく無意味なもののなかへ顚落すること。...

いま読んでる 「人間の存在の条件の同一性の確認にはじまった以上、その共同意識は、だんだん痛みや痒みや空腹の孤立状態に耐えられなくなる」 「目的も持ち、意志から発した行為が、行為のはじまった瞬間に、意志は裏切られ、目的は乗り超えられて、際限なく無意味なもののなかへ顚落すること。」 「しかし釦を押す直前に、気まぐれが微笑みかけることだってある。それが人間というものだ」 「私は人間が現在を拒否し、人間の時を自ら軽視し、この貴重な宝をいつもどこかへ置き忘れ、人間の時ならぬ他の時、過去や未来へ気をとられがちなのを戒めるために、地球へやって来たようなものだ」 「どこかで彼の望みの糸がほつれて、こんがらかって、思いもかけない局面へ彼を連れ出したのだ」

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2022/01/12

読んだのは随分前だが、いかがわしさや粘着性のある宇宙という宗教のようなテーマに斬りかかっていてこれこれ!と思った記憶がある。

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2021/09/10

人間ではなく、宇宙人という高次の存在としての立場から、 人類救済を目指す様は、最初でこそ、意識高いなあと思わせてくれるが、物語が進むにつれ、家族たちの人間くささが、描写されていき面白いです。 最後は持論のぶつけ合いが続き、核心的な場面だけどちょっと退屈になってしまいました。

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2021/09/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

登場人物がほぼ宇宙人(人間の形をした)という、いかにもSFになってしまいそうなテーマを純文学に落とし込める三島由紀夫の才能の凄さを実感した。 そして内容が割と重かった! 人類の破滅か存続かを宇宙人という第三者的客観的視点から論じていく。どちらの言い分も理解できるが故に私は結論が出がたく感じた。でもどちらか一方を選ぶのなら、私は人類の存続を選びたい。この愛すべき楽天さや気まぐれは人間にしかないものだと思っているから。そして私はそんな人間が好きだから。これだと羽黒一派に一蹴されそうではあるが、、、

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2021/05/24

あの華麗な調子の文体で、独特な世界が展開されているという感だった。 最初に発表された時代、昭和30年代後半に差し掛かるような頃、1960年代前半位が作中世界の舞台であると思う。文庫本としては1967(昭和42)年に初登場し、版を重ねて現在に至っているようだ。 作中の中心となるのは...

あの華麗な調子の文体で、独特な世界が展開されているという感だった。 最初に発表された時代、昭和30年代後半に差し掛かるような頃、1960年代前半位が作中世界の舞台であると思う。文庫本としては1967(昭和42)年に初登場し、版を重ねて現在に至っているようだ。 作中の中心となるのは4人家族である。 一寸した資産家で、何処かに勤めているということでもない父親、専業主婦でその妻である母親、そして大学生の息子と娘である。 この4人の家族だが、何処か秘密めいたモノを持っていた。冒頭部のミステリアスな感じに引き込まれる。 4人の家族だが、彼らは各々が「他の惑星からやって来た者」であると考え、信じているのだ。そして、核戦争のような破滅の道へ人類が踏込んでしまうことを本気で危惧している。 そんな不思議な人達が「美しい星」を憂う中で、一家の人々の各々の物語が展開する。父親の行動、息子の行動、娘の行動という部分の分量がやや多いと思う。 やがて、別な不思議な人達も現れる。「美しい星」に在って、人類とは滅びる運命、また滅びなければならないという考え方に憑かれているような人達である。 この「美しい星」を憂うという中で展開する様々な話題であるが、本作が登場した時代を想うと同時に、「現在読んでも何か響く普遍性」を帯びているようにも思った。流石に“古典”ということであろうか。 「ボリュームの在る大作」ということでもない1冊で、何処となく「テレビドラマのノベライズ」を思わせるムードも在り、読み易い作品であると思う。が、“古典”の重厚さは些かも損なわれていない。そこが「名文家」として高名な三島由紀夫の力なのであろう。 広く御薦めしたい感だ…

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2021/05/11

まず、宇宙人から啓示をうけた 一家。わたしたちは宇宙人だ。宇宙人として 人類滅亡の危機を救わないと。って。。。 気になるに決まってない?(笑) だけど、宇宙人という存在を使って 人間、人類を客観的にみさせるやり方?というのかな、それはまじすごいなと思った 最初はちょっと疑問持...

まず、宇宙人から啓示をうけた 一家。わたしたちは宇宙人だ。宇宙人として 人類滅亡の危機を救わないと。って。。。 気になるに決まってない?(笑) だけど、宇宙人という存在を使って 人間、人類を客観的にみさせるやり方?というのかな、それはまじすごいなと思った 最初はちょっと疑問持ちながらにやけながら 読むんだけど、だんだん宇宙人って存在にも 違和感なくなるのか不思議なんだよな 人間の愛おしい部分のあの5箇条みたいなやつ なんでかわからんが好きすぎて何回も読んじゃったな

Posted byブクログ