野菊の墓 の商品レビュー
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表題の『野菊の墓』が一番読後感が良かった。 残りの『浜菊』『姪子』『守の家』はなんとなく消化不良というか、モヤモヤする感じ。 ただ、裏表紙の作品紹介で『野菊の墓』のネタバレしてるのはどうかと思う………。 でもこの説明を読んで、読んでみようと思ったから必要なのかな…? 主人公とヒロインに感情移入しやすくて、ハッピーエンドではないけど心があたたまる感じがした。
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中学時代の読書ノートから。 「互いに手をとって後来を語ることもできずに小雨のしょぼしょぼ降る渡し場に泣きの涙も人目をはばかり、一言の言葉も交わし得ないで永久に別れをしてしまったのである。」
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言わずと知れた純愛物語。時代の持つ理不尽さもあるけれど、声に出して読みたくなるような綺麗な日本語。伊藤左千夫は歌人だからか言葉のリズムが心地よい。
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中学生の時以来50数年ぶりの再読。政夫や民子に近い年齢で読んだその時と、その母に近い年齢で読んだ今。卵的の恋はくすぐったくもあったが、そういう気持ちはいくつになってもあるもので、いくつになっても卵的の恋はできる。中学生の時にはその母の気持ちにどれだけ思いを寄せられたか。今はその...
中学生の時以来50数年ぶりの再読。政夫や民子に近い年齢で読んだその時と、その母に近い年齢で読んだ今。卵的の恋はくすぐったくもあったが、そういう気持ちはいくつになってもあるもので、いくつになっても卵的の恋はできる。中学生の時にはその母の気持ちにどれだけ思いを寄せられたか。今はその母の気持ちがとてもよくわかってせつない。 「野菊の墓」のほかに3編収録。作者の一本通った思いを感じる。朴訥としている。
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純愛物なのに、文章が情緒に欠けるなぁ…と思って読んでいたけれど、最後の三文は美しい。政夫と民子の想いを凝縮した文章。 「号泣した」という感想をよく聞くが、わたしはそこまでではなかったかな…? 「野菊の墓」「守の家」は切なく悲しく、「浜菊」は少し皮肉めいていて、「姪子」は暖かみが...
純愛物なのに、文章が情緒に欠けるなぁ…と思って読んでいたけれど、最後の三文は美しい。政夫と民子の想いを凝縮した文章。 「号泣した」という感想をよく聞くが、わたしはそこまでではなかったかな…? 「野菊の墓」「守の家」は切なく悲しく、「浜菊」は少し皮肉めいていて、「姪子」は暖かみがあったので、この一冊でいろいろな話を楽しめた。
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恋愛小説をちょっと読みたいと思うなら、この切ない恋愛をおすすめしたいなと思いました。 結婚する相手が年上の女性というのが嫌われる時代の男女の話。とても柔らかい雰囲気で二人の気持ちが素直でまっすぐだということが常に伝わってくる文章です。あまりにもまっすぐのため「恋」というものを初め...
恋愛小説をちょっと読みたいと思うなら、この切ない恋愛をおすすめしたいなと思いました。 結婚する相手が年上の女性というのが嫌われる時代の男女の話。とても柔らかい雰囲気で二人の気持ちが素直でまっすぐだということが常に伝わってくる文章です。あまりにもまっすぐのため「恋」というものを初めて知った時を思い出します。 また、見方によっては在り来たりな部分もあるかもしれませんが、素直に胸が熱くなったり、目頭が熱くなったりする場面もありました。
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こういう作品は、アラサーになってから読んじゃだめ、絶対(悲壮感)。 初恋は実らない。 なんて使い古されて手垢の付いた至言でしょうか。初恋は実らない。実を結ばないからこそ、いつまでも瑞々しく、甘酸っぱい思い出として記憶に留められる初恋………。私の初恋の木下くん、元気かな………...
こういう作品は、アラサーになってから読んじゃだめ、絶対(悲壮感)。 初恋は実らない。 なんて使い古されて手垢の付いた至言でしょうか。初恋は実らない。実を結ばないからこそ、いつまでも瑞々しく、甘酸っぱい思い出として記憶に留められる初恋………。私の初恋の木下くん、元気かな………← ですが、古典文学の世界にあっては、初恋は悲劇と切っても切り離せるものではありません。 ロミオとジュリエットしかり、ツルゲーネフしかり。 実らないからこそ、 悲劇として幕を閉じるからこそ、 一瞬の強烈な輝きを永遠に留めることのできる初恋……………。 うーーーーーーーーーん。 可哀想だね?(@綿矢りさ)以上の感想出てこない←←←←← 本作、野菊の墓の主人公・政夫と、二つ年長の従姉・民子が、世間体を気にする大人達のせいで離れ離れになり、そして取り返しのつかないあの結末にたどり着くんですが。 うん……………可哀想だね??←←←
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確かに『野菊の墓』は、フレッシュな感じがしたよ。 今の年齢で言うと13歳と15歳のいとこ同士が、ちょっと仲良くしていたら「デキてんじゃないの?」って言われて、かえって意識し始めたんだけど、政夫くんの方が年下だしとかなんとかで周囲は反対。 政夫くんは寄宿制の学校へ出され、その間に民子さんは嫁に行かされ、そこで流産しちゃって、実家に帰され病死。 死の床で政夫くんの写真と手紙を握りしめていたと聞かされ、政夫くんをはじめ一族で懺悔&号泣! 政夫「民さんは野菊のような人だ。ぼくは野菊が大好き♪」 民子「政夫さんは桔梗のような方ね。」 政夫「じゃあ民さん、桔梗を好きになってよ♪」 民子「あら。うふふ!」 ってな感じで、年齢的にもまさに中二病全開の恋でした。 もうちょっと二人が大人であれば、舞台になった矢切の渡しを利用して「連れて逃げてよ~♪」と細川たかしちっくに盛り上がって、別のストーリーになったものを…。 冷静に考えると「民さんがもっと気の強い人ならば、オレ以外と結婚させられるくらいなら自殺するに決まってる!」とか、政夫くんの妄想的オレ・ナイスガイ!的要素があるお話なんだけど、ピュアな雰囲気は確かにあるように思いました。 感想文が、くどくてゴメンね。 なんか伊藤左千夫さんって人のキャラを考えると、素直に純愛としては読めなくなっちゃって…。 奥さんを晩年まで毎年のように孕ませておきながら、新潟方面他各地に愛人を作ってた人でしょ? 俺さまオトコの妄想かな…って思っちゃうんだよね。 まぁ、そんなこんなで、同じ本に収録されていた他の小説の感想は以下のとおりです。 『浜菊』 夜中に押しかけて行った柏崎の友人宅で下心を持っていた友人の妹にも会えず、友人の対応がイマイチ丁寧ではなく、翌朝寝坊して起きたらお茶も出てこないことに怒りを感じ、インテリちっくに理由をつけて悪口を羅列まくった短編。 モデルになった柘植潮音さんとは、これで絶交になったらしい。 さもあらん。 『姪子』 博打と酒でダメ男だった姪っ子の旦那が更生して、百合根を掘って餅をごちそうしてくれたことを嬉しく思い、学問や財産があっても自己中なヤツよりは、こういった粗野だけど人間性があるヤツのが良いって教訓的な結語で終わる短編。 誰かへのあてこすりっぽい。 『守(もり)の家』 5歳の頃に親しんでいた子守のお姉さん(16)が、解任されたうえでダメ男と結婚させられ、鬱になって死んじゃって哀しいですってお話。 野菊の墓の原型っぽい超短編でした。 ≪まとめとか…≫ クセのあるタヌキで牛飼いのおじさんが、澄んだ色彩を帯びた文章を書きますよってところが、伊藤左千夫さんの面白さなのかもしれないね!
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中学時代に読んで、印象に強く残ってる作品です。僕は野菊が好きだ。民さんは野菊のようなひとだ。こんなラブコール、素朴でいいですね!(笑)
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くらもちふさこの「ハリウッド・ゲーム」、岩館真理子の「ガラスの花束にして」の中でヒーローの男の子が松田聖子のファンであり、この野菊の墓について話題にするシーンがある。 それゆえ私にとっては野菊の墓=松田聖子が出演した映画、悲恋を描いた物語という認識しかなかった。 最近何の気なし...
くらもちふさこの「ハリウッド・ゲーム」、岩館真理子の「ガラスの花束にして」の中でヒーローの男の子が松田聖子のファンであり、この野菊の墓について話題にするシーンがある。 それゆえ私にとっては野菊の墓=松田聖子が出演した映画、悲恋を描いた物語という認識しかなかった。 最近何の気なしに読んでみたが、予想に反して自然と涙が出た。 確かに筋を大雑把にみれば、何のことはない思春期のすれ違いののちの悲恋話である。 ただ一般的な悲恋という印象ではなく、遥かに純愛という面が強く印象に残り、胸の中に心地よい風を通してくれる。 周囲からのさりげない牽制に抗う術なく、日々は淡々と流れてゆくが、互いの間にあるゆるぎない確信のようなものが気持ちを動じさせる材料にはなり得なかったという描写にはハッとさせられた。 自分がそうであるように、相手も同じように確固たる気持ちを信じられるというのは何て単純で美しいんだろう。 物事において、理由はなくとも確信を持って信じられるということがまれにある。 そういうときは相手を信じているというよりは、確実に自分のことを信じている時だと思う。 理由もなくなんて、不明瞭で脆いものに感じられるかもしれないが、確かにそういうときがある。 政夫の台詞に思春期が言わせる、傲慢な想いだと感じなかったのはそういうところからだった。 だからこそ美しさと切なさが自分の中で一層深く印象づけられたのかもしれない。
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